配役 オオカミ:ルーミア お母さんヤギ:霊夢 末っ子ヤギ:魔理沙 パン屋・粉屋:アリス 子ヤギ:チルノ、リグル、ミスティア、橙、秋静葉、秋穣子  むかし、とある神社に、巫女がいました。名前を霊夢といいます。変わった名前ですね。  この神社には七人の孤児がおり、一番お姉さんである巫女が、世話をしていました。 「チルノ! 寒いから、氷作るのやめなさい」巫女の次にお姉さんな、静葉が言いました。 「あんた以外、寒さに強くないんだから」静葉の妹である穣子も言いました。「あたいの 修行の邪魔しようって言うの!?」小さくて馬鹿な、チルノが声を張り上げます。「こ なぁぁぁあああゆきぃぃぃいいい!」「こんなところで修行する意味ないでしょ」「歌っ てないでとめないと! それに粉雪ってレベルじゃないよ!」いきなり歌いだすミスティ アを、無視して、橙がまともな事を言います。一方、リグルは、歌にツッコミをいれます。 「修行ってのはこうやるんだ」末っ子の魔理沙は、そう言うと、チルノに水をぶっかけま した。「あんたら、うるさい!」霊夢が全員を叩きのめしました。  賑やかで豪快な日々ですが、霊夢は七人の妹を、それなりにかわいがっていました。  ある日、霊夢は食事を買いに、里に行こうと思ったので、妹たちを呼び、言いました。 「いい? 私はこれから里に行ってくるわ。ルーミアには、用心しなさいよ。あいつをう ちに入れたりなんかしたら、あなたたちは食べられてしまう。あの妖怪は、黒い服を着 ているから、すぐにわかるわ」  すると、妹たちは言いました。 「それぐらい、分かってるよ。紅白の見分けぐらいつくわ」  霊夢は、(紅白?)と少し不安でしたが、里へ出かけました。   しばらくすると、トントンと、表の戸を叩く音がして、誰かが、言いました。 「あけておくれ、いい子たち。みんなに、いいものをもってきたよ」  明らかに、霊夢の言葉遣いではないので、妹たちはルーミアと気づき、声をはりあげま した。 「開けないよ! 霊夢がそんな丁寧な言葉で、呼ぶ訳がない。あんたはルーミアね!」  ルーミアは、家を離れ、オオカミと七ひきの子ヤギのお話を忘れると、神社にひきかえ し、また戸を叩いて、呼びました。 「帰ったわよ! はやく開けなさい」  でも、戸に映っている影が真っ黒だったので、妹たちは、声をはりあげました。 「開けないよ! 霊夢はそんなに黒い服を着ていない。あんたはルーミアね!」  そこで、ルーミアは人形遣いのアリスの家に行って、言いました。 「紅白の服をもらいにきたわ」  アリスは、(神社に行く気ね)と思いましたが、森の外がどうなろうと知ったこっちゃ ないので、素直に渡しました。いやはや、人間ってこんなもんですよ。  さて、ルーミアは、これで三回目の訪問になります。戸をトントンとたたき、言いまし た。 「帰ったわよ! 今日はいいお茶が入ってたわ」  妹たちは言います。 「ゆっくり待っててね!」  さて、言葉遣いも、紅白の服も、霊夢のように見えます。でも、そんなことでは引っか かりません。両腕を上げている、シルエットが、見えたからです。どうにか追い払わない と、と妹たちが引き返した時です。馬鹿なチルノが、戸を開けてしまいました! そう、 馬鹿なチルノは、ルーミアと気づかなかったのです。  チルノは、声を上げることもなく、ぺろっと、のみこまれてしまいました。  妹たちは、色んな意味でびっくりぎょうてん、どこかに隠れようとしました。静葉と穣 子はテーブルの下に、リグルは台所に、橙は廊下に、ミスティアは布団の中に、魔理沙は、 天井裏にとびこみました。  けれど、ルーミアは、かたっぱしから見つけだすと、次々にのみこんでいきました。け れど、天井裏にいる、魔理沙だけは、見つかりませんでした。暗くてよく見えなかったよ うです。  ルーミアは、お腹いっぱい食べてしまうと、ふわふわと家から飛び出し、近くの木の下 に寝転がり、そのまま眠りこみました。  すこしして、霊夢が、里から帰ってきました。まあ、霊夢の見たようすといったら!  表の戸は開けっぱなし。テーブルも、畳も、やかんもひっかりかえり、洗濯だらいは、壊 れてばらばら。ふとんは、引き裂かれています。妹たちを探しても、どこにも見つかりま せん。名前を呼んでいっても、さっぱり返事がかえってきません。でも、魔理沙の名を呼 ぶと、天井裏からクシャミが聞こえてきました。 「少し、ほこりっぽいな」  霊夢は、天井裏から魔理沙を出してやると、一部始終を話し始めました。「紅白の服を 着たルーミアが来た。十字架のシルエットが見えたから、みんなは気づいたんだがな…… チルノは馬鹿だから、開けてしまったんだ。他のみんなは食べられたぜ」そんなことより も、部屋を荒らされたのに怒った霊夢は、外に飛び出しました。すると、木の下に、ルー ミアが、寝ているではないですか!  そこで、霊夢は、魔理沙に、神社から針とお札と箒を取りにいかせて、封魔陣を放ちま した。まず、寝ているルーミアを、身動きできない状態にしたところで、ぽんぽんに膨れ たルーミアのお腹に向けて、大量の針を投げつけます。すると、お腹が裂け、無傷の妹た ちが、次々に顔をだしました! このルーミアは、はやく食べたくて食べたくて、かまず に、のみこんでしまったからです。  すさまじい早業で、妹たちを助け出した霊夢は、しかし、妹たちを助けただけでは気が すみません。霊夢は、魔理沙に言います。「ラストワード」魔理沙は声を張り上げて、宣 言しました。「ブレイジングスター!」  箒が、ルーミアに突き刺さると、魔理沙は箒から飛び降りました。そして、箒はそのま ま近くの泉まで行き、ルーミアを泉の奥深くまで、運んで行きました。そのまま、ルーミ アは、泉から出てくることはありませんでした。 「そういえば、いいお茶が手に入ったのよ。さっさと掃除して、飲みましょう」  みんなは、神社へと、帰っていきました。 http://syoumen.blog37.fc2.com/blog-entry-60.html#60より