Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

疑問

2010/03/27 00:11:15
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 私は近頃、妖怪の先輩である幽香さんと共に、花屋をやっています。鈴蘭の花を売るのです。最初は抵抗があったけど、いいお金になる。それで、また新しい鈴蘭を買って、植えて、育てる。そしてまた売る。この繰り返し。私は多くのお金を得ました。
 それは悪いことではないと思っていました。お金も手には入って、そして何よりも多くの人に鈴蘭の素晴らしさを伝えることができるのですから。人々は喜んでいる。私は得意になっていました。

 昨日のことです。私は蟻の行列を見つけて、それについて行きました。いや、怒らないで聞いてください。私は確かにやるべきことがありました。鈴蘭の花をいっぱい育てる。可憐な花たちを、もっと色々な人にも知って貰いたい、なんて素晴らしい、と言ってほしい。それは鈴蘭を愛する私にとって、最も嬉しいことの一つです。でも、それらに勝る、好奇心という奴が私の心にしゃしゃりでたのです。蟻の行列が一体どこまで続いているか、なんだか急に気になったのです。貴女にも、そういった経験ってありますよね。私は、その経験が昨日だったのです。そして彼らを尾行していたらいつの間にか、見知らぬ土地に到着していました。
 蟻たちは私の存在に気づいていないようでしたが、ともかく彼らは目的地に急いでいたようでした。山を下り、丘を越え、森を通り過ぎて大きな湖に出ました。そこからさらに進んで、ふと目の前を見ますと、大きな門の前まで来ていたのです。そこで
「はーい。ここからは駄目ですよ」
という声がして、私はやっと気づいたのでした。ここはどこでしょう……。夢中になって蟻たちを追いかけるあまり、どこまで遠くに来たのかさえもはっきりとしません。辺りを見渡せば、後ろには湖、左右にはまばらな木々、そして正面に門、その大きな門の前に、それはまた大きな女が仁王立ちしているという、なんとも不思議な世界に迷い込んだようでした。
「ここから先は立ち入り禁止ですよ」
 女は両手を広げて、行く手を阻んでいるのです。ですが、蟻たちはそんなものはおかまいなし。女の足下を涼しい顔をして、何匹も通り過ぎていきます。門の先にあるのは大きなお屋敷だけでしたが、ここが蟻たちの目的地なのでしょうか。私は気になって仕方がありません。
「私、この先に行きたいの」
私は懇願しました。
「いえ、だから駄目ですよ。この先は紅魔館の私有地ですからね」
「この蟻たちを追って、ずっと遠いところから、歩いてきたのよ」
「蟻?」
そう言って、大きな女は屈みました。
「あら、本当だ」
「ずうっと、向こうからここにまで続いているの。一体この子たちはどこまで行くのか気になるじゃない。ね、私を通して」
「いえ、いえ、駄目なんです。気持ちは分かりますけど、通しちゃったら、私が叱られてしまうんですよ」
女は同情の顔を見せましたが、どうにも通してくれそうもありませんでした。
「だったら、どこまで続いているのか、せめて、この館を通り抜けているのかどうかだけでも調べてくれませんか」
私は打開案として、丁寧な口調で言いました。ここで追い返されたら、この日の行為が何もかも泡のように消えてしまう。それだけは嫌だったのです。女は少し考えて、了承してくれました。
「すぐに戻ってきますから」
 女は蟻の行列を追って、門の中へと入っていきました。
 私は待ちました。それはそれは、待ったのです。ですが、日が暮れて、月が顔を出して、それでも女は帰ってきません。でも、私は待っていたのです。気づけば、大きな門を背にして、うつらうつらとしながら……。
 そこで不思議なことが起こりました。
気がつけば、私は蟻たちの行列の一員になって、一緒に歩いていたのです。しかも、私が小さくなったのか、蟻が大きくなったのか分からない。でも、私たちは同じ大きさで、一緒に道を歩いていたのです。私は傍を歩いていた蟻に聞きました。
「みんなどこへ向かっているの?」
「いやさ、俺も分からないんだけど、でもさ、みんなが向かってるだろ。これはついて行くしかない。なんかいい儲け話かもしれないしな」
私はまた別の蟻にも聞きました。
「ああ、なんでもどこかへ向かっているらしいな。噂じゃ、桃源郷だとか、そんな話を聞いたぜ。ま、皆が向かっているんだから、ともかくついて行って損はないわな」
もう一匹、髭を生やした偉そうな蟻にも聞きました。
「奇妙なことを仰る。目的地がどこであろうと、我々が向かう場所は、我々が必要としている場所に他ならない。ささ、急ぎなさい」
そこで目が光りに被われて、何もかも消えました。
 私がふと目を開くともう、朝になっている。日差しが湖に反射して、その光が私を起こしたのです。急いで立ち上がって、辺りを見渡しましたが、結局女は帰っていないようでした。私は何だか馬鹿らしくなってきて、蟻の行列を足で思いっきり踏みつけて、そして、また、蟻の行列を逆流するようにここまで帰ってきた。そういうわけなのです。分かって頂けましたか。

「そうね、大体分かったわ」
幽香さんはにっこりと笑い、私の頭にぽんと手を置きました。
「貴女はつまり、蟻についていって、今まで、約束をすっぽかしていた。そういうことね」
「いえ、そんな簡単な理由じゃないです。好奇心が――それに……」
「いや、いや、全部言わなくてもいいのよ。花屋ってのは、時間厳守なの。昨日だって、たくさんのお客さんが来たわ。でも、貴女が鈴蘭を持ってこなかったから、皆、がっかりしていたのよ。……ほら、見なさい。今日も開店前から人間が来ている。貴女の鈴蘭って評判が良いから」
 私が花屋の窓から外を覗きこむと、人間たちが、黒い行列になっていました。私は幽香さんに聞きます。
「あの人たちは、本当に鈴蘭がほしいのでしょうか」



 
>1さん ご指摘ありがとうございます。訂正しておきました。
まさか一行目からやらかしているなんて……

物語になっていないというは、たぶん、人々は花を買っていくけれど、たまに、路傍に捨てられているとか、そういった描写なりを入れてなかったからだと思います。
今、気づきました。
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
美鈴はどこに行ったの?


>幽香さんの共に
→幽香さん『と』共に
2.ずわいがに削除
なんか不思議の国のアリスみたいな……いや、違うかな?
目的の為にそれをするのか、それをすること自体が目的なのか。
考える事を止めれば楽にはなるけど、それなら機械と同じね。いや、精密な動作をする分、機械の方が優秀か。
3.名前が無い程度の能力削除
なんか話として成立しきれていないような。
4.ぺ・四潤削除
仕事をサボったことに怒るのではなくお客さんをがっかりさせたことで叱れる幽香の優しさに惚れた。
まあ、メディと幽香さんがいる花屋だったら毎日通うに決まってるよな。

めーりんは館内で咲夜さんに見つかって、素直に理由を話してしまって帰らぬ人となってしまったのだよ……
5.奇声を発する程度の能力 in 携帯削除
おおぅ…考えさせるお話でした。