>>965の思考の後 レミリア(私が選択したいのはAだけれど、難しいわね。 パチュリーと美鈴は『高速道路が1000円になったから今夜はすき焼き』 とか意味不明な事を言って出て行ってしまったし… @はもっと無理ね。そもそも逃げるにしてもどこへ行けばいいの? 替えの服はここにいくらでもあるけど、外行きのは着付けが難しくて一人じゃ着れないし、 他の普段着は『すぐ零して汚すんですから』と咲夜に管理されているからここには無い。 かと言ってパジャマは…、とにかくこんな格好じゃ屋敷の外どころか自室の外にすら出れないわ) 咲夜「お嬢様、内鍵が壊れてしまったようですね。もう観念なさいましたか?」 レミリア(残念だけど…Bしか無いようね…ん、これは…そうか、フラン…!) 咲夜「それではお開けします。大人しく出てきてくださいましね」 『ガチャ』 咲夜「さあお嬢様、お遊戯のゲフぁっ!」 抵抗無く開いたクローゼットの中から、替えのベッドシーツでその身をぐるぐる巻きにしたレミリアが飛び出した。 咲夜を跳ね飛ばし、目指すはフラン。 レミリア(あの子が私の服を持っている事に望みをかけるしかない!) しかし 『ベシャッ』 レミリア「ぶへっ!」 そんな格好で全力疾走したものだから、シーツの裾を踏みつけてすっ転んでしまう。 レミリア(な、なんて無様なの、もうだめだわ。全て、終わった…) フラン「クスクスクス…お姉様、素敵な格好ね」 レミリア「フラン!? だ、大丈夫!? 咲夜に何もされてない!?」 レミリア(そうだ、咲夜は!) 咲夜「うう…お嬢様、すみません…」 レミリアに激突された胸元を押さえながら、一転して申し訳なさそうな調子で謝罪した。 レミリア「どういう事なの…」 フラン「お嬢様、どう? びっくりした?」 レミリア「フラン、まさかあなた…」 フラン「咲夜は悪くないのよ。私が頼んだの。お姉様をそこに閉じ込めるのを手伝ってって」 レミリア「なんて事を!」 フラン「本当は一日でも二日でも篭城してもらいたかったんだけど、 早々に鍵を壊してその前提を崩してしまったのは忠誠心かしら? でも、迫真の演技だったからゆるしてあげる」 レミリア「フランンンンンン!よくもだましたァァァァァ!!だましてくれたなァァァァァァァァァァァ!!!」 フラン「お姉様もそんな格好までして、随分こたえてくれたみたいだし…」 レミリア「説明しなさい! ただではすまないわよ!」 フラン「共感して欲しかったから」 レミリア「何をよ!」 フラン「咲夜に指示したのは、『フランドールは永遠に戻らない』、その一言を言ってもらう事だけ。後はアドリブよ。 …一人で、狭くて暗い場所で、いつ戻るかわからない人を待ち続ける気持ちは、どんな気分?」 レミリア「あなた何を…」 フラン「私はずっと、そうよ。あの地下室で、お姉様が来てくれるのを待ってる。でもお姉様はあんまり来てくれないから、 お姉様が出ていく時、私は何時も自分に言い聞かせてる。『お姉様はもう永遠に来ない』そうしないと、苦しくなるから」 レミリア「話をすりかえないで、それとこれとは…」 フラン「お姉様じゃない誰かがよく入ってくる。私は部屋の隅で縮こまっている。 誰が来たの? 何をしに来たの? お姉様のメイドかしら? お姉様に絶対の忠誠を誓っているのね。でも私には? 私は絶対に安全なの? 何もされないの? お姉様は私の事をよく思ってないのかもしれない。なら、お姉様に仕えるこのメイド達は…? そう、安全なのはわかったわ。でもなんで私を見ようともしないの? 話かけても顔も向けずに適当に会釈をするだけ。 お姉様は? そう、永遠に、来てくれないんだったわね。 私なんてまるで、どこにも居ないみたい。 自分が消えてしまうのよ。消えた自分は何も信じられなくなって、ドアを誰かが叩くと、たまらなく怖くなるの。 …お姉様が来てくれれば、全部溶けるの。でも、お姉様は来てくれない。永遠に」 俯いて訥々と語りながら、フランの両目からは一筋、二筋と涙がこぼれていた。 レミリア「フラン…。言いたい事は山ほどあるけど、一つだけ言わせてもらうわね」 フラン「何かしら」 レミリア「私があなたの事をよく思ってないかもしれない、そう言ったわね」 フラン「違うの?」 レミリアはフランを引き寄せ、その頭をぎゅうと抱きしめた。 フランの涙が、シーツにじわりと滲みを広げる。 レミリア「そんなわけ無い。 あなたは手のかからない妹だから。良く出来た妹だから。 でも、寂しかったのね」 フラン「いつだって、寂しかったよ…。ずっと一人は、いやだ…」 レミリア「フランのお部屋で、お遊戯の続きをしましょうか。 …これからは、毎日遊びにいくわ。お茶も一緒に飲みましょう。 あなたの事が一番大事だから。今日からそうしましょう」 フラン「うん! お姉様、私の、私の一番大好きなお姉様…!」 咲夜「イイハナシダナー」 レミリア「その前にお着替えをさせてね。さすがにあなたの部屋までこの格好は辛いわ。 それから咲夜、来週の新歓会の一発芸は手品からケツドラムに変更よろしくね」 咲夜「お嬢様、私の、私の一番大好きなお嬢様…!」 フラン「パクんな」