Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

あなたに温もりを

2009/01/12 01:43:10
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とてもとても寒い日 
雪の積もる竹林の中、私はやっと永遠亭にたどり着いた。


「あら、アリス。いらっしゃい」
私を迎えてくれたのはここの主、蓬莱山輝夜。
永夜異変の後 魔理沙と遊び(盗み)に来たり、薬師である永琳に薬を貰いにきたりしていたら
自然と仲良くなっていた。

なんでも、私が薬のお礼などに持ってくるお菓子が珍しいらしく
この前クッキーをあげたら、目を輝かせて、子供みたいに口に頬張っていた。
とても月のお姫様には見えないその姿に、笑ってしまったことがある。


「いらっしゃい。アリス」

輝夜の後ろの方から声がした。
目を向けてみると、永琳さんが立っていた。


「こんにちは輝夜、永琳さん。薬をもらいに来たのだけれど…」
「ええ 大丈夫よ。もうすぐ来るころだと思って、用意していたの。こっちでちょっと待っていて」

そういって、私を客間まで案内してくれた永琳さんは、薬を取りに行った。


「ねぇ、アリス」
「ん、なに?輝夜」
「その…首に巻いているのは、何?」

私の首元を指差す輝夜。
首に巻いているのは………

「これは、マフラーよ」
「……まふらー?」

輝夜にマフラーをひっぱられる。

「くるしい、苦しいって!今渡すから…」

私はマフラーを外し、輝夜の首に巻いてあげる。

「毛糸を編んで作るの。首に巻くとあたたかいのよ?」
「へー………へぇー……」

やっぱり珍しいのか、マフラーに興味津々だ。



「何をしているの?二人とも…」

永琳さんが戻ってきた。
手には、薬の入っている袋がある。

「永琳!見て見てっ永琳!! どう?」
「とても可愛いですよ。姫様」

輝夜にそう言いながら、「はい」と私に薬を渡した。
私は、「ありがとう」と言い受け取る。


「アリス!このまふらー欲しいのだけど。だめ?」

身長差で上目になった輝夜に、おねだりされた。
さっき永琳さんが言った通り、マフラーをした輝夜は可愛い。
マフラーくらい簡単に作れるからどうってことはないが、
あげるのなら、もっといいのをあげたい。
私が戸惑っていると、永琳さんが

「駄目ですよ、姫様。今、アリスのそれを貰ってしまったら、帰り道。
アリスが寒い思いをしてしまいますよ」

それを聞いた輝夜は
「うぅ…それじゃあ貰えないわね……」
そう言って、しょんぼりしていた。
でも 名残惜しいのか、マフラーを胸に抱いている。




「ねぇアリス。私にこれ、作れないかしら?」

マフラーを触りながら、聞いてくる永琳さん。

「毛糸と編み棒があれば作れるわよ。編み方は教えられるし……永琳さんなら、すぐに覚えられると思うわ」

そう言うと、永琳さんは微笑んで
「薬のお代として、教えて貰えないかしら?」っと言った。

「ええ、いいわよ。道具はこっちで用意するから、教えるのは明日でいい?」
「明日でいいけれど…材料費は私が「いいのいいの。人里に毛糸が売っているかわからないし、
そうね………今度、お食事にでも招待してくれればいいわ」

私の言葉に、永琳さんは目を丸くさせたから

「ほっぺが落ちちゃうほど、美味しい料理をご馳走するわ」と言って
二人で笑いあった。





輝夜から渡されたマフラーを、上海に受け取らせてから首に巻く。
二人に別れを告げて、永遠亭を後にした。

家に帰る道のり、ずっと明日のことを考えている自分がいる。

輝夜に、マフラーをあげる約束をした。
どんなものにしようか……うんと可愛いのを作ってあげよう。
何色の毛糸を持って行こうか?
好きな色で編めるように、いっぱい持っていこう。
お菓子もつけて持っていこう。

人に何かを教えることに、悪い気はいない。
むしろ、お話ししながら編み物をするなんて、楽しみじゃないか…!

それなのに 私の周りには、
自分の興味以外に無関心な引きこもりと、
やる気がない巫女と、
ドSと、
死ぬまで借りていくぜ。と言う泥棒しかいない
………平和すぎる明日が待ち遠しいわ


編み方を教えてくれと言った永琳さんの顔を思い出しながら、
私は急いで家に帰った。







アリスに、まふらーを作ってもらう約束をした。
オシャレで器用な彼女が作るのだ。
きっといいものが出来るだろう。
アリスが帰った後も、私は上機嫌だった。
でも…

「ねぇ、永琳」
「なに?輝夜?」
「どうして、編み方を教えてもらおうと思ったの?」

永琳もマフラーが欲しかったのだろうか?
それなら作って貰えばいいのに、わざわざ自分で作るなんて……
それが疑問だった。

「それはですね…」
「うんうん」
「輝夜はマフラーをしていて、あたたかかったのでしょう?」
「うん」
「だからです」
「え?」

あたたかかったから?
わからない私に、永琳は照れ臭そうにしながら

「あたたかくなってほしいから……真面目に頑張っているあの人に、
作ってあげたいんです」



永琳は、誰にあげるか教えてくれなかった。

でも、とても幸せそうに笑う永琳が
少しだけ………羨ましかった。










つづく
アリスは皆のお姉さんでいいと思う。

えーりん可愛いよ えーりん
柊了
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
頼む!続いてくれ!
輝夜もかわいいよ輝夜
2.名前が無い程度の能力削除
ここで終わりとか生殺しじゃないですか!早く続きを書くんだ!!
3.名前が無い程度の能力削除
なんて終わり方なんだ!でも良かった!