Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

平常運転

2011/03/21 11:51:53
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むかしむかし、あるところに三匹のニャリスが住んでおりました。

その場所は周りを森で囲われた広い草原で、ニャリス達は木の実などを採りながら生活をしておりました。

実際には木の実を採っていたわけではなく、朝になるといつも食べ物が置いてありそれを食べていたのですが、

きっとそれは妖精さんのおかげです。

妖精さんありがとう。



さて、そんな日々を送っていたニャリス達でしたが、ある日、長女ニャリスが突然こんな事を言い出しました。

「にゃにゃ、二人とも聞くにゃ、これからみんな別々の家を建てるんだにゃ。」

「どうしてだニャー?」

「立派なお家を建ててセレブな気分を味わいたいのにゃ。」

「けど、おねえちゃん達と別れて暮らすのは嫌だニャ。」

「大丈夫だにゃ。家は別々でも一つの家に住めばいいのにゃ。」

「それなら大丈夫だニャー。」

「そうと決まれば早く作ってしまうニャ。」


こうしてニャリス達は各々の家を作るために材料を探し始めました。


「にゃにゃ、これを見るにゃ。」

長女が見つけたのは藁です。

「ふかふかしてるニャー。」

「ほんとだニャ、気持ちいいニャ。」

「さっそくお昼寝するにゃ。」



一日が過ぎました。



「この藁を家にすればふかふかしてて、とってもいい家になるにちがいないにゃ。」

「それはいいかんがえだニャー。」

「立派な家をつくるニャ。」

まず、長女ニャリスが藁を立てようとします。


へにゃり


だめでした。

立てようとした藁は一秒と持たず倒れてしまいました。

藁を立てるのは至難の業のようです。

「私にまかせるニャー。」

次に挑戦したのは次女ニャリスです。


パサリ


やっぱりだめでした。


しかしながら、三女ニャリスは一味違います。

「藁同士が支え合うようにして立てればいいんだニャ。」

そう言って藁を人の字を作るようにして立てようとします。

なるほど、人と人が支え合って生きるように、藁と藁も支え合えば立てるものです。カモがいるからギャンブルだって成り立っているのです。

そうして、今まさに藁の家建設の第一歩が始まろうと・・・



パサパサリ


始まりませんでした。

二つの藁の束は音を立てて崩れ落ちました。

中身がスッカスカの藁程度ではお互いを支え合う事すら出来なかったのです。


「これはもうこのままでいいんじゃないかにゃ。」

「それがいいニャー。」

「ニャ。」


こうして長女ニャリスの藁の家(ベッドのみ)が完成しました。




「こんなのみつけたニャー。」

次女ニャリスが見つけたものはニャリスが二十匹ほども収まってしまいそうな巨大な一本の丸太でした。

「でかいにゃ。」

「かたいニャ」

「これを家にすれば、きっといい家が出来るに違いないニャー。」

「どうやって作るんだニャ?」

「にゃ?」

「ニャー?」




こうして次女ニャリスの木の家(丸太)が出来ました。あとは三女ニャリスの家を残すのみです。




「おねえちゃん達、いいものを見つけたニャ。」

三女が見つけたのはレンガです。なぜか大量にあります。

「かたいにゃ。」

「ニャー。」

「これなら頭突きにもAジャンプにも負けない家が作れるはずニャ。」

「にゃにゃ、それはすごいにゃ。さっそく作るにゃ。」

意気揚々と長女ニャリスがレンガを一つ持ち上げようとします。

「重いにゃ、持ち上げられないにゃ。」

ニャリスは非力でした。

「おねえちゃん、手伝うニャ。」

「ニャー。」

「にゃにゃ、レンガが軽くなったにゃ。これなら楽々だにゃ。」

非力なニャリスでも三人寄ればレンガだって動かせます。力持ちです。




そして三個レンガを運んだところで力尽きました。

「疲れたにゃ。」

「腕いたいニャ。」

「ニャー。」

疲れ果てたニャリス達はとぼとぼと藁の家に帰りました。

一夜明け、ニャリス達は再びレンガのある場所に行ってみました。

すると、どうしたことでしょう。

昨日まで平積みのままだったレンガの山は姿を変え、そこには立派なレンガの家が建っていました。

「にゃにゃ、レンガの家だにゃ。」

「きっと妖精さんがたててくれたんだニャー。」

「入ってみるニャ。」

警戒心もなにもありません。彼女達は純粋で穢れのない魂を持っていたのです。

「ごつごつしてるにゃ。」

「暗いニャー。」

「藁の家のほうがいいニャ。」

散々な言い様です。彼女たちはどこまでも自分に正直でした。


そんなわけで、ニャリス達はいつも草原で遊び、寝るときには藁の家、雨の日にはレンガの家で暮らすようになりました。








しかしながら、そんな彼女達の平和も長くは続きませんでした。

紅の巫女、霊夢がニャリスを捕まえにやってきたのです。

「ハァ、ハァ、ニャリスの匂いがする、生足、ニーソ、もしくはタイツ、ドゥフフフ。」

ニャリス達は怯えました。

「にゃにゃ、怖いにゃ。」

「こっちくんニャー。」

「逃げたほうがいいニャ。」

逃げようとするニャリス達でしたが、霊夢は狡猾です。

腋から毛を一本抜いたかと思うと、フリフリと振り始めました。

「にゃにゃ、なんだそれにゃ?」

猫科であるニャリスに霊夢の腋じゃらしを防ぐ術はありません。

長女はほいほいと霊夢の傍へと近づいてしまいました。

「ニャリス一匹げっとぉおおおおおお!!!」

長女は霊夢に捕まってしまいました。

「にゃにゃ!つかまったにゃー!!

「おねえちゃーーーん!」

「ふたりともにげるんだにゃ。」

「おねえちゃんを置いていくなんてできないニャ。」

「あいつの犠牲を無駄にしてはならないニャー。」



二人が逃げたのは丸太の家です。

丸太の周辺を回っていれば捕まらない作戦に出たのです。

しかしながら、霊夢は空を飛ぶことができました。

「二匹目げっとぉおおお!!」

次女も捕まってしまいました。

「捕まったニャー!」

「おねえちゃーん!」

「おまえだけでも逃げるにゃ!」

「ニャー!」

「ニャー!」

「ニャー!」



最後に三女が逃げてきたのはレンガの家です。

ここなら空から襲われる心配もありません。

出入り口だって一つです。ここさえ塞げば安全なはずです。

塞ぐもの塞ぐもの・・・ありました。レンガです。

「重いニャ、一人じゃ動かせないニャ。」

「それなら私が持ってあげる。」

「ありがとニャ。」

「私が持つのはニャリスだけどね。」

「ニャ?」


あっけなく全員霊夢に捕まってしまいました。一体これからどうなってしまうのでしょう。

ゴスロリ服や背伸びしたいお年頃の少し大人なきわどい水着などを着せられてにゃんにゃんさせられてしまうのでしょうか。

いいえ、そんなことはありません。

ニャリス達の危機を察し、妖精さんが助けに来てくれたのです。

妖精さんは地面からその銀色の身を乗り出したかと思うと、しなやかな体を霊夢の足首に巻きつけて霊夢の体を空に放り投げてしまいました。

そして、次女の家(丸太)を持ち上げて空中で体制を整えようとしていた霊夢にぶち当てたのです。

霊夢は星になって消えていきました。

「にゃにゃ、妖精さん助かったにゃ。」

「ありがとニャー。」

「命の恩人だニャ。この恩は忘れないニャ。」

ニャリス達がお礼を言うと、妖精さんは身をくねらせて「b」の形をとり、静かに地面の中に消えていきました。

草原に再び平和が訪れたのです。

ですが、この平和も一時的なものにすぎません。

今日ニャリス達を襲ったのは霊夢の中でも最弱のベス霊夢です。

触手を持ったホイミ霊夢やT1000型のはぐれメタル霊夢が来るのも時間の問題でしょう。

ニャリス達の戦いはこれからも続きます。
はい、タイトルどおりです。
前回思った以上に高得点をいただきまして、大作を投稿しなければならないのではないか、という見えないプレッシャーを感じたりしていたわけですが、私ってそもそもこれが平常運転じゃない?と思い投稿に至りました。
最初はダンボールで生活しているニャリス達を霊夢が拾う話だったんですけどね。霊夢さんは理性を抑えきれなかったんですね。








なまにく・・・だと!?
ひきにく
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
一行目のインパクトが凄いですwこの一行に完全に心奪われました
もうニャリスが可愛すぎて堪らないです!!一匹と言わず三匹全部欲しい!!
2.名前が無い程度の能力削除
相変わらずシュールな作風だ。
最初の想定のものもぜひ見てみたいです。
3.名前が無い程度の能力削除
私にもニャリス一匹ください
4.名前が無い程度の能力削除
こっちくんニャーがメガヒット
怖いことしないからおねーさんの所においでフヒヒ
あとがきの話是非とも読みたいです
5.けやっきー削除
>カモがいるからギャンブルだって成り立っているのです。
この一文の妙なインパクト…w