魔法の森。 魔理沙の住んでいる霧雨亭はこの薄暗い森の中にある。 至る所から瘴気が発生しており、普通の人間は滅多に近づくことは無い。 その為、この辺一帯には様々な妖怪が跋扈している。 しかしながら、時折物好きな人間がこの辺に家を構えたりする。 余程の命知らずか、それとも自分に相当自信のある者。 魔理沙は・・恐らくその両方だろう。 三人は魔法の森の入り口に店を構える「香霖堂」の店主、森近霖之助から 大きめの籠を借りる。 店を出る際、霖之助に「大丈夫だと思うけど、一応気を付けて」 と言われたが、三人は特に気に留めなかった。 それもそのはず。 博麗神社の巫女は幻想郷の結界を維持する為に必要な人物である為、 妖怪が彼女を倒してはいけない事になっているのだ。 香霖堂を後にし、キノコを狩る為、三人は魔法の森の奥深くを目指すのだった。 「よし、ここらで良いかな?」 どうやら魔理沙はキノコに精通しているらしく、キノコが採れそうな場所に おおよその検討を付け、空から森へ一気に急降下していく。 霊夢と鈴仙もそれに倣い、森へと降りて行った。 「さて、んじゃこれからキノコを採るわけだが・・」 魔理沙はここぞとばかりに仕切る。 魔理沙にとって、瘴気渦巻く魔法の森は自分の庭も同然。 霊夢と鈴仙にもそれが分かっているらしく、彼女の言葉に耳を傾ける。 「とりあえずは三人で固まって探そうと思うんだが。 霊夢の側にいれば危険は無いと思うし、鈴仙はこの森初めてだろ?」 ・・まぁ、妥当なところだ。 霊夢も香霖堂のある魔法の森の入口までは足を運んだことはあるが、 ここまで来たことは無いので地理には疎い。 と、ここで魔理沙は急に声を潜めて 「・・なぁ、霊夢。気付いてるか?」 対して、霊夢も耳打ちするような感じで魔理沙に話しかける。 「えぇ、なんか陰鬱でジメジメした視線が背後から・・多分アイツね」 霊夢の言う通り、背後には一つの人影が。 その人影は木の陰に隠れて、恨みがましい視線をこちらに向けいている。 金色の髪、見た目だけは賑やかな服装をしている。 魔理沙と同じく魔法の森に家を持つ七色の人形遣い。 アリス・マーガトロイド、それが彼女の呼び名である。 アリスは木の陰から姿を現すと、怒気を孕ませた声で、 「魔理沙、なんで・・なんで私を誘ってくれなかったのっ!?」 と叫ぶ。 三人は唖然とする事しかできない。 霊夢は魔理沙に軽く肘打ちをする。 魔理沙は困った顔をして、 「あー、いや、これからキノコを採ろうと思うんだがアリスもどうだ?」 とりあえず誘ってみた。 なんか科白が棒読みだったかもしれないが。 「安い同情なんて要らないわ!」 アリスは激昂して突き返す。 (どうしよう、断られた。全くこれだからアリスは・・) 霊夢と魔理沙は心の中で愚痴をこぼす。 一方、隣の鈴仙は今の状況が理解出来ていないのか、先程から思考が停止したままだ。 「もういいわよ!キノコでも何でも勝手に取ってればっ!?」 何故かアリスがキレた。 「いえ、言われなくてもそのつもりなんだけど・・」 ここで鈴仙が初めて口を開くが・・ 「・・ふんっ!」 そこにいる鈴仙の姿が気に入らなかったのか、アリスは更に怒気を膨らませ ・・そのまま踵を返して去って行ってしまった。 「・・何よ、アレ?」と、鈴仙。 「私に聞くなよ」と、魔理沙。 「今晩辺り、うちの神社に五寸釘でも打ち込みそうね」と、霊夢。 「まぁ、・・とりあえずキノコを探そうぜ?このままだと日が暮れちまう」 魔理沙が何事もなかったように適当にまとめた。 ようやくキノコ狩りが始まろうとしている。 (続く) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー まとめられなかった・・。 前後編で完結させるつもりでしたが、まさかの3部構成に。 ちょっとダラダラ書きすぎました。 心なしかアリスの扱いが酷いような気がしますが、そんなことは無いです。 これは「愛」です。 次回(後編)はちょっとしたバトルを入れてみたいと思います。 こんな拙い文章を読んでいただいた皆様、ありがとうございます。 感想等ございましたら、下記ブログのメールフォームよりお願いします。 http://rutikakkonise.blog122.fc2.com/