「キノコ狩りに行こうぜ。」 魔理沙は博麗神社の境内でのんびりとお茶を嗜んでる霊夢に詰め寄った。 「いやよ、面倒臭い。アリスとでも行けば?」 霊夢は手を横に振りながら気だるげにそう答えた。 季節は秋。 食べ物が美味しい季節である。 魔理沙の家、霧雨亭は森の奥地にあり、キノコを採るには 絶好のスポットなのだ。 「いや、アリスはちょっとな・・それこそ面倒な事になりそうだぜ」 魔理沙はそう言うと肩をすくめる。 霊夢は、はぁっと溜息をついて、 「まぁ、それもそうね。でもね、私もこんな真昼間から神社を空けるわけには いかないし、キノコを採るにしても食べれるかどうか判別できる人が必要でしょう? やっぱり無理よ。」 「あぁ、その点は問題ないぜ。・・っと、やっと来たみたいだぜ」 と、魔理沙は神社の階段の方を振り返る。 霊夢も魔理沙に倣って階段の方を見てみるとそこには二つの人影が。 一つは特徴的な兎の耳、そしてもう一つは長身でナースキャップらしきものを被っている。 「えーと、あれは確か永遠亭の・・」 「そう、うどんげと八意先生だ。こんなこともあろうかと呼んでおいて正解だったぜ」 魔理沙は続けて、 「先生には神社の留守番とキノコの判別。うどんげには肉体労働を頼んでおいた。 これで問題ないだろ?」 と、自分の根回しの良さを誇るかのように霊夢に告げる。 「こんにちは二人とも、今日もいい妖気ね?」 月の頭脳・八意永琳は軽く手を上げ、境内に近づいてくる。 その隣の兎耳を生やした娘・鈴仙(本名は鈴仙・優曇華院・イナバと言い、 ここ幻想郷では「うどんげ」という名前が定着しつつある・・らしい)は、 「ほら、さっさと行ってさっさと帰るわよ。姫の夕食の準備もあるから 日が暮れる頃には戻らないと」 魔理沙は腰を上げ 「よし、んじゃ行こうぜ、霊夢」 と立ち上がり、霊夢の背中を押すが、 「あー、うん、でもやっぱり面倒臭いわね。力仕事ってどうも私の性に合わないわ。 この際だから魔理沙とうどんげの二人で行ってきたら?私は先生と留守番してるから」 やはり霊夢は乗り気ではない。 考えてみれば霊夢が妖怪退治以外で神社を空けているところを 魔理沙はあまり見たことが無かった。 基本的に出不精なのだ。 「んー、困ったぜー。」 魔理沙は首を捻り何か口実になりそうな事を考えたが、今の状態の霊夢を誘うのは 至難の業だった。 「・・あー、困ったぜー。」 魔理沙は、今度は反対側に首を捻り先程と同じ言葉を繰り返す。 それを何気なく見ていた永琳は、何か妙案でも思い付いたのか手を一回叩き、 「あ、そうそう、食べられないキノコは私が買い取るわ。薬の開発の役に立つ物が あるかもしれないし。・・勿論レア物なら高額でね。もし役に立たなくても 毒に耐性のある私なら食べても全然問題ないし。」 と一言、独り言のように呟く。 これを聞いた霊夢は、 「ほら、ボサッとしてないでさっさと行くわよ!魔理沙!うどんげ!!」 信じられないほどの変わり身の早さである。 「・・現金だぜ」 「・・現金よね」 「・・現金ね」 三者三様という諺があるが、この時だけは気持の良いほどに意見が一致した。 (続く) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後編へ続きます。 まだ途中ですが、キリが良いので一旦ここで区切らせていただきます。 読んでいただきありがとうございました。 感想等ございましたら、下記ブログのメールフォームよりお願いします。 http://rutikakkonise.blog122.fc2.com/