Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

さむがり鼠とあったか猫

2010/03/09 22:35:39
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「……寒い」

「いや~。さすがに暖房がないと寒いね~」

「お前が言うな」

 ナズーリンの突っ込み(ダウジングロッド)が、お燐の頭に突き刺さりました。

「痛い~。ナズーの愛はいつも痛いよ」

「……はぁ」

 もはや相手をする気力もないナズーリンでした。




 ここはナズーリンの家の中。

 暖房の切れた室内に、真冬の冷たい空気がじんわりと染み込んできます。

 いつものように遊びに来たお燐と家主のナズーリンは、冷えゆく室内で呆然と佇むのでした。
 
「君が暖房を壊さなければ、この部屋もあったかだったんだけどね」


 ナズーリン家にあった効き目抜群、にとり印の暖房装置。

 好奇心でいじくりまわしたお燐の手によって、それは見事に壊されたのでした。


「これだけ複雑な機械は、あたいたちじゃ直せないよね」

「あの暖房装置に頼りきりで、薪も何も備蓄しなかったのが間違いだった……」

 暖房だけでなく、炊事にも湯沸かしにも使っていたので、壊れると何もできなくなるのです。

「しょうがないよ!心頭滅却すれば火もまた涼しさ」

「余計寒くなるじゃないか!」

「気の持ちようってことだよー。ナズーのいけずぅ」

 ナズーリンの溜め息は、またも室内に響きわたるのでした。



「うう……。本当に寒い。何か暖まりそうなものを探しに行った方がいいかな」

 暖房が壊れてから数時間が経ち、いよいよ室内は冷えきります。

 動きたくなくてじっとしていたナズーリンも、ようやく何か暖房に代わるものを探す気になったようです。

「……しかし君は猫のくせに寒さに強そうだね。猫はコタツで丸くなるんじゃないのかい?」

「それは迷信だよ。今時の猫は寒くても元気なのさ」

 余裕の表情でお燐は応えます。

 確かに、寒さに震えるナズーリンとは違って、お燐は平気な様子です。

「……怪しいな」

「何がさ?」

 ふと、ナズーリンは気づきました。

「いつもより少し服が着膨れて見える」

「ぎく」

 よくよく見ると、お燐の服の下には何やらいつもにない膨らみがいっぱいです。

「……お燐、一人だけ懐炉を使っているのは、フェアじゃないよね?」

「ぎくぎくぅ!」

「その懐炉よこせぇ!」

「ぎゃー!地上は地底よりも寒いから、普段だって懐炉必須なんだよ。剥ぎ取らないで~」

 ドタバタドタバタと、お燐の懐炉を巡っての取っ組み合いが始まりました。



「ちわ~。故障信号が出てたから直しに来たよ~って、ひゅい!?」


 その時でした。河童のエンジニアにとりが扉を開けたのは。

 馬乗りになって、服を剥ぎ取りにかかるナズーリン。

 取っ組み合いの中で肌も露わになったお燐。

 2人と河童は思わず見つめ合いました。

「こ、これは失礼しました。ごゆっくり~」

 何を思ったか。ナニを思ったか。

 顔を真っ赤にして、にとりは逃げ出してしまいました。



「……君のせいで誤解されてしまったじゃないか。」

 憮然とした表情でナズーリンは言いました。

「え、あたいたちの仲の良さを知らしめることができて、よかったじゃ……」


 ギロッ!


 音まで聞こえそうなナズーリンの一睨みで、さすがのお燐も押し黙ります。

「しかも、せっかくの暖房を直してもらうチャンスもふいになった」

「でもさ、こうやってくっつきあって暖めあうのも悪くないじゃない」

 寒さに震える二人は、結局のところくっつきあって暖を取る事にしたのでした。

「その相手が君じゃなければ良かったんだがね……」


「あたいはナズーじゃなきゃ、やだな」

 皮肉っぽく言ったナズーリンの言葉に被せるように、お燐が言いました。

 その顔は、ほんのりと赤く。


「……まったく君にはかなわないよ。本当に」
 
 さっきよりもほんの少しだけ。

 お燐にもたれかかってて、ナズーリンはつぶやくのでした。
ナズー燐です。ずっと書きたかったのですが、ようやく出来ました。
いきなりお燐がナズーリンの家に居るのは仕様です。諦めてください。

とりあえず、分類「ナズー燐」の一つ目になれたので満足です。
他に誰か書かないのでしょうかねー。
nasugin
http://sobani.blog.shinobi.jp/
コメント



1.ぺ・四潤削除
この組み合わせはナズーリンが食われるんじゃないのか?
いろんな意味で。
ナズーリンが自分の家で暮らしてるみたいなのに突っ込むのは無粋かな?
2.奇声を発する程度の能力削除
ナズー燐きた!!!!
ようやく、このカップリングのお話を読むことができました。
ナズー燐結構あると思ってたんだけどなぁ…。
3.nasugin削除
まだ投稿直後ですが、気になるコメがあったので早速返信をば……

>ぺ・四潤 さん
>ナズーリンが自分の家で暮らしてるみたいなのに突っ込むのは無粋かな?
……なんかナズーリンが一人暮らしをしてるマイ設定を、勝手に作ってましたw
突っ込まれて冷や汗ダラダラ状態ですw 言われて気づいた。

ちょいと調べましたが、特に公式にナズーリンがどこ住んでるとかないはずなので、うちではこれで突っ切るつもりで……。(逆にソースあったら教えていただけるとありがたいです)

>奇声を発する程度の能力 さん
分類でしか調べてないのですが、意外とでてないのですよね。
関係性としては作りやすい気がするので、どんどんと書いていこうかと思いますー。
4.名前が無い程度の能力削除
てっきり命連寺に住んでると思ってました
まっいいか、そんな細かいことはこの際

さあ、早く次の作品を執筆するんだ 
5.名前が無い程度の能力削除
素晴らしい。あなたのような人を待っていた。
ナズー燐はもっと流行って良い。
6.名前が無い程度の能力削除
寅×鼠が推奨されるならば猫×鼠が認められても良いじゃないか、そういう意味でこの作品は私好みな意欲作である
7.名前が無い程度の能力削除
いやいや、ここは敢えて鼠×猫で
8.nasugin削除
コメントありがとうございますー。
例大祭帰りでテンション上がっておりますが、コメ返しをば。

> 4さん
自分もそう思いますw ナズーリンは普通、命蓮寺ですよねー。
でもこのまま自分の作品は一人暮らし設定で突っ走ります。もう書いちゃってますし。
つ、次の作品も頑張ります……w

> 5さん
もっと流行れ、ナズー燐SS!
1つじゃなくて、自分でもいくつか書きたいです。頑張ります。

> 6さん
書き上げてから、ナズー燐まだ一つも無かった事に気づきました。
自分としては、にとまりくらいにはメジャーな組み合わせだと思ってたのでびっくりです。

> 7さん
鼠×猫でいきましょうw