Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

なんだかんだで仲良い二人

2010/08/18 23:53:31
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「あんたってさぁ、なんか人間っぽいわよね」
「はい?」

 霊夢の言葉に、文は首を傾げた。
 割といつも通り、取材と言う名のただ縁側でお茶を一緒に飲むだけ。そんな中、さっきの一言だ。文からすれば、何を言っているんだこの巫女、な状態である。

「だってさ、別に暴れたりもしなければ、私とこうやって普通にお茶飲んでのほほんとしてるし」
「長く生きている妖怪は、馬鹿みたいに暴れたりなんかしませんよ。紫さんや幽香さんが良い例です。あの方たちは、強大な力を持ちながらも、決してその力を暴れることに使ったりはしない。それは長く生きたからこそ得た経験や知識、そういうものが備わっているからです。そしてそれは私も同じ」
「でも、紫は人間にはない、どこか不気味さを感じるし、幽香だってたった一睨みで、相手に恐怖を覚えさせるし。けど、文にはそういうのないなぁって思ってね」

 取材時には、どんな相手でも敬語と笑顔。
 プライベートでも、割と親しげに、砕けた口調で人とコミュニケーションを取ることが多い。
 紫のように神出鬼没に現れたりしては、何を考えているか分からないということも特にない。

「ふむ……じゃあ、妖怪らしくしてあげましょうか?」
「へ? どうやってよ?」
「ほーら、食べちゃいますよ~!」
「……」

 両手をあげて、霊夢を押し倒そうとする文。
 霊夢は、無言で、頭突き。

「鼻が痛いっ!?」
「ったく、馬鹿なことしてんじゃないわよ」
「鼻が痛い痛い~! 折れました~! 痛い~!」
「……どれ、見せてみなさいよ」

 顔を押さえて、縁側をごろごろと激しく回る文を見て、霊夢はため息を吐くと同時に、少しだけ罪悪感が湧いた。

「まぁ嘘なんですけどね。妖怪だし、これくらい全然大丈夫です。キャー霊夢さん心配してくれるなんて優しいー!」
「……」

 霊夢は、無言で、耳に陰陽玉(お子様からご老人まで安心のお子様サイズ)をぶつけた。
 虫さえも鳴いていない、夏の空の下。とっても鈍い音がした。

「ちょ、いったぁぁぁぁぁぁい!? 今鈍い音しましたよ!? ゴッって言いましたよ!?」
「本当なら顔の骨も砕きたかったんだけどね」
「怖っ!? この巫女怖っ!」

 未だに陰陽玉をしまおうとしない霊夢に、落ち着け落ち着けと両手でジェスチャー。
 待ってください霊夢さん、話せば分かります。
 霊夢、首を横にぷるぷる。
 せめて話し合いましょう。
 再び、首を横にぷるぷる。
 文、思わず笑顔。生き物は、どうしようもない状況に追い詰められたとき、何故か笑うそうな。
 霊夢、思わず笑顔。生き物は、獲物を追い詰めたとき、思わず笑みを零してしまうそうな。

「ふっ! 諦めると見せかけて、幻想風靡!」
「なっ!?」

 文を追い詰めていたはずが、いつの間にか視界から消えた。
 本気を出した文は、目にも映らないほどの速さへと加速する。妖怪でさえ視界に捉えられないものを、博麗の巫女とはいえ人間が捉えられるはずが無かった。
 既に文は遥か上空へと逃げていた。

「ふふ、速さは全てにおいて勝利をもたらすのです。さようなら、霊夢さん!」
「甘いわね」
「え?」

 いつの間にか、文の目の前に霊夢。
 その事実に、思わずさっきまで霊夢が居た縁側の方を見下ろしてみると、やはりそこには霊夢の姿はなかった。つまり、目の前の霊夢は分身や幻覚などではなく、まさに本物だということ。

「な、どうやって――」
「夢想亜空穴。速さなんて関係なしに、この距離程度なら一瞬ね」
「……この私が逃げられないなんて」
「あら、知らなかったの? 博麗の巫女からは、逃げられない」

 どこぞの大魔王みたいなことを言う霊夢の顔は、やっぱり笑顔だった。
 文もまた、笑顔だった。

「手加減は?」
「あると思う?」
「いいえ、まったく」

 文は思考回路をフル回転させる。
 この状況を逃れるには、どうすれば良いか。危機的状況に陥った文は、奇跡的に10秒で890通りの逃げ道を考えついた。しかし、どれも上手く逃げられる可能性は低かった。たった一つの方法だけを除いて、だが。
 ある意味禁じ手であるその一つの方法を、文は行う決意をした。
 すぅっと息を吸い、下を思いっきり指さし、叫ぶ。

「あー! お賽銭入れてる人が居ます!」
「なんですってぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「もらった! 博麗の巫女敗れたり!」

 たった一瞬の隙を、文は見逃さなかった。
 幻想郷最速の蹴りをしようとして――やめた。怪我をさせたくないから。というわけで、殴ろうとした。が、人間の女の子を殴る気はしなかった。
 蹴るのもダメ、殴るのもダメ。そして、この隙を逃したら、嘘を吐いたことにより、自分の身がさらに危険。
 そう考えた文の攻撃は、ただ一つ。

「抱き締めるしか!」

 相手の身動きを封じつつ、傷つけない方法。
 それは、抱き締めることだった。
 霊夢が嘘だと理解し、怒りに身を任せ攻撃に転じようとした時には既に遅かった。

「ちょ、こら! 離しなさい!」
「嫌です! 離したら攻撃してくるでしょう?」
「当り前よ!」
「じゃあ誰が離しますか!」

 空中でぎゃあぎゃあと暴れる二人。
 霊夢はふにゅり、と柔らかいものに無理矢理顔を埋めさせられる。それは、確認しなくても分かる。霊夢よりも大きい、文の胸だ。決して、文の胸が特別大きいわけではないが、それでも霊夢よりは大きい。そう、霊夢よりは大きいのだ。もちろん、霊夢はまだ成長過程であって、これから大きくなる可能性だってあるだろう。だが、現時点では、霊夢の胸は文の胸よりも、確かに小さいのだ。

「ちょ、落ちるって!」
「霊夢さんが暴れるからでしょう!」

 バランスが取れず、落下していく。
 暴れつつも、霊夢を怪我させまいとより強く、ぎゅっと抱きしめる。
 妖怪ならこの程度から墜落しても余裕だが、人間の場合どうなるか分からないからだ。文は自分を犠牲に、霊夢を守ろうとする。

「地面衝突する! 離しなさいって!」
「あーもう、暴れない。私が守りますから」
「じゃなくて! あんたが私を解放すれば、二人とも普通に空飛んで助かるでしょ!」
「……あ、なるほど」

 そのことに気付いた時には、既に地面に――



 ~少女地面激突中~

 ※しばらくお待ちください。

 ~少女回復中~



「ふぃ、復活です」
「さすが妖怪ね。こういうところ見ると、うん、人間っぽくはないわね」
「怪我はしませんでしたか?」
「私は大丈夫よ。その、一応あんたが守ってくれたし……」

 ぷいっとそっぽを向いて言う霊夢を見て、思わずにやにやとする文。

「別にお礼は言わないからね。あんたが離せば済むことだったんだし」
「はい、お礼なんて求めてませんよ。私が勝手に霊夢さんを守りたいなーって思っただけですからね」
「っ……」
「でもまぁ、嘘吐いたこととかはこれで見逃して欲しいなぁなんて思ったり」

 へらへらとした笑みを浮かべて、そんなことを言う文に、霊夢はため息を吐いた。

「はぁ……もう別に怒ってないわよ」
「わぁい、霊夢さん優しいー。ついでに冷めたお茶を新しいのに変えてくれると、より優しいー」
「調子に乗るなっ!」

 文の額に、軽くデコピン。

「痛っ! むぅ……」
「はいはい、不貞腐れない。分かったわよ、今淹れてきてあげるから」
「わーい、私霊夢さんのそういうとこ、大好きです」
「まったく、調子良いんだから……」

 笑顔の文に、本日何度目か分からないため息を吐く霊夢。
 さっきまでは、ぎゃあぎゃあ争っていたくせに、今ではもう落ち着いている二人だった。
今日はあやれいむ大好きな某ss書きさんのお誕生日ということで。誰かは言いませんがね、えぇ。ということで、手負いさんおめでとうです。
そんなわけで、あやれいむを1本。
軽いノリのものですが、そんなこんなで読んでくださったみなさんが少しでも楽しんでくれたなら嬉しいです。
喉飴でしたー!
でしたー!
たー!
喉飴
http://amedamadaisuki.blog20.fc2.com/
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
手負いさんお誕生日おめでとー!!
とても良いあやれいむでした!
2.名前が無い程度の能力削除
手負いさん誕生日おめでとうございます!

でもそんなに霊夢の胸のこと強調しなくたって…!
あやれいむ最高でしたー
でしたー
たー
3.名前が無い程度の能力削除
手負いさんおめでとう!
おいしくあやれいむいただきましたー
ましたー
たー
4.削除
お誕生日おめでとうございました。

あぁ文ちゃんも霊夢も可愛いなぁ……
何食べたらこんなニヤニヤ出来るSSが書けるんですか教えて下さい喉飴様!
5.オオガイ削除
これを読んでニヤニヤを抑えることが出来るだろうか。
とてもよいあやれいむでした。
仲良く喧嘩はいいですね!
6.名前が無い程度の能力削除
手負いさんおめでとうございます!

そしてとても良いあやれいむでしたー!
でしたー!
たー!
7.手負い削除
ありがとう喉飴さん! ありがとうみんな! 最高のプレゼントです!
いやぁやはり喉飴さんのあやれいむはいいですなぁ。
こう、二人とも可愛くてニヤニヤが止まらなくてたまりませんです
すばらしいあやれいむに感謝!
ごちそうさまでしたー!
でしたー!
たー!
8.ケトゥアン削除
うわあああああああああ2日も遅れちまったああああああああ
今回はいつもにまして最高でした!ブクマ確定です!
いつか僕も師匠のようなあやれいむ使いに…!

誕生日おめです手負いさん!
9.喉飴削除
>>奇声を発する程度の能力様
ありがとうございます。

>>2様
霊夢だって女の子ですものね、えぇ。

>>3様
ありがとうございましたー。

>>唯様
いえいえ、糖分は0ですよw

>>オオガイ様
楽しんでもらえてなによりですっ。

>>6様
ありがとうございますー!

>>手負い様
急いで仕上げたものでしたが、ちょっとでも楽しんでもらえてなによりですー!
おめでとうございましたー!

>>ケトゥアン様
いえいえ~そこまでではw
ありがとうございましたっ!
10.ぺ・四潤削除
読みながら鼻の奥がツンとしてきた。
どうすればこんなニヤニヤが止まらない話書けるんですか。やっぱり飴とサイダーで糖分過剰摂取しないと駄目なんですか!!
「……どれ、見せてみなさいよ」そこは顔を近づけてきたところで「ちゅ♪」じゃないんですか!
11.名前が無い程度の能力削除
うわああああああああ霊夢さあああああああん