Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ちょっと世間話でも

2009/09/28 17:24:11
最終更新
サイズ
3.17KB
ページ数
1

分類タグ

「負い目はどんな者にも有り、在る物だ」


静寂が包む広い部屋で二人、向き合いながら座っている


「とても豪胆なあなたからは想像が着きませんわ」

「良ければ話して貰えません?あくまで良ければですけど」

金色の髪の美しい女性は扇子を置き、お茶を持ちながら言う
向かいに座る雄々しくもどこか気品が溢れる女性は外をちらりと見て視線を戻す

「昔な」

そう区切ると一呼吸置いて続ける

「私達を祀る者達の中に不純を働き産み落とされた子が居たんだが」

「その子がまた不思議な事に髪の色も日本人離れした美しい金の色」
「おまけに霊力も強かったんだが・・・」

雄々しい女性は肘置きに相手によっては失礼に当る様な頬杖を着き話しを続ける

「人間の世俗の事情に苦しめられてな」

金色の髪の女性が無表情で答える

「いつの時代かは存じませんが昔から人間はそういうものですわ」

違いない、と頷く向かいの頬杖を着く女性
そして話しを続けた

「まぁそんなこんなでも成長していったんだ」

「彼女が14歳位の時かな・・・成長し正統な家系の者達を越える知識と霊力を見せたんだ」

「だけど能力は強すぎたし人間の基準で言えば美し過ぎたんだろうなぁ」

そこで金髪の女性がお茶を一口啜り

「排除の意思が強くなった?それとも認められたのかしら?」

彼女がお茶を置こうとする前に

「前者だな」

と答え話しを続ける

「彼女はその時代私達が見える数少ない人間でな」

「私に向かってこう言ったよ」

「何故私は此処まで疎まれるのですか?私は何かしましたか?とね」

「今でも耳に残るようにその言葉を思い出すよ」

金髪の女性が向き合う女性の目を見つめ

「人間の様な感情ね・・・そういうの嫌いじゃないわ」

一瞬きょとんとした表情になるがすぐに元の表情に戻り

「ま、それからさ」

「彼女は人間を辞め本当の意味で自由になりたいって言い出してなぁ」

「ま、厳密に言えば人間では無いんだけどね」

金髪の美女が扇子を広げ口元を隠す

「現人神だったのかしら?その子も」

「まぁそうなるね」

「あの子はその後行方を眩ましたよ」

「どういう訳か【私達】が探しても気配一つ掴めなかったけどね」

雄々しい女性が金髪の美女に少し鋭いが何か悟ったような目を向ける

「この話しをさせ、目の前には神隠しの妖怪、八雲紫」

「彼女はこちらに連れて来られたのか自分の意思で選んだのか」

八雲紫と呼ばれた金髪の美女は答える

「後者・・・ですわね」

そうそうと呟きながら

「彼女はあなたが負い目を感じることは無いと言ってましたわ」

そうか・・・と少し視線を下に向ける向かい合う女性
そして八雲紫は

「会いたいの?神奈子」

と向き合う女性に言う
神奈子と呼ばれた女性は答える

「いや・・・彼女の新しく歩みだした道に今更会うなどと・・・」

ふふっと笑う八雲紫は

「今彼女は結構幸せそうですわよ」

「来た時は色々ありましたけどね」

「紆余曲折を経てある意味幻想に相応しい形で生を謳歌していますわ」

その言葉を聞き少し笑顔を漏らした神奈子と呼ばれる女性は

「それが聞けただけで朗報という物・・・なのかな?」

「肩の荷が一つ下りたという処か」

八雲紫はころころと笑いながら

「あなたの肩の荷は重そうですわね」

釣られて神奈子も笑いだす

「違いないね」

そして外の境内から現在の風祝いの声が聞こえる

「あらルーミアさんにリグルさんにミスティアさんこんにちは」

「早苗ーこんにちはー!なんか食わせてー!」

「こら!ルーミア!行き成り失礼でしょ!」

「それじゃあお菓子でも用意しますね」

「いつもすみません・・・」

外の元気な声を聞き八坂と八雲は顔を見合わせる
そして笑い合う
八坂神奈子は楽しそうに

「そういう事か」

と言いしばらくの間とても機嫌が良かったそうな
そういう事です。
ごみむし
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
さて、金の髪をし、齢14の人ならざるものは誰でしょう?
という、ほんのちょっとした謎かけでしょうか?
まあ、該当者多数なので困りものですが。
2.玖爾削除
金髪、元人間(?)、日本出身っぽい。
今はもうヒトをやめているのかな?
なんかそれっぽい方も眼前にいるけど
試験的、となっている以上誰のことでもないし、誰でもありそう、というところなのかもしれないね。
それはともかく、話の内容は少し辛い過去のようだけど、二人のまったりとした語りがなによりの幸せの証明だよね。良かったです。

失礼して  風祝い→風祝(かぜはふり)
いの消し忘れかと。