ここに書かれてる考察みたいな物は、原作者ZUN氏、及びに上海アリス幻樂団とは一切関係ない事を記しておきます。  一種の二次創作としてお楽しみください。  まず西行妖の下で眠る歌聖とは誰か。 >  その昔、幻想郷には一人の歌聖が居た。歌聖は自然を愛し死ぬまで旅 >  してまわったという。自分の死期を悟ると、己の願い通り最も見事な >  桜の木の下で永遠の眠りについた。 (東方妖々夢。キャラ設定txt、西行寺幽々子より)  この歌聖とは「西行法師」のことと思われる。  妖々夢の5面スタート。6面スタート。反魂蝶直前に出てくる三種類の詩が、西行法師が詠んだ詩と同一なのだ。 >ほとけには桜(さくら)の花(はな)をたてまつれ >我(わ)が後(のち)の世(よ)を人(ひと)とぶらはば (5面スタート) >願(ねが)はくは花(はな)の下(もと)にて春(はる)死(し)なん >その如月(きさらぎ)の望月(もちづき)の頃 (6面スタート) >身(み)のうさを思(おも)ひしらでややみなまし >そむくならひのなき世(よ)なりせば (反魂蝶前)  西行法師とは俗名「佐藤義清(のりきよ)」  1118年、現在の和歌山県那賀郡打田町に生まれ、1190年が没年と言われている。  時期的にも >それから千年余り経った。  とある(=千年ほど前の話)ので、問題はない。  西行法師とは幽々子の先祖だろうか?  ともかく歌聖(西行法師)と富士見の娘(幽々子)は別人である。 >  それ以来その桜はますます見事に咲き誇り、多くの人を魅了し、多く >  の人が永遠の眠りについた。そうした死の魅力を持つ桜は、いつしか >  妖力を持つようになっていたのだ。 (東方妖々夢。キャラ設定txt、西行寺幽々子より)  という事で、西行法師が1190年に桜の下で永遠の眠りについた後  その桜は妖怪桜へと化した。    話はそれるが、東方永夜抄で輝夜の口から  月の民は、地上人を魔物に変化させてきた事が明かされている。 輝夜「ふふ。    我々月の民は、地上人を魔物に変えて、地上人の穢れを調節してきた。    でも、もうそれもお終い。    地上人は自ら魔物を封印してしまった。    今の魔物は、ただのお約束として人を襲うだけの良く判らない生き物になってしまったわ」 (東方永夜抄・紅魔チーム・FINAL−Bより)  この輝夜の言葉を信用するならば、魔物=妖怪のほとんどは、月の民が作り出した物になる。  妖怪が人間を襲うのも、元々は地上人の数を調整するためなのだ。  ただし、ここで言う「地上人」とは、人間だけではなくて、動物も含まれるのだろう。  東方香霖堂 第十七話(webサイト、エルナビにて連載中)でも、  香霖と咲夜が「河童は何から変化した物か」というのを話し合う場面がある。  ここで香霖は「河童はスッポンから変化した物ではないか」と結論づけている。  となると、桜が妖怪化する事も有り得る事ではなかろうか。  西行法師が自害した事が、桜を西行妖と化したのではなくて、  その数百年後に、月の民が間接的に、桜を西行妖としたのだろう。  さてここから幽々子の話になる。 >  「富士見の娘、西行妖満開の時、幽明境を分かつ(死んだという事)、 >   その魂、白玉楼中で安らむ様、西行妖の花を封印しこれを持って結 >   界とする。願うなら、二度と苦しみを味わうことの無い様、永久に >   転生することを忘れ・・・」 (東方妖々夢。キャラ設定、西行寺幽々子txtより)  という文献がある。  これを幽々子が見つけて興味を示して、妖夢に春を集めさせたのが、東方妖々夢の事件の始まりである。  少々解りにくいので要点をまとめてみる。ちなみに富士見の娘は、幽々子の事とする。 ・幽々子は、西行妖が満開の時、死んだ。 ・幽々子の魂が、白玉楼中で安らむ様に、西行妖の花を封印しこれを持って結界とする。 ・願うなら、幽々子が二度と苦しみを味わうことの無い様に、永久に転生することを忘れ……  幽々子のために西行妖の花を封印して結界にしているのか  それとも幽々子が西行妖を封印しているのか、少々わかりにくいが、これに関しては答えが出ている。 >  紫は幽々子が生きていた頃から知っている。実は、幽々子が妖怪桜に >               ・・・・・・・・・・・ >  封印されているのではなく、幽々子の亡骸が妖怪桜を封印している、 >  という事も。 (東方妖々夢。キャラ設定txt、八雲紫より)  そう、西行妖を封印したのは、幽々子本人だ。 >  しかし幽々子は、普段の生活に安らみ過ぎた為か、はたまた、記録が >  余りに古い文献だった為か、文中にあった亡くなった娘というのが、 >  自分の事だということに、最後まで気付かなかったのである。   >  元々、幽々子は死霊を操る程度の人間だった。それがいつしか、死に >  誘う程度の能力を持つ様になり、簡単に人を死に追いやる事が出来る >  ようになっていった。彼女はその自分の能力を疎い自尽した。 >  亡霊になってからは、生前の事等すっかり忘れ、それはもう死に誘う >  事を楽しむようになっていたのだから世話も無い。 (東方妖々夢。キャラ設定txt、西行寺幽々子より)  という訳だ。紫でなくても「自業自得」としか思えないだろう。  また、続きにはこうある。 >  幽々子が転生も消滅もせずに楼中に留まっているのも、西行妖の封印 >  があるためである。この結界が解けたとたん、止まっていた時間は止 >  め処なく流れることになり、それは、再び幽々子の死に繋がる。自分 >  を復活させることも白玉楼にいる自分の消滅にも繋がる為、復活は寸 >  前で失敗するのは当然である。 (東方妖々夢。キャラ設定txt、西行寺幽々子より)  ここも要点をまとめてみよう。 ・幽々子が転生も消滅もせずに楼中に留まっているのも、西行妖の封印があるため(西行妖を封印してるのは幽々子の亡骸) ・この結界が解けたとたん、止まっていた時間が止め処なく流れ、封印を解かれた幽々子(生前)は再び死ぬ。 ・また自分を生き返らせると、白玉楼にある幽々子(亡霊)も消滅する。 ・復活が寸前で失敗するのは、幽々子の防衛本能によるもの(霊夢・魔理沙・咲夜が、幽々子退治に失敗しても、西行妖は決して開花しない)  ちなみに白玉楼(はくぎょうろう)には、由来がある。 >〔「書言故事(祭奠類)」「唐詩紀事(李賀)」などにある、唐の詩人李賀が死ぬ時に天帝の使いが来て、天帝が白玉楼を完成し、 >李賀を召してその由来を書かせることになったと告げたという故事による〕文人が死後に行くという楼。  goo辞典によると、こういう事らしい。  では幽々子が生きていた時代とは、いつ頃か。 >  ここ白玉楼には、西行妖の他にも桜が数多くあるが、毎年西行妖だけ >  は花を咲かせる事は無かった。先代は満開を見たことがあるそうだが、 >  「それは凄い桜だったが、もう二度と咲くことは無いだろう。」と、 >  言っていたのである。 (東方妖々夢。キャラ設定txt、魂魄妖夢より)  「先代」とは、妖夢の師匠である魂魄妖忌の事。  妖忌は「満開を見たことがある」らしい。  ここで思い出して欲しいのが、富士見の娘(幽々子)の文献。 > 「富士見の娘、西行妖満開の時、幽明境を分かつ(死んだという事)、 (東方妖々夢。キャラ設定、西行寺幽々子txtより)  これを見る限り、幽々子が死んだのは西行妖が満開の時らしい。  というよりも、満開の西行妖を幽々子が封印したと考えるのが妥当だろう。  そして、妖忌は満開の西行妖を見たことがある。  となると、妖忌と幽々子が生きていたのは同じ時代と考えられる。 > 先代、魂魄 妖忌(こんぱく ようき)は、300年程庭師を務めたあ > る日頓悟し、まだ幼すぎる妖夢に後を継がせ幽居する。 (東方妖々夢。キャラ設定txt、魂魄妖夢より)  とある事から、妖忌が生きていたのは300年ごろか。  幽々子が生きていたのも、それぐらいの話になるだろう。  なお、ここで言う頓悟(とんご)とは何か。  goo辞典によると >〔仏〕 段階的な修行を踏むことなく、一挙に悟りを開くこと。  との事。妖忌は死んだ訳ではないのか。  だが、半人半霊は死ぬ。らしい。 > 生きているのか死んでいるのか、人間なのかそうじゃないのか、本人 > にも判らない。でも人より寿命が長いが、死は訪れるらしいので、や > はり生きているのかも知れない。 (東方永夜抄。キャラ設定txt、魂魄妖夢より)  永夜抄のキャラ設定からの引用だが、これを見る限り半人半霊でも寿命はあるらしい。  そういう事で、半人半霊の寿命は300年程度と見るのが妥当だとは思う。 >  唯一そのことを知る先代魂魄妖忌は、半分人間という性質上ゆっくり >  年を取り、妖夢に幽々子の事を伝えたつもりで消えた。 (東方妖々夢。キャラ設定txt、西行寺幽々子より)  とあるように、妖忌は消滅したのだろう。  東方花映塚の妖夢編で、四季映姫戦での負けセリフ(残機を使い果たした時に) >「本来、貴方は死んでも私の元には来ない。 > だから、今裁くしかないのよ」  と四季映姫は語る。つまり、半人半霊は死んでも閻魔の所へは行かない。  閻魔の所へ行かないのなら、半人半霊は寿命が来ると消滅するのだと考えるのが妥当であろう。  なお、妖忌が「唯一そのことを知る」とあるが、これは紫も幽々子についてよく知っているのに反する。  妖忌と紫に接点は、確実にあっただろうし。  妖忌が唯一知る事実。それは >  やはり幽々子は死を操ることしか出来ないのだ。 (東方妖々夢。キャラ設定txt、西行寺幽々子より)  という事だろう。  幽々子は気まぐれで富士見の娘を生き返らせようとしたが、それは自分の事で、仮に成功していれば自分が消滅していた事になる。  妖忌は、幽々子が死を操ることしか出来ない。という事を唯一知っていたのだろう。  最後に要点をまとめ。 ・千年前に死んだ歌聖は西行法師。 ・妖怪を作り出しているのは月の民。 ・幽々子が死んだのは約三百年前と推測される(妖忌もそれぐらい生きている) ・幽々子は、西行妖が満開の時、死んだ。 ・妖忌は一度だけ満開の西行妖を見たことがある。 ・幽々子の魂が、白玉楼中で安らむ様に、西行妖の花を封印しこれを持って結界とする。 ・幽々子が転生も消滅もせずに楼中に留まっているのも、西行妖の封印があるため(西行妖を封印してるのは幽々子の亡骸) ・この結界が解けたとたん、止まっていた時間が止め処なく流れ、封印を解かれた幽々子(生前)は再び死ぬ。 ・また自分を生き返らせると、白玉楼にある幽々子(亡霊)も消滅する。 ・復活が寸前で失敗するのは、幽々子の防衛本能によるもの(霊夢・魔理沙・咲夜が、幽々子退治に失敗しても、西行妖は決して開花しない) ・半人半霊は、死んでも閻魔の所へ行かない。  それと気になる点を箇条書きにしてみる。 ・紫でも、西行妖をどうにも出来ないらしい。 ・東方永夜抄の永琳戦での背景が、西行妖に酷似したものがある。(「ほんのひなんじょ」の東方私見より) ・妖忌と妖夢に血縁関係があるという記述はない(あるかもしれない) ・萃香は幽々子に「未練があるから成仏が出来ないんだよ」というような事を言っている。萃香と紫には何か繋がりがあるみたいだし、彼女も幽々子について知っている?  ここまで付き合ってくださった方、感謝の極みです。 書いた人:神尾そら サイト :チェキ空 http://www4.ocn.ne.jp/~sra/index.html