『Which do you like?』 修羅場って言うものは意外に簡単にできるという事は、 短い人生史上、僕は初めて知った。 場所は博麗神社の境内。 ガランとした空気が、現在の状況を更に盛りたてて悪くしている気がした。 目の前に座っているのは、この幻想郷の象徴である博麗神社の"巫女"博麗霊夢。 そして、その友人(らしい)である魔法使いの霧雨魔理沙だった。 二人は僕を睨みつけながら、不遜に座っている。 「それで、あなたに聞くんだけど…私と魔理沙、どっちが好きなの?」 僕は無理矢理正座をさせられて、現在の修羅場のど真ん中に立っていた。 彼女達が言うにはこうだ。 二人とも僕が好きらしいが、無論の事、三人で付き合う事は、この幻想郷の 普通から考えても、一般的に僕の世界の常識でも不可能。 雌雄を決する為の弾幕ごっこを行ったが…途中で、僕の気持ちがそもそも どちらの方に向いているか聞いていないという事から。 今の状態になっているらしい。 「それで、どっちが好きなのかハッキリして欲しいって訳?」 「そう、私?それとも魔理沙?」 「それを聞かない事には、何も出来ないからな」 …考えてみれば、僕は、二人をそう言う対象としてみた事も無かった気がする。 しかし、彼女達がこういうなら、どちらか決めないとならないんだろう。 「時間、くれないか?」 「あぁ、私はいいぜ。霊夢はどうだ?」 「いいに決まってるでしょ。でも、あんまり時間はとらせないでね」 そうしないと、と彼女が口ごもった。 早く、お互いに決着をつけたいんだ。 「…一週間だ。それだけ考えさせてもらうよ」 僕にしては思い切りが良かったかもしれない。 普段なら、どうしてもこういう重要な物事を決めるのには、とてつもない時間を かけるタイプのはずなのに。 今回だけは違うようだ。 それから、僕はずっと考え続けた。 彼女達二人を、僕がどれだけ好きか、と言うことを。 比べるなんて言うのは、最も失礼な事だし、そもそも僕がハッキリしないのが 一番の原因だったのかもしれない。 だから一週間の間、僕は考え続けた。 どちらが好きなのか。 山を歩く時も、川を歩く時も、寝る前も、風呂に入る時も。 そうして、約束の日はやってきた。 その日も二人は相変わらず、不遜な態度で座っていた。 「で、決めたんだな?」 開口一番、魔理沙は挑戦的な目で、僕を見た。 霊夢は何も言わなかったが、僕の方を見ながら何か考えているという事は 分かった。 その表情から読み取れるのは、緊張、悲しみ、不安。 どれとも取れた。 「僕が好きなのは…」 彼女達の顔を見渡す。 そして、僕は紅白の少女の方に目を止めた。 「霊夢だよ」 「え…?」 「なっ…そう、なのか?」 霊夢と魔理沙。お互いの驚きの内容は恐らく違うものだろう。 「…なぁ、聞きたいんだが、何で霊夢なんだ?」 魔理沙の質問には答えられない。 「私じゃ、ダメなのか?霊夢だって、普段は能天気でのんびりしすぎで、 そう、恋する対象としては、ちょっとおかしいぜ!?」 違う。 魔理沙は、きっと僕に恋しているわけじゃない。 「魔理沙は、何でも持っていく霊夢が、嫌だったんだろう?」 「なっ…何を?」 「霊夢は僕を好きになった。だから奪おうと考えた。それは『恋』じゃない。 ただの嫉妬だと思う」 「…もういいぜ。私は――」 「最後に言っておくよ、魔理沙。僕は霊夢の事が好きだ。魔理沙は 本当は誰が好きなんだ?」 僕の問いには答えず、彼女は外に出て行った。 顔は帽子で隠していたから、きっと顔を見られたくないんだろう。 「魔理沙…」 「霊夢、一つ聞くけどキミは僕が好きなの?」 「…うん」 「友達を泣かせてまで?」 「それでも…あなたが…好きなの…!どうしようも…なく…っ」 頭がちょっと温かいとか、能天気とかいつも言われている 彼女にしては珍しく感情的だった。 涙に濡れている彼女の頭を、僕は抱えた。 後書き ===チラシの裏=== 修羅場を書くの苦手です。 ===チラシの裏ここまで=== 昼メロって見た事無いんですよね(笑) 我が友人曰く、「修羅場ってドロドロなら」それは昼メロらしいです。 そうか、つまり修羅場ればいいんだな、という単純思考の名の元に 書き上げたのが、これです。 なんか歪んでますけど。 あ、別に英語に意味はありません故。 最後に一言言います。 >>683氏 この俺、530(仮名)はヘタレ物書きのレッテルを貼られている。 ウドンゲネタで書いては、必要以上に期待ハズレな物を書き、残念がる奴もいる。 単発ネタでリクエストを依頼されたんで、SSを一本書いたらそいつは二度とスレに来ねえ。 リクエストされても、自分の思いのまま書くなんてしょっちゅうよ! だが、こんなおれにも吐き気のする『悪』はわかる! 『悪』とはヘタレ物書きのおれ自身のことだ! ゴメンなさい>orz