Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

かぞえる

2012/03/03 01:09:32
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掴まれて、抱きしめられた。
私より小さく骨ばった手が、忙しなく動き回る。
ずずいと近付かれ、口元に集まる視線。無言の圧力。

「んむっ」
「んちゅぅ……」

赤子のように無我夢中で吸い付かれる。
いや、たとえの話であって赤子に吸い付かれる感覚なんて知らないんだけれど。
唇同士をくっつけ、すりあわせる。境目を舌でなぞられる合図で私は口を開く。
んくぅ。
鼻から音が漏れ出して、笑われた気がした。

えっちな音
誰が出させてんだか
さぁ、出してるのはみなみつでしょうに
うっさい、ばか!

声には出さない。覚りの能力でもない。
目を見て、舌を絡ませて、肌を重ねて、相手の言いたいことを読み取る。
忍び込んできた舌を甘く噛んだ。

もっともっと奥まで、口腔内の全てを舐め尽くそうと赤い蛇は蠢く。
私のナカで好き勝手に暴れて、私の理性はもう、ぐずぐずになっちゃうのだ。
ぁ、ぃっ――

ぬえの牙が当たる。ちくっと針が刺さるような痛みを感じる。
痛いけど、それが嬉しい。必死な証拠だから、私はそれの回数を馬鹿みたいに数えている。
たまにやすりで歯を削っているのを知っている。私を傷つけないためなんだってさ。
どうせ興奮したら伸びちゃうくせに。かーわいいの。

湿った呼気と生ぬるい唾液が流れ込んできて、喉奥を越えて内蔵まで達して私の一部になる。
きっと私の呼気と唾液もぬえのナカに入っていってる。
キスは唾液交換のための行為じゃないのに、なんだか笑ってしまう。

抱き寄せられて一層近くなって、また牙が当たった。1、2……あ、3回目。
このままもっと深く、自分の全部をさらけだして愛し合った回数は数知れず。
キスに至っては星の数ほど。

私はたくさんの事柄を、可能な限り数えている。
生死の概念のない無限に続く時間に存在する私は、同じく無限に続く数で不安を紛らわす。
かぞえて、自分の中を満たして、有限を無限であるような錯覚を起こすのだ。
私はこっそり数えている。

水蜜が好きって言ってくれた回数、愛してるって言ってくれた回数。
幸せそうな笑顔の中でふっと表情が曇る数。
私を求めて啼いている最中に、本気で悲しくて泣いていた数を。
水蜜みたいに無限じゃない私は有限の時間の中に記憶として刻む。同時に彼女にも刻んでいく。

私がみなみつの不安に気付いてないとでも思ってるの?
はっ!それは勘違いも甚だしいわね。
何もかも全部を知っていると豪語するほど自惚れではないけれど。
私は誰よりも、下手したら水蜜自身以上に彼女のことを知っている自信がある。

「あ、新しい黒子みっけ」

ほらね、またひとつ。
水蜜の知らない水蜜のこと、見つけたよ。
どうしようもないくらいに愛してやるんだから、観念なさい?
数えるのも億劫なくらい、余裕もないくらいに思考をぐずぐずに溶かしてあげる。
未来永劫とこしえにいられる方法、一緒に探してさ、二人で末永く幸せになろーうよ!


【追記 3/12】
奇声様 何ともいえぬ雰囲気を感じて頂けたなら幸いです。
2様 またぬえムラです、大好きなんです。その題は……他の拙作もお読み頂いている紳士の方とお見受けします、ありがとうございます。この子たちへの愛が辛抱たまらんくなったら長い話も投稿してみたいと考えております。
3様 二人はエチかわ! 個人的にはぬえ攻めの方がより良いなぁと思ったりします。

コメントどうもありがとうございました!これからもぬえむら愛していきます!
アサトモ
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
この短さにとてもエロスが詰まってる…
2.名前が無い程度の能力削除
またあなたか!
相変わらずのぬえムラで安心した。
いつかは牛乳飲もうの話みたいな、長めのものも読みたいものだ。
3.名前が無い程度の能力削除
可愛くてエッチくて、村ぬえイイね!