「ゴホッ!ゴホッ!あ〜」 朝から猛烈に頭が痛い、ついでに熱が出てきやがった。 咳も出るし・・・あーこりゃ完全に風邪だなぁ。今日は誰も入れないでおこう、なんとなく今日は大凶そうだし。 ガチャッ 「こんにちわー。今日は良い事があったんですよ〜」 そうだ、こいつが居たんだった・・・、勝手に入ってくるなって。 この勝手に入ってきた泥棒に間違えられても仕方が無い奴は天狗の射命丸文。文々。新聞っていうのを発行してた、ごめんしてる。 なんか知らないけど俺は天狗に良く好かれるんだよなぁ・・・なんで?まぁ何かと良くしてくれるからいいけど。 「いますか〜、○○さんいますか〜?」 「居るから漁らないでくれ」 「あ、居た」 こいつは俺が居ないと勝手に漁るからなぁ・・・。前に漁られて片付けるのに半日ぐらいかかったっけか、世も末だ。 とりあえずこいつだけには風邪をばらしてはいけない。絶対にネタにするからだ。 「どうしたんですか?寝込んじゃって」 「いや、二度寝しようかなとでも考えていたんだ。まぁそれよりも、良い事ってなんだ?」 そう言って話を強引にずらす、こいつは勘も鋭いから不自然な動きを見せたら絶対に感ずかれる。 「あ、それがですねちょっとコレを見てください、眼鏡の男の人がやっている店で手に入れたものです」 「ん?デジカメじゃないか、幻想郷にもあったか?」 「あ、知ってたんですか残念・・・。それはともかく、コレで何処でも写真が取れるんですよ!」 うわ〜ヤバイな、こんなもの持っていたら鬼に金棒、いつも以上に気を引き締めないと拙いかも。 「それにしても、元気がないですよ?もしかして風邪でも引きましたか?」 「えっ?何でわかっ・・・あ」 「あ、当たりだったんですか?これはスクープに・・・って、えぇ!?風邪ですか!?」 「え?風邪だけど・・・」 なんでこんなに驚いているんだ? 「か、風邪ですか!?あの大量の人間を死に追いやったあの風邪ですか!?」 「そこまで大げさなものじゃないけど・・・」 「た、大変大変!あなたが死んだら私の楽しみが無くなっちゃいます!」 「だから死なないって・・・聞いてないな」 天狗の中では風邪を引くと死ぬなんてことになっているんだろうか?それにしてもこんなに慌てた姿は始めてみたな。 「あ、そうだ!何か私にお手伝いできる事があったらしてもいいですか?していいですね!」 「勝手に決めるな、まぁ別にいいけど。それじゃあちょっと桶に水を汲んで持ってきてくれないか?」 「解りました!今もってきますね」 ちょうど頭のタオルも温くなってきたし、とりあえず体を起こして待ってるかな。 「うわ、っととと・・・」 おいおい・・・大丈夫か?ってか水汲み過ぎだって、溢れんばかりまで入れなくてもいいのに。 「・・・っとととと、キャッ!!」 突然手を滑らせて桶が手から離れた。いや、それだけなら別にいいんだけど、その桶に入った水がこっちに向かってきている。 あーなんかありきたりだな。なんて思うけど一つだけ変なのがあった。 水の向こうに見える カメラを構えたこの事態の張本人の姿が ザッパーーーカシャーーン!!! 「やった!いい写真が取れた!これは使わなければ!」 なんかもう起こる気も失せてきた・・・はぁ。 「へくしょーい!!!」 その後服を変えたり布団を変えたり色々と疲れたけどとりあえずは元に戻った。 なんか余計熱が出てきたかもしれない。 「あ、そうだ。永遠亭から薬貰ってきてくれないかな?」 「解りました!十分で貰ってきます!」 そういって文は出て行った。大丈夫かなぁ、なんか不安だなぁ。 「戻りました!」 「早ッ!」 いや、まだ十分もたってないよ?いくらなんでも早すぎでしょ。通った後には酷い跡がついてるだろうに。 「・・・あれ?薬は?」 「あ、それがですね。症状を見ないと解らないかもってことで永淋さんについてきてもらったんです」 「そう・・・でもさ」 「はい?」 「腕だけつれてきても意味が無いと思うんだけど?」 「へ?」 「手、良く見れ」 「あれ?腕だけだ、何ですかね?」 「もしかして本気で飛ばした?」 「ええ、時間かけると悪いと思いまして」 「たぶんそれ」 つまりはこうだ。永淋さんの手首を掴んでマッハを越えるスピードで飛んだら、普通腕は飛ぶだろうに。 普通の人なら死ぬ、普通のなら。 「いたたたた・・・もう少し遅く飛べないの?」 腕一本飛ばして『いたたたた』で済ましたほうが凄い。良く見ると直ってるし、蓬莱の薬恐るべし。 「で、この人がその病人?」 「ええ、そうです」 「まぁとりあえず検診はしないとね」 「おねがいします、それがメインなので」 永淋さんの診断によると、普通の風邪だそうだ。 普通に寝てれば直るらしいけど・・・水を被った事が少し治りにくくなってるらしい。 いちいち寝てるの面倒でしょって渡されたのが、なんかドブの味がする薬。 鼻摘まんで飲んでみたところ、一気に気分が楽になった。流石永淋さん。 次の日 【○○ 布団での水遊び!?】 なんていう絵と見出しの中に書かれていた文字は俺の怒りを爆発させるには十分の火薬だった。 「こんの天狗がー!!!」