生唾を飲み込む。  天狗犬走椛、一生にあるかないかの大チャンス。  目に映るのは、下着一枚で横たわる文さまの体。  肌は白玉のように白くお美しい。  「……椛? どうしたんですか?」  「いえ……なんでもありません……なんでも……」  この姿を脳内に焼き付けろ。一生の宝として脳内射命丸アルバムに大切に保管するのだ。  ……いや、それだけではない。  私はこれから、白磁の陶器すら思わせるこの肌に触れることを許されるのだ。  「……それでは、失礼いたします」  事の発端は、文さまがふと漏らした、「腰が痛い、肩が凝った」の一言。  ここしばらくは、新聞を書くために椅子に座りっぱなしなのだろう。  それではこうもなる。  そこでふと言った一言。  「マッサージなんてどうですか?」  私としては、その後に、紅魔の門番か永遠亭の薬師など、良い整体法を知っていそうですが。と続けるつもりだったのに。  「マッサージ? 椛がやってくれるんですか?」  と、期待を込めた目で見てくるから。  「ええもちろんバッチシっすよ任せてくださいよォ!!」  ノリで。というか文さまの体に触れることを想像したら。  ついうっかり承諾してしまったというか。  頭にいろいろ昇ってテンションはヤツメウナギのぼり。  最後に、このたくましマッスル様によォ! とつけなかったのがせめてもの理性だった。  行きすぎて、体育座りで文さまの後ろをつけ回さないようにせねばなるまい。  そんなことはどうでもいい。  腰である。  正確には文さまの腰である。  その、文さまのしっとりと湿った肌に手を当てている。  ……これだけでたまらん。  椛、この感触一生忘却いたしません!  この両手のひらを握ったまま体を洗います! 手のひらだけはどうがんばっても洗いません!!  そこに体重をかけると、文さまの体がのけ反る。  「ああ〜、イイですイイです椛、そこすごくイイです、キテます」  キテるのはこっちの方だ。  ていうか氷精は毎回この体に抱きついたりすりすりしてたのか。うらやまけしからうらやましい。  私が今どこに手を当てていると思っているんですか。  腰ですよ? 腰。 KO☆SHI!  そこから10センチも下に行ってみなさい。  プロデューサーさん! 臀部ですよ。臀部!!  日本語で言うとお尻ですよ!?  ぶっちゃけ腰を揉んでる最中ですが、目はお尻に釘付けです。  ごっすんごっすんごすんくぎ。いやアリスはどうでもいい。  文さまが仰け反る度に!!  お尻も良い感じに反り上がって!  これ以上私をどうするつもりですかこの鴉さまは!    ……触りたい……。  目の前で揺れ動くこの桃を思い切りなで回したい……。  いやむしろもうかぶりつきたい!!  この尻を見て、この衝動に駆られぬものは生きている価値がない!  衝動に駆られたものは私が全部始末するからそもそも生きていない!!  つまりもうみんな死んでしまえ!    そんな私の心も知らずこの鴉さまは、イイですもみじー! もっと強くー!! 血行が、血行がどんどん良くなってー!  とか。  私はこんなにも好きなのにこの人は全く……。  うひひもう知らない、我慢の限界だ!!  この欲望のままぶちまけるものをぶちまけてやる、手始めは私のブラッドだ!  そうして私は鼻血をぶちまけつつ文さまのお尻に顔を埋めて頬ずりし、文さまのぅひゃーと言う悲鳴が聞こえてああイイ声で鳴きますね文さまと思い――。  省略されました。続きを見たい場合はれいさな万歳れいさな万歳と書き込んでしまうとワナです。  一生見られなくなります。