Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

陽だまりに寝転んで

2009/11/23 06:12:52
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ごろごろごろごろ。

 ここはお山の博麗神社。怠惰な巫女の影一つ。
 お日さま当たる縁側で、ごろごろごろごろ寝っ転び、ただただお空の雲見てる。
 湯のみのお茶はもう空で、お茶請けせんべい食べつくし、それでも動かずそら見てる。
 そんな巫女さんすぐ見つけ、ひょいっと姿をみせたのは、

「はぁい霊夢。お元気かしら?」

 スキマの中からこんにちは、みんなが恐れる大妖怪、八雲紫のお出ましだ。

「あんたが私をみて元気だと思ったら、元気なんじゃないの」

 紫の顔さえ巫女は見ず、ごろごろごろごろ転がって、気の無い返事を返してる。
 つつっと近づく大妖怪。霊夢のそばに腰かけて、一緒にお空を眺めだす。

「いいお天気ね」
「そうね、いい天気ね」

 二人の間に流れるは、のんびりぼんやりぽよよん空気。
 なんの言葉も交わさない。一緒にいるのに無言の空間。それでも二人、気にしない。
 そのまま時間が過ぎていき、十分ぐらいたった時、霊夢が紫に問いかける。

「今日は何しに来たの?」
「なにも」
「そう」

 交わされたのはこの言葉だけ。またまた二人黙っちゃう。
 おひさま当たる縁側だけど、風はほんのり冷たくて、冬の始まりおしえてる。

 ゆっくり流れる白い雲。お空を泳ぐその姿、どっかの誰かにそっくりだ。

「あの雲、まるで霊夢みたいね」
「なによ、急に」
「だって、他の雲よりゆっくり流れてて、のんびり屋のあなたにそっくりよ」

 お口にほんのり笑み浮かべ、そうのたまうは大妖怪。
 対して博麗霊夢さん、くちびる尖らせこう返す。

「いいのよ、やる時はやるんだから」

 自信たっぷり答える霊夢。そんな顔見て噴き出す紫。

「ふふっ。いつもやる気を出してもらいたいものですわ」
「そうなったらこの神社に近づく妖怪全員、蹴散らすことになるわよ」
「あらら、それは困ったことですわね」
「でしょ。だからいつもこんな感じなの」

 自信たっぷり霊夢さん、紫の顔見てそう答えた。
 それみて八雲の紫さん、思わず静かにこう一言。

「そう、それじゃあ心配ないわね」

 お空を見ながら寂しげに、ぼそっと呟く大妖怪。
 見上げたお空のてっぺんに、さんさん光る太陽が、はるか遠くに浮かんでる。

「それで? 本当は何かしに来たんでしょう」

 寝っ転がった霊夢さん、今度は紫の顔を見て、静かにはっきり問いかけた。
 問いかけられた紫さん、初めは黙っていたけれど、やがて静かに言葉を紡ぐ。

「さあ、何のことだか。今日は霊夢の顔を見に来ただけよ」

 お空を見上げてその一言、とっても静かにそう言った。
 すると霊夢のお隣に、ごろんと寝ころぶ大妖怪。目と目を合わせて二人とも、やっぱりずっと黙ってる。
 
「……近いわよ」
「いいじゃない。せっかく見に来たんだから、やっぱり近い方がいいわ」

 手を伸ばすなら触れられる、とってもとっても近い距離。
 けれども二人動かずに、ただただ静かに見つめ合う。
 
 それきり二人話さずに、しばらくお互い見つめ合い、そのうち巫女さん寝始めた。
 寝息を感じる近い距離、紫はずっと見めてた。眠る霊夢の横顔を、ただただずっと見つめてた。

 



 お空の太陽傾いて、光がだんだん紅くなり、カラスがカアカア飛び始める。

「ううん」
「あら、やっと起きた?」

 お昼寝していた霊夢さん、夕暮れ時に目を覚ます。
 ぼんやり見つめるその隣、みんなが恐れる大妖怪。微笑み浮かべてまだ寝てた。

「……何してたの?」
「特に何も。霊夢のだらしのない寝顔を見ていただけよ」

 手を伸ばすなら触れられる、そんなとっても近い距離、紫は微笑み浮かべたまんま、ずっと霊夢の横顔見てた。
 すると紫はむくっとおきて、縁側ひとり腰掛けた。
 それ見て寝ていた霊夢さん、かまわずずっと寝転んで、まったく起きだす気配なし。

「もうそろそろ起きないと、風邪ひいちゃうわよ」
「まだちょっと眠いのよ」

 ぼんやり見つめる夕暮れの空。遠くにカラスの飛ぶ姿、それしか見えない赤い空。
 二人の間に吹いてくる、風も昼より冷たくなって、枯れ木をかさかさ揺らしてる。

「じゃあ霊夢、私は帰るわね」

 縁側座って空見てた、紫がゆっくり立ち上がり、静かな声でそう言った。

「そう。じゃあね」

 霊夢が紫にそう言うと、突然割れ目が現れて、あという間にスキマの完成。
 そこに紫が入ろうと、した時はたと足止めて、縁側寝ころぶ霊夢にこう言う。

「本当に風邪ひいちゃうから、はやく起きるのよ」
「……うん」
「それから、今日から寒くなるから暖かくして寝るのよ」
「……うん」
「……じゃあ、またね」
「……うん、またね」

 二言三言そう交わし、スキマに入る大妖怪。シュンと割れ目が消え去って、そこには誰もいなくなる。
 それでも博麗霊夢さん、そのまま全く動かずに、お空をずっと眺めてた。
 おひさまとっくに沈んでて、夜の寒空お星様、きらきららんらん輝いて、たまに流れる星もある。
 そんな夜空のど真ん中、ひときわ輝くオリオン座、冬の始まり教えてる。
 
 それ見た一人の巫女さんは、冷たい夜風にさらされて、独りでぼそりと呟いた。

「…………寒いわ」

 そんな霊夢の独り言、夜風にふわりとさらわれた。
   














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「じゃあ、私が寝ている時のことは任せたわよ。藍」
「はい、了解いたしました。すべてのことはお任せください」
「じゃあ、おやすみ、藍」
「では、また春に。紫様、おやすみなさいませ」





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 それから時間がたっぷり経って、弥生の暦にかわってた。
 たくさん降った白い雪、今ではほとんど溶けちゃって、緑の新芽ぴょこんと見える。
 ぽかぽか陽気を振りまく太陽、お山の神社の縁側に、あったか陽だまり作り出す。
 
 そこにはのんびり陽気な巫女さん、ごろごろごろごろ寝転がる。
 湯のみのお茶はもう空で、お茶請けようかん食べつくし、それでも動かずそら見てる。
 そんな巫女さんすぐ見つけ、ひょいと姿を見せたのは

「はぁい、霊夢。元気してる?」

 今日も怪しさ振りまいて、元気に霊夢にあいに来た、八雲紫の登場だ。

「あんまり、元気じゃないわね」

 縁側ごろりと寝転がり、紫の顔を全く見ずに、巫女さんぼそっとそう告げる。
 紫はつつっと近づいて、縁側一人腰掛ける。

「そう、それは残念だわ」
「そうよ、今年の冬はとても寒くて、元気でいられなかったわ」

 ぽかぽか陽気が漂って、二人の会話は続いてく。ぽんぽん飛び交う言葉と言葉、まったく終わる気配なし。

「だから暖かくして寝なさいって言ったじゃない」
「暖かくしてもダメだったわ」
「そんなに寒かったの?」
「私は、寒かったわ」

 ごろごろ寝てた霊夢さん、のそりとやっと起き上がり、そのまま紫のそばによる。

「だからね、暖かいものが欲しかったのよ」

 巫女さんはっきりそう言うと、そばの紫にもたれかかって、そのまま縁側押し倒す。
 はじめはぽかんとしていた紫、ごろんと二人で寝転んで、その時やっと焦りだす。

「れ、霊夢!?」
「うん、やっぱりこっちの方が暖かいわ」
「えっと、その」
「この冬中ずっと寒かったのよ、これぐらい我慢しなさい」

 ぴったり寄り添う霊夢と紫。そこにおひさま飛び込んで、二人に陽だまり作り出す。
 手を伸ばすなら触れられる、その距離今はなくなって、ずっと触れ合う霊夢と紫。
 
 はじめは焦った大妖怪、ひとつやれやれ呟いて、右手で霊夢の左手触れる。

「仕方がありませんわね。そこまで言うのならそうして差し上げましょう」
「……今日はそれでもいいから、ね」
「……うん」

 ぽかぽか陽だまり二人で寝転び、右手と左手繋いだまんま、ただただ寄り添い合う二人。
 
 見上げた青いお空には、真っ白ほわほわ二つの雲が、ゆっくりのんびり流れてる。
 すぐそば感じる暖かさ、やがて二つの寝息ができて、まったり時間が過ぎていく。
 
 陽だまりの中寝ている二人、空から横からぬくもり感じ、寝顔に微笑み浮かんでた。
どうも、「ゆかれいむが俺のロード」なジーノです。

逢えない時間が思いを募らせる、と言ったのは誰でしょう。
そんな感じのお話でした。いかがでしたでしょうか。

最近寒くなってきたので、皆さんも風邪には気をつけてくださいね。
霊夢は紫がいるので、たぶん大丈夫です。

ここまで読んでいただき、圧倒的感謝!
ジーノ
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
ゆかれいむ!ゆかれいむっ!(悶絶)
2.名前が無い程度の能力削除
ゆかれいむ良いな
この暖かさがクセになる
3.名前が無い程度の能力削除
地の文のテンポがいい
このゆかれいむの雰囲気好き
4.名前が無い程度の能力削除
あぁ、いいなぁ。ゆかれいむゆかれいむ。
ゆかれいむが俺のロード!!!
5.名前が無い程度の能力削除
テンポが良く、情景が凄く想像しやすいです