Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

メイドを噛んだら犬に噛まれる。

2010/09/13 05:51:49
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 夜半、日付の変更まで三時間を残して紅魔館の一日が恙なく終了した。
 本来は終了どころか前半といったところのはずなのだが、ここ最近吸血鬼らしからぬ生活を送っている当主に合わせ、屋敷の生活時計は太陽の動きに合わせた常識的なものへと変わっていた。
 外見年齢よろしく夜の九時にベッドへ入った『レミリア・スカーレット』を眠りの世界へ送り出し、『十六夜咲夜』はメイド長の職務から解放された。
 寝酒のワインとグラスを手に、咲夜は自室への廊下を鼻歌混じりに歩く。
 レミリアの起床は八時。
 それまでにやらなければならない事を考えても、七時に起きればお釣りが来る。
 まずはゆっくりとシャワーを浴びる。それからグラスを傾けてワインと酔いを楽しむのだ。
 ――ああ、素晴らしき仕事のない時間。
 ポケットからキーを取り出して鍵を開け、ドアノブを捻る。

「よう、邪魔してるぜ」
 
 閉めた。
 咲夜の頭にいくつも疑問符が浮かぶ。
 え? あれ? あれ? え?

「――なにしてんだ?」
 ドアが開いた。中から部屋の住人でない人物の顔が覗く。
 普通の魔法使い『霧雨魔理沙』である。
「……どうやって入ったの」
 疲れた表情に魔理沙は変形したヘアピンと鍵開けナイフを示した。
「それで開けたの!?」
「一分掛からなかったぜ」
 得意気に笑う魔理沙にデコピンをくらわせて咲夜は自室に入った。テーブルにワインとグラスを置き、椅子に腰を下ろす。
「で、なにしにきたの?」
「遊びに来たぜ」
「この時間に?」
「吸血鬼の屋敷ならこの時間が適切だろ」
「――それもそうね」
 勝手知ったる人の部屋と魔理沙は咲夜のベッドに座った。この部屋には椅子が一脚しかないのである。
「まあそう邪険にしなさんなって。手土産も持ってきてるんだから」
 そう言って魔理沙は足元からバスケットを取り上げた。テーブルの上に置いて中を開く。
「手土産?」
「いつぞやに言ったろ。今度は私がお菓子を持ってくるって」
「マドレーヌだっけ?」
 そういえばそんな話をしたような記憶がある。
「うん。マドレーヌだ」
 バスケットに敷かれたクロスの上には貝殻の形をした焼き菓子が並んでいた。
「ワインには合わないかもだが、味わうがよいぜ」
「はいはい」
 咲夜はマドレーヌを取り上げて一口齧った。
 しっとりした歯応えと滑らかな口どけ。洋菓子の上品な味わいと、ほの甘い香りが口の中に広がる。
(これは予想外に……)
 美味しい。
「どうだ?」
 尊大な物言いとは裏腹に、内心のドキドキが見て取れる表情の魔理沙へ咲夜は笑みを向けた。
「美味しいわよ。意外に」
「意外に、は余計だぜ」
 魔理沙が破顔する。マドレーヌを取り上げて齧り、「うん」と首肯した。いい出来だ。
 残りを食べて、咲夜は鮮やかな手つきでワインの栓を開けた。卓上のグラスに注ぎ、魔理沙に勧める。
「あんまり合わないだろうけど、飲み物がないよりはいいでしょ」
 さらにどこからともなくグラスを取り出して、赤いアルコールを注いだ。
「ワインの味が分からなくならないか?」
「いいのよ。どうせ安ワインだもの」
 グラスの合わさる涼やかな音。
 杯を傾けた二人の喉に神の子の血が流れていった。
「――安くはないんじゃないか、コレ」
「さて、どうだったかしら」
 安ワインにしてはいい味に魔理沙が問うが、咲夜は興味なさそうに嘯いてマドレーヌに手を伸ばした。
 身が詰まり、しっとりとしていて重い分、物を食べている気がする。甘さと相まって仕事上がりの身体には嬉しい。
 マドレーヌを食べ、ワインを飲む。
 水のようにワインを干していく咲夜に、魔理沙はお替りを注いでやった。
 ――そしてバスケットの中がクロスだけになり、ワインボトルが空になる。
 マドレーヌ、ワインともに八割が咲夜の腹に収まっていた。
 ほんのり赤く酒精を帯びたメイドが、いつもより柔らかな表情で口を開く。
「魔理沙……」
「なんだ?」
「かじらせて」
 グラスに残った最後の一杯を弄びつつ、咲夜はぽつりとつぶやいた。
 魔理沙が固まる。
「……ごめん、もっかいお願い」
「かじらせて」
 聞き間違いである事を期待しての確認は徒労に終わった。
「……はいぃ?」
 このメイドは何を言っているんだ。
「なんだか魔理沙が美味しそうに見えて」
 アルコールに緩んだ蒼い瞳が魔理沙を見つめる。どうやら自制心も酔いで緩んでいるらしい。
「やめろよ。お前は普通の人間だろ。妖怪じゃあるまいし」
「あら。じゃあ魔理沙は普通の人間じゃなくて妖怪なのかしら?」
「は?」
 怪訝な顔をする魔理沙に、咲夜はゆるりとワインを口にする。
「どういうことだよ」
「だって魔理沙、噛むじゃない。アンタの言ってる事を適用すると普通の人間じゃなくて妖怪って事になるわ。でも魔理沙は普通の人間なんでしょ。だったら私が噛んでもいいじゃない」
 言葉の端から微妙に酔っ払いの片鱗が見えてきた。
「ちょっと待て。誰が噛むって?」
「魔理沙」
「噛まないぜ」
「噛むわよ。“あのとき”に私の肩をがじがじ。背中もひっかくし」
 含みのある言い方に魔理沙の顔が赤くなる。口元を押さえ、恥ずかしげに咲夜から目を逸らした。――思い当たる節があるらしい。
「いいじゃない。……かじらせて」
 逸らした目と逆の耳に咲夜の囁きが掛かり、魔理沙はぞくりと身体を震わせた。
 何時の間にか隣に咲夜が座っていた。二人分の体重の乗ったベッドがきしりと音を立てる。
「よくないぜ」
 腕を回し、しなだれかかってくる咲夜に魔理沙が答える。首筋に触れる咲夜の吐息がくすぐったい。
「アンタだって噛むじゃない。主に左肩。歯形がつくぐらい」
「……うっせ」
 そう返し、気づけば服の襟元が暴かれていた。左の鎖骨に濡れた息が掛かる。
「だから、たまには私にも噛ませなさい」
 宣告気味に言う咲夜に、魔理沙はストップを諦めた。目をつぶって、身体の力を抜く。
 素肌に咲夜の歯が触れて、ぐっと力を込めてきた。
うちの咲マリはこういう咲マリ。なんかちょっとえちぃ?
でも別にR-18描写ないし、べろちゅーもしてないから大丈夫だよね?

 ニア 拷問だ! とにかく拷問せよ
    そんなことよりおなかがすいたよ。

 咲マリ流行れ咲マリ。
kt-21
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http://titanaluminiden.web.fc2.com/
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
大丈夫でしょう(「R」的な意味で)。
大丈夫ではないですね(「私の理性」的な意味で)。
2.名前が無い程度の能力削除
肩をかじる魔理沙かわいいな。
実際かじられたら痛いだろーけど。
咲夜さんはどこをかじろうとしてんだか…
3.奇声を発する程度の能力削除
読んでて凄いドキドキしました…
4.つくし削除
拷問部屋でちゅっちゅ

まで読んだ
5.名前が無い程度の能力削除
噛み跡を付け合う関係、素晴らしい!これはいい咲マリでした。
6.名前が無い程度の能力削除
これはいい咲マリ。
咲マリ流行れー
7.けやっきー削除
なんとまぁ甘い甘い関係。
とても大好物でした!