Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

林檎を食べたのは誰?

2006/08/27 12:41:17
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林檎を食べたのは誰?
私?
あなた?
それとも彼女?
こんなに真っ赤で、こんなに毒々しいのに、それなのになんで食べてしまったのかしら?
分かっている筈でしょう、あなたほど頭がいい人なら。
それは毒。
救いようの無いほどの深手を与える、不可逆な作用を及ぼす毒物。
ええ、誰だって間違えることはあるわ、それは確か。
でも、だからってこれは致命傷。
あまりにも救いようの無い間違い。
断崖から飛び降りた人間を、いったいどうやって助けられるのかしら?
それはもう、終わってしまったということ。
できるのは、直下に柔らかな地面がある幸運を祈ることだけ。
だから、そもそも落ちなければ――食べなければいいだけのことなのに、どうしてそんなあやまちを?
もう助けられない。
誰もあなたを救えない。
あなたは闇夜を独りで彷徨い、
内からの劫火に身を焦がし、
醜い屍をさらすだけ。
そう、あなたが踏み入れたのは無限の地獄。
どこにも、蜘蛛の糸は垂れていない。
そんなのは、御伽噺だけのもの。
自分の姿を見返してごらんなさい?
あなたの在り方と、そのイマの立ち位置を確かめてみなさいな。
そうすれば、分かるでしょう。
いったいあなたが何処へ向かって船を漕いでるのか。
そこは断崖。
そこは絶望。
そこは毒素の巣にして一片の光明も射さない永劫の常闇。

ああ、なんて愚か。
なんて暗愚。
なんて暴走。
あなたが捨てたはずのものが、巨大な迂廻軌道を描いて戻ってしまった。
あなたが無視したものが、いつの間にか目の前にあった。
それが、どれだけ貴重で暖かいのか、今更になって分かってしまった。
それが、あなたの罪。
それが、致命傷。
無知と無視が産みだした、あまりに当然で必然的な帰結。

――――ええ、そうね、いつの日にか、やっぱりそれは来たのかもしれないわね。

知と血と智を幾億と折り重ね、見渡すことも一苦労するタペストリーを作ったというのに、あなたはそれを自分で引き裂いた。
生を否定し、情を否定し、想を否定し、精緻に組み上げ続けた『それ』を、ただの一撃で壊してしまった。
壊れてしまった。

あなたがそこで得たのは壊れた知性。
間違った方向性。
不毛に整備された情報網。
狂いそうな情動に、知覚する己の醜さ。
未来への絶望
――そして……あたたかい涙。
狂おしいほどに欲する甘い傷。
狭かった自分が壊され、波間に漂い傷つき傷つけられる万華鏡の世界。
色彩の世界。
恋するあなたは何を得るのかしら?

林檎を食べたのは誰?
私?
あなた?
それとも彼女?

ねえ、パチェ。
私たちきっと、とても愚かだわ……

コメント



1.名無し妖怪削除
深いな。