紫視点の藍×紅白

　ただいまー。
　お仕事頑張りすぎてお腹空いちゃった。ねぇ、藍、何か作って……って、何よ、その口に当てた人差し指。静かにしろってこと？
　要救助者がいるわけでもないのに、なんでサイレントタイムなのよ。
　そういえば、いつもと違う箇所があるわね。藍の足が四本あるとことか。
　そっかー、藍ってば九尾の狐からケンタウロスにジョブチェンジしたのかぁ。それとも昆虫になったのかしらぁ。……なーんてね。
　で、実際のところどういう状況なのよ。その足の持ち主、ピクリとも動かないけど。
　足首から上は尻尾に埋もれて見えない──まさか、あなた、お尻から人間を食べたわけじゃないわよね。そんなところをあんぐり開ける二口女とか式にしたくないわよ、私。
　あ、霊夢なの、その足は。へえ。
　なるほどね、藍も霊夢をお尻から食べる年頃か。
　冗談よ。拳を上に向けてグリグリやるジェスチャーはやめてちょうだい。見ているだけで私の水戸黄門がご隠居しちゃうわ。ねじ込まれる趣味は今のところ無いの。
　うふふ、本当に大事に思っているのねえ。だから、ついからかいたくなっちゃうのよ、そのバカップルぶりをね。
　それで、何がどうしてそうなったわけ？
　ふんふん、私が留守だってので、霊夢はこっそり遊びにきたわけね。今まで会えなかった分、会えても人目を気にして接触できなかった分、ここぞとばかりに思いっ切り甘えたんだ。そして、たっぷり藍を堪能したあげく、最後には尻尾の根本を抱きしめて、そのまま寝落ちしてしまったと。
　それはまあ、ずいぶんと無防備ねえ。私の知ってる博麗の巫女って、常々魑魅魍魎に狙われているから、そうそう人前で眠らないものなんだけど。寝たって浅い睡眠で、ちょっとした気配ですぐ覚醒するはずだしねぇ。
　それだけ信頼されてるってことかしら。もう精神的にもべったり抱きつかれてるわよ、あなた。
　はいはい、そういうふやけつつも誇らしげな顔しないの。だからバカップルだって言ってるのよ。
　いいの？　それだけ爆睡してるようだと、ヨダレとか垂れてるかもしれないわよ。洗うの大変でしょうに。……え？
　マーキング、って……自分の物だって印を付けてもらえて嬉しいって……はぁ、重症ね、この恋の病は付ける薬がないわ。
　かつては傾国の美女と言われたあなたが、ここまでぞっこんになるなんて。その相手が年端も行かない女の子だなんて。実際、世界の七不思議の一つに数えてもいいんじゃないかしら。
　わかったわよ、霊夢が起きるまでそこに座ってらっしゃい。食事は後でいいわ。
　だってもうお腹いっぱい。ごちそうさまって感じだから、ね。
　

藍紅白って書くと、乱交博って脳内変換しちゃう