Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

カレンダーの間違った正しい読み方

2011/06/06 21:54:03
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チルノと紅魔館の面々の関係は極めて良好である。
悪戯好きではあるが基本的に素直なチルノは
お菓子という報酬があれば氷を出してくれる。
この氷は夏場の涼を取るのは勿論のこと
食材の保管や料理をする際に必要だったり
魔法の実験にも使うことがある。
パチュリーの魔法でも氷を出したり冷やしたりは
出来るがお菓子と交換で手軽に大量に出す事が出来る
チルノの利便性には敵わない。
なのでチルノは初めは紅魔館の面々から重宝されていたが
今では氷を出す能力を除いても良好な関係を築いていた。

今日も今日とてお手伝いの御褒美にお菓子を貰ったチルノは
自身と大妖精、それに何人かの妖精の棲家である
とても大きな木の中に作った妖精の家でお菓子を皆に分けて
おやつタイムをしていた。
「… …」
今日の御褒美はチョコレートケーキ。
先程まで美味しそうにケーキを木で出来たフォークで
食べていたチルノだが、急に動きを止め一点を食い入るように
見始めた。
「チルノちゃん?」
大きな楕円の木をそのまま輪切りにしたような机を囲み
チルノの隣に座っていた大妖精がチルノに声をかけた。
「チルノちゃん?どうしたの?」
声をかけたが反応が無いチルノに大妖精は
再び声をかけた。
しかし、チルノは一点を見続けたまま微動だにしない。
気になってチルノを視線を追うとたまに行く人里の寺子屋で
読み書きを習ってチルノが日付を読めるようになった
お祝いに慧音から貰ったカレンダーがあった。
「大ちゃん。今日って6月の6日?」
「うん。そうだけど何か予定がある日だった?」
予定がある日には赤い丸を書くようにしているが
カレンダーを見る限り、今日は何も予定の無い日だった。
「あのさ、3月の初めから数えてさ…」

「うーん。そういえなくもないかな?うん」
「変かな?」
「変では無いと思うけど、どうして?」
「あのさ…いつもさくやにお菓子貰ってるからさ…」
「うん」
「あのね…お礼に何かあげたいの。」
「送り物ってことかな?
 でもチルノちゃんも氷を出してあげてるんでしょ?」
「うん。だけどあたいの氷は簡単にバーッて出せるけどおいしいお菓子は
 作るのが大変なんでしょ?」
「そうだね。」
「だからね…あたいも何かあげたいなって…」
なんとなく気恥ずかしいのか少し顔を赤らめながらチルノは言う。
「うん。いいと思うよ。」
「ほんとに!?」
「送り物するのは良い事だし
 そういう理由なら咲夜さんも喜ぶんじゃないかな?」
「やった!よしじゃあ…」
皿に残ったケーキを口一杯に頬張りあっという間に食べ終え
「じゃあ、プレゼント探しにいってくる!」
叫びながらチルノは家を飛び出した。
「チルノちゃーん!危ない所には行っちゃダメだよー」
大妖精の声に大声で大丈夫ー と叫び返しチルノは紅魔館へ向かった。

紅魔館に近づいてくるチルノに門前の美鈴はすぐに気付いた。
「あら?チルノちゃん。忘れ物ですか?」
「ううん。違うよめーりん。こんにちわ」
「はい、こんにちわ。ちゃんと挨拶してえらいですね~。」
チルノの頭をふにゃふにゃとなでる。
「あのさ、あたい図書館に行きたい。」
「図書館に?パチュリー様に氷を頼まれましたか?」
「ううん。今日はそうじゃなくて聞きたい事があるの。」
氷の主な使用用途の1つにパチュリーの魔法の実験があるが
今日はそうでは無いらしい。
「聞きたい事ですか?」
「うん。あのさ、今日って…」

「ほぉー。そういう捉え方もあるんですねぇ。」
再度、チルノの頭をなでる。
「ちょっとくすぐったいよ。でね、何か良いプレゼントないかな~って。」
「良いプレゼントと言うと?」
「どうせならびっくりするような物がいいなーって思ってさ」
「びっくりする物ですか…」
何か最近見かけた気がしないでもないような…
「なんかあるの?」
「ちょっと待ってくださいね。たしか…あった!」
「なになに?」
「チルノちゃん、ちょっと私の部屋まで付いて来て下さい。」
「良い物があるの?」
「良い物自体では無くてヒントになりそうな物があります。」
チルノを伴って門番の詰所に入る。
「ちょっと待っててくださいね。」
美鈴はチルノを椅子に座わらせて待たせ、本棚の本を流し読みしていく。
「確かこの辺りの本に…あ!あった!ありました!」
「良い物が?」
「そうですよ。じゃーん!これです!」
美鈴が開いてチルノに見せた本には…
「花?うーん…字は読めないや。」
「あぁ すいません。えーとこの花はですね。」
美鈴も本を覗きこみながら説明する。
「銀露紫陽花と言いまして、この時期に咲く珍しい花なんですが
 花自体が珍しいのに加えて銀色のとても美味しい蜜が取れるのですよ。」
本には全体は濃い青で花の先端部分が少し銀色の不思議な紫陽花の絵が載っていた。
「銀色の蜜?」
「そうです。咲夜さんにぴったりのプレゼントだと思いませんか?」
「銀色…うん。うん!いいね!これにしよう!」
チルノは大喜びで賛成する。
「ただ問題はとても稀少…
 つまり珍しいので中々見つからないらしいのですが…」
「大丈夫!あたい、花に詳しい友達がいるから聞いてみる!
 めーりんありがと!」
「どういたしまして。」
「じゃあ行ってくる!」
チルノは美鈴に手を振りながら詰所を飛び出していった。
「頑張ってくださーい!
 あ、後、花に詳しいお友達を今度紹介してくださいねー!」
美鈴は自分も紅魔館の花壇などで花を育てているのでチルノの
花に詳しい友達というのが気になってそう声をかけた。
「わかったー!幽香に今度一緒に紅魔館いこーって誘うー!」
チルノが見えなくなるまで手を振って美鈴は門の方へ戻っていく。
「楽しみですねー。幽香さんって言うんですかー。ゆうっ!?」
驚いて振り向いた美鈴だったが見えなくなるまで手を振っていたのだから
当たり前だがチルノの姿はもう見えなくなっていた。

「へぇー。プレゼント、にねぇ…」
「うん!幽香、何処にあるか知ってる?」
最強の妖怪と言われれば全員では無いが
多くの者がその名をあげるであろう花の妖怪。
風見幽香
が、しかし
「そうね。今から花に水を上げるんだけど
 手伝ってくれたら教えてあげるわよ。」
「わかった!あたいにどんと任せろ!」
「ふふ お願いするわね。」
花を大切にする者には優しい。
それが幽香である。
前はチルノも花を凍らせて遊んだりしていたが
大妖精や慧音に花を大切にする事を教えられ
花の異変で花をないがしろにした事を反省してからは
幽香の友達である。

「チルノが頑張ってくれたお陰で早く終わったわ。」
「えっへん!まいったか!」
「大妖怪の私も流石にこれには参らざるをえないわねぇ。」
幽香は美鈴のようにチルノを頭を優しくなでる。
「じゃあこの花!どこにあるか教えて!」
チルノは美鈴から借りて…というより勢いのまま持ってきた
本を開きながら幽香に言う。
「教えるというより私の家の前の花壇に咲いてるわよ」
「ほんとに!?」
「ええ、ほんとよ。」
「やったー!とうざいもっとくらいだ!」
「灯台下暗しかしら?ちょっと意味は違う気がするけどね。」
幽香について家の花壇まで行くと本と同じ花
銀露紫陽花が咲いていた。
「ちょっと待ってなさいな。」
チルノを待たせ家へ入った幽香は
すぐに幾つかの道具を手に戻ってきて
「こうして…はい、どうぞ。」
瞬く間に紫陽花で花束を作ってチルノに渡した。
「すごい!キレイ!」
「咲いてる花も美しいけどそのまま枯らしてしまうなら
 誰かに喜ばれる形にした方が良いって事もあるわよね。」
「咲いてる花は切らない方が良かったって事?」
「ちがうわよ。その花束も花に取っては1つの幸せの形って事よ」
「お花もしあわせならすごくいいことね!」
「そうね。早く持っていってあげなさいな。」
「うん!幽香ありがと!」
花束を抱えてチルノを幽香にお礼を言い飛び去ろうとし
「あっ!」
何かを思い出し振り返る
「うん?」
「あのね!美鈴が会ってみたいって言ってたから
 また紅魔館に一緒に遊びにいこうよ!今度!」
「あら、素敵なお誘いね。」
大方、チルノからただの友達という紹介でもされたのだろう。
まぁ 此方から出向いて蝙蝠小娘をからかってやるのも面白い。
そう思いながら
「ええ。楽しみだわ。」
微笑みながら幽香はそう返事をした。

もうすぐ夕食の支度の時間になる。
咲夜は懐中時計に視線を落とし一人確認をする。
今日の献立はすでに決まっているので
頭の中でレシピを確認しながら廊下を歩いていると
「さくやー!!」
チルノが文字通り飛んできたのでキャッチ。
瀟洒に抱きとめつつ
「こんにちわともうすぐこんばんわ。チルノ。」
昼と早めに夜の挨拶をする。
「さくや!見てこれ!」
「あら?見た事無い花ね?なにかしら?」
「ねぇねぇ!キレイ?この花キレイ?」
「ええ。キレイね。」
「もらえたら嬉しい?」
「そうね。貰えるのかしら?」
「うん!送り物!あたいからさくやにプレゼント!」
「あら?本当に貰えるの?」
「うん!プレゼントだからね!」
チルノから青く、少し銀色の花束を受け取る。
「ありがとう。どうしたのかしらこれ?」
「えっとね。めいりんにこの本見せてもらって
 さくやみたいな色だったからこれをプレゼントしようって探してきた!」
チルノの開いた本のページには花束の花と同じ花が載っている
美鈴の持ち物というからか異国の物かもしくはとても古いのか
全部を読む事は出来ないがところどころから解る言葉を拾い上げると
[この時期に咲く稀少な花]という事がかろうじて読み取れた。
「チルノ。この花探すの大変だったんじゃないの?
 それにどうして急に私に送り物を?」
「えっとね…」
「カレンダーで数えると今日は3月の98日の398でさくやの日だから!」
咲夜は嬉しいようなむず痒いような気がしてチルノをぎゅっと抱きしめた。

初投稿になります。湯葱いう者です。
咲夜さんが好きでチルノが好きで気付いたらこうなってました。
チル咲とか流行れ

6/8 一部内容修正と三点リーダー変更しました。 御指摘感謝感謝。
湯葱
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
カレンダー数えてきました。
うん、正しい。
次のチル咲に期待してます!!
2.奇声を発する程度の能力削除
成る程、確かにあってるw
最初は何かと思いました
3.名前が無い程度の能力削除
数えてきた、何の問題もなく3月98日だ。
次作も楽しみです。
4.名前が無い程度の能力削除
やっぱりチルノは天才だった。

あと三点リーダーは・・・より…や……にするのが小説のルールです。かなり見やすくなると思いますよ。
今後の咲チル分補給に期待してます。
5.月宮 あゆ削除
さっそく数えてみた
確かに98日だった。とんちが効いてチルノらしい柔軟な考え方で私は好きです。

次作も期待しています。
6.名前が無い程度の能力削除
チルノらしい考え方でいいですね
7.万葉削除
一生懸命なチルノに優しい幻想郷の皆さん、いや良いですねぇ。

チル咲……ふむ……ふむ。
8.名前が無い程度の能力削除
おもしろい、と言うか。心温まるお話でした。
9.名前が無い程度の能力削除
ハートフルやで…
10.名前が無い程度の能力削除
よかったですー
ほんわかほんわか
11.名前が無い程度の能力削除
すばらしいな
チル咲…チル咲…幽チル…チル咲