※慧音×霊夢です。甘くないです。  オリジナルとして花屋の娘が出ます。苦手な方は回避してください。  破局を含みます。付き合い始める前までです。  稚拙で勢い任せです。  それでもよろしければどうぞ。 「ごめんなさい……もう、ついていけません」 「ちょっと待って! その、急にいわれても……ねえ? 私、何か悪い事した?」  慧音が人里を巡回中、そんな言葉を聞いたのは夕暮れ時、繁華街の奥まった通路の近くを歩いているときだった。  元々このような所に人がいるはずない。妖怪であっても別に人里の中で人を襲うことはめったにないのだからこんな奥まったところに いるのは大抵何か悪巧みをしている連中だ。  だから、万が一何か起こらないようにこういうところは重点的に見回っている。  とはいえ、こんな奥まったところは内緒の密談などが行われているのだ。  たとえば、今聞いたような破局の話なども。 (ううん……不味い所に来てしまったな)  流石に朴念仁といわれている慧音でもこういう所が不味いという常識くらいきちんとわきまえている。  ばれないように回れ右、気づかなかった振りをしようとして。 「すいません……さようならっ」  その言葉とともに奥から人影が走り出てくる。  そろりそろりとばれないよう静かに歩いていた慧音は咄嗟に回避することも出来ずに顔をあわせてしまう。  それは見知った顔。少し頬を涙で濡らし、俯き加減で瞳は赤くなっている。 「お前は……花屋の……」 「っ!! 慧音様っ……すいません、失礼しますっ」 「うわっ!?」  呆然とする慧音の脇を押しのけるように駆け抜けていく。  慧音は為すすべなくよろめき、立ち尽くす。  そうして動けずにいると、奥からもう一人の影。  その影は悠然と、何事も起こっていないかのように慧音へと近づいてくる。 「……霊夢?」 「……あら? 慧音じゃない? ……覗き見かしら?」    『弱者の恋、強者の恋』 慧音×霊夢SS  どうしたんだ、なにがあった。そんな言葉よりも先に聞こえてきた言葉と二人のギャップに言葉が出せなかった。  慧音の聞いた声はまさしく恋人同士の破局の声。しかも実に典型的なものであった。  その証拠に花屋の娘さんは泣き腫らしたように目を真っ赤にして今さっき駆け抜けていったではないか。実に典型的な恋に破れた乙女 だった。  しかし、そのお相手として存在するはずの霊夢は全く動じた様子も見せず普段と全く変わらない。  退屈そうな視線、気負いのない態度、飄々とした雰囲気も何も変わらない。 「その、すまない……聞き耳を立てるつもりなんてなかったんだが」 「いいわよ。外で話してた私が悪いんだし」 「……大丈夫なのか?」 「別に、何も変わらないわよ」  そっけない物言い、冷静な言葉。その全てが微塵も失恋の衝撃を感じさせない。  慧音としては失恋なんて物をすればきっと心が粉々に打ち壊されるような衝撃を受けるのだろうと思う。  そんな慧音の想像できない行動で、博麗霊夢はそこに立っていた。  これがあの魔理沙ならどうだったろうか。きっと恋破れたことに頬を濡らしているだろう。それでも、恥ずかしくて顔を上へ向けてい るかもしれないが。 「……私が言う事でもないのだろうが……何があったんだ?」 「聞いてたんじゃないの?」 「最後のほう、だけだ」  小さくつぶやき、答える。そう、聞こえたのは最後だけ。最後の断絶の言葉、焦って引き止める言葉。  だから、詳しい経緯がわからない。そもそも、こんな事知ってるはずも無いだろうと思う。  慧音は花屋の娘さんと博麗霊夢が付き合っている事すら知らなかったのだから。   「ふうん……でも、慧音ならそこだけ聞いて理解できそうじゃない」 「……そうでも、ない。私はお前達が付き合ってた事すら知らなかったんだぞ」 「そりゃそうよ。内緒にしてたもの」 「相談もされなかった。花屋の娘さんとはよく言葉を交わすのに」 「恥ずかしかったんでしょ」  突き放すような言葉。強い、強い言葉。失恋の後など微塵も感じさせずに笑いながら紡がれる台詞。  慧音にはこれがとても無粋な事だと判っていた。そもそも、失恋した少女にそのことを根掘り葉掘り聞くなんて心無い仕打ちだと言う 事だって理解している。それでも、目の前の霊夢は気丈だったのだ。  それは純粋な好奇心かもしれない。  それは心からの心配だったのかもしれない。  それは笑っている霊夢だから聞いてもいいだろうと頭のどこかで判断したからかもしれない。  それは……頼られていると思っていた自分に相談が無かったことが悔しかったのかもしれない。  それは……少し悔しかったからかもしれない。   「それでも、だ。霊夢、お前は何事も無かったように見える。さっき聞いた感じだと……」 「私が振られた」 「……そうだ」 「ねえ? そんなに意外かしら? 振られて平然としているのって」 「私から、見ればな」 「ふふ……そうね、振られるかもって思ってはいたのよ。恋する乙女の予感ね」  慧音の言葉、心を抉る様な言葉。しかし霊夢は近所の仲良しとまるで他人の噂話をするような気楽さでその言葉に答えてきた。  それはとてもとても危ういように思える。慧音だって付き合った事は無いが淡い恋心を抱いた事はあるのだ。それが敗れた時きっと全 身を引きちぎってしまいたいほどの喪失感が来るのは想像に難くない。  だから、危ういと感じる。   「最初は楽しかったわ……私が普通の人間を好きになって、相手も好きでいてくれて。それで告白されて、付き合って……  美味しい甘味処があるんですって、二人で手を繋いで食べにいって。  氷菓子が甘くて、それ美味しそうねって一口貰って、間接キスね、って真っ赤になったりもして。  夜は星を見ながらなんでもない、そう、本当になんでもないことを話し合うの。  例えば、明日は晴れるかしら? そろそろ寒くなってきましたねって。  そっと指を絡めておでこをくっつけて笑いあうの。そして、私は神社に帰る」    それは理想だった。理想的な恋人関係。  花屋の娘を初め、普通の人が思い描く恋人の光景。  慧音もそれを聞きながら恥ずかしいような悔しいような気持ちに襲われた。  この世でラブラブの恋人が惚気話をすることほど有害な物は無い。  霊夢は冷静に、時折地面に視線を落としながら。   「ばれないように、って言い出したのは彼女からよ。  私としてはばれたって構わなかった。寧ろ、魔理沙達に恋人が出来たのって言ってやりたかったわ」    霊夢は後悔するように言葉を続ける。きっと、霊夢は祝福されたかったのだ。皆に。  そもそも、こんなに霊夢が饒舌に自分の事を話した事などあっただろうか?  慧音の知る限り、宴会でも見かけたことは無い。それだけ、聞いて欲しいのだろう、そう思い自分の中で荒れ狂う何かを押さえ込み、 耳を傾けた。 「彼女は癒しだったのかもね……今思えば。傍に居て欲しいって思ってた。  ほら? 私の周りいろいろと変わってるから。普通にそこにある花がとても美しく見えたのよ。  皆自分勝手で、私も人の事いえないんだけどさ。自分の意思を貫き通すでしょ。  それは楽しいけれど、だから、安らぎを求めたのかしら?  ……今になってみると、よくわからないわ」    恋とはそういうものだ。切っ掛けなんていくらでも存在する。要はそれで心に住み着いた物を愛しいと思えると言う事。  それしか考えられなくなる。昔から恋は盲目、よく言ったものだ。  だから、それは真面目なほど、真剣なほど後々に空虚のみが残る。長い間、それだけだったから。   「……振られて、冷静になっているからだろう」 「そうね……でも、あの時は確かに好きだった。考えたのよ? 神社で彼女が出迎えてくれて、私は妖怪退治をする生活を」 「……理想的な関係、だな」 「私は、子供だった。魔理沙みたいにストレートに恋心をぶつけられないし、咲夜みたいに忠実に黙しきれもしない」 「普通、そうなのだろうさ」 「それに、別に言わなくても伝わってると思ってた。愛してるって。  心の中で思い続け、手を結べば良いんだって思ってた。  これが魔理沙なら幾重にも言葉を重ねて紡ぐんでしょうね……  これが咲夜なら献身的な態度で思いを伝えられるんでしょうね……  でも、私はどちらも出来なかった。  会いに行くのだって妖怪退治のついで、買い物のついで。  彼女が私に好きだって言ってくれて、初めて好きだって言えた。私からなんて言えない。  傍に居てもお茶を飲む事しか出来ず、それだけで幸せだった。彼女は抱きしめて欲しかったのかもしれないのに!」    感情が、漏れ出す。  霊夢の心が、思い出とともに、後悔とともに慧音の前へとさらされる。  それは実に意外なことだった。慧音はもっと霊夢はしっかりしていると思っていた。恋の一つや二つ、軽くこなしてしまいそうだった。  それだけに、慧音は驚きを禁じえない。恋に失敗しうちひしがれる霊夢が居る事を。  普段は飄々と何者の助けも要らないとして一人で解決する霊夢が。   「……予感がしたのは最近、かしら。急によそよそしくなった。他に好きな人でも出来たのかって思った。  けれど、すぐに違うと思った。だって、予感がしたの。何かで決定的に私たちの道が途切れたんだって」    弱弱しい言葉、いつもは微笑んでいる霊夢の顔はこれまでに無く弱気に染まり、しかし涙は流すまいとこらえて振るえ。  言いようもない感情、慧音の心を染め上げる思い。霊夢はこんなにも弱かったのだ。   「そして、それはどうしようもない物だと思った。そして、その通りだったわ。これが、顛末よ」 「……その、すまない……」 「いいのよ。聞いてもらえて、少しすっきりしたし。だから、明日からはまたいつもの私に戻れるわ」  それは、駄目だ。  慧音は僅かに涙を蓄えた瞳で笑う霊夢に何か言葉をかけようとして、しかしその手を引いた。  何を言えばいいのか、判らないのだ。  だから、大丈夫とだけ言って神社に帰る霊夢を見送るしか出来なかった。       ◆■◆  あれは、弱った娘だった。博麗だのなんだの、色々言われているし少し悠然とした様子で大妖怪を受け止める。  そんな所があるから気がつかなかったが、色々傷ついているのだ。  ならば、何故私は手を差し伸べなかったのだろうか。  決まっている、それは強いからだ。どこか神格化していたのかもしれない。強い巫女よりも、弱い人々を守るべきだと考えた。  だから、慧音は人間であるはずの霊夢を放任していたのだ。  けれど、それは間違っていたのかもしれない。霊夢は失恋したら泣くのだ。普通の少女のように。  そして霊夢はこれまでと変わらなくなる、と言った。すぐにそれは無かったかのように、自然に戻るのだろう。  それだけはさせてはならない。      慧音が花屋の娘に呼び出されたのは霊夢が去ってすぐ後だった。       ◆■◆  会う場所は町外れ、先ほど二人が別れの言葉を交わした場所だ。  慧音は約束よりも早くここに訪れ、少し落ち着かないようにしながら待った。  花屋の娘は結局やや遅れてやってきた。   「すいません、お呼びだてして……」 「いや、構わない……それで、なんのようだ?」 「身勝手なお願いを、しようと思いました」 「……」 「慧音様、霊夢さんを守ってあげてください」  慧音は驚いたような顔をしてその言葉を聴いていた。  慧音にしてみれば、振った側が元恋人の心配をするとは思えなかったからだ。   「意味を、理解しかねる」 「……あの人、弱いんです」 「……」 「きっと、普通に恋をしたことなんて無いんです。臆病なんじゃないか、そう思います」 「なら、付き合って守ってやればよかったじゃないか」  自然、剣呑な言葉遣いになる。慧音にしてみれば初めに霊夢の言葉を聞いていたのだ。もし付き合い続ければ幸せに慣れただろうと思 ってしまうのも無理は無い。  そもそも、振ったくせに身勝手な。真面目な慧音にはそれが不義に思えて仕方が無い。  私だったら、一度抱きしめたら絶対に離しはしないのに。   「それは……」 「お前が、霊夢を振ったんじゃないか……霊夢は、何か悪い事をしたのか?」 「いいえ、いいえ……していません、理想的な人でした」 「ならば、ならば何故!?」 「……」 「お前が別に好きな人物が出来た、とかでは無いと言っていた。霊夢は、実に幸せそうに思い出を話してくれたんだ!」  答えは返ってこない。ただただ、慧音の感情に任せた無秩序な言葉を受け止めていた。  慧音の心は纏まらない。ずっと信頼していた巫女の、あれほど弱ったところを見たからだろうか。   「……何か、困った事があったら相談してくれれば良かった! そうすれば、霊夢は、あの思い出の歴史を続けられただろう……」 「ええ、ですが……相談しても、どうしようもない事なんです」 「……どういう、事だ?」 「私は、普通の人間なんです。妖怪退治なんか出来ない、人間なんですっ!」  悲痛な叫び。けれど慧音は眉一つ動かさない。   「そうだ。だが、それを、霊夢は愛していた。安らぎだと、言っていたんだっ……」 「でも、霊夢さんは普通じゃ、無いんですっ……」 「霊夢は、人間だ!」 「普通ならっ! そばに、あんなに……あんなに、妖怪が居て、平気なはず無いじゃないですか」 「!!」  それは悩み、普通の人間ゆえの、悩み。  妖怪退治をする博麗の巫女の霊夢には、ワーハクタクであり、妖怪と戦える慧音には決してわからない悩み。   「……あの人、人間なのに、勘が鋭くて、妖怪を退治して。私には遠い存在だった……」 「妖怪退治を生業にしているものだって、人里には居るじゃないか」 「でも! あんな恐ろしい吸血鬼や亡霊を傍において、笑って話したり出来ません!」 「それはっ……」 「恐ろしい、恐ろしいんです。襲われると言う事ではなく、純粋に恐ろしい」  吸血鬼は契約で人間を襲わない。亡霊も、むやみやたらに人を死には誘わない。  しかし、そう解っているから恐れないですむ者がどれだけ居るだろうか?  花屋の娘の彼女は、妖怪を恐れた。それらは人が虫を殺すように人を殺せる力がある。それは、恐怖だ。   「理性ではなく、本能で危険だと思う、震えるんですよっ、人里の外で平気そうに話している霊夢さんにも……」 「……ちゃんとしていれば、むやみに襲われない、怖くは無い」 「妖怪に襲われた事が、あります。何とか逃げ切れたけれど、普通の人間が敵う物では、ありませんでした……」 「……」 「だから、傍にはいられなくなったんです」  こういうとき、持つ物は持たざる物にかける言葉は無い。慧音もくすぶるような、悔しさのみを抱き声は出せずにいた。   「……慧音様は、戦う力がおありですし、優しいです。ですから、私たちだけでなく霊夢さんも、守ってあげて欲しいのです」 「随分、身勝手だな」 「はい、承知しています……気が向けば、で良いんです」 「……承知した」 「ありがとうございます、では……」  こうして、花屋の娘は去っていった。どうしようもない感情を慧音にぶつけ、どこか憑き物の落ちたような顔で。       ◆■◆  翌朝、慧音は博麗神社を訪れた。  顔は無表情、昨日の出来事が尾を引いているのだ。  律儀に玄関の戸を叩き、中からの返事を待つ。  一体どうするべきなのだろうか、慧音は渦巻く感情を持て余していたのだ。    やがて、中の気配が近づいてくる。  博麗霊夢だ。   「はいはい、あら? 慧音じゃない。珍しいわね、どうしたの?」  昨日の事など無かったかのような態度、瞳にやや泣いたような後があるくらいで、他には何も変わらない。  霊夢は固まったまま自分を見つめる慧音に苦笑し、中に入るように促した。  慧音がゆっくりと続く。   「人の顔を見るなり固まって、どうしたのよ? それに、朝っぱらから来るなんて、珍しいわね」 「いや、その……だな」 「なによ。なにか、お祭りでもあったかしら?」 「違う、しかし、あの、だな」  もどかしく言葉を切る慧音。霊夢は憮然とした表情で不振な訪問者を見つめ。   「はっきりとしなさい。いつもはっきり物言うくせに、今日はどうしたっていうの」 「昨日の、ことなんだが……」 「……ああ」  少し、霊夢の顔が歪む。その僅かな表情の変化は慧音にとってはありがたいことだった。  こうしてくる事が、無駄ではないという事だったから。平然としていても、傷ついたままだという事が解ったから。   「もう、終わった事よ?」 「それでも、霊夢……お前は傷ついている。ほっておけるものか」 「……お節介よね? 人里のほうを守りなさいよ。そっちのほうが楽できるんだから」 「私はっ! ……傷ついたお前を見て、思ったんだ。守ってやりたいと」 「何それ? 同情?」 「……そうなのかもしれない。今まで、お前は傷つく事が無いと思っていた」 「そういうのはいらないわ」  霊夢が背を向ける。  薄暗く冷えた廊下で、慧音は纏まらない心のうちを伝えるため、近づいた。  今までは強く見えた背中が、やけに小さい。   「しかし、だ。お前は、きっと臆病になる」 「ならない」 「普通の人間と恋が出来なくなる」 「ひどく確定的ね」 「気づいて、いるんだろう? 何が破局を呼んだのか」 「……」 「かといって、妖怪とは恋が出来ないと考えている」 「……」 「そして、意外だったのはお前は傍にいてくれることを望んでいた」 「……だから?」  そっと手が回された。霊夢よりも身長のある、大人の手が。  後ろから優しく抱きしめられたのだ。   「……だから、そう、そうだ。私と、付き合ってみないか?」 「唐突ね」 「満月以外は人間だし、人里にもかかわりがある。それに、傍にいてやることも出来る」 「お買い得商品ね」 「今なら、大安売りだ。それに、悩みを聞いたりするのは、これでも得意だからな」 「……昨日みたいに?」 「幾らでも聞いてやるさ」 「……まだ、慧音を愛せるか自信がないわ」 「私もだ」 「なによ、それ……」  霊夢が腕を解き、正面から抱きつく。顔は俯き表情は見せない。  そんな強がりがとても霊夢らしくて、慧音の顔が自然と綻ぶ。  霊夢の手が背中に回され、密着する。  慧音はそんな好意にこたえるように背中に手を回した。   「これは、切っ掛けなんだ。新しい思い出の。自身はある、元々お前の事は好意的に見ていたんだ。妖怪退治も面倒くさそうでも引き受 けてくれるからな」 「私は、口やかましいし、お節介で頼んでもいないのに世話を焼いてくれる慧音の事、嫌いじゃないわ……」 「ありがとう。そして、これからもよろしく頼む」 「ええ、此方こそ、よろしくね」  これは義務感から来る始まりなのかもしれない。  けれど、始まりなんてそのような物だ。  恋は些細な事が切っ掛けで始まり、燃え上がるのだ。  だから、二人はお互いに力を込め、もっともっとと肌を寄せ合うのだ。  温もりを、愛情を求めて。                                ――終わり―― 《あとがき》  慧音と霊夢って、自由奔放な霊夢に苦労性の慧音。あれ? いいんじゃない?  そう思って書いた。  反省はしているが後悔はしていない。