ここに書かれてる考察みたいな物は、公式設定の解釈です。  大体、公式設定に沿っているつもりですが、二次創作のような物としてお楽しみください。  輝夜と永琳が月へ帰りたくない理由と、月の使者を殺さねばならなかった理由について。  輝夜を逃がすために、永琳が月の使者を皆殺しにした理由は、今まで謎とされてきた。  また、何故、輝夜は月へ帰りたくないのかも、謎とされてきた。  はずなのだが、実は東方永夜抄のキャラ設定txtと、ゲーム本編の永琳・輝夜との会話で、これらの理由は、ちゃんと書いてあった。  まず、輝夜が帰りたくない理由は  >  数年後、晴れて輝夜の罪も償われ月に帰る時が来た。しかし、お世話  >  になった地上人への恩と情、心のある地上での生活、どうしても帰り  >  たくない。  (東方永夜抄・キャラ設定txt・蓬莱山輝夜より)  「お世話になった地上人への恩と情」  「心のある地上での生活」  これが、輝夜の帰りたくない理由だ。  少なくとも、難題吹っかけていたはずの輝夜には「お世話になった地上人」が居て「恩と情」を感じているのは確かだろう。  最低でも竹取物語に登場する竹取の翁や、帝と言った人々に感謝している気持ちはあるのではないか、と推測される。  また「心のある地上での生活」という事は、逆に言うと「月の人々は心のない」という事なのかもしれない。  それが惜しい故に「どうしても帰りたくない」というのは、公式設定なのだろう。  この辺の「穢ない処さえ除けば、地上の方が、月より居心地が良い」という考えは、永琳も持っているようだ。  幽冥チームFINAL−Aで幽々子が永琳に言ったセリフ。  >あなたは、犯罪者なのね。  >何かから逃げる者は罪を犯した者。  >身を隠そうとする者は罪を認めた者。  >そして、罪を認めた犯罪者は  >言い訳を始めるわ。  (by幽々子)  これに対しての返答は  >いや別に。  >あんまりにもここが居心地が良かったから、  >月に帰りたくなかっただけよ。  (by永琳)  である訳で、この永琳のセリフは「罪を認めた犯罪者の言い訳」ではなくて、本音なのだろう。  まあ、犯罪者ではあるのだろうが、この場面で、嘘をつくメリットは無い。  なお、永琳と輝夜が、逃げ回る理由について、考えている人物は、劇中では咲夜のみ。  紅魔チームFINAL−Bエンドで、輝夜を倒した後に、紅魔館へ帰ってきた咲夜の独白が、二人について考えている事なのだ。  要約すると「お迎えが必要な程の人なら、初めから追放しなきゃいいのに。そんなに帰りたくないのは、幻想郷が居心地良いか、あるいは月が居心地悪いかのどっち?」   というような事だ。  咲夜が記憶を無くした月の民であるという確証は無いのだが、参考意見としては的を射ていると思う。  もう一つ。  > はるか昔、月の姫である輝夜の罪が晴れた為、罰として地上に落とさ  > れていた輝夜を月に連れ戻しに来た使者の一人。ただ、とある理由で  > 輝夜と共謀し、月の使者を全員殺害してしまう。  (東方永夜抄・キャラ設定txt・八意永琳より)  という事で、永琳は月の使者を皆殺しにした訳だが、他に方法は無かったのだろうか。  巷では睡眠剤や幻覚剤使えば良い。と言われているようなのだが、永琳のラストワードコメントに興味深い物が。  >如何なる者も逃さない天にも地にも張り巡らされた光の蜘蛛の巣。  >監視から逃れる事はもはや不可能だ。ついでに映画倫理も監視するぞ。  (東方永夜抄・永琳ラストワード「天網蜘網捕蝶の法」のコメントより)  ついでに映画倫理も監視する。という事は、監視されてるのは永琳の事だろう。  眠らせたり、幻覚見せたりする事で、逃げおおせる可能性は低いだろう。  そもそも、輝夜は地上人が月に攻めてきたという事を、鈴仙から聞いた時、最初は信じていなかった程だ。  地上から月へ帰る事も困難に違いない。  咲夜の表現を借りるなら、輝夜は「お迎えが必要なほどの人」である訳で、確実に連れ帰らなければいけないのだから、死をも辞さないかもしれない。  だが、睡眠剤や幻覚剤など、原作で影も形も出ていない要素に頼らなくても、他に「月の使者を殺さなくても、彼らを追っ払う方法」はある。  それは、鈴仙の元に「地上人との最終決戦の戦力として欲しいから連れて帰る」という、仲間の波動が届き  同時に、鈴仙を匿っている輝夜や永琳にも、月へ連れ去られる危険性が出てくる。  >  輝夜は永琳と相談し、鈴仙を月に返さない事に決めた。使者を殺して  >  しまっては、また場所を変え、隠れ住す必要が出てしまう。だが、も  >  う身を隠して暮らす事に飽きたのだ。何とか月の使者を追っ払い、か  >  つ堂々と地上で暮らす事が出来ないのかと、永琳に相談した。  (東方永夜抄・キャラ設定txt・蓬莱山輝夜より)  そこで天才の永琳は、使者を殺さずに追っ払い、かつ堂々と地上で暮らす事が出来る方法を提案した。  >  「ならば地上から満月を無くせば良い。  >  さすれば、月と地上は行き来できなくなる。  >  地上から見える満月は、月と地上を行き来する唯一の鍵なのだ。  >  だから、満月の夜にしか使者は訪れない。  >  その鍵を壊せば……、  >  地上は、大きな密室になる。」  > と。  (東方永夜抄・キャラ設定txt・蓬莱山輝夜より)  更に。  >あの月は、まだ戻す訳にはいかないわ。  >こうしている間にも、月の民との関係は  >悪くなりつつあるの。  >もうこのまま、地上を大きな密室にする  >しか姫を逃す道は無い。  (東方永夜抄・5面における永琳のセリフより)  と断言している。  「もうこのまま、地上を大きな密室にするしか姫を逃す道は無い」のだそうだ。これ以外は返り討ちにするしか無いんだそうだ。  永琳がこう言っている以上、原作では影も形も出ていない要素では、輝夜や鈴仙を逃がせないのだろう。  そう。満月を隠してしまえば、妖怪達は本気で困るだろうが、月の使者がやって来る事もない。  これで地上と月を行き来する事は不可能になった訳だ。来ないのだから殺す必要はない。  ただ、唯一の誤算は、満月の力に頼っていたはずの妖怪達の力が、これほどまで強い物だとは思わなかった事である。とも書いてある。  というか、東方永夜抄の異変が起きた最大の理由が、これなのだから仕方ない。  余談だが  > 結局、人間と妖怪の力によってこの術は破れてしまったが、そもそも  > 幻想郷は閉ざされた空間。元々、月からも入ってくる事は出来なかっ  > たと言う事を知った。  (東方永夜抄・キャラ設定txt・蓬莱山輝夜より)  という事を、永夜異変の後に知り、今では堂々と暮らしているそうだ。  結局、満月を隠さなくても月の使者はやって来れないので、隠す必要はなかったのだが、これは結果論でしかない。  萃香は、誠実さに少し欠けてる鬼のイレギュラーであったが故に、幻想郷に馴染めたが  輝夜・永琳・鈴仙も、月のイレギュラーであったため、幻想郷に馴染む事が出来たのだろう。  結論  輝夜が月へ帰りたくないのは、犯罪がどうというよりも「地上での生活が気に入ってる」のが全てだろう。永琳も然り。  月がどういう所かは、明らかになっていないが、あまり良い所ではなさそうだ。  また、月の使者に対する処置は。  1・連れ帰される。  2・殺害する  3・満月を隠す  4・博麗大結界の中に居る(永夜抄以後に知った事実)  の四つしか無いようだ。  裏切ったのは確かに永琳と輝夜の罪であろうが、ある意味では、正当防衛と言えるのかもしれない。  ここまで付き合ってくださった方、感謝の極みです。 書いた人:神尾そら サイト :チェキ空 http://www4.ocn.ne.jp/~sra/index.html