Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

クリスマス興行

2010/12/25 03:07:47
最終更新
サイズ
7.76KB
ページ数
1

分類タグ


 12月24日……

 クリスマスと言われるこの日において

 里の一角に大きなテントが張られる

 そして、その会場の中に集まる観客達

  

 このクリスマスと言う名の日に此処に集まる観客達は

 皆、そろいも揃って暗い顔をしていた

 この聖なる日になぜそんな暗い顔をしているのかは単純な理由であり

 入り口の看板に掲げられていた通りであった

『カップルの入場禁止』

 そう、つまり此処に居る皆は全てクリスマスに爪弾きされた者

 つまりは作者と同じく一人身の方々であった

 親に子供の顔がみたいとぐちぐち言われたり

 外に出ても聖なる日を口実に楽しむカップルどもを嫉妬して
 
 挙句に兄弟が恋人と過すから邪魔だと家を追われた者も居る

 そんな彼らを優しく受け入れてくれるものが
 
 里の中に出来ていたらどうなるか?

 その答えがこのテントの中に集まった観客達の姿であった

  
 

 観客席がほぼ埋まりかけて来た時

 フッとテントの中の照明が落ちて低い振動音が響く

 突然の事に暗くなっていた観客達がざわめくが

 暫くすると、テントの真ん中にライトが当たるのをみて、皆がそこの注目する 
 
 そこにはいつの間にか用意されていた特設リングが用意されていた

 実は河童の技術で初めからテントの真ん中に用意された物が上がってきただけなのだが

 里の人達からしてみたら、いきなり準備されたリングに

 驚きを隠せない為ザワザワと慌て始める、そんな時だった



『トラだ!お前はトラになるんだ!』

 唐突に軽快な音楽が流れると共にテントの北の方へライトが動き何者かが走ってきた

 観客達の後ろから颯爽と現れたのは虎の仮面を被った人物

 長身の姿にマントをなびかせ、ハーフマスクの下に覗く

 キリッとした輪郭、そして華麗な空中殺法を得意とする正統派レスラー

 その人物の姿がリングの前まで走りこむと颯爽とジャンプをして

 コーナーの上に両足立ちで立ち、片腕を上げた
 
 そのアピールに沈んでいた観客達がざわめきはじめる

(び、毘沙門タイガー!?)

(嘘だろ!?)

(きゃあー!タイガー様~♪)
 
 最近里に現れた命蓮寺所属の人気レスラーの登場に観客達が歓声をあげる
 
 特にマスクから見える口元から相当のハンサムだと推測される事と

 その姿からは想像がつかない程の華麗な戦い方から

 主に女性陣の観客達から歓声が大きく上がる

 そんな中、毘沙門タイガーがリングの上に降りると
   
 今度はその反対方向のテントの南側にライトが移動した
   
    

『マッチョドラゴン!燃えあがーれ!』

 それと同時に調子っぱずれた変な音程の曲が流れて

 テントの南側から何者かが姿を現した

 その頭に見えるのは赤いドラゴンを模したハーフマスク

 そして、チャイナドレスに見えそうなコスチュームで     

 堂々とした歩みである人物がリングに向かっていく

 その人物が完全にリングの下に現れると同時に

 先程と同じく観客達が沸きあがる

(お、おい!スカーレット・ドラゴンじゃないかあれ?)

(マジかよ?確か腰椎損傷で引退したはずだろ?)

(やべ!生足バージョンのドラゴンは本気だぞ!)

 紅魔館所属の引退したとされる伝説の女性覆面レスラーの登場に場が燃え上がる

 チャイナドレスのスリットから見える生足の通り

 その戦い方は変化自在の蹴りを主体をすると同時に
 
 観客を魅了する奇襲を仕掛けるのが戦術であった 

 だが、その技は本物で観客を魅了するに足りる色気があった

 故に男達からの歓声が大きく上がる  

 そんな観客達に対して、サービス気味に投げキッスをすると

 ロープを背にして豪快なバク宙でリングインをする

「あーあー、マイクのテスト中」

 その胸元中からマイクを取り出してスイッチをいれると

 観客全員に聞こえるように叫んだ


「クリスマスに寂しい思いをしている野郎ども!」

「そんな貴方達の為に!今日は一日だけ復活して熱い試合を見せてあげます!」

(うおぉぉぉぉぉっ!?)

 スカーレット・ドラゴンの言葉に観客達が吼える



「会場に来ている女性の皆さん!」

「えーと……試合中に観客席に私が飛び込むかも知れないので気をつけて!」 
 
(きゃあああああ♪)

 次にマイクを持った毘沙門タイガーが少し引き気味にそう伝えると

 会場に居た女性達が一気に会場の前に出ようとする 

 その様子に、スカーレット・ドラゴンが口元をニヤつかせる

「良いですねそれ、皆も私達が飛び込んだら優しく受け止めてくださいね~」

(うらああああああああ!!!)

  

 クリスマスに集まった一人身の観客達から暗い表情が消える

「なお、この後もマスク・ド・ドンゲさん」

「ムシキング・リグルさん達も駆けつけてくれますから」

 スカーレット・ドラゴンと毘沙門タイガーが同時に観客席を指差して叫ぶ

『皆でクリスマスを楽しみましょう!』

『おおおおっ!』  

 その言葉に会場が一体となって掛け声があがる

(では、早速……)
(い、いきなりですか?美鈴さん)
(だから楽しいんですって、ほら、星さんも一緒に)
(わ、わかりました)

 それと同時に毘沙門タイガーとスカーレット・ドラゴンの二人のレスラーがこそこそと呟いてから

 二人が一気にロープに走りこむ

 その動きに観客達が戦いが始まるのかとリングに注目をすると

「ドラゴン・セントーン!」

「う、ウルトラ・タイガートペ!」  

 対戦相手じゃなく、場外の観客席に二人が飛び込んでいった





      ・・・





「うわあ、場外に飛び込むって冗談だと思ってたのに」

「本当にやっちゃいましたね」

 その様子を少しはなれた選手室から見ている二人の姿があった

「……あんなのいきなりやられたら、後が大変ですね、鈴仙さん」

「あはは、私達も飛び込まないといけないかな?ムシキングさん」

 その様子に少しだけ苦笑いをしながら

 目の部分にメガネっぽいマスクをつけた鈴仙と

 正体不明のマスクレスラーのムシキング・リグルであった

「でも、クリスマスにこんな事してても大丈夫なの?」

 何気ない一言だったのだが、その言葉に鈴仙が目をそらす

「……師匠に強制的に…」

「あ~ごめんなさい……」
 
 申し訳なさそうにムシキング・リグルが伝えると

「なーんてね♪」

「えっ?」

 鈴仙が嬉しそうに振り向く 

「夜に師匠がケーキ用意してくれるって言ってましたし
 落ち込んで病気になる人が出ると師匠が忙しくなっちゃうからね」

「そっか」

 二人がそんな会話をしながら待っていると

 選手室のドアが開かれた

「おーい二人とも」

「あれ?慧音さん?」

 そう言って姿を現したのは里の半獣であり

 今回のテントを作った張本人である慧音であった 

 この季節になると、里の中ではクリスマスの二極化が激しくなる事が

 慧音にとって、悩みの種であったのだ

 それを解消する為に、このような企画を思いついたのだが

「どうやら会場は盛り上がってるみたいですね」

「ああ、おかげで今年はクリスマスを寂しそうにしている奴らも喜んでいるさ」

 この企画はどうやら成功のようであった



「のはいいんだが……すまないが……もうそろそろ、出番だと言いに来たんだ」

「えっ?もうですか?」

「二人ともまだ戦ってるんじゃないんですか?」 

「……いや、確かに本来の出番はまだかもしれないが…」

 慧音が言いよどんで会場を指差す
  
 二人がそれにつられて、会場を見てみると 
  




     ―――



(うおー!ドラゴン、こっちに飛んでくれ!)

『それじゃあ受け止めてくださいね!?トペ・スイシーダ!』

(きゃー♪タイガー!こっちに来て~♪)

『リクエストのお答えししまして!三角跳びラ・ケブラータ!』

 

     ―――




「……あ~飛んでる」

「……た、楽しそうですね」

「まあ、皆楽しんでいるから良いとは思うがな」

 試合そっちのけで、場外にダイブ技を決めている姿に

 三人が苦笑いを浮かべた

「しかし、そろそろ試合を戻さないと……なあ?」

「そ、そうですね」

「帰れなくなるとてゐにケーキ取られちゃいますし」

 慧音の言葉に、二人が頷くとドアーの前に立った    

「よし、それじゃあ早速いきましょうか?マスク・ド・ドンゲさん」

「そうね、ムシキングさん」

 二人が会場に向かって走り出していった  
 
「……今年は皆が笑えるクリスマスになってくれそうだな」

 その姿を後ろで慧音がそっと見つめていた








(ドラゴーン!)

『あははっ♪ドラゴンロケットです!受け止めてくださいね?』

(キャータイガー♪)

『今度はあっちの女性に向かって、ランディングボディープレス!』

(ドンゲ!俺だ!俺を蹴ってくれ)

『全くもう……本当にダイビングミサイルキックするわよ?』

(リグルキター!こっちに飛んでくれ!)

『一回だけだよ!?シューティングスタープレス!』

 

 リングの上に集まった4人のレスラーがそう言ってから皆、

 コーナーの上に駆け上がると

『メリークリスマス!』

 その掛け声と共に、場外に向かってダイビング技を仕掛けた
 どうも、名も無き脇役です……

 いや~、昨日のクリスマスが仕事で潰れて……

 ……の前に彼女もいなくて……

 ……ついでに、医者から甘い物も止められて……

 でも、里でのイベントで憧れの美鈴……げふげふ

 スカーレット・ドラゴンさんの

 ドラゴン・セントーンで尻を顔で受けちゃってさ
 
 いや~、何人か知っている人いたけど良いクリスマスだったわホント

 ……星ちゃんやリグルやウドンゲの飛び込みを受け止めた人居るかな?
名も無き脇役
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
スカーレット・ドラゴン……絶対門番ではないのか!?
そして、なぜ慧音が出ないのだ! 組み合いで押しつぶされる乳が! 乳がぁ!

……コホン。これは脇役プロレス再開の予兆と見てよろしいか? 萌える闘魂とレスラー殺しの2回目のデートに期待してよろしいか!?
2.名前が無い程度の能力削除
なんというクリスマスプレゼント
3.こーろぎ削除
あっしもスカーレット・ドラゴンにやられたぜ・・・ ゲヘヘヘ、今でも、あの胸の感触は覚えて(ry
4.奇声を発する程度の能力削除
良いプレゼントだ!
5.削除
脇役さんのプロレスだぁ!
6.名無しのよっしん削除
きゃー毘沙門さまー!こっちきてー!
7.投げ槍削除
のっけからタイガーマスクのOPが脳内再生された小官はきっと負け組