Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

魔彩光の上海工場

2014/07/27 13:53:31
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「霊夢! 霊夢ってば!」
「何よ、ナマハゲみたいな顔で迫ってきて。そんな剣幕は節分のときだけで十分よ、萃香」
「今日という今日は言わせてもらうからね!」
「言わなくてもわかるわ。そう、STAP細胞は無い」
「どうでもいいよ! 興味持ったこと一度もないよ! そんなJ-ADNIとかバルサルタンばりの捏造なんか置いといて!」
「結構詳しいじゃない」


「で、本当の議題は何なのよ」
「紅魔館から食いもん仕入れるのやめて!」
「え?」
「あそこの門番が作ってるものはもう食べたくないのっ。今まで生きてきて、口にしたくないものナンバー1だよ、私の中で!」
「美鈴もとんだトップを獲得したものね。でもねぇ、レミリアが見出したあれの才能は相当よ? 食糧を生産する程度の能力は」
「そこは認めるよ。確かにありゃすごい。たくさんの妖精やゴブリンを使って、とんでもなく広い農地を開墾して、米やら野菜やら山のように作ってる」
「それから畜産、あと惣菜なんかの調理・加工までやってるからね。美鈴のお陰で紅魔館の財政もだいぶ潤ったらしいわ。あやかりたいものよね」
「絶対真似しないで! あいつ、食いもんの感覚おかしいんだよ! 『四つ足のものは机以外何でも食べる』って言われるだけあるよ!」
「さすがにそれは誇張でしょ」
「だって、聞いたよ、段ボールを肉まんに混ぜて食ってたって!」
「私だって絶食が続いたときは畳表を食べたことあるし」
「泣けるっ、ぶわわっ!」



「ほら、涙拭いて」
「う、うん、どこの天保の大飢饉てな話だったから、つい」
「そのときは付近の雑草も食いつくしてたからね。文字通りペンペン草も生えなかったわよ」
「やめて、また涙腺が緩む。でも今はそんなことないんだよね。いい家庭菜園あるもん」
「まあね、お米なんかはほぼ100%自給してるし。でも、全体の食糧からすると我が家の自給率は4割から7割ぐらいなの」
「? ずいぶんざっくりしてるね」
「カロリーで計算すると40%、生産額で計算すると70%ってこと」
「よくわかんないや」
「とにかく他から買うしか食べてけないのよ」
「紅魔館以外から買えばいいじゃん」
「うーん……何でそこまで嫌うの? もしかして以前、人毛から醤油作ったり、下水から食用油取ったりしてたから?」
「何その禁断の錬金術?!」


「そっちじゃないのね。じゃあ、ペットフードの件?」
「そっちも聞いたことないけど」
「メラミンだったかの成分が入ってて、食べた白狼天狗や化け猫が腎不全で死にかけたってやつ」
「大事故じゃん!」
「同じ成分が粉ミルクにも入ってたみたいね。でも、安全性を証明するために、咲夜がみんなの前でそれを飲んだわ」
「まあ、効果的なパフォーマンスかな」
「後日、腎臓結石で永琳とこに担ぎ込まれたけど」
「ダメじゃん!」


「餃子に農薬が混入してたこともあったわね」
「酷過ぎる」
「でも、紅魔館以外の加工品でもあったことよ。不満を持った従業員が腹いせにやったってとこまで共通してる」
「さすがの鬼も引くわー」
「ただ、紅魔館側はずっと非を自分たちにあるとは認めなかったし、原因がはっきりした今も謝罪の言葉はないわね」
「悪魔かよ」
「伊達じゃないわね、紅い悪魔の通り名は」
「そういう意味なんだ……」


「いや霊夢、私が嫌だったのはさ、鶏肉の件だよ」
「ああ、そっち」
「『ああ、そっち』って……知ってたの?!」
「汚れた床に落ちたのを、洗いもせずそのまま出荷したとかの話でしょ」
「そう、そうだよ。まずいでしょ、それ」
「3秒ルール、3秒ルール」
「社会に持ち出していいルールじゃないよね?!」
「気にしたら負けよ」
「気にしない方が負けだよ! そりゃあちょっとの間なら雑菌はつかないらしいけどさ」
「まあ、その鶏肉は期限切れで変色してたみたいだけど」
「3秒どころじゃない?!」


「もしかして昨日の夕食のカラ揚げも……うぇえ」
「でも、本当にそんなの気にしているところは少ないわよ。紅魔館から食糧買ってるのは私だけじゃないもの」
「そ、そうなの?」
「守矢神社に命蓮寺、白玉楼や永遠亭と、購入者を数え上げたらきりがないわ。幾つも問題が起こってからだって、紅魔館の出荷量は減るどころかむしろ増えてる」
「みんな、知ってるの?」
「私くらいにはね」
「何でだよ、そんな……あんなに酷いものを……私だったら耐えられないよ。鶏肉だけで嫌になっちゃったのに」
「鶏肉だけに手に取りにくいのね」
「……あ、うん」


「何でどこも美鈴の作ったものを買うのかというとね、これには深い事情があるの」
「どんな?」
「とっても値段が安いの」
「浅いじゃん。一言で説明できたじゃん」
「わかってないわねぇ、かなり重要なことよ? たとえばニンニク一つとったって、美鈴のとこは普通の3分の1の値段だもの」
「そんなに?」
「すごいでしょ。萃香、あんたはしょっちゅう宴会してるけど、もし会費が3倍になったらどうする?」
「え……」
「5000円で済んでたところを15000円になっても気易く払える?」
「ちょっと、躊躇する、かな」
「そうよね。みんな同じよ。値段が安い方を取る。そうして紅魔館の食べ物を口にするの」
「私、宴会で……」
「やっと気づいたわね。そう、もうあちこちの宴会で食べちゃってるのよ、紅魔館産のを。今さら食べないなんてできないし、意味無いわ」
「これからも食べないといけないの、私……?」
「暗い顔しない。大丈夫よ、みんな食べてるもの──紅魔館の奴ら含めてね」






「やぁ、門番。食事中のところ、いいかい?」
「あ、萃香さん。いえ、モグモグ、大丈夫ですよ。ングッ」
「オニギリ、食い終わってからで構わないよ」
「いえいえ、どうぞ。どのような御用向きで?」
「今度神社で宴会やるんで、みんなに伝えてもらいたいのさ」
「はい、わかりました」
「あと、酒の肴のために……これだけ」
「ええと、はい、この紙に書かれている食材をご購入ですね。毎度ありがとうございます。すぐに用意します」
「…………いろいろ問題あるにせよ、こいつもそれなりにプロ意識持って食いもん作ってるんだな。霊夢の言う通り、自分で口にしてもいるし、私の方が神経質だったってことか」
「何か?」
「いや、何でもないよ。細かいことは気にしないってね」
「? まあ、いいですけど」
「それより美味そうなオニギリじゃないか。自分で作った米を自分で炊いて食うなんて贅沢だよな」
「ああ、いえ、これは人里で作られたお米ですよ。私のところで作っている化学肥料使いまくった大量生産品とは違って有機栽培。味も栄養も抜群です」
「え……」
「しかも無農薬で安全です。まあ、そのぶん値は張りますが、何しろこちらの生産物が売れに売れて懐が温かいので、食べるものくらいにはお金を掛けようかと」
「…………」
「具の鶏肉も地鶏で、その日さばいた新鮮なものです。とっても美味しいですよ」
「…………」
「あれ、どうしたんですか、萃香さん。なぜ握りこぶしを振り上げてるんですか? しかも、かなりの殺気が込められ──きょ、巨大化まで?! ま、待って、待ってください! そんなにしたら死んじゃいますって! いったい私が何をしたって──」
その後、紅魔館産のものを使っていないことを示す「美鈴フリー」のシールが出回ったとか、出回らなかったとか。
らいじう
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
不愉快な読了感しか残らなかった
2.名前が無い程度の能力削除
美鈴虐めか
3.名前が無い程度の能力削除
そんな紅さの紅魔館は嫌だww
今回の事件があっても相変わらず身の回りの食材はチャイナ産が大半ですしねえ……
早苗さん達ならもっと良心的なんでしょうか
4.名前が無い程度の能力削除
この場合懐が潤うのは一番上のレミリアだけで下は薄給、格差が広がり美鈴の食生活は酷いものに。と言うお話になるのでは
あそこ日本もびっくりの格差社会だったと思ったけど
5.名前が無い程度の能力削除
そりゃ自分たちが一番危険性知ってるからくうわけないよなぁー
6.名前が無い程度の能力削除
そりゃ自分たちが一番危険性知ってるからくうわけないよなぁー
7.名前が無い程度の能力削除
そりゃ自分たちが一番危険性知ってるからくうわけないよなぁー