勇儀「どりゃ!」スパーン! アリス「……」カコッ 勇儀「うりゃあ!」スパーン! アリス「……」カコッ 勇儀「どっせえいい!!」スパーン! アリス「……」カコッ 勇儀「どりゃ……あっ」スカッ 慧音「勝負あり!11−2でアリスの勝ち!」 アリス「フッ」 勇儀「うがああ!また負けたあ!」 にとり「相変わらず姐さんはアリスには勝てないねぇ。私は手も足も出ないってのに」 美鈴「スマッシュの威力は凄いけどコースは似たとこばっかですからねぇ。    アリスさんにとってはむしろ返しやすいでしょう。回転もあんまかかってないし。」 にとり「しかしそれにしてもアリス……これでもかってほどに下がってるね。」 美鈴「まぁそれが『カットマン』の戦法ですから。後ろに下がって防御し続けて、相手のミスを誘う……    非常に防御的な戦法ですが、並の技術じゃできません。流石アリスさんってとこですね。」 にとり「まあこういうの得意そうだもんねぇアリスは……あ、おかえり〜」 勇儀「はぁ……はぁ……美鈴、後は頼んだぞ。」 美鈴「任せてください。『カットマン殺し』の実力を見せてあげましょう。」 勇儀「アリスVS美鈴、始め!」 アリス(げ、美鈴、苦手なのよね……) 美鈴「いきますよ〜?とりゃ!」 アリス(相変わらずすごいドライブ……くっ、勢いを殺しきれない!) 美鈴「今度は左!」 アリス(そんでもって左右に振ってくるし……一番やっかいよね……) 美鈴「右!」 アリス(くっ……あ、しまった、コースアウト……) にとり「すごいなぁ、さっきまで涼しい顔してたアリスが、ヘトヘトじゃないか」 慧音「カットマンは移動距離が多いからな、左右に振られりゃそりゃ疲れも溜まる。    更に美鈴のドライブはアリスのカットも打ち消して勢いも増す。    体力勝負になれば、美鈴に分が出るだろうな。」 にとり「なるへそ……『カットマン殺し』も伊達じゃないってことね。」 勇儀「勝負あり!11−7、美鈴の勝ち!」 にとり「おぉお疲れ〜、どうだった?」 アリス「はぁ……美鈴との対戦が一番疲れたわ……慧音、あとよろしく……」 慧音「よし、行ってくるか。」 にとり「大丈夫なの?」 慧音「ああ。美鈴はいい選手だが、致命的な弱点があるのさ。」 アリス「ふぅ……じゃあ行くわよ。美鈴VS慧音、試合開始!」 美鈴「さあ行きますよ!てりゃ!」 慧音(相変わらずすごいドライブだ……だが!) 美鈴「うわ!、ちょ、そこはらめぇぇえ!」 慧音(バックハンドが致命的に弱い!) 勇儀「へぇ、意外だな、美鈴にあんな弱点があったなんてね。」 にとり「まぁ美鈴が特別ってワケじゃなく、ペンってのは基本的にバックハンドが弱点なのさ。     シェイクと違って、裏返しにくいからね。」 勇儀「でも慧音はバックハンドでも問題なく打ってるじゃないか。」 にとり「慧音は別さ。『堅実さに定評のある慧音』といわれてるとかいないとか。     特に慧音のツッツキ(バックハンドでの短いカット)は地味だけど達人の域だよ。」 アリス「勝負ありね。11−5 慧音の勝ちよ。」 美鈴「あそこをつかれると弱いんですよぉ……」 勇儀「あのボールコントロールは、私らも見習うべきところがあるな。    打ち損じがほとんど無かった。」 にとり「なぁに、そういう人には打ち損じ「させる」ようなボールを打てばいいのさ。」 勇儀「お、自信まんまんじゃないか。いけるか?」 にとり「まっかせてよ。また新しいサーブを開発したんだ。試させてもらうよ。」 美鈴「それじゃあ、にとりさんVS慧音さん……始め!」 にとり「いっくよ〜……このサーブが見切れるか!」シュパパパッ 慧音「な、えーっと右回転をかけながらカット……うわぁ!」カァン にとり「ざ〜んねん!正解はフェイント2回の左斜め下回転サーブでした!」 慧音「見切れるかこんなもん!」 にとり「慧音が回転、特に横回転に弱いってのは調査済みさ!どんどん行くよ〜!」 アリス「相変わらずにとりの回転はエグいわねぇ。私でも見切れるかどうか。」 勇儀「しかもなんだ、勢いのあるボールを打ったかと思えばゆっくりとした回転のボールを打ったり……    随分と変則的な試合をするじゃないか。どんなカラクリだ?」 アリス「ああ、それはあの子のラケットよ。両面で別のラバーを使っているの。     例えば片方がボールの勢いを殺すラバー、もう片方がボールに回転をより強く与えるラバー。     それを使い分けることでトリッキーな攻めをしてるわ。堅実な卓球を好む慧音には辛いでしょうね。」 美鈴「勝負あり!11−8で、にとりさんの勝ち!」 慧音「ふぅ……やはりあいつの卓球は苦手だ。」 アリス「私も回転かける方だけど、あの子はそれ以上だものねぇ。」 勇儀「なぁに、私が仇をとってきてやるよ。」 アリス「大丈夫なの?回転に対応するにはラケットの面を合わせて……」 勇儀「そんな小細工必要ないさ。まぁ見てな。」 慧音「にとりVS勇義、始め!」 にとり「姐さん相手でも容赦しないよ〜?食らえ、河童サーブ17号(仮名)!」 勇儀「どりゃあ!!!」スパーン!! にとり「ひゅい!?い、いまのは右回転をかけながらドライブで……」 勇儀「回転?そんなの関係ないね!要は相手のコートにボールを叩きつけりゃいいんだろ?」 にとり「デタラメだああああ!!」 アリス「……確かにデタラメね。回転をパワーで押し切ってスマッシュだなんて。らしいっちゃらしいけど。」 美鈴「そうですねぇ。でも……ただ単にパワー馬鹿ってわけでもなさそうですよ    体を台につけるぐらい前に出て、それで居て相手のサーブに反応してスマッシュを返す。    反応速度は1秒も無い世界です。つまりそれだけの反射神経を持ってるってことですね。」 アリス「前に出れば出るだけ判断時間が短くなるからね。私とは正反対だわ。」 慧音「決まったな。11−3で、勇儀の勝ちだ。」 にとり「トホホ〜、あんなの無理だよぉ〜!」 美鈴「あはは、まぁあのスマッシュは私でも返せるかどうか。」 アリス「あらあら、情けないわね。しょうがない、私が行ってくるわ。」 にとり「え?あのスマッシュを返せるの?」 アリス「当然そのつもりよ。卓球はパワーじゃなくて、ブレインだってとこ見せてあげるわ。」 にとり「じゃあ……アリスVS勇儀姐さん、始め〜!」 そして最初にループ……