冬を快適に生活したい「ふかふか道の探求者たち」は、頭を悩ませていた。
火を操る力を身につけたのは冬の寒さをしのぐため。藤原妹紅。
地上に出ないのは実は近くに灼熱地獄跡があるから。古明地さとり。
そして個性派の面々の中でなお異彩を放つ変温動物。八雲紫。
とてもとても冬が苦手なこの面々は、
寒くなると手近にあるふかふかなものに包まって寒さをしのいでいた。
ちなみに、「モフモフされる被害者の会」もあるのだが3人の知るところではない。
そんな彼女らの目下の悩み。それは。
『もしもプリズムリバーが暖房器具だったら』
道の探求者たち(読み:さんばか)はほくほくと話し合っていた。
楽団はめるめるではあっても、ふかふかでもモフモフでもないのだが、
そこは彼女らが持つ圧倒的3人でも凄いし個人個人でも魅力的だよパワーによって
探求者たちがメロメロでめるめるになったゆえであることは言うに及ばずである。
モフモフな親友やら家族やら式が逃げてしまったのでホクホクなイモに逃避してた探求者たちは、
話し合ってもらちがあかないので、解決してもらうべく、どかどかと廃洋館に突入してきたのである。
ξ・∀・) ここまであらすじ
☆★☆★☆★☆★☆
「と、言うわけでやって来ました廃洋館」
「お邪魔しますわ」
「呼んでない」
「呼んでないっ!」
「なになに、面白そうな話? いいわよね、あたたかいのって。ハッピーになれるし」
「妹紅さん、紫さん、見てください。この子すごくふかふかでぐるぐる」
「フォーメーション『三重結界』! 逃がしちゃ駄目よ!」
「この人たち、何してるの」
「さあ?」
「そこまで言うのなら聞かせてあげましょう。この陣形は、ふかふかするターゲットをふかふかするための陣形なのです」
「私の不死鳥の力と、さとりの読心の力で、相手の身体と心の両面の熱を共鳴させるのだ」
「そして私が結界を用いて、その熱を外へ逃がさない。これぞ、三人奥義『トライ・ピラミッド・コンチェルト』!」
「なんかさっき聞いたのと違う」
「なんでも良いけど、あんまりメル姉あっためないでね。でないと」
「んー、ポカポカで気持ち良いですね。これはきっとこの子の持つ気質が……え?」
「……(ガガガガガガ」
「お、おい、こいつなんかすごい勢いで震えてるというか、めっちゃ振動してるんだけど」
「あははははは! 『ヒート・ガイスト・ファンタズム!!!』」
「「「ぎゃーー!!!」」」
「あーあ、熱暴走しちゃった」
「しっかし、この子の魔力ったら本当底なしね……あの三人まとめて吹っ飛ばしちゃうのね」
「お騒がせしました」
「本当だよ」
「私は久々にはっするできて楽しかったけどね〜」
「で、要件は何なの?」
「実は、かくかくしかじかで、こういうわけなのですわ」
「はあ、私たちが暖房器具だったら、と」
「はい」
「ちょっと何言ってるのか分からないんだけど、付き合ってあげないといつまでもここに居座りそうだから考えてあげる」
「話が早くて助かるよ。あ、お芋さん食べる?」
「私は子供じゃないやい」
「あ、じゃあ私もらうから」
「私も、私もー」
☆★☆★☆★☆★☆
「じゃあ、まずはルナサさんですね」
「ルナ姉は鬼です」
「『まだイモ分けてくれない。でも自分で言ったことだし、ああもう、でも分けてくれたって』……ですか」
「ちょ、何言って」
「そう言うと思って、ちゃんと今出来立てのやつを妹紅さんに作ってもらってるから。もちろんバター付きで」
「あらあら」
「こんな感じで、いつでも私たちのこと考えてくれてて、フォローとかもしてくれるのよ」
「叱る時はちゃんと叱ってくれるし。ま、私たちが好き勝手やれるのはルナ姉のお陰ってとこねー」
「いい姉さんだねー。あ、焼きたてのお芋さん出来たよ」
「面と向かって言われると照れる」
「私のお姉ちゃんパワーだって負けてない……私のお姉ちゃんパワーだって負けてない……」
「さとりさん、どうしたのかな」
「ふむ、それでは今までの情報をまとめてこの機会に入力して……スイッチおん」
【ルナサ・プリズムリバーさんを暖房器具に例えると……『エアコン』です!】
「なにこれ」
「『タイプ別! あなたが暖房器具だったら!? 自動振り分け診断君』ですわ」
「エアコンって、どういうこと?」
「なになに……
『全体をまとめる力のあるリーダー気質のあなたは、部屋全体を温めるエアコンです。
時に冷静に、時に情熱的になるその姿は、冷房暖房自由自在のエアコンそのもの!
一人で居ると塞ぎがちなので、潤いを与えてくれる相手を見つけましょう!』
だって」
「潤い?」
「エアコンは点けっぱなしだと乾燥してしまいますから」
「姉さんの周りの湿度が・・・下がるー」
☆★☆★☆★☆★☆
「あたたかと言えば、メル姉だね」
「普段は全てを包み込む暖かさ。そして一度心に火が点けば、他人の魂をも揺さぶり動かす。まさに暖房器具の申し子」
「何かルナサさんがノッてきてる」
「火属性はライバル多いけどねー。私然り、さとりんとこの八咫烏然り」
「私の演奏はパッションよ! 心の底の底から、自然とハッピーになれる音楽なんて素敵じゃない?」
「笑顔。それはそれは純粋な心の形」
「メルランさんがパッション、となるとルナサさんはクールでリリカさんはキュートでしょうかね」
「何それ?」
「んじゃー、そろそろなんたら診断君起動してみますかね。ポチっとな」
【メルラン・プリズムリバーさんを暖房器具に例えると……『ハイブリッドヒーター』です!】
「ハイブリッドヒーター。
『ハイブリッドヒーターとは、オイルの熱を部屋に循環させるオイルヒーターと、
遠赤外線の力で人体を内部から温める遠赤パネルヒーター、両方の機能を持った暖房器具です。
身体の面を抱擁する力と、心を芯から高揚させる力。(※ 面:おも 表面のこと)
まさに、二つのあたたかさを持つあなたのような道具です!』
これはまた随分と気前のいいこと」
「はー、こんな都合良くメル姉に合うようなものがあるんだねー」
「紫さん以外は、どんな暖房器具が存在するかすら知らないですからね……我が家にはなぜかコタツはありますが」
「うちにもある」
「そういえば、説明するのを忘れてましたわ」
「全く、このコタツ妖怪は」
「今度の冬、私が演奏しに行ってあげるわ! うちのコタツとゆかりんのコタツ繋いでさ、そしたら家の中ポカポカで春までハッピーよ!」
☆★☆★☆★☆★☆
「じゃあ最後、妹さんね。リリカに合うのは」
「あんか」
「湯たんぽ」
「抱きまくら!」
「くたくたクマさんぬいぐるみ」
「どこからどう私はしばき倒せばいいんだこれ、あとさとりさんそれもはや暖房器具じゃないから」
「もう痛いのは勘弁よー」
「もう?」
「ああ、この前ねー、何か箱の中に居たから、たまには甘えたいのかなーなんて思ったからぎゅーって」
「あれは! 姉さん達が紛らわしいもの注文するから! 断じて皆が想像してるのとは!」
「……ぬくぬくだった」
「全く、美しい姉妹愛で妬ましいですわね」
「胸焼けしてきたからさっさとボタン押しちゃうよー」
「地霊殿の皆が私の家族……リクライニングシートの上で皆でモフモフ……」
【リリカ・プリズムリバーさんを暖房器具に例えると……『ホットカーペット』です!】
「読んでみましょう。
『プリズムリバー楽団を足元から支えるあなたは、足元を温めるホットカーペットのような存在です。
ホットカーペットは、他の暖房器具と併用した時に最大の効果を発揮します。
足元というのは、温める時最も効果的な場所。知らないうちに、多くの人をあたためています』
あら、なんかいい話ちっく」
「なーんか、恥ずかしいねー。にしても、全然楽団の話とかしてないのに、診断してくれるのね」
「私が心を読むまでもなく顔が赤いのですが、その点については」
「うっさい」
「河童、知ってるよね? その中でも特段腕が立つのが居てさ。カワシロってんだけど、そいつの作でね」
「ああ、そう言えば『もしその暖房に興味が出たら、私の工房に来て買っていっておくれよ』と言ってましたわ」
「うち、電気? 通ってないけど」
「コタツはあるけどね〜」
☆★☆★☆★☆★☆
「あら、もう外が大分暗くなってるわね。そろそろ帰らないといけないかしら」
「ん、そうだね。じゃあそろそろ……あ、お芋さんまだ残ってた。もし良かったら、まだ結構あるから……」
「ああ、ちょっと待って」
「どうかされましたか、ちなみにうちの妹とお燐とお空と他の皆はあげませんよ」
「じゃあ貴方ごとと、暖房。まだ見てない」
「えっ」
「そうねー、色々説明してもらったけれど、実物を見ないとピンと来ないわよね」
「そうそう、生殺しじゃないさこれじゃ。騒霊だけど。実物出せない? こう、スキマッ! って感じで」
「簡単に言うわね。夕飯前くらいには骨が折れるのよ」
「無い骨は折れない」
「軟体動物ー」
「そうだ、折角だからみんなで晩ごはん食べましょう? おいしいお芋もあることだし」
「ライブばっかだったけど、たまにはディナーショーもいいかな。姉さん達、夕飯の支度!」
「じゃあリリカは楽器の手入れと舞台のセットと夕飯が出来るまで3人の話し相手ね」
「いやいや、私たちも手伝うっていうか」
「ご相伴に呼ばれて、良いのでしょうか」
「今更何言ってるの。モフモフしてる相手とやらも今居ないんでしょ? 少し暖まっていきなって」
「それにご飯は皆で食べたほうが楽しいのよー」
「じゃあ、各々自分の持ち場らしいところに。それと、紫さんだけど」
「お酒でも調達する?」
「それと暖房。さっき言ったの、演奏の前までに」
「酒の肴?」
「いや、まあそれもあってもいいけど。ちゃんと証明しないと」
「『外部の機械より、奇怪なライブ』ってことをね」
☆★☆★ξ・∀・) エンドロール★☆★☆
出演
,-へ, , ヘ
,ヽ_,_i=/__,」
,' `ー' ヽ
i <〈」iノハル.!〉 藤原 妹紅
i L>゚ ー゚ノiゝ
i>i ir^i `T´i'i |
.i>i !>^i`''´'iイ|
i.ル'ヽr_,ィ_ァ'レ'
「ねえもこたんさ、この沢山のお芋どこから持ってきたの?」
「そりゃ畑だよ。家からちょっと離れたとこに、私の隠し畑があるんだ」
「竹の中に住んでるんだっけ。それじゃ近くには作れないね」
「翁と住んでたどっかの箱入りとは違うから。あとさっき流したけどもこたん言うな」
「じゃあ、もこもこ」
「何かすごい暖かそうね、それ」
_,..,..,_,.ィ
,:'´, -‐ヮ、ゝ
イ/ノハλノヽ〉
〈|从 ゚ - ゚ノ) 古明地 さとり
/_つ===?
ンγ *-ω-ヽ}
`^l ◎}
ゝ __ ノ
「さとりさん、料理上手ー」
「技術も凄いけど、作ってる時の笑顔が何よりのスパイスね」
「ありがとうございます」
「さっきまで私をいじってた人と同じとは思えないわ。ねえねえ、何でこんな美味しい料理作れるの?」
「食べてくれる人を想って、作っているからですよ。気持を込めて作った料理に、かなうものなんてないんですから」
「地霊殿のお姉ちゃん、強敵」
「お褒めいただき、有難うございます。……ふふ」
__,. -=- ,、
'「'_r.'´_r-、>r-、
//`Y´_>,_ノ<_ン'、
i | r'_r',!イノ)ノン,),
ヽ>,_(.ノノ!゚ ヮ゚ノ) 八雲 紫
`ー '(kOi = i)つ
,く/'n_ n>、
``´ ̄´`´
「いただきまーす、に間に合ったかしら?」
「待ったよー! あと10秒遅かったらもう食べてたよ、何持ってきたのさ」
「秘蔵のお酒」
「どこの蔵に眠っていた『秘蔵』なのやら……曰くつきじゃないことを祈ろう」
「あとは、エアコン・ハイブリッドヒーター・ホットカーペットの暖房三姉妹ですわ」
「なんか私たちカラーだわ! オーダーメイド?」
「私がやったのは、きゅうりの高速栽培かしら」
Σ>☆、
,.'- ─ `'-、
く ,. - ─'- 、!
i゙ ルノノハノノリ∩
ゝ,ゝ.゚ ヮ゚ノリ /
,iヘ) `:´i7 リリカ・プリズムリバー
\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
‖|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
「目出度い席には尾頭付き、でもこの席にはそれが無い? いやいや違うよお三方。
お芋にお酒にオムライス。どれも頭に『お』が付いて、これがホントの『おかしらつき』なんて」
「いよっ、やるねぇ」
「リリカさんって話術に堪能なんですね。イニシアチブを取れるタイプには見えなかったのに」
「二つ間違い。リリカは、主導権を取るんじゃなく、最初から握ってる。そして」
「あの子が得意なのは、話術じゃないわ」
「『術と付くものなら大抵はこなす』……にわかには信じられませんね」
「それがあの子の術(スキル)。あの見た目と言動に騙されちゃ駄目、でないと……」
『ピッ ブオオオ』(エアコンが周囲の温度感知してさとりの背中あたりに風を送り始めた音)
「ひゃっ!?」
「……完全に術中に、って言おうとしたんだけど」
「にしし、うまくいったね。さとりさんにはやられっぱなしだったから、一回リベンジしておきたかったのよねー」
(こいつ怖いもの知らずだなぁ)
「……私にその方面から向かってくるとは余程の命知らずと見えます、よろしい今すぐ沈めて」
「おっと、駄目だよお客さん」
「うろ覚えのフィットフル……何ですか。命乞いは聞きませんよ」
「最初からライブに乱入するなんてご法度だよ。ちゃんとクライマックスでね?」
「一体何を、ライブなんてまだ……こ、これは!?」
「いつの間にか、3つの暖房器具が発する音がシンクロしている!? まさか、今までのトークは……」
「ん、この時を待ってた。題して『いつのまにか幽霊楽団』」
「気に入りました、沈めるのは最後にしてあげます」
「わお優しい。終わったら大人しくお縄に付くよ……ま、私達のライブを受けて無事だった客はいないけどね!」
(あれ、私たち巻き込まれた?)
*、
,.'- ─`'-、
く ,. - ─'-、!
i゙ ルノイノハ(
ハyイ゚ ヮ゚ノイ! メルラン・プリズムリバー
).7Y)つつ
(ン/`ハ'ヘ!
`'-i'_ィ,ァ┘
「続いてはー! 私、メルラン・プリズムリバーの、トランペット・ソロよ!」
「いやあ、噂に違わぬ、心に染み入る演奏だね。3人で聞くのがもったいないくらいだ」
「私と妹紅さんは初聴ですからね……で、その紫さんは何を」
「はい、縄。使う?」
「私にそんな趣味は無いぞ」
「『他人を縛るのではなく自らを留めおくもの』……? ははあ、なるほど。私はサードアイがあるので」
「?? おおい、少しは私に分かるように」
「いっくよー! メルラン・ハッピーライブ!! 『トランペット吹きの休日返上』!!」
「……!! う、うわ、ちょ、待っ、これ、今までのは全然本気じゃ……!!」
「これが、あの子の音色。さあ、その狂騒に身を任せなさいな」
「パッパッパッパッパラララララララー♪」
「肉体が揺り動く、魂が持っていかれる、不愉快じゃない、殺り合ってる時の高揚感とも違う! 何だ、何だこれは何だ!」
「もこもこたん!」
「私は一体、私は一体、この私の奥の底の底から噴き出るこれは、どうすれば!」
(ぎゅっ)
「わお」
「『ライブ・ガイスト』。fuoco semplice……ごめんね。だいじょうぶ?」
「……うん。ああ何だか、心が高揚して、今抱きしめられ、ぽかぽかだ」
「おいも、とってもおいしかった。あなたがくれたこのハッピー、今度は私があげる番。私の笑顔を、おすそ分けする番」
「ただのぐるぐるだと思ったのにな。こんなふわっとした見た目でさ。ずるいよ」
「ねえ、もこもこもこたん」
「何だい、ふかふかお嬢さん」
「一緒にさ、踊ろうよ!」
「……ははは! 望むところだ、隠密福知山音頭を見て驚くなよ!」
「貴方はあまりあの子の音色に動かされていなかったわね。身体は縛ってたけど」
「自分の周りにだけ、ルナサさんの演奏を想起してました」
「何でもアリなのね」
「しかし危ないところでした、あと一歩で私もサードアイを外して地底流さんさ踊りを披露するところでしたね」
「ペッターさん、この子に集中して演奏聞かせてあげて」
| c
|∧
|~~~~/ 乃
|ノノル)) //
|- _-ハ/Cハ ルナサ・プリズムリバー
|⊃:) 呂~(
|/;;(.__゚_.)
|し'ノ
「本当、どんな場所でもどんな相手でも、貴方達の手にかかると騒がしくなってしまうのね」
「騒霊だから」
「『外部の機械より、奇怪なライブ』……ね。暖房要らずで羨ましいわ」
「寒くなったら、リリカ抱いて寝るからね」
「いきなり押しかけて、予定にないライブしてもらって。突然のリクエストにも動じないのね、幽霊楽団」
「予定通りよ」
「何が?」
「私達と、貴方の予定通り。最初からそのつもり、だったでしょう。だから準備も出来た」
「その根拠は」
「客商売なめてもらったら困る。あと、リスナーが私たちを訪ねてくる理由なんてあんまりない」
「種の本質を見失わない、それは高貴な魂の証」
「私には、支えてくれる妹たちが居るからね」
「あの二人にも居るのよ。だけど、心が凍ってしまう瞬間がある。それは、彼女たちが孤独と共に歩んできたから」
「だから、私たちなの」
「近くの暖房より、彼方に浮かぶ太陽。場合によってはね。また時としてコタツも捨てがたい」
「天日干しが必要ね、あと月星」
「夜の廃洋館はパンクロックね」
「目の前に湿ってるのが居ると、楽器に良くない」
「まだ締めの一杯って気分じゃないのよ」
「逃げないで」
「あの二人の心にも雨が降っていた。けど、一番泣いてたのは、貴方」
「貴方はこの楽園を覆う大気そのもの。貴方の中の雨雲は、住人の心に影を落とす」
「管理すること、それは近づけないこと。それはとても残酷な話」
「だけど、安心していい。貴方が寒くても、落ち込んでいても、そして孤独だったとしても」
「凍えているなら温める。涙が出るなら吹き飛ばす。独りで居るなら包み込む。だって私は……」
「……『エアコン』だから。ね、紫」