桜の記憶/書き手 たまゆら ―桜が、咲いている。 博麗の巫女、霊夢は大きな桜の木の前にいた。 ―これが、西行妖…。 圧倒的な存在感。 その桜が、あと少しのつぼみを抱えながら、咲いていた。 「綺麗だな。」 普通の魔法使い、霧雨 魔理沙がつぶやく。 「そうね。」 答えるは、紅魔館のメイド、十六夜 咲夜。 3人は、西行妖をただ見上げていた。 「ふふ、綺麗でしょ?」 そこに、全ての力を使い尽くし、ボロボロになりながら魂魄 妖夢に支えられ西行寺 幽々子がやってきた。 「もう少しで、満開なのに…。」 ―それは、満開にならない西行妖へのあてつけか。 「やってみる?」 霊夢の一声。 他の二人の人間もお互い確認するように、うなずいた。 西行妖を囲み、集めてきた春を。 なけなしの集めてきた春を、その手から解き放った。 …しかし。 西行妖が満開になることは無かった。 残ったつぼみは、咲くことを拒むかのように、ただ、そこにあった。 「ふふふ…、そうなのね…。」 幽々子は咲くことのなかったつぼみを見ながら、そうつぶやいた。 そうして、3人の人間は幻想郷の春を取り戻し、帰っていった。 春を失った西行妖は、全て散っていく。 ―桜が、散っている。 散りゆく桜の中、幽々子は知らず、一人、舞を舞っていた。 ―ひとときの みたまほこりし さくらはな              とわにはかなく せつなにはゆる― ―さくら さくら さきて なにをしぞおもふ          ただ ただ さく そのさくらこそあはれ― …、それは何時の、そして、誰の記憶か。 幽々子はわからない。 しかし、桜の散りゆく中、ただ、舞を舞っていた。 幽雅に散らせ、墨染の桜 ―border of …― …END… ―あとがき― どうも、たまゆらです。 調子に乗ってこんなSSを書いてみました。 なんだか、自分で読んでて激しく恥ずかしいですOTL 所々なんだこれ、っていうのもありますしOTL まー、そのへんは適当にスルーしてくだしあ。 実は。 このSSの原型は僕が初めて東方にさわったときから僕の頭の中にありました。 それからしばらく忘れてましたが…。 今回、思い出してしまったので書き上げてみました^^ 文中の歌、アレはすごい適当です。 ひとときの〜は57577になっていて多少は美しいかもしれませんが、さくら〜の方はあまり…。 では感想など、自分のブログで待ってます。 それではノシ たまゆら ブログ:ときのかけら http://timepiece.exblog.jp/