むかーしむかし、あるところに、それはそれは可愛らしいネズミの娘がおりました。
「ふふ、おだてても何も出ないよ?」
娘の名前はナズーリン、見た目とは裏腹に非常に大人びていて、
とてもカリスマ溢れる姿は1ボスとは思えない雰囲気をかもし出していました。
しかし、彼女には悩みがありました。それは彼女の姉達です。
1ボスでありながら人気一位になるんじゃないかという勢いを妬み、
彼女に対して様々な嫌がらせをしてくるのです。
「ネズミ!雲山が肩がこってしょうがないそうよ。揉んであげなさい!」
「は、はいただいま!」
母親の名前は一輪。一家の大黒柱である雲山の女房でもあります。
無口……というかまったく喋らない雲山の通訳をつとめつつ、
ナズーリンをこれでもかと言うほどこきつかいます。
「ネズミ!お茶持ってきて!おーちゃー!!」
「は、はいただいま!」
長女の名前はムラサ。清楚な外見とは裏腹に、地元の暴走族『魅名魅津』の頭をしています。
彼女のガンつけは、どこぞの竹林に住む焼き鳥屋にもタメをはれるとかなんとか。
家にもあまり帰りませんが、帰ってきたらナズーリンをまるで召使のようにこきつかいます。
「やーいネズミネズミー!あんたのロッドを正体不明にしてあげるわ!」
「や、やめてください!」
彼女の名前はぬえ。次女……というわけではなく、いつしか勝手に住みついたのですが、
何故か一輪達にかわいがられ、ナズーリンよりも上の地位に居ます。
本人もやたらとイタズラが好きで、もっぱらその対象はナズーリンです。
そんな困った姉達に囲まれた、かわいそうな少女ナズーリン。
今日も今日とて、一輪に言いつけられた庭の掃除をしています。
「ククク、いつか見ていろあの女ども、私はこんなところで終わるネズミじゃないぞ。
ネズミを使ってあんなことやこんなことをして……ふふ、楽しみだな。
ネズミを甘く見てると死ぬということを思い知らせてやろう。」
黒い笑顔を浮かべながらやたらと不穏なセリフを吐いているナズーリン
あまり「かわいそうな少女」という感じはしませんが、
これぐらいのことをしないとこの環境でやっていくのは厳しいのです、察してください。
「ああ、かわいそうなネズミさん。」
と、そこに現れたのは一人の魔法使い。
「あなたは?」
「私の名前は聖白蓮。魔法使いひじりん☆と呼んでくれてもいいのですよ。」
死んでも呼ばないと心に誓ったナズーリンでした。
「ふふ、こきつかわれて可哀想なネズミさん。あなたの望みはわかっているわ。
あのお城の舞踏会に行きたいのでしょう?」
「え?いや、私はあんまり興味は……」
「任せてくださいな。なむさんっ☆!」
彼女が魔法をとなえると、それはそれは不思議なことが起きました。
彼女の服はとても美しいドレスになり、大きなカボチャの馬車が現れ、
彼女のしっぽのカゴに入っていた子ネズミ達は大きな馬になりました。
「あらあら、立派なお馬さんになったわねぇ。」
「うわああああ!!ネズ吉!ネズ美!なんて姿にいい!!!!!」
白蓮としてはよかれと思ってやったことですが、ナズーリンにしてみればたまったものではありません。
姉達の理不尽な扱いに耐えてきたのも、ひとえにこの子ネズミが居たからこそ。
いつか立派なネズミになってくれると信じていたのに……
まさか、まさかこんな可愛げの無い馬になってしまうなんて!
「ふふ、そんなに泣くほど嬉しかったのねぇ。さあ、早く馬車に乗ってください。」
白蓮さんはまったく気づいていません。早くも天然キャラへの道を歩み始めたようです。
しぶしぶ馬車に乗るナズーリン。ある意味姉よりもやっかいな相手だと思いながら。
しかし、馬車はいつまでたっても動き出す気配がありません。
「びゃくれ……ひじりん、動く気配が無いのだが。」
「あらあら、しょうがないわねぇ。ちょっと待っててくださいね。
――超人「聖白連」――
「!?」
なにやら不穏な音、具体的にはスペルカードが発動した音を聞いて、
ナズーリンは慌て始めました。そのスペルカードは不味すぎる……!
「ふふ、城までひとっとびですから、落とされないようにしてくださいね?」
「ちょ、ちょっと待った!別に馬車に乗らなくても、歩くから!
というか、別に舞踏会もそんなに興味あるわけじゃ……!」
ナズーリンの必死の抵抗も空しく
「……南無三っ!!」
乗った馬車ごと、白連に吹き飛ばされてしまいました。
「うわあああああ!!」
―――ドカーン!!
ナズーリンの乗った馬車は、物凄い勢いでお城の城壁にぶち当たりました。
そのまま壁を突き抜け、城内に入りようやく馬車は止まりました。
「うう……なんて怪力なんだ……
というかこれなら子ネズミを馬にする必要無かったじゃないか……」
ぶつくさと嘆くナズーリン。
そこに、一人の女性が現れました。
「ナ、ナズーリン!!」
彼女の名前は寅丸星。この城に住む王子様……
「……ってご主人。あなたは私とは面識の無い王子様って設定なんだから。
ここで私の名前を叫んでしまうのはおかしいじゃないか。」
「そ、それどころではないのです!大変なんです!」
若干メタな雰囲気になってきたところで、星がナズーリンに切り出しました。
「ガラスの靴を落としてしまいました!!ナズーリン、探してきてください!!」
「あんたが落とすんかいっ!!」
>なむさんっ☆
この辺りで俺のひじりん愛が爆発した
星さんもう駄目だwwwww
そして、南無三の物理的な破壊力もヤバ過ぎるwww
オチに至るまで全ての流れが秀逸ですwwww
ひじりん☆なにしてんだw
傘の子が……いないぞ!
なんか、ひじりんからスキマ臭がwww(スターメイルシュトローム
なむさんっ☆!