第118季(2003年度) 月と秋と木の年
作品集1~4
「あれ、1月初めの西暦ではなくて4月初めの季を使うんですね」
「せっかく幻想郷でやるんだから、だそうよ。年別だと作者が過去に記事作ってるし。
それにこっちの方が色々と好都合なのよ。96点満点のように」
「創想話は100点満点ですけどね……。で、どのあたりが好都合なんですか?」
「まず、この投稿日が4月1日。つまり2015年の1月から3月までは第129季となる」
「あー、確かに。3か月分だけ個別に作るってなんか収まり悪いですね」
「そしてもうひとつ。創想話の始まりが7月ということ。
年表記なら6か月しかないけども、季表記なら9か月の期間になる」
「なるほど。初期の中途半端な時間をちょっとだけ補正できる、と。長い前置きでしたね。」
「そう。ここまでが前置き。ここから記念すべき創想話初年度の紹介が始まるわ。」
「さっき前置きが前置きが長くても仕方ないとか言ってたのに」
「……今は火曜深夜だからお仕置きはフロギスティックピラーがいいかしら」
「な、なんでもありません!ありませんよ!」
「さて、東方創想話が開設されたのは第118季(2003年)の7月3日。第118季は東方ではこんなことがあった。」
・2ch同人ゲーム板で東方スレが独立(いわゆる本スレが誕生)
・東方妖々夢頒布(C64)、蓮台野夜行頒布(C65)
・第2回東方シリーズ人気投票(9月)
・第1回東方最萌トーナメント(10~11月)
・「Coolier」「ほんのひなんじょ」「東方蒐集所」「東方シリーズ板」「東方wiki」設立
・二次創作ガイドラインが設定される(04年1月)
・香霖堂連載開始(04年1月)
「妖々夢頒布の年、ってことは開設時にはまだWin版キャラは私たち紅魔郷キャラしかいなかったんですか」
「体験版は出てたから。まだ2chを中心とした匿名掲示板や個人のニュースサイトが大きな位置を占めていたころね」
「歴史長いんですねぇ……。あ、これじゃあピンと来ないという人のために
それ以外の出来事をまとめますと、SARSが流行したり、パナウェーブ騒動があったり、
スペースシャトルが空中分解したりしました。あと、年明けにはBSE騒動なんてのもありましたね」
「何のためらいもなく外の出来事を。いきなりメタ全開ね」
「そりゃもう悪魔ですから」
「そういう理由でいいのかしら」
「さて、作品紹介に入りましょう。この季の得点ベスト10はこちら!」
1.開設記念 【marvs@管理人 氏】 (作品集1:03/07/05投稿 41330P 2KB)
2.我的名字紅美鈴 【Amak 氏】 (作品集1:03/09/10投稿 17390P 15KB)
3.世界を繋ぐ糸 【Amak 氏】 (作品集1:03/09/05投稿 14220P 17KB)
4.八雲紫のスキマ日記 【ユタカ 氏】 (作品集2:03/11/16投稿 12620P 10KB)
5.ハートのジャック 【Amak 氏】 (作品集2:03/11/29投稿 12570P 22KB)
6.咲夜と手品師の秘技 【Amak 氏】 (作品集1:03/09/04投稿 10430P 5KB)
7.闇一羽~night bird~(後編) 【鷲雁 氏】 (作品集3:04/03/07投稿 10240P 23KB)
8.The boundary of a smile.――後篇 【寝。 氏】 (作品集3:04/02/04投稿 9200P 15KB)
9.博麗神社事変(そんな大層な事では) 【無線操り人形 氏】 (作品集1:03/09/07投稿 8390P 11KB)
10.博麗の巫女 【耳の人 氏】 (作品集1:03/09/15投稿 8070P 12KB)
「現存する作品数は296作、平均得点は2228点、平均サイズは7.42KB」
「平均サイズがだいぶ小さいですね」
「創想話全体の平均が22.6KBだからだいたい3分の1くらいね。当時は今よりも短い作品が主流だった様子。
8位の『The boundary of a smile』には『これもうSSの文量じゃねェよハッハー』
なんて文言があとがきにあるわ。この作品、全部で42KBしかないのに。」
「今だと普通にごろごろしてるサイズですね。時代を感じます」
「時代を感じると言えば投稿ペース。作品集3が切り替わるのに90日も掛かってる」
「歴代の作品集で一番切り替えが遅い所ですね。
今だと大体1か月で切り替わりますから、相当なスローペースです」
「『The boundary of a smile』を取り上げたので、その流れで。
さっき紹介した作品の中で注目したいのは7位と8位の作品。
作品の主要人物がオリジナルのキャラクターがなのよ」
「オリキャラですか。創想話はオリキャラに厳しいとか言われていますが。この頃からあったんですね」
「それは都市伝説。この後もオリキャラ作品はガンガン出てくるから覚悟しなさい」
「覚悟って、何の覚悟ですか……」
「そりゃ名無しキャラとしてのアイデンティティが」
「やめて!冗談でもやめて!」
「作品全体を見渡すと、紅魔郷のキャラが目立つわね」
「確かに。先ほどの10作でも妖々夢の作品は2作のみ、しかも紫さんが中心の作品でした」
「この年に限らず、新作頒布からその作品が舞台のSSが流行するまでは半年以上の間がある傾向ね。
もちろん、体験版の時点の翌日に作品ができるなんてこともあるけれど」
「なるほど。読み手としては気長に待った方がいいのですね」
「書き手としては、早いうちに開拓すれば注目される可能性が増えるということでもある。大チャンスね」
「12年前ということもあって、今だとあんまり見ない設定も多いですね」
「咲夜が吸血鬼ハンターだった、美鈴が名前を呼んでもらえない、そういう設定はこの時期にできたものよ」
「なんと。古い設定どころか、生まれたばかりの流行の二次設定だったんですね。」
「そんななか、注目したいのがこの作品」
東方昔話 『かぐや姫』 【Piko 氏】(創想話1:03/09/19投稿 4340P 14KB)
「かぐや姫というと永遠亭の方々が浮かびますが、この時期ってまだ永夜抄が生まれる前ですよね?」
「そう。輝夜も永琳も妹紅もいない時の作品。これは御伽噺の方のかぐや姫、
つまり竹取物語を博麗霊夢や霧雨魔理沙が演じている作品なの。
魔理沙が竹取の翁、霊夢がかぐや姫役で演じてるわ」
「うわ、似合わない」
「今だと逆に、東方に関係ないかぐや姫の作品でも輝夜がネタにされてしまう」
「あー、そうですね。こないだのジブリの映画の時は凄かったです。」
「だから今となってはむしろ貴重な作品ね」
「118季の話はこのくらいにして、次に移ろうかしら」
「そうですね。まだまだ先が長いですし」