部屋に一足踏み入れたところで、魔理沙は後悔した。
丸々と肥えていた好奇心は急激にやせ衰え、かわりに冷たいものが背筋に押し寄せてくる。それでも彼女がそのまま帰り支度をしなかったのは、わずかに残った勇気と蒐集家としての矜持に助けられてのことだった。
「どうだい、お姉さん。あたいのコレクションはすごいだろ?」
燐はふりかえり、言った。
そうして、すてきな返事を待つように、魔理沙をじっと見つめた。彼女の瞳はやわらかそうな水気を含み、輝いていた。熱気のこもった視線が魔理沙の全身をなでまわす。
愛する品々のために費やした苦労を分かち合いたい。そんなおだやかな親密感を魔理沙は感じ取った。
自分が招かれた動機もそこにあるのだろう。蒐集家の気晴らしに付き合うのは嫌いじゃない。だが、これはあまりにも不向きだ。遺品とか、古臭い道具とか、そういったものならまだしも……。
頭上を行き交う不毛な考えに魔理沙はこっそりため息をついた。そして、帽子のかぶり具合を気にしながら、当たり障りのない言葉を探す。
「ああ、ええと、すごいな。まるで死体の博物館だ」
「そうだろそうだろ。もっと驚いてもいいんだよ。これだけの品だもの。管理にだってちゃんと気をつけているんだ」
燐は魔理沙のそうした態度を上機嫌でながめながら言った。そうして、周囲を見渡した。魔理沙もそれにならい、あらためて彼女のコレクションをながめた。
部屋は十分な広さであったが、息苦しく感じられるほどに飾り戸棚がずらりと並べられている。戸棚は何段かに分けられているものもあれば、仕切りがまったくないものもあった。そして、その中にはこわれた、使い古された、生物の品々が納められていた。
青白い腕。焼け焦げた羽。暗赤色の欠けた薬指。ふっくらとした脚。拳大の目玉。ひび割れた一本の角。干からびた人型のなにか。
魔理沙はガラスの向こうから腐臭が漂ってくるように感じた。
見たところ、それらに腐敗は一切ない。なんらかの処理がほどこされているのだろう。理性がそう訴えたが、彼女は意識して口から息を吸った。
「こういった品は集めるのに骨が折れるんだよ。とてもね。人間も妖怪も、生物の死肉って奴には目がないんだ。だから、競争も激しくなる」
誇らしげに燐は言った。
「でも、ここにはうんざりするほどあるじゃないか」
「うん、ここにはうっとりするほどあるよ。まあ、そこはほら、コツというか抜け道があるのさ。本業だもの」
「本業、ね」
「これは仕事の息抜きなんだよ。この仕事をもう長いことつづけているからね。死体の醍醐味ってものがわかってくるんだ」
そう言って燐は戸棚の中に飾られている、赤黒い塊を指さしてつづけた。
「たとえば、これ。酒に命を取られた男がいてね。そいつの内臓さ。見てよ、こんなに使い込んじゃって。いったいどうしてそこまで大酒をくらってきたんだろうって、考えるとわくわくするじゃないか。まだあるよ。こっちにあるのは服毒を見事に成功させた女の舌。あたいは詳しくないけど聞いたことはあるよ。なかなかできるものじゃないって。つまり、希少価値って奴があるんだ。それにこの色はいつ見てもさとり様を連想させるよ。毒々しくてさ!」
真っ赤な舌を躍らせる燐の耳はぴんと立っていた。裂けた尻尾はせわしなく右へ左へぱたぱたゆれる。
盛り上がる彼女を前にして、魔理沙は自分一人がこの不気味な部屋に取り残されたかのように感じた。異様な熱気に飲み込まれることなく、部屋の隅の空気のように馴染めずに冷たいままでいる自分がいる。その気まずさに、魔理沙は指を組んだり離したりした。
燐は話し相手が居心地のわるい思いをしていることに気づかず、口舌をつづける。
「そして、これだ。この女の子。可愛いと思わない、お姉さん?」
「ん……あ、ああ、そうだな」
目の前にあるものに言われてからようやく気づき、魔理沙はぎこちない返事をした。彼女の前にある飾り戸棚は仕切りのないもので、人間一人なら問題なく納まる大きさだった。ガラス一枚をへだてて置かれているのは、欠損の見られないやわらかな肌をした少女だった。
眠っていると言われても頷けるようなおだやかな表情をしている。ミルク色の肌が金髪で塗りつぶされている。その色彩が魔理沙の瞳の中でいっぱいに広がった。
適当に言葉を返してしまったが、これなら訂正する必要もないなと彼女は思った。
「そうだよね。髪も、瞳も、声も、どれを取っても文句のない愛らしさだよ。でも可愛いだけじゃないんだ。この品は実に奇妙でね、血液が一滴も残っていないんだ。けれど、吸血鬼の仕業でもない。首筋にもどこにも、傷一つないんだからね。いったいどうやってこしらえたんだろうって、気になって気になって、何日も眠れなくなったものさ」
「へぇ。そんなにこいつを気に入ってるのか」
少女の魅力を語る燐に、魔理沙は何気なく浮かんだ小さな疑問をそのままの形で放った。
燐は魔理沙の顔をしばらくながめた。言葉の意味を飲み込めず、どうしていいかわからないように。そして、部屋の中央にある丸いテーブルと小さなイスに顔を向け、苦笑しながら言う。
「どうも誤解があるみたいだね。座ってよ、お姉さん。お茶、入れてあげるから」
テーブルを囲むように木製のイスが置かれていた。燐の勧めに魔理沙は応じて、その一つに腰を下ろす。
紅茶の準備を始める燐を視界に置きながら、自分はなにかまずいことでも聞いてしまったのだろうか、と少しだけ不安になった。
やがて、紅茶の用意がすっかり終わる。燐は魔理沙の対面に腰を下ろした。そうして、一度舌を紅茶で濡らしてから顔を上げた。
「お姉さんも蒐集家ならわかるだろ? 気になるだとか好きだとか、そんなものじゃないってさ。おぼれているんだよ、あたいらは」
「……おぼれる?」
「集めた品々にだよ」
テーブルに身を乗り出して、燐は微笑む。
甘くさそうような笑みだ。この甘ったるい紅茶みたいに。魔理沙は手元の紅茶を見つめた。
ミルクでにごった紅茶は、その腹の中を探らせないように底を見せずに湯気を上らせる。独特な香りが彼女の鼻腔をつらぬいた。この匂いはどこかで味わったような、とその香りに似たようなものを彼女は思い出そうとする。
未熟なベリーのような、甘酸っぱい匂いだと思う。けれど、それは間違いだという考えも胸のうちに湧き出した。
いったいなんだろう。不愉快なもやをかかえながら、彼女はひとまず話のつづきを聞こうとした。
「あたいはこいつらに恋焦がれているし、こいつらを愛してやまない。こいつらのためだったら、それこそ本当に、なんでもやってしまうだろうさ」
「死体に恋愛か。お盛んなんだな」
紅茶を喉に通して、口のすべりを良くした魔理沙は知らず軽口を叩いた。
燐は彼女の悪態に頓着せずに、言う。
「そうだね、恋愛だ。上手いこと言うねぇ。恋は好奇心。愛は執着。二つを兼ね備えた蒐集こそ恋愛の真髄だとは思わないかい、お姉さん?」
「そりゃまた大層なことで」
「もう、あたいはまじめに言ってるのにお姉さんったら」
むくれて、燐はそっぽを向いた。
わるいわるい、と魔理沙は紅茶を飲みながら謝った。温かな液体が舌にじわりと染み渡る。そして、そういえばと言い始め、話題を変えることにした。
「さっきの女の子の棚、あるじゃん? あの隣の棚ってなんでなにも入ってないんだ?」
少女の納められた棚の隣は、なにも飾られていなかった。そのさらに隣の棚には品が納められており、そこだけぽっかりと穴を開けていた。
「ああ、あの棚は今日飾るんだ」
「へぇ。でも、なんでまたあそこにしたんだ?」
「あの女の子と同じくらい可愛い子が入るからさ。似たようなものが二つあれば、ついつい見比べたくなるってものだよ」
「まあ、そうだなぁ」
蒐集家として理解できると、魔理沙は燐の意見に同意した。
「いやぁ、それにしてもお姉さんって綺麗だよね」
燐はにんまり頬をゆるませて、言った。突然のその言葉に魔理沙は思わず声をあげた。
「なっ、なに言い出すんだよ! べつに、その……そんなことない、ぜ」
「いやいや、心からの本心だよ。もっと自信を持ってもいいと思うよ。それに」
手放しで褒める燐に、魔理沙はどうにも落ち着かず居住まいを正しながら紅茶を飲み干した。
一気に飲んだせいか、舌がぴりぴりするように感じた。体の芯が温まり、ようやくほっと息を吐く。すると、アーモンドの香りが彼女の鼻をくすぐった。
「それに、なんだ?」
「お姉さんは人間のくせに強いしね」
燐はやさしく可愛い微笑みを魔理沙に投げかけた。
「ま、まあ、そうかもな。じゃあ、私はこれでお暇させてもらうぜ」
「もっとゆっくりしていってよ、お姉さん。足がふらつくんじゃないかい?」
がたり、とイスが声をあげた。
魔理沙は目を見開いた。立ち上がったと思っていた彼女の体は少しだけ浮き上がり、すぐに着地した。
「お、お前……」
物音一つ立たない部屋は、魔理沙のかすれた声も響かせた。
燐はもう一度やさしく微笑み、言った。
「いやぁ、お姉さんは綺麗だよ。本当に綺麗だ」
燐の瞳がゆっくりと魔理沙に向けられる。瞳孔は次第に大きくなり、向かう相手を飲み込もうとしているようだった。
身動きのできない魔理沙に近づきながら、燐は彼女にささやいた。
「特に、そのミルク色の肌と金髪はね」
丸々と肥えていた好奇心は急激にやせ衰え、かわりに冷たいものが背筋に押し寄せてくる。それでも彼女がそのまま帰り支度をしなかったのは、わずかに残った勇気と蒐集家としての矜持に助けられてのことだった。
「どうだい、お姉さん。あたいのコレクションはすごいだろ?」
燐はふりかえり、言った。
そうして、すてきな返事を待つように、魔理沙をじっと見つめた。彼女の瞳はやわらかそうな水気を含み、輝いていた。熱気のこもった視線が魔理沙の全身をなでまわす。
愛する品々のために費やした苦労を分かち合いたい。そんなおだやかな親密感を魔理沙は感じ取った。
自分が招かれた動機もそこにあるのだろう。蒐集家の気晴らしに付き合うのは嫌いじゃない。だが、これはあまりにも不向きだ。遺品とか、古臭い道具とか、そういったものならまだしも……。
頭上を行き交う不毛な考えに魔理沙はこっそりため息をついた。そして、帽子のかぶり具合を気にしながら、当たり障りのない言葉を探す。
「ああ、ええと、すごいな。まるで死体の博物館だ」
「そうだろそうだろ。もっと驚いてもいいんだよ。これだけの品だもの。管理にだってちゃんと気をつけているんだ」
燐は魔理沙のそうした態度を上機嫌でながめながら言った。そうして、周囲を見渡した。魔理沙もそれにならい、あらためて彼女のコレクションをながめた。
部屋は十分な広さであったが、息苦しく感じられるほどに飾り戸棚がずらりと並べられている。戸棚は何段かに分けられているものもあれば、仕切りがまったくないものもあった。そして、その中にはこわれた、使い古された、生物の品々が納められていた。
青白い腕。焼け焦げた羽。暗赤色の欠けた薬指。ふっくらとした脚。拳大の目玉。ひび割れた一本の角。干からびた人型のなにか。
魔理沙はガラスの向こうから腐臭が漂ってくるように感じた。
見たところ、それらに腐敗は一切ない。なんらかの処理がほどこされているのだろう。理性がそう訴えたが、彼女は意識して口から息を吸った。
「こういった品は集めるのに骨が折れるんだよ。とてもね。人間も妖怪も、生物の死肉って奴には目がないんだ。だから、競争も激しくなる」
誇らしげに燐は言った。
「でも、ここにはうんざりするほどあるじゃないか」
「うん、ここにはうっとりするほどあるよ。まあ、そこはほら、コツというか抜け道があるのさ。本業だもの」
「本業、ね」
「これは仕事の息抜きなんだよ。この仕事をもう長いことつづけているからね。死体の醍醐味ってものがわかってくるんだ」
そう言って燐は戸棚の中に飾られている、赤黒い塊を指さしてつづけた。
「たとえば、これ。酒に命を取られた男がいてね。そいつの内臓さ。見てよ、こんなに使い込んじゃって。いったいどうしてそこまで大酒をくらってきたんだろうって、考えるとわくわくするじゃないか。まだあるよ。こっちにあるのは服毒を見事に成功させた女の舌。あたいは詳しくないけど聞いたことはあるよ。なかなかできるものじゃないって。つまり、希少価値って奴があるんだ。それにこの色はいつ見てもさとり様を連想させるよ。毒々しくてさ!」
真っ赤な舌を躍らせる燐の耳はぴんと立っていた。裂けた尻尾はせわしなく右へ左へぱたぱたゆれる。
盛り上がる彼女を前にして、魔理沙は自分一人がこの不気味な部屋に取り残されたかのように感じた。異様な熱気に飲み込まれることなく、部屋の隅の空気のように馴染めずに冷たいままでいる自分がいる。その気まずさに、魔理沙は指を組んだり離したりした。
燐は話し相手が居心地のわるい思いをしていることに気づかず、口舌をつづける。
「そして、これだ。この女の子。可愛いと思わない、お姉さん?」
「ん……あ、ああ、そうだな」
目の前にあるものに言われてからようやく気づき、魔理沙はぎこちない返事をした。彼女の前にある飾り戸棚は仕切りのないもので、人間一人なら問題なく納まる大きさだった。ガラス一枚をへだてて置かれているのは、欠損の見られないやわらかな肌をした少女だった。
眠っていると言われても頷けるようなおだやかな表情をしている。ミルク色の肌が金髪で塗りつぶされている。その色彩が魔理沙の瞳の中でいっぱいに広がった。
適当に言葉を返してしまったが、これなら訂正する必要もないなと彼女は思った。
「そうだよね。髪も、瞳も、声も、どれを取っても文句のない愛らしさだよ。でも可愛いだけじゃないんだ。この品は実に奇妙でね、血液が一滴も残っていないんだ。けれど、吸血鬼の仕業でもない。首筋にもどこにも、傷一つないんだからね。いったいどうやってこしらえたんだろうって、気になって気になって、何日も眠れなくなったものさ」
「へぇ。そんなにこいつを気に入ってるのか」
少女の魅力を語る燐に、魔理沙は何気なく浮かんだ小さな疑問をそのままの形で放った。
燐は魔理沙の顔をしばらくながめた。言葉の意味を飲み込めず、どうしていいかわからないように。そして、部屋の中央にある丸いテーブルと小さなイスに顔を向け、苦笑しながら言う。
「どうも誤解があるみたいだね。座ってよ、お姉さん。お茶、入れてあげるから」
テーブルを囲むように木製のイスが置かれていた。燐の勧めに魔理沙は応じて、その一つに腰を下ろす。
紅茶の準備を始める燐を視界に置きながら、自分はなにかまずいことでも聞いてしまったのだろうか、と少しだけ不安になった。
やがて、紅茶の用意がすっかり終わる。燐は魔理沙の対面に腰を下ろした。そうして、一度舌を紅茶で濡らしてから顔を上げた。
「お姉さんも蒐集家ならわかるだろ? 気になるだとか好きだとか、そんなものじゃないってさ。おぼれているんだよ、あたいらは」
「……おぼれる?」
「集めた品々にだよ」
テーブルに身を乗り出して、燐は微笑む。
甘くさそうような笑みだ。この甘ったるい紅茶みたいに。魔理沙は手元の紅茶を見つめた。
ミルクでにごった紅茶は、その腹の中を探らせないように底を見せずに湯気を上らせる。独特な香りが彼女の鼻腔をつらぬいた。この匂いはどこかで味わったような、とその香りに似たようなものを彼女は思い出そうとする。
未熟なベリーのような、甘酸っぱい匂いだと思う。けれど、それは間違いだという考えも胸のうちに湧き出した。
いったいなんだろう。不愉快なもやをかかえながら、彼女はひとまず話のつづきを聞こうとした。
「あたいはこいつらに恋焦がれているし、こいつらを愛してやまない。こいつらのためだったら、それこそ本当に、なんでもやってしまうだろうさ」
「死体に恋愛か。お盛んなんだな」
紅茶を喉に通して、口のすべりを良くした魔理沙は知らず軽口を叩いた。
燐は彼女の悪態に頓着せずに、言う。
「そうだね、恋愛だ。上手いこと言うねぇ。恋は好奇心。愛は執着。二つを兼ね備えた蒐集こそ恋愛の真髄だとは思わないかい、お姉さん?」
「そりゃまた大層なことで」
「もう、あたいはまじめに言ってるのにお姉さんったら」
むくれて、燐はそっぽを向いた。
わるいわるい、と魔理沙は紅茶を飲みながら謝った。温かな液体が舌にじわりと染み渡る。そして、そういえばと言い始め、話題を変えることにした。
「さっきの女の子の棚、あるじゃん? あの隣の棚ってなんでなにも入ってないんだ?」
少女の納められた棚の隣は、なにも飾られていなかった。そのさらに隣の棚には品が納められており、そこだけぽっかりと穴を開けていた。
「ああ、あの棚は今日飾るんだ」
「へぇ。でも、なんでまたあそこにしたんだ?」
「あの女の子と同じくらい可愛い子が入るからさ。似たようなものが二つあれば、ついつい見比べたくなるってものだよ」
「まあ、そうだなぁ」
蒐集家として理解できると、魔理沙は燐の意見に同意した。
「いやぁ、それにしてもお姉さんって綺麗だよね」
燐はにんまり頬をゆるませて、言った。突然のその言葉に魔理沙は思わず声をあげた。
「なっ、なに言い出すんだよ! べつに、その……そんなことない、ぜ」
「いやいや、心からの本心だよ。もっと自信を持ってもいいと思うよ。それに」
手放しで褒める燐に、魔理沙はどうにも落ち着かず居住まいを正しながら紅茶を飲み干した。
一気に飲んだせいか、舌がぴりぴりするように感じた。体の芯が温まり、ようやくほっと息を吐く。すると、アーモンドの香りが彼女の鼻をくすぐった。
「それに、なんだ?」
「お姉さんは人間のくせに強いしね」
燐はやさしく可愛い微笑みを魔理沙に投げかけた。
「ま、まあ、そうかもな。じゃあ、私はこれでお暇させてもらうぜ」
「もっとゆっくりしていってよ、お姉さん。足がふらつくんじゃないかい?」
がたり、とイスが声をあげた。
魔理沙は目を見開いた。立ち上がったと思っていた彼女の体は少しだけ浮き上がり、すぐに着地した。
「お、お前……」
物音一つ立たない部屋は、魔理沙のかすれた声も響かせた。
燐はもう一度やさしく微笑み、言った。
「いやぁ、お姉さんは綺麗だよ。本当に綺麗だ」
燐の瞳がゆっくりと魔理沙に向けられる。瞳孔は次第に大きくなり、向かう相手を飲み込もうとしているようだった。
身動きのできない魔理沙に近づきながら、燐は彼女にささやいた。
「特に、そのミルク色の肌と金髪はね」
殺意を感じさせないお燐の熱に浮かれたような喋りがいい雰囲気と古びた死体の匂いを醸し出しているようです
お燐作中ではあっけらかんと言ってるけど実際こんな感じなんだろうなー。
隣は一体誰なんだ……アリスではないみたいだし……
愛して愛して愛してやまない。私は智弘さんに恋をしているのかもしれない。
そうならないように溺れていたいものです
…私の初めての初恋は4歳の頃でした。
その初恋は甘くてクリーミーで、こんな素晴らしい初恋が出来る私は
きっと、特別な存在なのだと感じました。
状況に流されっぱなしなのは彼女らしくないような……
美しい。ただ美しい。
雰囲気がどろりと濃厚、暗くてほんのりピンク色
こんな話を書くなんて智弘さんはやっぱりえっちですね
どうみても上級者向けじゃないですか(´;ω;)
本当に自身の恋愛と溺死するのは、なかなか難しいものです。
待ち続けたり偶然で気に入った死体を見つけたら、ものすっごく嬉しそうだ
ごちそうさま。
ならば上級者用はこれよりも凄いのが期待できるということか!!