ここは幻想郷。今日も平和・・・なはずだった。 咲夜:なんでチルノなんかに負けなければならないのよ〜?こんな運命はいやよ〜。 蝙蝠:それは運命じゃなくて宿命だと思うわ。だって私は宿命は変えられないのよ。 咲夜:そうですか。お嬢様・・・ 咲夜はこのごろ連敗続きである。やることがないので、博霊神社に向かっていた。 咲夜:あ、あいつは・・・ 咲夜は橙を発見した。連敗脱出のため、咲夜は橙に勝負を挑むことにした。 咲夜:橙、私と勝負しなさい。 化猫:と、突然何を言うの・・・ 咲夜:早速いくわよ。”殺人ドール!” 化猫:そんな攻撃私には通用しない。”飛翔毘沙門天!!” 咲夜:な、なにい、私の攻撃が通用しないなんて・・・ 化猫:トドメだ!!”護法天童乱舞!!” 咲夜:く、くそう・・・負けた。 咲夜は痛恨の10連敗をしてしまった。 咲夜は紅魔館に帰った。 咲夜:お嬢様、橙にケンカを売られましたわ。 蝙蝠:どういう状況でそうなったのかしら? 咲夜:私が博霊神社に向かっている途中で、奴が突然攻撃してきたんですよ。 蝙蝠:それはひどい話ね。復讐してやらなくちゃ。 咲夜:・・・。そうね。 そこにパチュリーが現れた。 魔女:今の話、聞かせてもらいました。私にいい案があります。 蝙蝠:何をするのかしら? 魔女:”自動車レース”よ。題して、”幻想郷ダートダッシュ!!” 咲夜:それはいい案ね。早速この挑戦状を上白沢学校に郵送しましょう。 次の日、上白沢学校にこの挑戦状が届いた。 烏文:新聞で〜す。あと、この紙も。 慧音:なんだろう、この手紙は?ん、パチュリーからの挑戦状だ。    ”車レースを開くから、そっちのほうで1人出場させろ”だって。    ”オペレーターを2人付け、スペルカードは使わないこと。コースは後日発表する”と書いてある。 妹紅:車を運転できる奴なんて、この学校には居ないはずよ。 慧音:あ、よく見たら咲夜のメッセージが書いてある。”橙、覚えてろよ”だって。 化猫:そういえば昨日咲夜にケンカを売られました。 慧音:それにしても、この学校で車を運転できる奴なんかいるのか? 氷精:はい、できます。 妹紅:ああ、よかった。チルノ、お願いしてもいい? 慧音:勝手に話を進めるな。だいたいにして、誰がオペレーターをやればいい?    まさか、私にやれっていうんじゃないだろうな!? 妹紅:私がやればいいんじゃないの? 慧音:妹紅には任せられないな。私がやるよ。あっ、やるって言っちゃった。 妹紅:まず一人決定ね。後はもう一人決めないと。 もう一人を決めるため、チルノと橙は人材を探しに出かけていった。 まず2人は新聞社に向かった。 烏文:チルノ、どうしました? 氷精:実は、車のレースのオペレーターを探しているんです。 烏文:残念だけど、その日は用事があって出られないんだ。ごめんね。 化猫:残念だね。萃香はどうなの? 萃香:残念だけど、私にも用事があるの。チルノ、そういえば仕事は終わったの? 氷精:まだ終わってないの。あとでちゃんとやるから待っててくれる? 萃香:ちゃんとやってよ。じゃあね。 つぎに2人は、マヨヒガに向かった。 化猫:藍さま〜。オペレーターをお願いしてもいい!? 化狐:やってもいいけど・・・もう一方は誰が勤めるんだ? 化猫:慧音先生です。 化狐:ちょっとあいつは苦手なんだ。ごめん、やめとくよ。 氷精:それは残念だ・・・ 化狐:さようなら、チルノ。また会おう。 化猫:藍さま、声が大きすぎます。 藍は紫を起こしてしまった。 隙間:藍〜うるさいわよ。これ以上うるさくしたら、あなたをぺちゃんこにするわよ。 化狐:ぺちゃんこは勘弁してください〜。すみません。紫さま〜。 隙間:謝ったから今回は許してあげる。あら、あなたは橙の友達のチルノちゃんじゃない。どうしたの? 氷精:実は、車のレースのオペレーターを探しているのです。 隙間:あら、よかったら、私がなってあげてもいいわよ。 化猫:ありがとう。 数日後、学校に手紙が届いた。 慧音:どうやらコースが決まったようだ。だが”チルノの湖”はまだ建設中らしいな。    ”神社→魔法の森→鬼が島→人間の里→蛍池→紅魔館→チルノの湖→神社”だそうだ。    湖はトリル[大妖精]が氷を並べてコースを作るそうだ。館にはつり橋を臨時で架けるそうだな。 妹紅:そういえば、チルノの車はどんな形式なの? 氷精:あたいの車はMT5速よ。パチュリーの車はAT4速だそうです。 慧音:ギヤチェンジが忙しそうだな・・・酔わないかどうか心配になってきたよ。 化猫:チルノ君、がんばってね。 氷精:うん。がんばるよ。応援よろしくね。 チルノは幻想境外へガソリンを容れに行った。ちなみに結界は紫に解いてもらった。 そこで、偶然パチュリーに出会った。 氷精:お互いにがんばろう。 魔女:そういえばオペレーターは決まったの? 氷精:うん。決まったよ。紫と慧音先生だよ。 魔女:こっちは咲夜とレミリアよ。私と咲夜が左側に乗って、お嬢様を右においてバランスを取るためよ。 氷精:ということは・・・本当の意味ではオペレーターでないということ? 魔女:当たり前じゃない。私にはオペレーターは不要よ。 氷精:そうなんだ・・・ ついにレースの日が来た。残念な事に、雲数10の曇り空である。 妖夢:レースを開始します。正々堂々とやってください。5秒前、4.3.2.1、スタート!!! 氷精:ありゃ? 慧音:どうした?チルノ? 氷精:エンストしました・・・ 慧音:何をやっている?さては車体総重量が増えることを考えてなかったな? 氷精:はい・・・忘れていました・・・ 魔女:お先に失礼〜 氷精:待ってよ〜 魔女:待たないよ〜ん。 パチュリーはチルノよりも1分ほど先に魔理沙の家に着いた。 魔女:楽勝ね。このまま差を広げましょう。 蝙蝠:やっぱりパチュリーは強いわね。あの氷精が勝てるわけがないわ。 チルノはやっと魔理沙の家に着いた。このころ、パチュリーたちは永遠亭辺りまで進んでいた。 氷精:このあたりはどこなのかしら?左前方にアリスの家が見えるけど・・・ 慧音:紫、ここがどこだかわかるか? 隙間:ZZZ・・・ 慧音:起きろー!!仕方ない、チルノ、徐行してくれ。 氷精:仕方ないわね・・・ パチュリーたちはすでに鬼が島を出るところである。チルノたちはやっと森を抜けた。 蝙蝠:遅いわね〜。まあ、せいぜいがんばるがいいわ。 慧音:うるさい、黙れ、蝙蝠嬢。レースはまだ続いているんだぞ。 レミリアは慧音を本気にさせた。 慧音:チルノ、何が何でも奴らに勝てよ。 氷精:はい。でも、約1名寝ているのが気になるのですが。 慧音:気にするな。しかし、よくこのゆれで寝ていられるな・・・ パチュリーたちは人間の里についた。 魔女:ここは意外と直線が多いわね・・・ 蝙蝠:ここで差を広げましょう。 咲夜:お嬢様、油断はいけません。 チルノたちはかなり送れて里に着いた。 氷精:ここは直線が多いからオーバードライブ[オーバートップ]ギヤで走ることができるわ。 慧音:よかったな。これだ差が縮まるな。なあ、紫。 隙間:ZZZ・・・ 慧音:まだ寝ているのか。まあ、奴も疲れているんだな・・・ チルノとパチュリーの差は里でかなり縮まった。 魔女:いつの間に差が縮まったの? 咲夜:安心してください、パチュリー様。ここからは紅魔館ですから。 魔女:裏口が見えてきたわ。ここからまた差を広げればいいのね。 咲夜:そうですね。[空間をいじって差を広げてやろう・・・] チルノは紅魔館の中を走っているときに疑問を感じた。 外見よりも明らかに長い距離を走っているような気がしたからである。 氷精:長いな〜。あ、やっと出口が見えたわ。 隙間:おはよ〜 慧音:やっと起きたのか。 紅魔館で相当な距離が開いた。パチュリーたちは、凍っている湖に悪戦苦闘していた。 魔女:スピンしちゃったわ。滑って操作が難しいわ。 咲夜:しっかりしてください、もしかしてはまっちゃいましたか? 魔女:咲夜、車を押してくれる? 咲夜:はい。それじゃあ、よいしょっと。 蝙蝠:脱出成功よ。さあ、行きましょう。 チルノたちもついに湖に着いた。 氷精:うわっ。 慧音:どうした? 氷精:はまっちゃいました。 隙間:押さないとだめかしら? 氷精:いや、大丈夫だ。セカンドギヤで出発すればいいのよ。    よし、抜け出したわ。 チルノとパチュリーの差はかなり縮まった。 魔女:ふう、あとは神社に向かうだけだわ。 蝙蝠:私たちの勝ちね。 咲夜:やった。 そのころ、チルノたちもついに湖を脱出した。 氷精:2人とも、しっかりつかまっていて。オーバートップギヤで奴らに追いつくからね。 隙間:そんなことして大丈夫!? 氷精:勝つためにはこれしかないんだ。いくよ!! 慧音:うわあ、酔いそうだ・・・ チルノは猛スピードでパチュリーたちを追走した。 氷精:パチュリーたちが見えてきたわ。追いつけるかもしれないわ。 慧音:よし。がんばれ、チルノ。 氷精:がんばっているのは車だと思うのですが・・・ パチュリーはミラーに移るチルノたちから逃げるのに必死だった。 蝙蝠:もっとスピード出でないの? 魔女:無理よ。伝達システムの構造上、これ以上スピードは出ないわよ。 チルノは、ついにパチュリーを追い越した。ゴール800M手前での出来事だった。 妖夢:ゴール!!チルノの勝利です。 氷精:やった。まさかパチュリーに勝っちゃうなんて、信じられないわ。 慧音:まあ、結果オーライとしておこう。 魔女:負けたわ・・・でも、悔しくはないわよ。全力で戦ったんだから。 蝙蝠:認めない・・・チルノに負けるなんて認めるもんか。 咲夜:お嬢様。私たちはチルノに負けたのではありません。 蝙蝠:じゃあ、何に負けたって言うのよ。 咲夜:チルノとその友達です。奴は友達が多いです。    リグル、橙、ミスティア、トリル、妹紅、妖夢、文、萃香・・・実際はもっと多いはずです。   彼らの力もあったんだと思います。それらに負けたんだと私は思います。    正々堂々としていて絶対にあきらめないチルノのことをお嬢様も少しは見習うべきです。 蝙蝠:・・・咲夜、私が悪かったわ。 咲夜:悪いのは私です。橙にケンカを売られたという嘘をついたのですから・・・ 魔女:えっ? 慧音:そうだったのか・・・いきなり挑戦状が来たから何かあると思っていたよ。 蝙蝠:咲夜!!あなたってそんなむごい奴だったのかしら? 氷精:もういいよ。レースとケンカを売ったことは別事象よ。    レースは面白かったし、つべこべ言うのはやめましょう。争っても何の特にもならないよ。 蝙蝠:チルノ・・・私はチルノのことを誤解していたわ。そんなに心が広い奴だとは思っていなかったわ。 慧音:話は変わるが、紫はレース中ずーっと寝ていたんだ。 化狐:ゆ、紫様〜しっかりしてくださいよ〜 隙間:誰のせいでこんなに疲れているのかしら? 化狐:・・・私のせいです。 隙間:なんか最近藍が急に素直になったのよ。どうしちゃったのかしら?    まあ、特に問題も起きなかったからよしとしよう。 こうして、再び幻想郷に平和が訪れました。めでたし。めでたし。