「私のターン。ドロー！！」


魔理沙　LP1600

リグル　LP900


私の名前はリグル。幻想郷のデュエリストの一人。
今は魔理沙とデュエルの真っ最中。
ライフでは負けてるけど、現状じゃ私のほうが断然有利よ。

「魔理沙のフィールドには永続魔法が1枚。手札は今ドローした1枚だけ。
　しかもそのカードは魔法カード『蟲の知らせ』の効果で上級通常モンスターだとわかってるわ。
　次のターン、私の昆虫軍団の攻撃で魔理沙のライフポイントは0よ」

上級モンスターは生贄がないと召喚できないし、仮に召喚できたところで通常モンスターでは結果は見えている。
私の勝ちよ。

「何勘違いしているんだ」
「へ？」
「まだ私のドローフェイズは終了してないぜ！」

何を言ってるの？
ドローフェイズにドローできるカードは1枚だけ。
そのことを魔理沙が知らないはずない。

「永続魔法『凡骨の意地』の効果発動！」
「凡骨の意地？」
「こいつはドローフェイズに通常モンスターをドローしたとき追加ドローするカード。
　そして、その効果は通常モンスターをドローする限り何度でも発動できる」
「な、なんだってー！！」

「さあ、いくぜ！
　まず1枚目、ドロー…通常モンスターカード！！」
「くっ！」
「2枚目ドロー…通常モンスターカード！！」
「うぐ」

まずい、まずいわ。
デュエリストにとって手札は生命線。
手札が多ければそれだけ可能性が広がる。
このまま魔理沙が通常モンスターをドローし続けたら。
通常モンスターをドローしたら……あれ？
通常モンスター？

「よく考えたら通常モンスターをドローしても雑魚を召喚できるだけじゃない。
　焦った私が馬鹿みたいだわ」
「フッ、それは違うな」
「な、何がよ」
「おまえは『馬鹿みたい』なんじゃない。『馬鹿』だ！」
「なんだとー！」

「このカードは通常モンスターをドローしたとき追加ドローできる。
　ならどうやったらこの効果は終わる？」
「それはもちろん通常モンスター以外の…ああ！」
「そう。つまりこのカードがあるとき、最後にドローするカードは必ず通常モンスター以外のカードになると言うわけだ」

そうか魔理沙のやつ、そこまで考えて。

「ドロー！　…どうやら私の勝ちみたいだな」
「なにィ！」
「手札から『融合』発動。手札のモンスター3体を融合させる。
　召喚するモンスターは……青眼の究極竜！！」

青眼の究極竜だって！？
まさか、あの状況で。
あんな不利な状態からこんなことが起きるなんて。

「青眼の究極竜でインセクトクイーンを攻撃。アルティメットバースト！！」
「う、うわああああぁぁぁぁ！！」


リグル　LP900　→　LP0


「粉砕！　玉砕！　大喝采！！」









うぅ…負けちゃった。
家に帰ったらデッキの調節しないと。

「待て、この虫野郎！！」
「えぇ！？　ちょっと何よ」
「私が勝ったぞ。さあ言え、相棒はどこだ！？」
「ちょ、何の話よ！」
「約束だ。言え、相棒はどこだ！　どこにいる！？」
「約束って何よ！」
「言え！　相棒はどこだああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！」
「ひえぇ！！」





「やめなさいよ」
「痛っ！　おお霊夢、無事だったか」
「無事も何もここは神社よ。しかも私の目の前でデュエルを始めてたじゃない」
「ああ？　そうだっけか」
「それとそろそろその手を放しなさい。気絶してるじゃない、その子」

きゅ〜

「まあこれはその辺に置いといてだな。
　ウォーミングアップも終わったところだし。霊夢、デュエルだ！」
「また？　何度やっても私には勝てないわよ」
「それはやってみないとわからないぜ。今日のために新しいデッキを組んできたんだからな」
「でもさっき私もデュエルを見てたのよ。あんたが不利なんじゃないの？」
「このデッキの強さはこんなもんじゃない。
  リグルごときにこのデッキの力を100%引き出せると思ったら大間違いだぜ」
「まあいいんだけど。それじゃあ構えなさい」

「今日こそは勝つぜ」
「結果は同じよ。それじゃ行くわよ」



「「デュエル！！」」




今日も幻想郷は平和である。