Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

モノクロームは寂しいことだから

2010/02/16 12:21:08
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 黒。黒、黒。そして黒。
 フランドールの周り一面みーんな黒。右も左も分からない。上も下も、勿論分からない。今立っているのか、仰向けになっているのか、それともふわふわと浮いているのかさえ、フランドールには分からない。



 フランドールが前を見るとフランドールが居る。真っ黒な世界において、フランドールだけに色が付いていた。だからフランドールの視界の中で、フランドールは余計に目立つ。少し遠くにも後二人フランドールを確認したフランドールは、すぐ前に座り込むフランドールに近づいた。何をしているのかな。そう思ったフランドールは、座り込んで何かを弄っているフランドールに話しかける。

「ねぇ、貴女は何をしているの?」
「見て分からない? 私は貴女で、貴女は私なのに?」

 座りこんだフランドールの手は何かを握っているように形を作っているけれど、周りが黒すぎて何を持っているのかフランドールには分からなかった。

「そんなの知らないよ。ねぇ、何かを持ってるの?」
「そうかもね」


 濁した答え方に疑問を持ったフランドールは、座り込んだフランドールの手をよく観察する。よく見れば、向こう側にあって見えないはずの掌が見えるじゃないか。


「分かった。貴女何も持ってないでしょう?」
「何を言ってるの? 持ってるじゃない」
「何も無いじゃない」
「そうよ。何も無い。何も無いを持ってるの」

 フランドールは言ってる意味が分からないというように、肩をすくめた。


「それを何も持ってないって言うんでしょ」
「だから、持ってるんだって」


 あくまでも持ってると言い張るフランドールに、フランドールは面食らってしまう。


「分からないの? 貴女のことなのに」
「どういう意味よ」


 フランドールは手に持っていた“モノ”を大事そうに抱え込んで、語りだす。

「私はね、私の周りにはね、何も無いの。何にも無いから、こうして抱くものも無い。だからこうやって、何にも無いを持つしかないの。私は貴女、貴女は私だから気づいてると思った。貴女の周りには何にも無いって。貴女は独りだって」


「嘘だ! 私の周りには沢山のモノがある! 手で触るモノだって、沢山あるんだ!」

 フランドールは怒った。

「じゃあどうして慌てたように怒り出すの? もし本当に自分の周りに何かあると思ってるなら、余裕持って答えればいいじゃない。それこそが、貴女の、そして私の周りに何も無い証拠よ」


 フランドールはその手に抱えているモノをより一層大事そうにぎゅっと掴んで、幸せそうに微笑む。本当に、満たされているように。

「それは……」
「それに、貴女の周りに何があるっていうのよ。誰がいるっていうのよ。何か手で掴めるモノがある?」

 そういうとフランドールは右手を水平に滑らせて、周りを見てみなよとジェスチャーをする。フランドールの周りは真っ黒だ。暗いんじゃない、黒いんだ。奥行きも、そこに何があるかさえもいまいち分からない。本当に黒い。だから勿論フランドールには何も見えてはいない。周りを見回したところで、もう二人のフランドールしか映らない。フランドール以外は、何も無い。


「分かったでしょう。私達の周りには何も無いの。だから私達は独りぼっち。精々こうして無いモノを在ると思い込んで接することでしか、孤独を紛らわせないの。さぁ、貴女も抱いてみなよ。意外と満たされるから」

 そう言ってフランドールはフランドールに大事そうに抱えていたモノを差し出す。しかしそんなことを認めたくないフランドールはその手をはじいた。


「どうして!? まだ私達が独りぼっちだってことを、貴女は認めてないの? もう貴女以外の私達は皆認めてるって言うのに」

「五月蝿い! 私は独りなんかじゃない!」


 フランドールは右手を握りつぶす。瞬間、目の前のフランドールは消え去り、そこには黒い空間だけが残った。





 少し涙目になった目をぬぐって、フランドールはもう一人のフランドールのところへと歩いていく。もう一人のフランドールの周りはどうやら黒一色では無いらしく、何やら所々が紅いようだった。

 今までの真っ黒な空間から解放された気分でフランドールは、一心不乱に筆を動かして何かを描き続けるフランドールに話しかける。


「貴女は何をやっているの?」

 声をかけられたフランドールは振り返る。その顔には紅い液体が飛び散っていて、まるで血みたいだった。でもフランドールにはこれが血じゃないことが、匂いで分かる。これは多分、ペンキか何かだと思った。

「見て分からない? 貴女は私なのに」
「またその質問? 何かを描いてるの?」
「そうよ」


 黒い空間には紅いペンキでへたくそな人のようなものが描かれている。それでもフランドールには分からないことが沢山あった。

「そこは壁なの?」
「さぁ。絵を描いてみたら描けた、それだけよ」
「何で紅いペンキだけで描いてるの?」
「紅いペンキしか、私達は持ってないからよ」
「何で紅いペンキしか無いのよ」
「私達が持ってる色は、負の感情に良く似た黒。血の色の紅、それと明るさや危険を表す色の黄色だけど、あたり一面黒だから、黒は意味無いでしょ。黄色はほんの少ししか持ってないから、絵を描くには足らない。つまり消去法で紅しか残らなかったってわけ」
「誰を描いてるの?」
「分からない。誰かよ」
「何でそんなの描いてるの?」
「独りぼっちで寂しいからよ。貴女は私で私は貴女だから知ってると思ってたわ」


 さっきのフランドールと同じことを言うフランドールに、フランドールは少し苛立ちを覚える。


「独り独りって言ってるけどさ、独りじゃないじゃん! お姉様とか、咲夜とか、パチュリーとか、美鈴とか、小悪魔とか。他にも友達だっているじゃん!」


 絵を描いていたフランドールはその手を休め、怒り出したフランドールに向き直る。

「それって貴女が勝手に思い込んでるだけでしょ。お姉様だって、私達が居なければもっと楽しく生きていけたはずよ。それはお姉様も理解していると思うし、貴女も分かってると思ってたけど」

 フランドールはそんなこととっくに分かっていた。とうの昔にその考えにはいたっていた。だから、余計に腹が立つ。そうとは思っていても、今までレミリアのことを信じてずっと過ごしてきたフランドールには、認めたくない事実だったのだ。一方のまた絵を描き始めたフランドールは、何を怒っているのか分からないといった風にフランドールを無視して筆を動かす。


「お姉様言ってたもん。フランドール、貴女を愛してるわ。だからそんな悲しいこと言わないでって。だから、私ずっとそれを信じてきたもん」
「信じてたら、どうなるの?」

 壁に紅で描かれた人が、大体完成する。使う絵の具の量を誤ったのか、ペンキが所々垂れていて、その描かれた人はまるで血を流しているみたいだった。血の涙を流して、頭からも、腕からも、足からも、心の臓の近くからも血の様にペンキを垂らす。

「どうなるのって、信じるのは、信じるんだよ。お姉様が私を、私達を好きだって言ってくれてるんだから。だから私達はそれを信じて、私達もお姉様を好きでいればいいんだよ。勿論他の館のメンバーも同じように」

 もう呆れてしまったのか、絵を描くのを止めないフランドールは無視し続ける。


「それに、友達だってなんだかんだで一杯いるじゃない。よくここに来てくれるこいしでしょ、たまに館に来て一緒に遊ぶチルノとルーミアと大ちゃんでしょ。それに最近ここに来てくれるようになったぬえ。それといつも私を、私達を気にかけてくれている魔理沙。ほら、友達一杯いるんだよ! 私達は独りじゃない」
「いいかげん五月蝿い!」

 フランドールが手にしていた筆を投げる。その筆は真っ直ぐに地面のようなところに当り、真っ黒な空間の一部を紅くした。急に怒り出したフランドールに、フランドールはビックリする。


「私達は皆から嫌われてるの。それは周知の事実。だから私はそれを受け入れた上でこうして絵を描いて寂しさを紛らわせてるんじゃない!」

 フランドールとフランドールは睨み合う。どちらも引く意思は無いようだった。


「もういい。冷めた。私消えるね」

 そういうと絵を描いていたフランドールは足元にあった何かを両手で持ち上げる。今度は掌が見えることは無く、本当に何か丸い物を持っているようだった。でもそれが何かは、フランドールには分からない。真っ黒な中に黒い物があっても分かるわけが無い。


 何かを持っている手を上に上げて、その何かを自分の頭上まで持ってくる。

「さようなら、私。また会う日まで」

 そういうとフランドールは手をひっくり返す。バシャアという水の音がして、その何かから出た黒い液体にフランドールが飲み込まれていく。恐らく、黒いペンキだったのだろう。フランドールが、黒く染まっていく。完全にフランドールが塗りつぶされると、背景の黒に混じってそこにはまるで何も居ないように見える。
 フランドールが慌てて手を伸ばすと、不思議なことに手はフランドールが居たはずの場所をすり抜けてしまう。黒に馴染んで見えなくなったのではなくて、黒に溶けたのだと理解する。

 紅で描かれた絵も、不思議と黒に飲み込まれつつあった。発色の良い紅は黒がやや混じって茜色になる。そうして少しすると黒の混ざる比率が多くなってきて、赤い色は負けてしまった。そこにあった絵も完全に黒に溶けてしまう。

 黒は何と混ぜても黒になる。だから消えてもおかしくないとフランドールは思った。





 フランドールは最後のフランドールのところまで歩いていく。最後のフランドールは何がおかしいのか、ずうっと高笑いを続けていた。

「アハハハハハハハハ!」

 自身の右手で顔を押さえて、左手は爪を立てて笑っている。圧倒的な圧力を周りに撒き散らしながら、不気味に壊れた操り人形みたいにガクガクと震えながら笑っていた。


「ど、どうしたの」

 フランドールは少し心配そうに話しかける。

「どうしたもこうも、あは。だって可笑しいでしょ。聞いてたよ、一人目と二人目の私達と話す貴女を。アハハ、もう笑いが止まらない」
「どういうことよ」
「だってそうでしょう? 貴女はずっと私達が孤独じゃないって言い張ってきた。私達の内、私を含めた三人が孤独と認めているのに、貴女一人だけ独りじゃないって言い張った。よくこの状況でまだ突っ張れるね。私には絶対無理。いやー、すごいわほんと。アハハ」

 さもおかしそうに腹を抱えだす。一方のフランドールは面白く無さそうだ。

「なんでよ。別にいいじゃない、私がどう思ってようと。貴女は私っぽいけど、関係無いでしょ」
「うん、そうだね。関係無い。でもさぁ、アハハ。あんまりにもずれたこと言ってるから、もう可笑しくって可笑しくって」
「ずれたこと?」
「そうだよ。だって、貴女は孤独じゃないっていいはるけど、周りを見てみなよ」

 そういうとフランドールは両手を一杯に広げる。
 辺りは一面真っ黒だ。二人のフランドール以外、何も居なかった。何も、無い。黒、黒黒黒。ただひたすらに、黒なだけ。



「貴女がいるよ」

 それでもフランドールは独りじゃないということを曲げなかった。フランドールには信じるしかなかったのだ。独りじゃないということを。



「あは、あはは。アハハハハハハハハハ!」

 今までとは比べ物にならない勢いで笑い出す。フランドールの笑い声が、黒い空間にこだました。



「じゃあ、私が消えれば貴女は独りぼっちなわけだ」
「え?」



 急に笑い声を止めたフランドールは立ち尽くすフランドールに近づきながら、その身を黒く染め上げていく。



「ほうら、私が消えたら本当に独りぼっちだ。周りに誰も居ない。何も無い」
「お、お姉様が居るよ。お姉様とか、パチュリーとか、沢山居るもん! 紅魔館だってあるもん!」

 フランドールは必死に叫ぶ。目の前で黒に混じって消えていくフランドール。周りは黒だ。黒しかない。それでもフランドールは自ら言い聞かせるように叫んでいた。

「咲夜だって、美鈴だって、小悪魔だって。こいしだって、チルノだって、ルーミアだって、大ちゃんだって、ぬえだって、魔理沙だって! テーブルだって、ベッドだって、クローゼットだって、トランプだって! 私の周りには沢山のモノが溢れてるもん! 私の周りには、もっと沢山の色があるもん!」





「どこに」





 フランドールは消えた。
 残されたフランドールは辺りを見回す。黒。黒でしかない。何度も言うが暗いんじゃない、黒そのものだった。

 フランドールは走る。走って、走って。何かを探す。なんでも良いと思っていた。なんでもいいから、色が欲しかった。黒ではない、色が欲しかった。自分が独りぼっちじゃないという証明が欲しかった。

 走っても、走っても。何にも見えてこない。そもそもフランドールには今前にに走っているのか、右に走っているのか、はたまた進めていないのかすら分からなかった。もう周りが黒すぎて、何にも分からない。



 それでもフランドールは諦めなかった。レミリアの言っていた言葉を思い出し、自分に言い聞かせ、信じた。



 すると突然、目の前に小さな灰色が現れた。
 フランドールは目を凝らす。

 その灰色は見る見るうちに大きくなっていき、フランドールなんかよりも随分大きい縦長の長方形の物が出来上がった。


 何事かと思ってみていると、その灰色に色々な色で少しずつ線が引かれていくのが分かる。色々な色で塗りつぶされていくのが分かる。



 あっという間にそれはリアルな石造りの扉の絵になった!



 フランドールには見間違えるはずが無かった。この扉は紅魔館の地下、つまり自分の部屋にある大きな扉そのものだ。

 扉に取っ手が付くと、その扉がゆっくりと開く。



 その中から沢山の人が出てきた!

 レミリア、パチュリー、咲夜、美鈴、小悪魔は勿論。こいし、チルノ、ルーミア、大妖精、そして魔理沙。さらには紅魔館に住む沢山の妖精メイドまで入って来たではないか。


「え、え。ちょっと、何なの?」

 フランドールが慌てふためいていると、レミリアが飛んできた。


「フラン、ごめんね。怖い思いをしたでしょう。貴女は独りなんかじゃないわ。皆が居るの。皆が貴女の周りに色をつけてくれるわ」

 そういう風にレミリアが言っている間に、咲夜と妖精メイド達が石造り模様の、フランドールの自室の壁と同じ模様の壁紙を貼っていく。

「はいはい、ちょっとどいてくださいな」

 そして同じ模様の床が、丸まった絨毯を広げるみたいに敷かれていった。



 その床は確かに紙みたいなものを貼っていただけなのに、まるで本物の石のような感触がある。フランドールが手で触ってみると、確かにそれは本物だった。

「え、えぇ!? どういうこと」
「フランの周りが黒だけなら、これから描けばいいのよ。本当は私一人で黙々と時間をかけて描いていこうと思ったんだけどね。どうも皆手伝ってくれるみたいよ。皆、貴女のことが大好きなのよ」



 パチュリーが色々な色を豪快に撒く。しかしそれは適当に撒いているわけではない。小悪魔がそれを大きな筆で受け取って大体の形に塗りこむ。長方形、正方形、円。描かれた長方形の物ににチルノ、ルーミア、大妖精が筆を持って群がったと思ったら、それはすぐにリアルなクローゼットに見える。三人は急いで次に配置された物へと向かっていった。そうして描かれたクローゼットを、美鈴が持ってフランドールの部屋の元の内装の通りに設置する。

 驚いたフランドールが描かれたクローゼットまで行って取っ手に手を伸ばすと、なんと掴めたのだ。



 フランドールは中を開ける。絵だったはずなのにちゃんとそこに存在するクローゼットにビックリしていると、魔理沙が近づいてきた。

「おっと、服を描いてやらなくちゃな」

 そう言うと魔理沙は鼻歌交じりに筆を動かす。あっという間にハンガーに吊られた洋服が沢山描きあがる。それらはやっぱり絵だったはずなのに、ちゃんと質感を持っていた。


「あー、魔理沙だめだよぅ」


 洋服にフランドールが感動していると、横からこいしが割って入って来た。

「魔理沙は描き込み過ぎ。絵は描き込めば描き込むほど細かくなるけど、あんまり描き込み過ぎると全体的に暗くなっちゃうんだから」
「絵もパワーだぜ。デッサンは濃い目の鉛筆一本で十分だぜ。画材なんて、油絵の具以外持つ気になれないぜ」
「そんなこと言って、これ着るのはフランドールなんだからね。しょうがないからこの服に私の白を分けてあげる」

 こいしが体から何やら白い液体を洋服にかけている。洋服がその液体を取り込むと、さっきまで圧迫感があった強い色が、まるでパステルカラーのように色に透明感が付いて全体的に薄くなった。


 魔理沙とこいしが何やら言い合いを始めたので、フランドールはそこから逃げるように立ち去る。

 部屋の隅にはいつの間にか台所が描かれており、そこにぬえが正体不明の種を埋めている。何をしているのかと思いきや、どうやら描かれた水道からも水が出るようにしているみたいだった。



 見る見るうちに完成していくフランドールの部屋。
 フランドールは嬉しくて堪らなかった。今、ここには色が溢れている。黒だけだったこの空間に、こんなにも色がある。

 他のフランドール達にも見せてやりたかった。見せて、一緒に喜びたかった。何も無いモノを持っていたフランドールに、テーブルの上にばら撒かれたトランプを持たせてやりたかった。血のような紅一色で誰かを描いていたフランドールに、皆が居るこの場を見せてあげたかった。諦めにも似た心を持っていたフランドールに、沢山の色がここにはあることを見せてあげたかった。

 そして何より。


 フランドールは駆け足でベッドを描いている途中のレミリアにダイブする。


「ちょっと、痛い。痛いって。あ、あぁ。線がずれちゃったわ。貴女のベッドなのよ?」


 自分の周りにこれだけの色がある理由が、目の前のレミリアだということをフランドールは分かっていた。レミリアが居なければ、フランドールがパチュリーや小悪魔や美鈴と知り合うことは無かっただろう。レミリアが咲夜をメイドにしなければ、勿論フランドールと咲夜に接点など無かっただろう。レミリアが幻想郷に引っ越してこなければ、フランドールの元に幻想郷に住む人妖が遊びに来ることも無かっただろう。



 フランドールの周りは今色で溢れている。それは紛れも無くレミリアの努力によるもので、レミリアはずっとフランドールの周りに色が溢れるこの時を夢見ていたのだ。それをフランドールが知っていたからこそ、最後まで信じ抜くことが出来たのだろう。


「あはは。お姉様、ありがとう」
「ん、どういたしまして」



 今、フランドールもレミリアも笑っている。それぞれの想い描いていたものを掴むことが出来たからだった。消えていった三人のフランドールが、フランドールの中で笑えているかどうかはフランドールしか分からないことなのが、あんまりに忍びない。





   。   。   。





「ねぇ、お姉様。今度私にも絵を教えてよ。自分で自分の周りを沢山の色で溢れさせるの!」
「それは素敵ね。でもそんなことしなくても私達がまた描いてあげるわよ?」
「ありがとう。それもいいけどね、私が描いた色を見てもらいたい人達が居るんだ」
「へぇ、それは誰?」
「お姉様には多分見えないよ」
「それは残念ね」
モノクロームは寂しいことだから。そう思った鉄梟はキーボードの前に座り、画面に表示される文字を使って二人の周りを色で溢れさせようとしたのだった。

これのちょっと後の小話。お口直し用(こちらは一人称視点なので注意です)→プチ作品集54『Lunatic,frantic』
鉄梟器師ジュディ♂
コメント



1.ずわいがに削除
黒しか持たないフラン同士じゃ黒のまま――だから他の皆から色を分けて貰うんですね。
心の深層を描いたような不思議な感じの話でした。

フランもきっと素晴らしい色を……って、こっからLunatic,franticに続いちまうんですかいww
2.奇声を発する程度の能力削除
うををををいwwwwwまさかの、あれに続くのかい!ww

でも良い色のお話でした。
3.名前が無い程度の能力削除
ちょ、それに続くのかいw
4.名前が無い程度の能力削除
前の話が白だからその対比で黒になってるんですねぇ。
二人を中心に書いたら面白かったかも、と思ってみたりして。

それと、後書きの話、読んだことあるなぁ、って思ったらそれかっ!
5.名前が無い程度の能力削除
も、もしやこの黒というものは全部...ギャアア

ともあれ面白かったです
前作との関連性があれば個人的にはもっとよかったかも
6.名前が無い程度の能力削除
なんてものに続いてるんだよ! 余韻とか色々ぶちこわされたよ!
でも本文はお世辞なしにとても面白かったです
あと凄くどうでもいいことなんですが、
> あっという間にそれはリアルな石造りの扉の絵になった!
> その中から沢山の人が出てきた!
こう地の文に挿入される感嘆符としては、実に絶妙のタイミングで使われてるなぁと思いました
まあ個人的な感想なんですが
7.鉄梟器師ジュディ♂削除
(フ^з^)フ【こめんとありがとうございます】<(゚○゚<)

>ずわいがに様
そういうことですねー。フランは原作でも四人に分身できますが、お互いがお互いに色を与えることは出来ないんです。黒に黒を混ぜても、黒が強くなるだけで。最初のこの黒い空間はそういう意味を込めて真っ黒にしてみました。
Lunatic,franticはフランちゃんのお遊びです。

>奇声を発する程度の能力様
フランちゃんはきっとあれが怖いって認めたくなかったから、黒なんて仰々しい表現を使ったんだと思います。あくまでもLunatic,franticはこれのオマケの話みたいなものですから。
色って大好きなんですよね。画材を見てて、この色はムラサ、この色はぬえとかやってたら、こんな話が出来上がりました。

>3様
続きというか、これよりちょっと後の小話というか。まぁ、続いちゃうんですね。
フランちゃんは言葉遊びが大好きだから、ただ単にあやつが怖いって言うのが嫌だったんだと思います。プライド的に。

>4様
こいしちゃんとふらんちゃんって似てますよね。似てません? 妹なところとか、強いところとか、可愛いところとか、キュートなところとか、乙女ちっくなところとか。いつかコラボさせたいと思ってたら、まさかのこういう形式になっちゃいました。
二人を中心でもいいのが出来上がりそうですねぇ。白と黒のみの物は滑ると大変ですが、上手くはまると超格好いいですからね。そこにアクセント的にフランちゃんの紅と黄を混ぜて……。おや、これはいいぞ。

>5様
やめてー。流石にそれは無理ですぜ旦那。そ、そんな設定恐ろしくて俺が書けない。べ、べべべ別にあやつが怖いわけじゃあないんだぞ。ちょっと苦手なだけで。嘘です、ごめんなさい。模型だけでだまされて、首に乗っけられた後に封印される直前の敵キャラみたいにのた打ち回ったことがあります。
前作との関連性が薄かったのは確実に技量不足です。あ、ちなみにこの二つは前編後編の区別は無いつもりで、二つとも全く同じ題名で上げさせていただきました。
そういう消化不良のことも含めてプチに投稿させていただきました。

>6様
えへへー、続けちった。まぁLunatic,franticは漫画のカバーを取ったところにあるちょっとしたコーナーだと思ってもらえれば。
『お世辞なしに』『お世辞なしに』『お世辞なしに』どどどどどど、どうしよう。嬉しすぎて嬉しすぎて。今にやってる自分がキモイ。
感嘆符に関しては、実はこの創想話内にリスペクトした方がいらっしゃいまして。もうその方の感嘆符は格好良くてですね。こう、ビシッと決まってるわけですよ。だから私も少しでもそれに近づけたらいいなぁと。文体は私なんぞがとても真似出来るような物では無いのですが、せめて感嘆符の格好良さくらいは吸収したいなぁと思っております。
ですので、そう言われると自分でも「あぁ、成長してるな俺」と思ってしまうほど嬉しいです。ありがとうございます。