Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

なずーりんと学ぶ故事成語

2010/09/20 16:18:46
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 君は知っているかな。
 窮鼠猫を噛む、という昔からの故事を。
 
 私は勿論知っていたさ。何せ博識なものだからね。
 でも、世間一般が言うように、どうやら知識と経験とは別物らしかったようだ。
 だって、噛まれた猫が噛みつき返してくるだなんて思わなかった。
 なんだそれは。ずるいよ。本にはどこにも載っていなかったというのに。
 そんなの、反則だ。だってそれじゃぁ、故事の意味が変わってしまうじゃないか。
 それじゃまるで、逆に鼠が猫の罠に、まんまと引っ掛かったみたいじゃぁ、ないか。
 そんなの、――反則だ。
 

 


 

 どこからか声が聞こえる。
 それは私の至福の時間を妨げようと、静かに、繰り返し私の名を呼ぶ。あぁ、しつこい。
 その声の主は、それだけでは飽き足らずに、どうやら無慈悲にも、私の相棒を引き剥がしにかかろうとしているらしい。
 やめろ、やめてくれ、私と相棒の中を裂かないでくれっ。私はこいつと結婚してもいいと思う程に好いているのだ!
 だが襲撃者はそんなこと知りませんよ、と言わんばかりにその猛攻を止めようとはしない。
 もう、分かった、分かったから。降参だよ、君には負けたよ。負けたったら。

「んぅ………………」

 眠い目を擦りながら布団から上半身をのそっと起こす。
 この僅かな動作をするだけでも、私の精神力は総動員される。
 ここまで頑張っている私を誰か褒めて欲しい物だ。
 ふわぁーぁ……
 やっぱり朝は、苦手だよ。

「お早う御座います、ナズリーン」
「ん……」
「さぁ、聖達が食卓で待っていますよ」
「ぅぃ……」
「あぁ、その前に寝間着を着替えないといけませんね。はい、ばんざーいしてください」
「ぁぃ…………」

 言われ、そのまま従う。朝は辛いから、この光景も仕方無い事なのだよ。悔しいけれど。
 だけれど、私が眠気から覚醒すれば、その立場も逆転する。いや、元に戻る、と言い換えた方がいいかな。
 普段からご主人はおっちょこちょいだから、私がいないと生活できないのだ。
 世の中の全てのご主人様は部下の尻に敷かれるべきだね、まったく。
 でも、いつもいつも尻に敷いていると、座り心地が悪くなってくるというもの。
 朝方くらいは許してあげるよご主人様。そう、だから何回も言うようだけど、この光景は仕方が無い事なんだ。うん、仕方が無い。

「はい、ナズーリン、下着を履いて……さぁ出来ました」
「ふぁぃ……」
「では聖達の所へ行きましょうか、皆ナズーリンを待っていますよ」
「んぁ…………」





 あぁ、朝餉の匂いが私の覚醒を促す。
 しかし残念ながら私は寝る方が食べる事よりも大事なのだよ。
 これくらいの誘惑では私の不屈の精神は攻め落とされないね。
 なんて事を考えていると、まだ寝惚けているようだった私の頭にご主人様と聖の会話が聞こえてきた。

「えぇ――それで――――里――を一日――かしら?」
「判りました聖――留守番――――二人で――」

 成る程、ようやっと自我を取り戻しつつある私の頭が、二人の会話を断片的に聞いていると、どうやら聖達はあの赤っぽい巫女に、まだ私達という新しい勢力を認識していない妖怪達との顔合わせも兼ねて宴会にお呼ばれされたようだ。
 
「じゃ、ナズーリンちゃんと二人でお寺のお留守番、お願いするわね、星」
「はい、聖。私達に任せて置いて下さい」

 ま、妥当な所かな。一日中寺を空ける訳にもいかないだろうし。
 まだ新参者の身とはいえ、人里の方とは既に小さな交流もある。ここに人が来るかもしれないのなら、
やはり留守を預かる者が必要だろう。
 その役を、聖はご主人様に一任したという事だ。ついでに、ご主人様のお守役としての私、という選任だろう。流石は聖。ご主人様の事をよく理解しているね。
 
「ナズーリン、今日一日、二人で頑張りましょうねっ」
「そうだね、ご主人」
「む、ナズーリンはもしかして嫌でしたか?」

 何をいうかご主人様よ。私が嫌だと思う事なんてあると思うのかい?
 あなたの事で嫌な事など一つも無い。
 むしろ逆だよ。あなたと二人きりだなんて。
 尻尾が動いてしまわない様に気をつけないといけない、それくらいに楽しみだ。
 
「まさか。それに、私は寺の番とご主人様の番、二つも仕事があるから、あぁ大変だ。等とも微塵も思ってはいないから安心してくれて構わないよ」
「うっ」
「どうしたい、ご主人?顔色が優れないようだね」

 私の口から皮肉が零れる。違う、違うんだ。
 本当はそんな事、思っていない。
 なのに。
 なのに、私の口は嘘を吐く。心とは間逆の事を言ってのける。
 あぁ、素直になりたいものだ。
 でも勇気が無いから言葉にはしない。一方通行でいいのだ。これで万事解決なんだ。

「きょ、今日はナズーリンに迷惑を掛けない様に私、極力努力しますからねっ」
「楽しみにしておくよ。期待半分でね」
「うぅっ、聖ぃ、ナズーリンが、部下なのに上司である私をいぢめて来ますっ」
「あらあら、星をいじめちゃ駄目よナズーリンちゃん」
「分かっているいるよ、聖。さっきまでのは冗談だ、心配しないでくれ」

 泣きつくご主人様をその豊満な胸で抱きとめる聖。傍から見れば、まるで親子だね。
 お、泣き顔のご主人様もなかなかそそる物が……おっと。

「それに、ナズーリンちゃん」
「いい加減恥ずかしいから、ちゃん付けはやめてくれ、と言っているだろう聖」
「あら、ごめんなさいね」

 言いつつ私を手元へとおいでおいでする聖。
 外見が子供だからって、聖の私の扱いはいささか傷つく。そんなに子供っぽいだろうか。精神は完全にご主人様より上だと思うけど。この幼児体型が原因なのか。くそっ、聖が羨ましい。
 しかし、そんなに悪い気がしないのも聖の母性の成せる技かな。

「なんだい聖。そんな小声で話しかけて来て」
「私達は明日の宴会で、朝まで寺を空けようと思っています」
「うん、それで?」
「星と、上手くいくといいわね……ふふふ」
「なっ、なにをっ」

 何故ばれた?!上手く隠していたつもりだったのに。母、恐るべし……
 というか、なんだ、上手くいくと、って。
 何を考えているんだ聖よ。聖職者がそんなんでいいのか。

「それじゃぁ、言ってきますね」
「はい、お気を付けて」
「ナズーリンちゃん、頑張ってね」
「?」

 ご主人様が不思議そうな顔をする。ええぃっ、何故こんな時だけ察しがいいんだ、ご主人様。
 いつものぽやぽやしたあなたでいいんだよっ。

「い、いいからっ。早くいったらどうだいっ」

 これだから年長者は。すぐ人の恋路に世話を焼きたがるんだから。
 私は今の距離感で満足しているのだ。そう、これで、いい。この距離で。





 午前中は特にやる事も無く進んだ。
 強いて言うなら、主人様と本堂の掃除をしていたら、宴会の準備をしていたぬえと船長が忘れ物を取りに、一回帰って来た事くらいか。顔を赤くしたぬえと手を繋いで。船長よ爆発してしまえ。

「掃除はこれくらいにしましょうか、ナズーリン」
「そうだね、これ以上やると前みたく廊下に穴を空けかねないからね」
「こ、この前のはたまたまですっ。そんな、いつも私がやらかしているみたいな言い方はどうかと思いますよ、曲がりなりにも私の部下として、ひどいですっ」
「だって、毎度のことじゃないか、ご主人がやらかすのは」
「わ、私だってあれでも気を付けているんですよっ」
 
 大丈夫、分かっているよ。ご主人様の努力は私が知っているのだから。
 しかしそのことを告げる口はこの場には存在しない。
 あるのは、ご主人様をからかう事に徹した私の嘘つきな口だけだ。

「まぁいいよ。本気で言っている訳じゃない。それにそろそろ昼時だよ」
「あ、もうそんな頃合いでしたか。では掃除もここまでにして切り上げましょう。そうそう、ナズーリンは、何か食べたいものはありますか?」
「ご主人と同じものでいいよ。それで不満はないさ」
「はいっ、わかりました」

 嬉しそうに台所へ駆けてゆくご主人様。あ、転んだ。
 満面の笑顔とはあんな顔を指すのだろうな。無邪気にはしゃいでいるんだから。
 私にはやはり、あの笑顔は勿体ないね……



 で、ご主人様とともに昼餉を食べた訳だが。
 ここではその様子は非常に残念ながら割愛させて貰おう。私にはもうそれを語るだけの体力は残っていないよ。まさに満身創痍。
 その時の会話を一部抜粋すると、次のようになる。

「あ、ナズーリン、口にご飯がくっついていますよ。おっちょこちょいですねー」
 言って指で、ひょい、ぱく。あれか、わざとか?わざとなのか?

「ご主人、お箸から豆腐が落ちたよ。しっかり掴まないか」
「えっどこです?どこですか?」
 何故胸元を広げて確認するんだい、ご主人様。どう考えれば谷間に挟まっているかもしれない、という結論が出るんだ。
 見えてる、色々見えてるから早くしまってくれっ。

「……ご主人、食べ終わったなら昼寝でもしてたらどうかな。どうせ今日はもう人も来ない。それに、ずっとこっちを見ているのは、やめてくれない、かな……」
「す、すいません、つい。ナズーリンの食べてる姿が、ちまちましていて、愛らしかったもので……」
 あーっ、なんでそういうことを平気で言えるのっ、ご主人様っ。私だって羞恥の感情くらい持ち合わせている。あぁ、顔から火が出てしまいそうだった。

 うん、ざっとこんなものだね。
 この壊滅的なまでに天然な行動が延々続いたのだ。
 もう嬉しいやら恥ずかしいやらで精神が擦り切れてしまいそうだった。
 この体をどうにかして癒さないと。

「ねぇ、ナズーリン」
「どうかしたかい、ご主人。おかわりならもうないよ。残念ながら」
「ち、違いますっ。私、そんなに食いしん坊じゃぁないですったら!」
 どうかな。約三人分程ご主人様が炊きあげたご飯は、ものの見事にすっからかんだよ。
 私が小食だという事も考慮すれば、充分だと思うけどね。でも、食べてる時のご主事様のあの嬉しそうな顔を見せられれば、文句なんて無いね。あるはずもないさ。
 本人には言えないけど。

「それで?何か言おうとしていなかったかい」
「はい。ナズーリンと一緒にお昼寝をしたいと思いましてっ」
 言ってるそばからっ――
 ご主人様。あなたは、本当に。なんでそんなにも、私の心を揺さぶりにかかるのか。
 これじゃ、とても耐えられそうに、無い。
 いいさ、甘んじて受けよう。あぁ、存分にお言葉に甘えさせていただくよ、ご主人様。

 それにしても。
 あなたの笑顔は、毒だよ、ご主人様。
 知っているかな。
 薬という奴は、事実だけを見れば毒と同じだ。そう表裏一体。良い悪い、なんてのは、所詮それだけの事。裏か表かが違うだけ。
 そうなんだ。あなたの笑顔は私には少し、効きすぎるんだ。
 なんて事を、考えながら。
 私の意識は安寧の底へとおちてゆく。ご主人様の匂いに、抱かれながら。





 「んぅ?」
 辺りが薄暗い。時刻は、どれくらいだろうか。
 夕餉の時間を少し過ぎたくらいか。少し、寝すぎたかな。流石ご主人様の香り。こりゃ下手な子守唄よりも効果があるね。間違いない、私が保証するよ。

「そういえば、ご主人様――っと。ご主人、は何処かな」
 本人を前にして、様を付けるのは何か気恥ずかしい。そんな下らない理由で、私はご主人様を呼び分けている。
 私の隣で寝ていた筈の、その当の本人は。いない。
 今しがた起きたようだし、多分喉の渇きを満たしに台所にでも言っているのだろう。
 ふっ、私を舐めてくれるなよ?何せ賢将。一端のダウザーなんだから。
 どこか抜けてる上司の痕跡を追うなど、朝飯前だ。今はもう晩だけどね。
 ん、そういえば私も喉が渇いた。
 ご主人様の後を追いかけるとするか。決して寂しいからでは、無いよ。無いったら。

 薄暗い台所に、ご主人様はいた。どうやら水を飲んでいる最中らしかった。

「やぁ、おはようご主人。私にも一杯貰えるだろうか?」
「えぇ、いいれすよー」

 呂律が回っていないよご主人様。まだ寝惚けているのかい。
 考えつつも手近な所にあった小振りの桶を手にする。

「少し、でいいよ、ご主人」
「ふぁい」

 桶の底が隠される程度に、瓶から注いで貰う。しかしいくら小さめと言ってもまぁ、桶だ。
 両手で抱えてぐいっ、と飲み干す。寝起きには少々重いが、しかし喉は潤った。
 ん……?待て、今何か、おかしくはなかったか。
 どうして水が、瓶に、入っているん、だ……
 これ、お酒じゃぁないか。しまった。
 私は、アルコールっていうのには、弱いのに。
 ご主人様、あなたはどこまでおっちょこちょいなんだ。
 水と酒を間違えるなんて。あぁ、意識が混濁してゆくっ。




 
「まったくご主人しゃまはどじだなぁー」

 こんなの周りにはクールで通してる私のキャラじゃない。そんなことは判っているのに、心のたがが外れてしまっている今、どうしようも無いくらいに心がフワフワする。
 下手をすると、心に秘めているご主人様への思いまで口からぽろっと出てしまいそうだ。
 そうならないためにも、私の口は減らず口を絶やそうとはしない。

「もぅ、まいにちまにちまがぬけてるんだからぁ」
「……」
「ふつー、まちがえるかい?わたしだったら恥ずかしくて穴に埋まってしまうね」
「……」

 あぁ、違うんだ、ご主人様。そんな事は微塵もおもっちゃいないんだよ。
 すまない。
 臆病者の私が悪いんだ、どうか、どうか罵っておくれ……

「もぉー、気を付けへくださいよぉー?」
「……」

 酒の力は恐ろしい。
 こんなにもへろへろになっちゃうなんて。自慢の尻尾もだらしなく床に付いてしまっている。
 それにしても、こう、上司に悪酔いして絡むのは、なんと気持ちがいいのだろうか。
 普段の鬱憤や、片思いの心労といったストレスが、さっぱり発散されるよ、これは。
 しかし、その上司は。ご主人様はさっきから黙りっぱなしだ。
 流石に、気を悪くしただろうか。

「ご主人しゃまぁ?どうしましたぁ?」
「……」
「お腹でもぉ空いたんですかー?」
 
 酔っ払いのテンションでご主人様の顔を覗き込む。
 一目見て。あ、これはやばい、と思ったよ、私は。
 だって、目が据わってるんだ。
 その目は、私の心を見透かすかのように、じっと、見詰めてくる。

 
 ――酔いが、一気に吹き飛んだ。


 おかえり、正常な私。でも少し戻ってくるのが、遅かったみたいだね。

「ご、ご主人?さっきまでの事はその、すまない、酔っていたんだ。許して――うわっ」

 遅い弁解をしているさなか、ご主人様に、押し倒された。
 か、顔が近いよ、息が、掛かっているっ……。

「なずーりん」
「は、はい」
「私、ずーっと思っていました」
「な、何をか、な?」

 まだ目が据わっていらっしゃる。というか、その目は完全に獲物を見る目だよ、ご主人様。
 私の体が、自然と強張ってしまう。

「あなたが私の事を見てくれていること。私、知っていました」
「えっ!」

 そんな。
 ご主人様にもばれていたって言うのか?これじゃ賢将の名折れだ。本当、変な所で鋭いんだったら。
 それよりも。あぁ、私の片恋慕が本人にばれていたなんて。
 恥ずかしい。今までの行動を振り返って、死にたくなる。
 それに、もうご主人様と面と向かって顔を合わせられないよ。火が出てしまうっ。

「私、私は、なずーりんの気持ちに気が付いてました」
「……」
「でも、私、自分のこの気持ちがなんなのか、分かりませんでした。聖達に相談したりもしました」

 あぁ、私の知らない所で、私の気持ちが寺中に広まっていたのかと思うと。
 非常に、恥ずかしい。
 そんな事を考えながらも、ご主人様の話はまだ、続く。

「でも、今日一日なずーりんと過ごして、私なりに、結論を出しましたっ」
「……」
「私も、なずーりんの事が、好きみたいですっ」
「ぇ、えぇっ?!」
「だから、ちゅーしましょう、ちゅー」

 あぁ、嬉しくないと言えば嘘になる。大嘘さ!
 毘沙門天様から、ご主人様の所に遣わされて。
 私はいつのまにかご主人様に片恋慕をしていたんだ。その、永遠とも呼べるような、恋慕が、一方通行では無くなったんだからっ…… 
 でも。いくらなんでも。
 行動に移すのが速過ぎるんだ、ご主人様!いくらお酒に酔ったからって、速過ぎるよ。
 押し倒して速効、接吻だなんてっ。
 こう、もうちょっと、雰囲気とかを考慮していただきたい、是非とも。
 それに、何よりも。さっきから何回も言っているが。
 私は、恥ずかしいんだよ、ご主人様っ。

「お、落ち付いて、ご主人。あなたは酔っているんだよ」
「酔ってなんていません。酔いなどとうの昔に醒めています。なずーりんの顔を見た時から」
「ぁ、あぅぅ」

 惜しげもなく気障な台詞を言ってのけるご主人様。
 か、かっこいいけど、けれど、それ、絶対に酔いの勢いがあるよっ。
 なんとか、この状況を打開しないと。なにか、ご主人様の気を逸らさないとっ……

「そ、そうだ、ご主人!お腹、お腹が空いているだろうっ?」
「そういえば、そうですね」
「だろう?い、今から夕餉の支度をして来るから、どいて貰えると助かるんだけども」
「?何を言ってるんですか、なずーりん」
「な、何って、晩御飯の準備を……」
「ばんごはんなら、あるじゃないですか。ここに」

 体から汗が染みだす。勿論、冷や汗だ。非常に、嫌な予感がする。
 というか、嫌な予感しかしない。
 だが、だが万一という事も、ある。かも。
 震える声で、私はご主人様に語りかける。

「ど、どこに?」
「あるじゃないですか、私の目の前に…………可愛い可愛い、なずりーんが」

 瞬間、体をご主人様の体に抱きしめられる。
 抱きしめる、というか、これはもうすでに捕獲と言っても間違いじゃない。

「なずーりん、美味しそう……」
「ご主人様っや、やめ」
「いただーきまーすっ」
























 今回のオチ


 まったく、故事とは全然違う。
 何が窮鼠猫を噛む、だ。
 追いつめられた猫を、鼠が噛んで。
 それを、噛み返されたら意味がないじゃないか。
 これだから、本は信用出来ない。
 故事を乗せるなら、その後に起こりうる事態もしっかりと乗せて欲しいものだ。
 これでは私の様な被害者鼠が増えてしまうじゃぁ、ないか。
 
 それに……ご主人様ったら、あんな事まで、するなんて……
 本に書いてなかった。あんなの、全然知らないっ……
 ご主人はあれから妙に積極的になるし。
 へたれたままの方が、からかいがいがあったのに。くそぅ、ご主人様めっ!

「ナズーリン、私を、呼びましたか?」 

 うわぁっ。いつからそこに。うぅ、そのにやにや顔をやめないかっ。

「今日も聖達は宴会に行くそうです。今夜も、楽しみですね?ふふふ」
「ちゅ、ちゅぅぅ」

 くそぅ、私のクールキャラはいったいどこにいったんだっ。
 カムバック過去の私よ!
 今に見ていろ、ご主人様よ。謀反の日は遠くないんだからなっ!!
 ……
 ……
 ……
 …………
 べ、勉強とか、した方が、いいのかな………………
ベタなのが好きです。読んでて悶え死ぬくらいが丁度いいです。
羊飼い
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
なにこれ……悶え死ぬ。
2.名無し削除
星ナズちゅーちゅー
3.名前が無い程度の能力削除
勉強って勿論マッサージの事ですよね?
ごちそうさまでした。
4.名前が無い程度の能力削除
理想型です
5.奇声を発する程度の能力削除
素晴らしい星ナズでした
6.名前が無い程度の能力削除
ok,nice shounazu.I am sinisou.chu-chu-.
7.名前が無い程度の能力削除
にやにやしました
ごちそうさまです
8.名前を忘れた程度の能力削除
>ベタなのが好きです。読んでて悶え死ぬくらいが丁度いいです。

卿とは美味い酒が飲めそうだな。
いいぞもっとやれGJごちそうさm(悶死
9.けやっきー削除
ベタっぽいのに、新鮮さを感じる不思議!
ナズが受けだからかな…

>非常に残ながら割愛させて貰おう。
残念ながら、ですか?
10.名前が無い程度の能力削除
純情でウブなナズーかわいい。
11.名前が無い程度の能力削除
これは正に私的に理想的な星ナズ!
良い作品を読まさせて頂きました。
12.名前が無い程度の能力削除
逆下剋上
13.名前が無い程度の能力削除
村×鵺、星×ナズ

一輪さん・・・
14.エクシア削除
ナズ可愛いよナズー。

窮鼠猫を噛もうとして逆においしく食べれちゃったんですね、分かります。
15.名前が無い程度の能力削除
クールキャラと言いつつ、ひたすら御主人さま御主人さまのナズが可愛いったらありゃしないですね。

誤字(?)報告をひとつ。
>役三人分程→約三人分程?
16.名前が無い程度の能力削除
ちゅっちゅ!
ちゅっちゅだ!
憧れのちゅっちゅが目の前にあるぞ!