萃香という妙な鬼に連れ去られて割と経った頃か。 俺は彼女といつものように酒を飲んでいた。 「…鬼か。お前のペースは」 「そりゃ鬼だからね」 彼女は鬼であり酒豪だ。 見ているこっちが心配になるほど空けられた酒の量。 何なんだこの量は… 「少しは止めないと病気になるぞ」 「鬼が病気とかになると思ってるの?」 「いや、少しは素面になれって事だ」 俺も結構酒飲みの方だが、こいつに比べるとやっぱり負ける。 …鬼と比べるほうがどうかしてるなんてツッコミは勘弁してもらいたいが。 さて結局の所、俺が酒飲みという事は大体分かるだろうが、 やっぱり何度も同じ酒を飲んでいると飽きるわけで。 今日も今日とて同じ味の酒を飲んで、俺は結構ぐったりしていた。 「あれ、もう終わり?」 「…あぁ、何つーか…この酒飲むのが飽きた」 「私はそうでもないけどねぇ。だってお酒だよ?飲んでも飽きないよ」 四六時中酒ばかり飲んで飽きることすらも忘れた鬼と一緒にされたら 堪ったもんじゃない。 「あー、でもお酒を甘く飲む飲み方なら知ってるよ?」 「甘く?」 そんな方法があるとは、俺も聞いた事がない。 果汁と混ぜて飲むって方法なら一度試した事があるが、ちょっと合わなかった。 不味くはないんだが…。 「…甘い酒ねぇ。どんな飲み方だ?」 正直どんなものかも見当がつかない。 ここは正直に彼女に聞いたほうが早いだろう。 「うーん、と」 彼女は一杯の酒を口に含むと、その唇を――俺に押し付けた。 頭が真っ白になり、流れてきた酒の味は、微かに甘いものだった。 「…ぷはっ」 「ふぅ…」 なるほど、口移しか…。 確かにこの味は甘くて…クセになるかもしれない。 「甘いでしょ?」 「確かにな」 これはある種、恋人同士がやるゲーム感覚に近い。 「…萃香はこの方法で酒を飲んだことがあるのか?」 「甘くなるって話だけで、私は飲んだことはないけど…」 そう答えた彼女の顔は赤いもので、それが急に愛しくなり 俺は甘い酒を彼女の口に流し込んだ。 「ん、うん、甘いね」 「だろ?」 これなら、確かに他の酒も違った味で飲めるかもしれない。 キスとして考えるなら、これほどロマンがないキスもないだろうけど。 「お酒の匂いがすごくする」 「ずっとあーゆー飲み方してればな」 こうして、俺はぶっ倒れるくらいに、酒を煽っていた。 無論、翌日は言うまでもなく二日酔いだった。 後書きとチラシの裏。 ===ここからチラシの裏=== 短い、時間足りない。たすけて、えーりん ===ここまでチラシの裏=== ご め ん な さ い 589の人、一応、リクエストは書きました。承りました。 めちゃくちゃ短くなったのは本気で申し訳ありません。 んーと、甘い話という風に書こうとしたんですけど、力量と語彙のなさが恨めます。 何か、短くなりすぎて、それだけを恨んでください。 最初からプロット無しで書いていたんで…。 色々、精進していきます。もしよろしければ、気が向いたらリクエストでもどうぞ。