紅魔館・・・東洋の西洋館ほど殺人が起きやすい場所は無いと私は思う。 被害者は十六夜咲夜。紅魔館メイド長をしている。 頭部に強打した後が見られるが、死因は腹部に刺さったナイフによる出血多量。 現場は離れの物置小屋の一部屋。以前客室として使っていたが、こんな所に客が来ることも無く十数年前から物置として使われていた。 部屋に争った形跡は無く、時を止めず無防備にやられた事から顔見知りの犯行と考えられる。 死亡推定時刻はAM1:35〜AM2:00と思われる。 犯行当時は雨が降っており、小屋の前の地面には発見時以外に3つの足跡がありました、証言から被害者、小悪魔、レミリアの物と思われる。 被害者の所持品は7分進んだ懐中時計一つ 「ご質問は?」  機械的な報告をし、藍は手帳を閉じる。 「そうね。まず、死亡推定時刻の細かさを説明して」  藍は再び手帳を開き、機械的に話し始める。 「現場には2つのネガがありました」 「ネガって・・・あの天狗が使ってる箱に入ってるっていうあの?」  藍は小さく頷き説明を続ける。 「ネガというものは光に当たるとその光を焼き付けます。それを紙に写すと『写真』になります」 「その説明は要らないわ」 「・・・事件当日、AM1:30に紅魔館の近くで落雷が発生しています。そして事件現場にあったネガは一つは感光し、もう一つは無事でした」 「ふむ、それで」 「被害者は最初、窓際に倒れていました。その後自力でドアへ向かい、ドアノブに手を掛けたところで絶命しています。無事のネガは被害者が倒れていた窓際、感光したネガは死体の下にありました」 「雷が落ちた時、被害者はネガを一つ下敷きにしていた。そのネガは感光せず、ドア付近に落ちていたネガは感光。その後被害者は移動し感光したネガの上で死んだ。・・と」 「はい、傷の深さと床の出血具合から計算して窓際からドアに行くまでに最低5分かかります」 「それで死んだのは最低AM:1:30と言う事ね。けど、もし部屋に明かりがついてて被害者がネガをずっと隠していて、犯人が犯行し明かりを消し被害者を移動させた時にネガを落とした場合は?」 「もうちょっと簡単に言ってください。・・部屋にはランプがありましたが相当埃をかぶっており、さらに油も切れてました。犯行時は真っ暗闇だったと考えられます」 「で、AM2:00というのは?」 「AM1:55に地震が起きているんです。その時現場の時計が落ち、感光しなかったネガの上に落ちました。ちなみにその時計は1:55で止まっていました」 「それで朝、発見されたときネガは感光してなかったのね」 「目覚ましからネガがはみ出していましたから。あの時触っていたら感光してしまって死亡推定時刻は割り出せませんでした」 「で、最低1:55分には窓際には居なかった訳だから+5分のAM2:00ね。次、容疑者」 「死亡推定時刻頃に事件現場に近寄ったのは3名、AM1:31頃に小屋の前にレミリアが居たのを門番が話しかけてます。次にAM1:33に小悪魔が部屋に行っていますが、その時部屋は開かなかったと証言しています」 「時間的に被害者がまだドアに到達してない時ね」 「恐らく、犯人が中で押さえていたと考えられます」 「で、最後は?」 「先ほど出てきました門番の紅美鈴です。彼女は一晩中敷地内を巡回していたと証言しています」 「ふむふむ。小悪魔はどうして被害者の元へ?」 「AM1:00からお茶会があったが何時までも来ないためレミリアと一緒に探しに来た。と証言しています」 「レミリアの目撃情報と小悪魔の証言の時間が合わないけど?」 「小屋は少々おかしな構造でして、廊下が小屋内を一周してないのです、玄関から見れば犯行現場はすぐ隣なのですが中に入るには一周しないといけないのです」 「そして玄関からその部屋に到達するまで2分かかるのね・・」 「いえ、4分です。門番にレミリアが話しかけられるまで2分の空白の時間があります。・・ちなみにお茶会から探しに行ったのはAM1:15。同席したメイドやパチュリーが証言しています」 「・・・第一発見時の状況」 「朝になってもメイド長が現れないのでメイド達が自主的に捜索し、小屋の窓越しに被害者を発見、即座にレミリアに報告しました」 「それで?」 「窓に鍵がかかっており、ドアは被害者が塞いでいました。レミリアはやむ終えず窓を割り、部屋に侵入しました」 「鍵がかかっていたというのは誰が確認した?」 「・・・・レミリアです」 「そして、レミリアは死亡確認後私に報告をしたと」 「いえ、報告したのはパチュリーです」 「あら、そうだったの?」 「どうも訝しいと思ってるみたいですね。彼女は」 「そう・・・大体分かったわ。それで、あなたの推理は?」 「え?私ですか?」 「そうよ、あなたの推理」 「そ、そうですね・・・犯人は1:33に犯行現場に居る事が前提で、更に小屋の構造上小悪魔を追い越す事ができないから1:30より前に犯行現場に居る事になる。だけどレミリアと美鈴は1:30にアリバイがあり、パチュリーとメイド達も居間でのアリバイがある」 「で?犯人は?」 「小悪魔しか考えられませんね・・・彼女以外が嘘を言える状況じゃないですよ」 「だからあなたはダメなのよ」 「なっ・・!」 「いい?もっと柔軟に考えなさい。やり直し」 「むぅ・・・」 以下要点まとめ 小悪魔AM1:29〜AM1:37までアリバイなし(小屋内での移動時) レミリアAM1:29〜AM1:31アリバイなし 紅美鈴AM1:31〜AM1:37以外のアリバイなし 咲夜は雷が落ちたときには窓際に倒れていた(腹部にナイフが刺さっている) 咲夜がドアまで移動するのに最低5分かかる 小屋の入り口から現場まで片道4分、部屋自体の位置は入り口の横 かなりの豪雨で妹様は館から出れません ネガには美鈴が写っていた。何をしているかは不明 @723