「アリスはモテると思う」
「いや、モテないわよ」
突然何を言い出すんだこの娘は。
珍しい、二人きりの神社でのお茶会の最中。
紅茶入りのニューハーフな湯呑を両手で持った霊夢に、遊び人の烙印を捺された私の気持ちは、余程奇怪な思考回路の持ち主でなければ、理解してもらえるだろうか。
否、そもそも目の前の人物の発現自体が奇怪なのだったと考えなおし、どうして、と紅白に問いかける。
「だって」
「あによ」
「アンタの隣に誰がいても、全然違和感ないんだもん」
頬をほんの少しばかり膨らませながらの返答に、納得のしどころを探してみた。
まあ、見つからなかったが。
「いや、ちょっと待って。 霊夢タンマ」
探すものが違うのだから、見つかるはずがないだろう。
自分がモテる、という仮説を、たとえわずかでも甘んじて受け入れようとしたおバカな頭を軽く小突く。
一回、二回、三回。
よし。
「もう何を言ってるのかしら霊夢ちゃんのおバカさん」
「アリスのお茶もう空っぽみたいなんだけど。 後動揺しすぎ」
何がよしだ。
「もしかしたら私、ナルシストなのかしら」
「え、今さら?」
「そう思ったらなんだか、えっ」
「えっ」
しばしの沈黙。
なんだか色々と辛くなってきたので、紅茶を注ぎ足す。
ついでに話題も戻す。
「違和感ないって言われても、そんなもんじゃない?」
「そう?」
霊夢としても渡りに船、三途に良く働く死神だったようで、私の無理な話題転換にも乗ってくれた。
「そうねえ。 例えば霊夢と魔理沙。 実は意外な組み合わせなんじゃない?」
「んん」
あの白黒が隣にいることがあまりにも当たり前すぎたのか。
首を傾げる霊夢にはイマイチピンと来ないようだった。
「だって和装のあなたと魔女子さんなアイツよ?」
「それって私とアリスにもあてはまるんじゃないの」
「それこそ何をいまさら、よ。 ここは和も洋もあったもんじゃないもの」
「でも外見の話じゃない」
どうやら霊夢は中身、気質なり性格なりの話をしていたようだ。
「そうだけど、最後まで聞きなさい。 要は、結局ルックスなのよ」
想像するだけならタダとも言うが、あくまで想像だ。
誰と誰の組み合わせなんて結局会わせてみなければわからない。
そんな話をしながら、霊夢に問いかける。
「霊夢は、私の全てをわかっていると自信を持って断言できるかしら?」
「う、できない」
やや悔しそうなのは、負けず嫌いのせいか。
とりあえずはそういうことにしておいて、話を続ける。
「そうね。 だから、わからない面は想像で埋める。 イメージのためのきっかけは、服装とか、とにかく目立つ印象」
例えばスキマ妖怪であれば、何を考えているのかわからない、とか。
「紫だったら、胡散臭いとか?」
「……まあ、そういうこと」
「何笑ってるのよぅ」
全く同じ人物で全く同じことを考えていたことが可笑しかった。
霊夢と私だけでなく、十人に聞けば文字通り十中八九が同様の解答をするはずだけれど、妙に可笑しかった。
「ごめんなさいね。 で、今話したことが組み合わせの話しにも関係してくるのよ」
「わかりやすいように想像するから……ってこと?」
「そう。 霊夢が私のことをどう見てくれてるかは、わからないけどね」
霊夢の中での私は、美化されているのかもしれない。
とっつきやすそうとか、好き嫌いがなさそうなどと言った具合に。
だから誰と並べてもしっくりはまったのではないだろうか。
でもお生憎様。
「私だって嫌いな人はいるんだから、霊夢の仮説は不正解。 よって、私はモテない。 つまりはそういうことよ」
人々の噂や恐怖で妖怪が強大化していくように、想像というのは時としてどんな魔法よりも便利な道具となってしまう。
やっぱり大事なのは想像力よりは、好奇心と理解力なのよね。
「……なんだか、はぐらかされた気がする」
「霊夢がそう思うのなら、そうなのかしらね?」
ますます深みに陥ったように頭を抱える霊夢を眺めながら飲む紅茶も、なかなかのものだった。
やっぱりブレインよね、ブレイン。
「いや、モテないわよ」
突然何を言い出すんだこの娘は。
珍しい、二人きりの神社でのお茶会の最中。
紅茶入りのニューハーフな湯呑を両手で持った霊夢に、遊び人の烙印を捺された私の気持ちは、余程奇怪な思考回路の持ち主でなければ、理解してもらえるだろうか。
否、そもそも目の前の人物の発現自体が奇怪なのだったと考えなおし、どうして、と紅白に問いかける。
「だって」
「あによ」
「アンタの隣に誰がいても、全然違和感ないんだもん」
頬をほんの少しばかり膨らませながらの返答に、納得のしどころを探してみた。
まあ、見つからなかったが。
「いや、ちょっと待って。 霊夢タンマ」
探すものが違うのだから、見つかるはずがないだろう。
自分がモテる、という仮説を、たとえわずかでも甘んじて受け入れようとしたおバカな頭を軽く小突く。
一回、二回、三回。
よし。
「もう何を言ってるのかしら霊夢ちゃんのおバカさん」
「アリスのお茶もう空っぽみたいなんだけど。 後動揺しすぎ」
何がよしだ。
「もしかしたら私、ナルシストなのかしら」
「え、今さら?」
「そう思ったらなんだか、えっ」
「えっ」
しばしの沈黙。
なんだか色々と辛くなってきたので、紅茶を注ぎ足す。
ついでに話題も戻す。
「違和感ないって言われても、そんなもんじゃない?」
「そう?」
霊夢としても渡りに船、三途に良く働く死神だったようで、私の無理な話題転換にも乗ってくれた。
「そうねえ。 例えば霊夢と魔理沙。 実は意外な組み合わせなんじゃない?」
「んん」
あの白黒が隣にいることがあまりにも当たり前すぎたのか。
首を傾げる霊夢にはイマイチピンと来ないようだった。
「だって和装のあなたと魔女子さんなアイツよ?」
「それって私とアリスにもあてはまるんじゃないの」
「それこそ何をいまさら、よ。 ここは和も洋もあったもんじゃないもの」
「でも外見の話じゃない」
どうやら霊夢は中身、気質なり性格なりの話をしていたようだ。
「そうだけど、最後まで聞きなさい。 要は、結局ルックスなのよ」
想像するだけならタダとも言うが、あくまで想像だ。
誰と誰の組み合わせなんて結局会わせてみなければわからない。
そんな話をしながら、霊夢に問いかける。
「霊夢は、私の全てをわかっていると自信を持って断言できるかしら?」
「う、できない」
やや悔しそうなのは、負けず嫌いのせいか。
とりあえずはそういうことにしておいて、話を続ける。
「そうね。 だから、わからない面は想像で埋める。 イメージのためのきっかけは、服装とか、とにかく目立つ印象」
例えばスキマ妖怪であれば、何を考えているのかわからない、とか。
「紫だったら、胡散臭いとか?」
「……まあ、そういうこと」
「何笑ってるのよぅ」
全く同じ人物で全く同じことを考えていたことが可笑しかった。
霊夢と私だけでなく、十人に聞けば文字通り十中八九が同様の解答をするはずだけれど、妙に可笑しかった。
「ごめんなさいね。 で、今話したことが組み合わせの話しにも関係してくるのよ」
「わかりやすいように想像するから……ってこと?」
「そう。 霊夢が私のことをどう見てくれてるかは、わからないけどね」
霊夢の中での私は、美化されているのかもしれない。
とっつきやすそうとか、好き嫌いがなさそうなどと言った具合に。
だから誰と並べてもしっくりはまったのではないだろうか。
でもお生憎様。
「私だって嫌いな人はいるんだから、霊夢の仮説は不正解。 よって、私はモテない。 つまりはそういうことよ」
人々の噂や恐怖で妖怪が強大化していくように、想像というのは時としてどんな魔法よりも便利な道具となってしまう。
やっぱり大事なのは想像力よりは、好奇心と理解力なのよね。
「……なんだか、はぐらかされた気がする」
「霊夢がそう思うのなら、そうなのかしらね?」
ますます深みに陥ったように頭を抱える霊夢を眺めながら飲む紅茶も、なかなかのものだった。
やっぱりブレインよね、ブレイン。
アニメなんて妄想の塊ではないか。
レイアリは原点でしょうが。
同人作品は全ては想像の産物ではないか。
隣に誰がいても違和感がないからモテるって結論に持っていく発想が凄い