Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

三魔女が行くvol.3!

2009/10/03 02:31:52
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「第三弾ですって」
「ほぉ、でもこれで終いだってよ」
「うそ、やった」
「やった、って言っちゃったわよアリス」
「やりたくないって始まる前から言ってたもんなぁ」
「そりゃそうよ、なんでこんなのに書かれなきゃいけないのよまったく」
「まぁまぁ、きっといい事があるわ」
「そうだって、突然たくさんの人形が降ってきたらどうする?」
「異変にされて即効霊夢かあんたに退治されるわね」
「というわけで始まるわよ」
「始まるぜー」
「無視って何?」
「見ない事」
「あんまり気にしないけど絶対に必要な物」
「空気にされちゃったの私!?」












 その魔法の森には一つの店が潜んでいる。
 潜んでいる、のはその中にあるからだ。客と言われるものは森の霧と雨だけ。
 霧雨魔法店は限られたものしか来られない。客になるならば、貴方は霧と雨になれる覚悟はあるだろうか?

「っていうキャッチコピーはどうだろう」
「それを読んで来るのは刺客ね、ていうか客取る気ないでしょ?」
「うーん、確かにもう普通に生活出来てるからなぁ。でも文が広告費くれるって言ってるんだぜ?」
「お金をくれるほど購買客がいるのかしら? そこまで儲けている様に思えないわ」
「だよなぁ。でも暇だし面白そうだからやってみようかと」
「思うんなら魔理沙の好きになさい。それじゃあシチューの様子、見てくるから」

 鼻の上にペンを乗せ、魔理沙はバランスを取りつつ腕組みをする。椅子から立ち、アリスはエプロンの紐を締め直す。
 魔理沙はその背中を見て、にんまりと微笑んだ。

「器量良しの人形師も時々いる、は駄目か?」
「人参、ちゃんと入れてるわよ」
「じゃあなしだな。上海はどう思う?」

 魔理沙は紙の向こう側、テーブルの上に座って腕を組んで真剣に魔理沙の顔を見つめる上海人形に教えを乞う。

 ぷりてぃシャンハイイマナラムリョウデゴホウシ!
「お嫁に行けなくなるぜ」
「そうよ、全く誰よそんな言葉を教えたのは」
 ぱっちぇサンー
「だそうだ」
「もう言わない、って言わなかったら家に入れてあげないわよ」
 ヤダー、モウイワナイオクチちゃっく
「いい子だ」
「ねぇ魔理沙、ブイヨンどこにあるのよ。前ちゃんと片づけたでしょ?」
 カタヅケタデショ!
「あぁ、上の戸棚」

 ペンで指し示し、魔理沙は再び上海人形と共に紙を睨めつける。少し諦め顔になったアリスは戸棚を開ける。しかしブイヨンはどこにもなかった。
 その時だった。

「依頼よマリアッチ!」
「誰もギターケースの中に銃器を仕込んでないぜ」
「私はCIAの捜査官の方かしら?」
 オメメぐりぐりー

 多少息切れしながらも、パチュリーは魔理沙の家に現れた。扉の上の窓から。

「なんでそっから入ってくるんだよ」
「これが霧雨流と聞いたもので。あらこの匂い、シチュー? しかもクリームね。ブロッコリーは」
「えぇ、ちゃんと入れています」
「なんか最近、私達の好き嫌いなくそうとしてるんだよアリス」
「まぁ困ったちゃんね」
「にこちゃんはこの中にいるのかしら」

 アリスが鍋を回しながらそう言うと、魔理沙とパチュリーはビシッと上海人形を指差した。わーい。

「あなた達がいらない事吹き込まなかったら良い子よ」
「だってさ、大人な事を教えてるのにな」
「アリスに捨てられても私が面倒を見てあげるわね、愛しい私の上海」
 ぱっちぇサンイラッシャーイ
「ほら、来たんならお皿の準備でもしてちょうだい。魔理沙ももうそれ止めてご飯よ」
「ちぇ、誰ん家だと思ってるんだよ」
「私達の愛の巣」
 リャクシテありすー
「リ、はどこから出てきたのよ上海」

 やっとブイヨンを見つけたアリスはそう上海人形をたしなめても、魔理沙とパチュリーは拍手喝采。

「上手い!」
「早い!」
 ヤスイオンナニナリタクナイ!
「上海いい加減になさい!」
「よし、母ちゃんがキレそうになってるからスプーン出さないと」
「ママったら初心ね、汚したくなっちゃう」
 ぱっちぇサンモウイイカラオサラー

 面白くないのか、口を尖らせてパチュリーは上海人形を抱きかかえて食器棚に向かう。

「つまらないわ」
「詰まなくていいから早くしなさい! ほら魔理沙テーブル拭いて! あとブイヨンをなんで私の背中に仕込んでたのよ!」
「その方が魅力的だろ?」
「エキセントリックアリス爆誕ね」
「すぐに滅びなさいそんな私! 大体なんであんた達のご飯を用意しなきゃいけないのよ!」
「パチュリー来るってわかってたしな」
「あれよ、魔理沙。私達のご飯を作らないと寂しくて死んじゃう病に罹っているのよ」
「そうでもしないと体壊すでしょあんた達は! ほら早く用意する!」
「アリスもパチュリーも捨食の法でいいのか? をやったんだろ? 別にいいんじゃないのか食わなくて」
「アリスのご飯、美味しいもの」

 そのパチュリーの愛らしい一言が、アリスはおろか魔理沙の胸さえときめかせる。それほどに、パチュリーは少女だった。

「と思わせる私、どうかしら上海?」
 ワタシガイチバンチッチャイカラぱっちぇサントッチャダメー
「残念だったなパチュリー。アリス、スプーンここでいいかー?」
「えぇ、ばっちり。ほらパチュリー、早くお皿並べて」
「はーい」

 鍋を抱えるように持ってきたアリスの姿を見て、魔理沙とパチュリーは席につくなりスプーンをカチャカチャと皿に打ち付けた。



 上海人形が自分のベッドにモゾモゾと入る頃、結構底のあったシチューの鍋は既に空になっていた。おやすみー。

「お茶くれおちゃちゃー」
「私はダージリンよ」
「なんで私が……」

 ブツブツと席を立つパチュリーの紅茶は格別だ、それを魔理沙とアリスは知っている。誰よりも、紅茶を淹れるのがパチュリーは上手かった。

「だって一番多く食べたら、っていうルール作ったの誰だよ」
「お皿まで舐められるのは嬉しいものね」
「だから言ったじゃないの、アリスのご飯美味しいって」
「私も好きだけどな」
「そりゃどうも。で、パチュリーは何で来たの?」
「ご飯食べに」
「なら依頼って何だったんだよ」

 パチュリーはティーパックを取り出し、すでに湧いていたやかんをそれと入れたカップに注ぐ。

「パックっておい!」
「ダージリンって言ったじゃない!」
「めんどい」
「の癖にゴールデンルールじゃない蒸し方下手くそとか言ってる奴は誰だ!」
「そうよ! なんでいっつもそこで手を抜いちゃうのよ!」
「だからめんどり」
「チキン野郎!」
「腰痛持ち!」
「はしょりすぎよアリス」

 湯をこれでもかとカップに注いでいくパチュリーに魔理沙とアリスは諦めた。何か不機嫌なのを感じ取る。

「……やっぱり最初に話聞いてあげた方が良かったんじゃないか?」
「いやだって、ご飯作ってる時に来るんですもの」
「別に怒ってないわよ、早く本題に入らせてくれないからいらついていただけ。はいこれ」
「ん、ありがとな」
「えぇ、とっても美味しそう」
「えっへんぷい」

 苛立つ顔から自慢げになるパチュリーの顔を、二人は楽しむ。気分屋は扱いづらいが、慣れれば楽しい友人だった。

「で、本題って?」
「そうそう依頼とか何よ」
「その前に前提を話さなくてはいけないわね」
「何だよ」
「話すなら早くしてちょうだい」
「まず紅茶を飲みなさい」

 魔理沙とアリスはカップを持ち、一口。
 二人は驚かされた。

「ぞんざいに淹れてたろ!?」
「なんで!? あのパック市販のものでしょ!?」
「それが私くおりちー」

 それほどにパチュリーの淹れた紅茶は美味しいものだった。やはり紅茶に関しては右に出る者はいない。

「ならば左に出るぜ!」
「なら私はドールクリエイターよ!」
「うるさいわね。私につっこみは無理よ」

 パチュリーはソファーにゆったりと座り、しかしその言葉とは裏腹に二人の喜ぶ顔が見られて嬉しそうに笑った。

「さてお二人さん、幻想郷って何かしら?」
「うめーうめー……謎かけられたぜアリス」
「美味しいと心がゆた……幻想郷ってあれじゃない、隠してるのよね外の世界から」
「そう、幻想卿は隠されている。つまり忍んでいるのよ」
「は?」

 魔理沙は怪訝そうな声を出す。しかしパチュリーは止まらない。

「そう、幻想郷は忍の里。つまりそこに住む私たちはSHINOBIだったのよ!」
「は? いや、いるだけで忍者ってわけじゃ」
「やっぱりそうだったのね! NINJAは実在したのね!」

 アリスは歓喜するように声を上げ、それに魔理沙は驚いた。そして気付く。

「え、もしかしてここから私がつっこみ役か?」
「そうよアリス! いえ、半分当たりよ。あなたがSHINOBIなの!」
「私がNINJAですって!? なんて事なのパチュリー!」
「いや、なんでお前らいきなりテンションあがって」
「落ち着いてミス・マンソン。私たちはまだまだMIJUKU」
「そんな……ならどうすれば!」
「いやアリス、苗字間違えられて」
「そんな時にはこれよ」
「まぁこんな物が!?」
「いや上のシチューからじゃこんな展開にはなら」

 魔理沙が言い終わる前にパチュリーは胸からもぞもぞと半紙に包まれた手紙を取り出す。それを見てアリスは驚く。

「これがFU-SHOと言うやつね!」
「そう、ここにしたためられたNINMUをこなして、私たちは初めて真のSHINOBIになれるという仕組みよ!」
「だからなんでさっきから深夜の通販番組みたいな」
「ワォ! ならそのNINMUを早くしないと!」
「慌てないでミス・ジェリー。まずは」
「お前らだからちょっと待てって!」

 魔理沙の一喝に、アリスとパチュリーは汚れたカーペットに吹きつけていた洗剤をそこに置く。

「どうしたの魔理沙?」
「あれよパチュリー、きっとNINJAを知らないのよ」
「知ってるから! なんでお前ら忍者大好きなんだよ!」
「じゃあなんで幻想郷に来たのよ私」
「そうよ、そのために魔界から出てきたのよ?」
「そんな理由で来んな! お前ら魔女だろ!」
「SHINOBIには敵わないわ」
「そんなもの、NINJAになれるならいつだって捨ててやる」

 それほどにアリスとパチュリーの決意は固い。その目が物語っていた。しかし魔理沙は納得がいかない。

「大体、お前らはどんな想像してるか知らないが忍者って」
「SHURIKEN-SAPPOUを使いこなすのよ」
「そしてKATANAを駆使してTONO-SAMAをZANSATSU!」
「よし、SHINOBIとNINJAは許してやる、ローマ字やめろ!」

 えー、とアリスとパチュリーは口をへの字に変えても魔理沙は頑なにそこを譲らない。
 
「魔理沙、SHINOBIが嫌いなの?」
「そうじゃない! お前らの思ってる忍者がわけわからんだけだ!」
「でも、魔理沙。NINJAよNINJAなのよ?」
「はぁ……いやまぁ別にいい、で依頼ってその」
「えぇ、OYAKA……やめてよ魔理沙そんなに睨まないで。お館様から言付かっているの」
「お館……もしかしてちびっこの事か?」
「一国の統領、レミリアがNINJAを使わなければならない事態だなんて」
「アリス、お前そんなんじゃなかったろ? 目を覚ましてくれよ、なぁ」
「それじゃあ読むでござるよニンニン」
「ニンニンって言いたいだけだろ!」

 魔理沙が息を切らせようとも、手紙を開けるパチュリーの手に向けたアリスの眼差しは真剣だった。



『拝啓
 すっかり蝉が死に絶え蜻蛉のまぐわいを見せつけられる予感を感じる頃、いかがお過ごしでしょうか

「おい! いわゆる忍者の任務についてなんだろ! しかも出だし最悪じゃないか!」
「魔理沙うるさいわ! パチュリー、続けて」
「空気読めないわね相変わらずで妊妊」
「わざと漢字間違えたろ!」

 早速だがこの紅魔の城に必要なものがあるでござるよニンニン

「こいつも忍者オタクかよ!?」
「なるほど、レミリアもNINJAだったのね」
「続けるわよ」
「ニンニン言わないのかよ!」

 それは竹の林にその身を隠す館、永遠亭に眠っていると言われているので候

「語尾統一しろよあのちびっこ!」
「裏に描かれた『フランと私』という絵……何の暗号なのかしら……」
「しかし縦に書かれているルーマニア語って読みにくいわね」
「本当にレミリアはそんな言い方してるのか!?」

 某はそれが欲しいので取ってきてくださいマジお願いします

「マジお願いされました!」
「よほど切羽詰まってるのね、レミリア」
「あぁその絵、暇だから手紙書いている時に描いてたのよ」
「じゃあその手紙誰が書いたんだよ!」

 褒美にはそなた達の望む物をくれてやろう、あみだくじで

「運に任されちゃったぜ!?」
「さすがは運命を操る紅魔館のカリスマね!」
「もう読むの止めていい? もうおねむになってきたわでニンニン」
「ここまで来たなら最後まで読めよ! そして思いだしたかのようにニンニン付けるな!」

 えーっと、んーっと、うー☆

「ふざけてんのかこいつ!」
「心中お察しするわ、それがないと紅魔館はどうにもならないのね」
「うー☆」
「もう殴っていいよな? な?」

 貴方達にんじゃ三人娘ならこれぐらい分けはないはずよ、頑張ってきてちょうだい。
 
                                              かしこ

                                             レミ山スカ衛門

「そっちが名前!? ていうか私も仲間入りされてるのか!?」
「流石スカ衛門ね、私達をわかってらっしゃるわ」
「まだ続くのでニンニン」
「早く締めろよ!」

 ぷれすて

「普通にP.S.って読んでやろうぜ! ていうか今の読み方だと追伸じゃないのかよそこ!」
「あぁ、レミリアの悲痛な声が聞こえてくるみたい」

 最近咲夜と美鈴のニャンニャンを見ると胸が騒いで夜も眠れずに昼寝してしまいます。どうしたらいいでしょうか?

「じゃあ昼寝してろよ! 夜起きてろよ吸血鬼なら! なに太陽浴びる気マンマンなんだよこいつ!」
「レミリアもいい人を見つけるといいわ」
「そうレミィに伝えておくでニンニン」
「なぁ、終わりだな? もう終わりだよな!?」

 おわりよ、魔理沙。私達の関係も……』

「手紙が返事するな! そしてお前は私のなんだ!」



 立っていたパチュリーは手紙を包み直し、飛行機に変えて飛ばす。それをソファーに座って疲れた顔で魔理沙は眺めた。

「あー、こんなに疲れるのか、つっこみって」
「やっと私の気持ちをわかってくれたのね魔理沙」
「で、どうするの?」

 本当に疲れたのか帽子を取り隣に座るアリスの膝に頭を預ける魔理沙、その頭を撫でるアリス、二人の顔はパチュリーの問いに訝しんだ。

「いやぁ、別にあいつの為にやってもなぁ」
「そうねぇ、NINJAスタイルもまだ揃えていないし」
「アリスはそこかよ!」
「そこは心配無用よ、にとりから最新のSHINOBIグッズを取り揃えたわ」
「あいつ何でも出来んなよ!」
「なら話は早いわ! 早速行きましょう!」
「撫でる速度上げるな! 熱い!」
「でも不思議ね、言ってみれば泥棒よこれ。魔理沙の得意分野なはず」

 と、パチュリーはもちろんアリスも魔理沙の顔を覗き込む。多少面倒臭そうに顔を歪ませるが、はぁっとため息を漏らした。

「わかった、わかったって。行けばいいんだろ行けば!」
「流石は魔理沙、そういう所が好きよ」
「えぇ、魔理沙ならそう言ってくれると信じていたわよ」

 アリスとパチュリーは魔理沙に向けてウィンクをするが、魔理沙はうざったそうに手でそれを避けた。



 数十分後、パチュリーがどこからか持ってきていた三つの風呂敷は空になっている。

「な、なぁアリス……太もも寒い……」
「何を言ってるの魔理沙! それがKUNOICHIスタイルなのよ!」
「いや、でもアリスが被ってるそっちの方が」
「たとえ魔理沙にでもこのNINJAスタイルは崩させないわ!」

 所謂ミニ浴衣の様な暖色に染まった羽織を着て、腰に小刀を差す。それが魔理沙の今の格好だった。
 一方アリスは、黒装束に黒頭巾、刀は背中と完全に忍者を満喫していた。

「アリス、背中に刀差すと動きが邪魔にな」
「何!?」
「……なんでもないですもういいです」
「そういえば着替えの時にパチュリーは別の部屋に言ったけど、もう終わったのかしら?」
「もういいから、行くならもう二人だけでいこ」

 その時、魔理沙の口がその形に固まっていた。それを不思議そうに見ているアリスの額に三つの赤い光点があったからだ。
 次第にそれは下がり、口へ、胸へと動き、腹の所で止まった。魔理沙は光源を探す。
 そこには陽炎が人の形を作る。その頭部から赤光が出ていた。刹那、それは消える。同時に体から青い光が小さな稲妻を作る。
 アリスもそれに気づいた。陽炎は姿を現す。
 全身は網タイツの様だが、腰当てと胸当てはついていた。手には双頭の槍、腕には機械に詰められた籠手、肩には筒、そして顔には仮面を被る。
 それがパチュリーだった。

”You are ugly mother fxxker.”(私の愛馬は凶暴です)
「訳が全然違うぜパチュリー!」
「すごいわパチュリー! それがあなたのNINJAスタイルなのね!」

 仮面の先についていた管を取り、シュコっと白煙が出た。そして仮面を取り顔を見せる。

「すごいでしょアリス。河童の光学迷彩も捨てたものじゃないわ」
「その肩についてるのはなんなのパチュリー」
「これ? 簡易マスタースパークよ。見てて」

 とパチュリーは左籠手の電子機器を操り、その筒が天井を向く。その瞬間、青い光弾が発射され、屋根を突き抜け星を見せた。

「ちょ、人ん家に穴開けるな!」
「どの口で言うのかしらこの子、可愛らしい格好よ魔理沙」
「でしょ? でも嫌そうなのよ」
「そりゃこんな恰好は恥ずかしいに決まってるだろ! くのいちってなんだよ私達魔法使うんだろ!」
「だから今マスタースパーク使ってあげたんじゃないの」
「それに魔法じゃないわ、NINPOUよ!」
「だからローマ字使うなっつっただろ!」

 パチュリーは再び仮面を被り、そしてまた光学迷彩に身を包んだ。それを見てキラキラと目を輝かせるアリスは興奮を抑えられない。
 魔理沙は呟く。

「もうやだ……実家帰りたい」



 闇夜の竹林を満月の光が切り裂く。しかしその光すら竹林の三つの影を捉えられなかった。

「そりゃその上を飛んでるからな!」
「魔理沙! なんで箒を使うのよ! そこは凧でしょ!」
「だから空気読めてないのよ、あとドロワーズじゃくてパンツだから丸見えよ」
「うるさい忍者バカども! 弾幕フェチだけで止まってろよ!」
「やあねぇ魔理沙、弾幕は弾幕、NINJAはNINJAよ」
「ほら見えてきたわ、あれが永遠の亭よ」
「なんで『の』を入れた!」

 そして三人は竹林が途切れ、永遠亭の前へと降り立ち、しゃがむ。どうやら誰にも気づかれていないようだ。
 ふと、魔理沙は思い出すように声を出した。

「パチュリー、それ重くないのか?」
「何が?」
「いきなり何を言ってるのよ魔理沙」
「いやだって、なんか肩のプラズマキャス」
「簡易マスパ」
「えぇ、パチュリーだってあなたのノンディレクショナルレーザなんちゃらを使われて悔しいのよ」
「あと一文字だろ頑張れよ! まぁそれはいいとして、それが見るからに重そうだし、もやしっ子レディにはきつくないのか?」

 と、アリスとパチュリーは首を傾げ魔理沙に何を言っているのかわからない顔を見せる。

「いやパチュリーはヘルメット被ってるから表情読めないっての!」
「それに姿も見えないからどこにいるかわからない、流石はパチュリーね!」
「ゼンソクアンドヒンケツイズキノセイナリ」
「片言!?」
「ちょっと魔理沙、あんまり騒ぐと見つかるわよ」
「SHINOBIは隠密行動が鉄則なのよ、まったく」

 やれやれと言わんばかりにため息をつくアリスとパチュリーに、魔理沙はその拳を強く握り締める。
 だがもう遅い。

「もう見つけてるのよ!」
「さぁ大人しく切腹してください!」

 三人は張り上げられた声を探った。目の前の門の上に二つ、影が映った。

「誰!?」
「この殺気……まさか!」
「いや知ってるだろお前ら! もうあいつらしかいないって!」
「いいえ魔理沙、ここは切腹すべきよ」
「えぇ、残念だけど首皮一枚は残しておいてあげる」
「私がするのか!? おいアリス刀抜くな!」

 そしてその影が三人の前に降り立ち、びしっとポーズを決めた。

「赤腋参上!」
「緑腋参上!……あの、霊夢」
「赤腋!」
「あ……あの、緑腋って呼びにくいんですけど……」
「え、そう? じゃあ何て呼んで欲しいの早苗?」
「あ……『私の愛しい人』で」
「嫌よ、なんでそんな呼び方しなきゃいけないのよ私の愛しい人」
「だって……最近一緒に寝てくれませんし」
「そりゃ私だって一人の時間ぐらい欲しいわよ、私の愛しい人だってそうでしょ?」
「そうですけど……私、なにかしたかなぁって」
「えぇしたわよ」
「え……じゃあやっぱり私の事が嫌いにな」
「私の心、打ち抜いたんだもの」
「……霊夢」
「早苗……」

 そして徐々に二人の唇が近づいてゆく。それを見守りつつも、必死にアリスの刀を白刃取りで止める魔理沙を眺めるパチュリー

「よしややこしくなってきた! アリス刀引っ込めろ! パチュリー止めろ! そしてお前らなに舌出し合ってる!」
「あら、今日は魔理沙がつっこみ?」
「珍しいですね」
「それよりもテンションあがってるアリスの方を気にしろ!」
「あら、アリスその恰好なに?」
「かっこいいですね。私の霊夢の方がもっとかっこゲフンゲフン」
「ノロケるなら最後までしろよ! よしアリス、それ以上近づけろ、折ってやるぞその刀」

 ハッ、と我に返るように顔を戻し、刀を鞘に戻す。チッ、と聞こえたパチュリーの舌打ちを魔理沙は聞き逃さない。

「なに残念そうにしてるんだよ!」
「だって、生のHARAKIRIが見れる絶好の機会だったから……」
「そうよ……なんで私は魔理沙をKAISHAKUしてたのよ……」
「やっと気付いてくれたかアリス」
「変なので愛刀を錆びつかせるところだったわ!」
「そっち!?」
「魔理沙の血、ドロドロでとても飲めやしないって妹様も言っていたものね」
「いつ飲まれたんだ私!?」

 魔理沙が首筋を確認する頃、二人の巫女は呆気に取られるもブンブンと顔を振った。

「しかしこの中にある物は私たちが取るのよ!」
「強引に話を進めようとする霊夢に抱っこされたいです」
「嫌よあんたが抱っこして」
「えー」

 しかし嬉しそうに早苗は霊夢の足を取り、もう片方の手で背中を支えて持ち上げた。霊夢が早苗の首に手を回す。

「霊夢いずぷりんせす!」
「お姫様抱っこだなんて……」
「きっすしろ、きっすしろ」
「所々でパチュリーの声が聞こえるけど、どこにいるのよ?」
「あそこのぼやけたところ、にいますよ霊夢。ほらあそこ、ちょっと霊夢顔近づけないでくださいその気になっちゃいますよ!」
「えぇいわけがわからなくなってきた! つまりお前らは私たちと同じものを狙ってるのか!?」
「なんですって! そうは行かないわよ二人とも!」
「でぃーぷっ、でぃーぷっ」
「いやね、取ってきたら外の世界のあのランドに連れてってくれるって紫が」
「しかも4DAYパスポートですよ? そしてシーの方にあるホテルの50万もするスィートですよ?」
「なんだと! それは私も行きたい!」
「魔理沙、今日のあなたはつっこみなのよ? よだれ垂らさないの」
「べっろっちゅー、べっろっちゅー」
「というわけでお先に行かせてもらうわよ三バカ!」
「走るのは私なんですけどね、あとパチュリーさん、人前じゃしませんよ?」
「二人きりだとここじゃ言えないことをあれやこれやとしてるのか!?」
「まぁはしたない」
「どうでもいいけど会話文ばっかで読みづらい事この上ないわ、動くなら動きなさいよ」

 霊夢を抱きかかえたまま早苗は一足で永遠亭の門を飛び越す。それを見てアリスが声を上げた。

「あー! 先に行かれたわ! 追うわよ二人とも!」
「いや、アリス。取ってきた所を待ち構えて分捕ればいいんじゃないのか?」
「流石は魔理沙、強奪に関しては一流ね!」
「それは褒められてるのか?」
「でも魔理沙、考えてみて。あの二人が取って来られると思うの?」
「よし行くぞ、4DAYパスポートは私のものだ!」

 先ほどまでとは違い意気揚揚と立ち上がり、魔理沙は目の前で拳を作った。

「ガッツポーズしても私たちにはもらえないのよ?」
「それも分捕る! 私たちが夢の国へとご招待だ!」
「まぁ魔理沙がやる気になってくれたのは嬉しいわ! さぁNINMU開始よ魔理沙!」
「さっきは言わなかったがローマ字使うな!」
「ところでパチュリーはどこに行ったのかしら?」
「あれ?」

 二人は辺りを見回す。パチュリーの存在を示していた陽炎がどこにもなかった。
 ふと、二人の足下に何かの書かれた紙がひらりと落ちていた。

『キャンディタベル?』
「食べないっつうの! なんだパチュリーは先に行っちゃったのか?」
「流石はパチュパチュ丸ね、もう動き出したのよ。私たちも後に続かないと!」
「その呼び方には何も言わないぞ!」
「さぁ行くわよ魔理沙!」

 ササッとアリスは門に張り付き、中の様子を探りながら入っていった。それにやはり帰ろうかと面倒そうに頭を掻きながら魔理沙は続いた。



 永遠亭の廊下の上、パチュリーは天井に張り付いていた。その下に、何かを警戒するように見回していたてゐがいたからだ。

(さぁて、どう切り抜けようかしら)

 牙を打ち付けている様な音が廊下を響かせる。それに反応してゐは声を張り上げた。

「どこにいるんだー! あれは渡さないぞー! あ、ウサー!」
(でもあれって言ってもレミィもどんな物かわかってないのよね、なに持ってこいって言ってるのかしらあのちびっこ)
「さぁ出てくるんだウサー! うさぎは寂しいと死んじゃうから早く出てくるウサー! もうやだ怖いー!」

 その場でしゃがみ込み、てゐはプルプルと震えている。しかしパチュリーは動じない。罠と知っているからだ。
 パチュリーは左籠手の電子機器を操作し、仮面越しに赤外線を見ていた視界を次々へと変えてゆく。
 そして嘘つき発見視界へと変えるとてゐの腰元に何かを見つけた。

(スペルカードね、あれを発動されたら厄介だわ……隠密には反するけど、ここで始末しなくては)
「ほんとに怖くなってきたー! やだー! れーせん早く来てー!」

 パチュリーは腰に身に着けていた、ひとつのディスクを取り出す。中央のスイッチを押すとディスクの周りから刃が出てきた。

(これがSHURIKEN……ちょおかっこいい……)
「れーせーん!」
「あ、いたてゐ。警備ごっこはもうやめて、ほら、姫様が今日は一緒に寝ましょうってお布団敷いてくれ」

 その場に現れた鈴仙の耳が、その時消えた。鈴仙を見ていたてゐと、頭が軽くなった鈴仙は頭を探る。

「つけ耳……どうしたの?」
「え……半分切れて……え?」

 カンッ、とふと壁に音が聞こえてくる。二人はその音の方向を見る。
 レイザーディスクが上半分の二つの鈴仙のつけ耳と一緒に刺さっていた。それを見て二人は怯えるように互いを抱きしめあった。

「……でたー!」
「曲者出た―! 妹紅さーん!」
「あ、れいせんずるい! もこー! 助けて―!」
 
 二人はその場から逃げるように走り去った。
 足音が聞こえなくなると、パチュリーは光学迷彩を解き投げたレイザーディスクを回収するために降り立った。

「警戒させてしまったわね……だがそれがいい」

 パチュリーは刺さっていたレイザーディスクを取ると、刃をしまい腰に戻し代わりに棒を持ち、スイッチを押す。

「KATANAではないけれど、まぁいいわ。これもSHINOBIね!」

 パチュリーの手には双頭の槍があった。再び光学迷彩に身を包む。



 鈴仙とてゐが魔理沙とアリスのわきを走り去ると、魔理沙は疑問で満ち溢れた。

「おい、なんで私らは気付かれてなかったんだ?」
「私たちがSHINOんでるからよ」
「読みづらいからそれやめろ」
「でも魔理沙、これ聞いてよこれ!」

 アリスはキュッキュッと床を踏む。イャッホゥ!

「なんだ今の声!?」
「これがUGUISUBARIなのね! 流石は永遠の亭、前は飛んでいたから気付かなかったのに」
「うぐいす張りってこんなんじゃないんだぞアリス? 陽気な黒人の歓喜の声は普通出さないんだぞ?」
「なら魔理沙が踏んでみなさいよ」

 えー、と口を尖がらせる魔理沙は渋々踏む。アリスが背の刀を抜きそうになっていたからだ。シオトサトウハコマメニネ!

「もうなんでもありかこの家」
「でもこれだとすぐに敵に私たちの存在はバレてしまうわ」
「さっきバレずにあいつらどっか行ったじゃないか!」
「さぁ魔理沙、忍法を使うわよ!」
「ローマ字使わなかったからって褒めないからな!」

 と、アリスは魔理沙の胸元に手を突っ込み、まさぐる。

「なにゆえ!?」
「ここに巻物が入ってるからじゃないの」
「なんで!?」
「あったあった」

 そしてアリスは手をポンと抜き出す。

「ここに鼠変身の術が書いているはずよ」
「巻物じゃなくてそれ私のブラジャーじゃないか! なんか胸スースーしてきた!」
「魔理沙、細かい事を気にしてたらこの術を使っても甲高い声になれないわよ?」
「アヒルしゃんの方が好きって言ったろ!」
「それなら別の術にしましょう」
「そんな優しさはいらない!」
「この術がいいわね」

 アリスは、その巻物に書かれた呪文を唱えだす。すると、見る見るうちにアリスは小さくなった。

「魔界にいた時に見たアリスじゃないか! お久しぶり!」
「さぁ、魔理沙も唱えて。そして普通の女の子の喋り方に戻るのよ」
「今の私は異常って言われてるのか!?」
「できないなら肩車して。そうしたら私はこのうぐいしゅ張りを踏まなくてすむわ」
「噛んだろ」
「噛んでないわよ」

 魔理沙はしゃがみこみ、その肩にアリスは乗った。

「ったく、この年でお母さんになりたくないからな」
「魔理沙ママー、ぐるぐるー」
「だから何がお前をそうさせたんだ」
「あなたが」
「責任取らないからな」
「もう取ってもらってるもの」

 しかし二人は気付かなかった。後ろに妹紅がいる事に。

「もう終わり?」
「うわっ、不老不死だよ魔理沙!」
「あ? あぁ、こんばんは」
「こんばんは。どうしたのさ二人とも、鈴仙ちゃんとてゐちゃんがすっごい騒いでたから。しかも人形師はちっこくなってるし」
「あのね、妹紅。かくかくしかじかなのよ」
「それで通用したら世話ないぜ」
「それなら多分あっちだ。輝夜が何かコソコソと隠してたの見てたから」
「そう、ありがとう妹紅」
「通じた!? それ以前にアリス忍者ってこと忘れてるんじゃないのか!? 忍べよ!」
「あぁ、お前たち忍者なのか。曲者め! であえであえ!」
「バレてしまったわ! 魔理沙逃げて!」
「あぁもう鬱陶しい!」

 そうして妹紅が指し示してくれた方向へ魔理沙はアリスをおんぶしつつ走ってゆく。
 しかし妹紅は追おうとはしない。それ以上にトイレへ行きたかった。



「さて霊夢さん」
「なんでしょう早苗さん」
「落とし穴に落ちてしまいましたよ」
「そうですね」
「空も飛べないですね」
「そうですね」
「どうしましょうか」
「どうしましょう」
「…………」
「…………」
「……これだから」
「なによ! だからあっちに行きましょうって言ったんじゃないの!」
「しょうがないじゃないですか! あからさまに罠って書いてるからいけなかったんじゃないですかあっちの道!」
「それを信じないでよ!」
「霊夢の言う事が信じられなくなってきましたよ!」
「えぇ私も早苗が信じられないわよ!」
「ふんだ!」
「ふんだ!」



 パチュリーはとある部屋にたどり着く。永琳の薬品実験室。
 先ほど妹紅がトイレに駆け込む姿を見た。という事は慧音もいるという事だとパチュリーは推測した。
 しかしこの二人の姿は見ていない。輝夜もそうだったが、先の二兎の会話を聞けば寝室にいるのだろう。
 この部屋からはその、二人の声が聞こえてきた。

(となると、ここに探しているものがあるのかも、という思考にたどり着く私)

 パチュリーはこっそりと扉に耳をそば立てた。

 な、なぁ
 なぁに? 
 もう、こんなにトロトロなんだから
 まだ焦っちゃダメ。ほら、けーねちゃんの……
 うぁ……
 ふふ、熱い……けーねちゃんのに……
 だ、ダメだ!
 あら、もう準備万端じゃない……
 た、たまには私から……
 あらあら……いいわよ……けーねちゃん……

 確かに二人の声が聞こえてきた。そしてパチュリーは確信する。

(ここにはないようね。そしてえりりんとけい姉ぇは今薬の実験中なのよ真夜中なのに熱心なことえぇ人のは見たくないの興味ないんだから)

 と、パチュリーはその場を離れた。とっとと魔理沙とアリスを見つけに行こうと言わんばかりに。というよりも早くその場を離れたかった。
 やがてパチュリーがいなくなるのを部屋の中から音で永琳と慧音は確認した。

「……行ったわね」
「あ、あぁ……」
「誰だったのかしらね」
「貴女にもわからなかったのか?」
「はい」
「素直でよろしい。しかしこうやって私たちが夜な夜な」
「こっそりと薬の実験と称して」
「本当に薬の実験をしているとは誰も思わないだろうな」
「早く完成させないとね、私たちのベイビーのために!」
「声が大きい!」
「……私とけーねちゃんの赤ちゃん、ほしくないの?」
「ばっ、そんな目で見る」

 しかし慧音の声はそこで途切れた。永琳の柔らかな感触で塞がれてしまった。



 魔理沙とアリスは妹紅の教えてくれた場所に辿り着いた。
 輝夜のプライベートルーム。その中は意外にもさっぱりとしていて、書物のみが棚へ仕切りなく詰められていた。

「お姫様なのにこんないかがわしい本ばっかり……」
「なんで元のアリスに戻ってるんだよ! あの忍法何のために使った!」
「魔理沙こそ輝夜の本を風呂敷に詰めないでよ! 私たちが探しているのはそれじゃないでしょ!?」
「こっちが本職だ!」
「言い切ったわね!」
「いえ、アリス。多分それのことよ」

 不意に空間が声が出す。アリスは読んでいた春画集を手放し背の刀に手を掛け、魔理沙は気にせずアリスが落としたその春画集もそっと風呂敷に詰めた。

「誰!?」
「パチュリー」
「正解」

 と、陽炎からパチュリーへと形を為していった。それを見てアリスは刀を納めた。

「パチュリー!」
「だからそう言ったろ」
「で、多分それの事よアリス」
「え……このいかがわしい本が紅魔館、レミリアに必要なものなの?」
「きっと思春期到来したんだろ」
「それでもレミィはその容姿から買いに行けない、恥ずかくて咲夜にもお使いを頼めない、だから盗ってこいと」
「これ……こんな事でNINJAになれるの!?」
「だからアリス、忍者に夢見すぎなんだって」
「ちゃんとレミィからお金預かってるんだからそれ分しか盗らないでね」
「……馬鹿みたい」
「やっと自分の言動に気づいてくれたか。すごく嬉しいよ私。そしてその分は渡してやるから後は私のもんだ」
「魔理沙も思春期到来ね」

 はぁ、と力なくアリスはへたり込み、被っていた頭巾を取る。

「……やっぱり都会派は魔法使いね」
「そうそう、やっぱりアリスは素顔の方が素敵だぜ」
「ていうか魔理沙がちょっと前にハマってたからどんなのか気にしてたのよ、アリス」
「ちょっとパチュリー、バラさないでよ」
「…………なんだよ私だってアリスの格好になりたかったんだぞ」
「はいはい、さっさとこれ盗ってレミィに渡して欲しいものふんだくりましょう」
「……でもパチュリーはそれ、気に入ってるのね」
「言おうか言うまいか思ってたんだけどな、それ忍者じゃなくって、狩人だぞ?」
「え!?」

 パチュリーが次にへたり込んだ。それを気にせず魔理沙は詰めていく、アリスもそれに手伝う。

「……SHINOBI……じゃない?」
「違うんだ」
「頭蓋骨をトロフィーにするだなんていい魔女してるけどな」
「……なら狩人になるわ」
「魔法使いに戻りなさいよ!」
「よし終わった! さっさとずらかるぞ!」

 魔理沙は風呂敷を包み、そして八卦炉とスペルカードを取り出す。

「魔法使いがどんなにいいかお前ら二人に教えてやる!」
「まぁ魔女を長くやってるもの……たまにはこんなのもいいけどね」
「……ジャングルに今度行きましょ」

 魔理沙は天井に八卦炉を向け、スペルカードの発光を重ねると共に魔理沙の霊力が八卦炉に凝縮する。



 その魔法の森には一つの店が潜んでいる。
 潜んでいる、のはその中にあるからだ。客と言われるものは森の霧と雨だけ。
 霧雨魔法店は限られたものしか来られない。客になるならば、貴方は霧と雨になれる覚悟はあるだろうか?

「やっぱこれしか思いつかない……」
「いいじゃないの、レミリアから貰ったんだからそれ書かなくても」
「何をレミィに貰ったの?」

 ソファーにて、うんうん唸ってペンを回していた魔理沙はパチュリーが作ったオムライスを待ち望んでいた。

「えーっとあれだ。お姉様人形、フランのお手製とかだってさ。今はボコボコにしてやってる」
「あぁ、フランちゃんから人形作るの手伝ってほしいって頼まれたけど、それだったのね」
「妹様にも人気よね魔理沙。コンティニューしてる?」
「結構やってる。てかオムライスまだかよ」
「そうよ、今日は本気出すんでしょ?」
「はいはい」

 フライパンを軽く操るパチュリーを隣でアリスが少し心配そうに見守る。魔理沙は二人の背中を見て思った。

「なんか私、仲間外れにされてないか?」
「してないわよ」
「えぇ。してないわよ」
「ホントに? お前らが忍者忍者騒いでる時はされてたぜ?」
「あら魔理沙、寂しんぼね」
「あとで抱っこしてあげるから、もうちょっと待ってなさい。あぁほらパチュリー! ライス零れたじゃないの!」

 台所で騒ぐ二人を見て混ざりたくなったが、しかし目の前の問題を後回しにするのも気が引けて、魔理沙は原稿と睨めあった。

「で、あいつら中に入ってからも見なかったな」
「外に出てから紫にギャアギャア怒られてるのは見たわよ」
「所詮腋巫女、その程度よ」
「さぁて次は何が待ちうけ」
「魔理沙、終わりって最初に言ったじゃない」
「そうよ。ほら完成ぱっちぇ特製オムライスー」
「おぉ、美味そうじゃないかズビズバもんだぜ!」
「よかったわねパチュリー」
「次回、『花園の怪~ハニー坊やの危機~』にレッツま」
「やらないんだろ!」
「レッツ魔女ッツ!」
「だそうよ、魔理沙」
「アリス!?」

 魔法の森は、ただ静かに少女達の声を聞いていた。












「あーあ、行けなかったわね」
「仕方ありませんよ、また次の機会を待ちましょう」
「そうね……でも紫は何を頼んでたのかしら?」
「なんでしょうね、聞いたらすっごい真っ赤になってたし」
「言えないもの頼むんだったら自分で行けっての。なによ紫もあんたも」
「なっ! なんですか私はまだ許してないんですからね!」
「えぇそうね私も許してないわよ!」
「なんですか!」
「何よやるっての!」
「いいですよやってやりますよ!」
「あぁいい度胸ねいいわよしてやるわよ!」
「じゃあこっち来てくださいよ!」
「あぁ行ってやるわよ!」
「じゃあ布団敷いてください!」
「何よ敷いてやるわよ!」
「霊夢大好き!」
「早苗大好き!」
「……もぉ~」
「……えへへ」

 
 
来年の今頃にリメイク版が公開らしいです
騙されるとわかっていてもワクワクが止まりません

とりあえず一区切り、という名のネタ切れ
元々突発で始めたからネタもクソもねぇ
でも書いちゃったし、まぁいいやって。もう謝らない
「忍者ダセぇwww」とか「やっぱレイサナだわ」とかありましたらぜひぜひ
また何かふっと思いついたら、その時にまたこの三人で会いましょう

そうそう
その50万の部屋、完全にVIPしか泊めさせないだろ

1003
「SHINIBIって何よあんた達」
「死に火じゃないのか? セントエルモも真っ青」
「私も魔理沙も興奮してたのは認めるわ。そして魔理沙、ここには海はないの」
「それに恥ずかしい咲夜ってどんな咲夜よ」
「それは私は言ってないぜ」
「ほらあれよ、とてもここでは言えないような格好のメイドとはよく言った変態になった咲夜の事よ」
「そうなの、てっきりパンダの着ぐるみを来てえへえへ笑ってる気持ちの悪い咲夜の事だと思ったわ」
「あぁ、背中のチャックを見て現実を思い知らされるんだな」
「でもサンタさんはいるわ」
「で、次は私は絶対出ないわよ」
「いいっていいって、今度は霊夢と早苗が大活躍だそうだ」
「つまりスピンオフね」
「でもこれもスピンオフよ」
「スピンオフのスピンオフ、そのまた更にすっぴんでオフだ」
「そりゃお休みの時ぐらいはお化粧をはずしたいわ」
「でもその顔を見られて引かれるのよね」
「ったく、男って奴は……」

 誤字教えてくださりありがとうございました
ヨロ米
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
凄いよかった!続きが早く読みたい。
てか、レイサナもっと読みたい。

SINOBIがSINIBIになってるけど誤字なのか?
2.名前が無い程度の能力削除
このクオリティには称賛せざるをえない。素晴らしい。

次回もレッツ魔女ッツ!
3.名前が無い程度の能力削除
レイサナ、NINJA、プレデター
俺の好きなネタばかりではないか、もっとやるべき
4.名前が無い程度の能力削除
むしろレイサナを抜粋してお願いします。
アリス、何て恐ろしい子・・・っ!
5.名前が無い程度の能力削除
これは続けられるべきww
6.名前が無い程度の能力削除
こんな作者はSATSU-GAYしてやるぜ!