ここ数週間、霊夢の様子がおかしい。 今まで誰に対しても大した興味がなかった。誰に対しても適当につきあっていた。 今はそれどころではない。誰にも興味を示さない。それどころか邪険にすらする。 いくら運命を操っても、いくら境界をずらしても解決する兆しすらない。 あるものは嘆き、あるものは悲しみ、皆、霊夢の元を去っていった。 たった二つの例外を除いて。 一つは唯一霊夢の愛を受けているもの。 もう一つは全てに気付いてしまったもの。 アリス「……貴女、これで本当に満足なの?後悔することになるの、わかってる?」 鈴仙「貴女には関係ないことです!私と霊夢さんのこと、邪魔しないでください!!」 アリス「…言ってもわからないか。…狂気・『夢を亡くした博霊人形』」 鈴仙「な、何これ…」 霊夢「アリス!!鈴仙に何を!」 アリス「貴女は少し黙っててちょうだい(シュルッ)」 霊夢「キャッ!?(ドサッ)」 鈴仙「霊夢さん!!この、どきなさ……え、この人形……」  「レイセン、スキヨ」  「ズットイッショニイマショウ」  「レイセンガイレバナンダッテイイワ」  「アイシテルワ、レイセン」 鈴仙「……やめて…やめてやめてやめて!!」 アリス「………」 鈴仙「酷い、こんなの酷すぎます!!(マジ泣き)」 アリス「何を言っているの?私は貴女がしている事と同じ事を再現しただけよ」 鈴仙「え…」 アリス「…まだ分からないの?貴女がしてきたのは霊夢を人形にした 身勝手なおままごとだって言ってるのよ。大切な人を人形にして、 人形に愛してもらって、満足?」 鈴仙「そんな…私は…私は…」 アリス「霊夢も霊夢よ。こんなバカなことしないで、素直になればいいじゃないの」 鈴仙「え!?」 霊夢「…何時から気付いてたの?」 アリス「二日目。お生憎、『人形』は私の専門よ」 鈴仙「そんな…絶対に解けない筈なのに…」 アリス「博霊の巫女、無重力は伊達じゃないわよ。どうせすぐ解けたどころか、 最初から効いてなかったんでしょ?」 霊夢「正解よ。悔しいけど」 鈴仙「どうして…」 霊夢「……どうすればいいかわからなかったのよ。こんな気持ち、初めてだったんだから」 アリス「(クイッ。糸により二人を引き寄せる)」 鈴仙「ヒャアッ!?」 霊夢「ちょっと!!」 アリス「口でどうにかできないんなら暫くそうしてなさい。じゃ、私はこれで。 それと霊夢、明日になったらみんなに謝っておくのよ ……今日の夕食、甘さ押さえた方がいいわね」 鈴仙「…あの、ごめんなさい。アリスさんの言うとおりです。私……」 霊夢「私だってそうよ。貴女の気持ちに、自分の気持ちに気付いてたのに…」 鈴仙「霊夢さん、それって…」 霊夢「これだけドキドキして、こんなに熱くなってるんだからいわなくても分かるでしょ!」 鈴仙「……あ、あの、もう少しこうしてても……」 霊夢「ダメよ」 鈴仙「……そうですよね」 霊夢「あーもー空気読めこの生真面目!このタイミングとシチュエーションで する事なんて一つしかないでしょ!」 鈴仙「…好きです。大好きです。霊夢さん」 霊夢「もう誰も惑わす必要も、惑わされる必要もないわ。私は永遠に貴女だけのものよ」 涙でグショグショになったお互いの顔が近付いて……