「これで、ずっと…一緒だよ?」  ボタボタと血を流しながら、掌に肝を乗せ、差し出す妹紅。  痛みで顔を歪ませて、それでもしっかりと俺を見つめて。  …これはきっと、彼女の最大の我侭なんだろうと、思った。  不死の苦しみも辛さも、彼女は知っている。  そして、そんな人間を増やしたくないと彼女自身が言っていた。  …それなのに、今こうやって俺を不死者へと誘っている。  一体どれ程悩んだのだろうか?どれだけ、苦しんだのだろうか?  俺はその思いに、答えなければならない。  どれ程の痛みと苦しみが、先に待っていたとしても。 「あっ…!」  俺は差し出された肝を手に取った。まだほのかに暖かく、血に塗れている。  一瞬迷い……そして、ソレに齧りついた。  鈍い鉄の味と、形容の出来ない肉の味。何度も何度も、吐き出しそうになる。 「……っ!………っっ!!」  それでも吐き出さない。涙を零れても、食べることは止めない。  口の周りは血で真っ赤に染まる。きっととんでもない姿だなと、頭の隅で思ってしまった。 「……っはぁっ!げほっ、げほっ…!」  ついに、全てを食べ終えた。残ったのは零れた血に染まった手と服と…俺。  …俺"も紅"に、染まってしまったと実感した。  体中からエネルギーが沸いてくる。これが…蓬莱人というものなのか。 「…ありがとう。拒否しないでくれて…」  へたり込んでいる俺の肩を、妹紅は強く抱きしめた。 「これからは…永遠に一緒よ。私の…大切な、旦那さま……」  妹紅の腕のぬくもりは、これから続く永遠の蜜月の始まりを告げていた…