解答編 「すみません、分かりませんでした・・」 「ぇぁ?何の事?」 「何って、ほらこの間の紅魔館での事件ですよ」 「ん・・あーそんな事もあったわね。すっかり忘れてたわ」 「忘れないでくださいよ・・・」 「それにしても2週間?かしら、ずいぶん悩んだ挙句分からないとは全く・・主人の顔が見てみたいわ」 「つ[鏡]」 「あら美人さんね」 「・・・」 「・・・」 「で、紫様。この事件の犯人は誰なんですか?」 「だから自力で見つけなさい。それでも分からないって言うなら「自殺」って小兎姫に書類出しとくわ」 「んー・・じゃあヒント下さい。ヒント」 「しょうがないわね。どうしてこんなポンコツを式にしたのかしら・・はぁ・・」 「ワクワク」 「重要なポイントは死因ね」 「死因・・・ナイフですか?」 「そうね、ナイフ。彼女はそれに刺され、出血多量で死んだ」 「ナイフの持ち主が犯人ですか?」 「いいえ、紅魔館には膨大な量のナイフがあるから、特定するのは無理ね。それに多分アレは咲夜自身の物よ」 「なぜ分かるんです?」 「ただの推測よ。さて死因について他に気付く事は?」 「ナイフ・・・そうか、一度頭部に攻撃をしているにも拘らず犯人はナイフで刺しているんだ」 「そうそう。どうしてそうなったのか考えてみなさい」 「んー・・・・」 「・・・」 「んー・・・」 「ああ、わかったわかった。あなたの頭の悪さは良く分かったわ」 「んー・・」 「いい?容疑者の中で咲夜を倒せるほどの打撃ができるのは誰かしら?」 「んー・・あ、美鈴ですか」 「そう、インドアな小悪魔とレミリアを除くと武闘派な美鈴ただ一人が残るわね」 「だけどそれなら彼女の攻撃をもう数回加えれば致命傷となったはず・・だけど」 「そう彼女は現場を後にしている」 「考えられる理由は・・殺すつもりは無かった。ですか?」 「そうね、多分彼女は能力で時を止められて背後にきっと回られると思ったのかしらね」 「そうすると彼女は犯人から除外されますね。傷害には変わりないですが」 「残った容疑者は2人ね」 「小悪魔説は先に否定されてますから、犯人はレミリアですか?」 「そんな理由で犯人を決めないで。小悪魔はどうして犯人といえない考えてみましょうか」 「彼女が嘘をつくメリットが無い。ですかね」 「そう、もし彼女が犯人なら咲夜が絶対ドアの方まで移動すると知って無くてはいけない」 「え?どうしてですか?」 「よく考えて見なさい。彼女は開かなかったと証言してるわ」 「あ、そうか。結果的にあの部屋を密室にするつもりだった。しかし咲夜自身が自分の意思で扉を閉めるというのは不確定的ですね」 「もしそれがアクシデントだとしたら密室を作りに来たときに咲夜を動かしてでも現状を確認すると思うわね」 「扉から押しても開かない、中に誰か居るかもしれない。窓から見たら咲夜が扉を押している。もしかしたらまだ生きているかもしれない」 「密室を作るほどの冷静さがあるのであれば。この状況はまずいわね。一撃で殺せなかったのでも誤算なのに、動くなんて・・」 「ダイイングメッセージもあるかもしれないですしね」 「そう、だから小悪魔が犯人の可能性は低い」 「それでレミリアが犯人・・・」 「そういうことね」 「け、けど。小悪魔の証言が本当ならなぜ扉が開かなかったのですか?」 「じゃあ、ヒントをあげましょうか。懐中時計と落雷の時間」 「懐中時計って・・7分進んだ・・あの時計ですか?」 「そうよ。なんで時間に拘る咲夜が進んだ時計を持っていたのか」 「んー・・・・あ。もしかして」 「なにかしら」 「時を止めたんですか?・・瀕死の中で」 「そう。そのタイミングは恐らく落雷時」 「咲夜は落雷の時、窓際に居た。そしてその窓のそばに居たのは・・・・」 「小悪魔と別れ、待っていたレミリア」 「落雷の光はレミリアのシルエットを窓に映し、咲夜はそれを恐れ能力で逃げようとした」 「咲夜時間で7分、彼女は扉へ手を掛けたところで息絶えた、時計の時間を直す暇も無くね」 「レミリアは29分から31分までアリバイが無いですね」 「3分もあれば窓から入って殴られて倒れている咲夜にナイフを刺すなんて容易な事」 「確か窓の施錠確認をしたのはレミリアでした・・ですが紫様。なぜ現場は窓が開いていたんですか?」 「さぁてね」 「さぁてね。って紫様そんな事で良いんですか?」 「厄介なのよ、『運命を操る程度の能力』というのはね。すべての事象を彼女の掌の上で動かす事もできるから」 「じゃあ彼女が犯人とは断定できないと・・」 「ええ、だけどこれだけは言えるわ。『咲夜は落雷時にレミリアを見て逃げ出した』と」 「じゃあどうすればいいんですか」 「まぁ、自殺という事で小兎姫に出すための書類作るわ」 「・・・それにしても、なぜレミリアは咲夜を・・」 「そこら辺は事情聴取してないからなんとも言えないからね・・ただ、そうね」 「?」 「咲夜が写真で美鈴を強請っていたとして、そんな部下が許せなかったのかもね」 「レミリアは部下思いなんですね(ジー」 「何見てるの。咲夜の死体を発見したメイドはすぐレミリアに報告したわね。それだけ上司を信頼してる、信頼されてるってことよ」 「はぁ・・いい職場ですね・・」 「もしくはレミリアは体と同じで『小さい奴』だったのか」 「どういうことですか?」 「小人閑居して不善をなす。ただの暇つぶしかもね」 「・・・・」 「さて、今日は午後から暇だったわね・・・何しましょうか。ふふふ」 「あ、午後は橙との約束が──」 「大丈夫よ、私は大物なんだから。そんな事はしないわよ、ただ・・」 「ただ?」 「そういえば1ヶ月程前、あまりにも暇だったから紅魔館にカメラを置いたのよ。ふふ」 「・・・・」 @723