Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

『咬まれて終いたいと憶うのです』

2006/03/07 11:14:15
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例えばわたくしが此の様に申し上げたといたします。
貴女は何も聞き為さなかったかの様に渇いた笑みを浮かべます。
覗く白歯に子犬の様を重ねる程に愛らしく在って痛く鋭く。
それは心憎いを通り越して憎しみすら覚える演出でありまして。
わたくしを心から揺らして疲れ果てさせる。
わたくしの心は、なれない脅迫めいた運動に汗の水などだらだら流し、貴女はそれを嫌うのです。
軽蔑されて、しまうのです。

求めても求めても得られぬえならぬ果てならば、せめて歯て為す慈悲たらんと、他人(ヒト)思いに咬んで終いを下することを、
わたくしは 唯その事だけを その事だけを こんなにも渇き呻く程に強く望んでいますのに

貴女は一通りわたくしを擦り切らすと、犬歯を唇の裏に仕舞って、歯を見せずに嗤ふのです

くくくと 音など発てずに嗤ふのです
くくく くくく貴女がいっとう嫌い くくく貴女がいっとう憎い わたくしを侮辱なさるために 
貴女様の品位を貶める 否 そんな事で 堕ちる然りも無く 全てはわたくしの杞憂なまでの 愛。

其レなのです、再度は口に出せませぬ。
だから上のような仮定は在ってはならぬ禁忌の迷い。



わたくし如きの其レでありますが しかし貴女に足る事を世の理と据え置きました。
だから二度も想い、それだけで自らを足らしめたりも許されぬ事。
大事に 大事に したいのです。
わたくし自身などもとより 風を待つ渡る鳥の臨む命よりも 隣人を幸せ足らしめる季節よりも
親なるものが 仮令へわたくしを寂しく思うあまり 彼の地で血で洗われる現れが在ったとしても……
わたくしは そんなモノたちよりも 大事に 大事にしたいのです。

貴女に初めて会った時わたくしは崩れ始めたのだと
貴女がわたくしを魅摘めた時にわたくしの先行く果てはすべて死んだのだと
受け得たらぬ歓喜に耐えず甘美は絶えず
故にそのときを最期といたしまして わたくしは 永遠を停めたので在りました。
貴女に足るために わたくしは其レを 一番わたくしのぷらいべえとな場所に 隠したのであります。

時折、先程の仮定の様に 弱いわたくしの迷いを見出された貴女が
或はそうなる運命をもたらされた貴女と考えたならば驕りでしょうか
げには、わたくしを虐めなさる 意地女になさるのです。
その事が わたくしへの静かな愚弄を繰り返す貴女の無慈悲な遊びの事が
実は 実に 本当に わたくしの支えになっている事を 今のわたくしが 今のままで居られる訳たる世界である事を

貴女が気づいてない筈が無いのです

貴女にいただいた最初の真心 思い返せばそれがわたくしの側に唯一持たされた鍵
十六夜咲夜であるわたくしが名前を捨つる事が在るとすれば、そのときこそ

貴女に咬まれて終いたいと憶うのです


レミリアお嬢様に紅く染められた咲夜のぷらいべえとすくえあに記された禁忌。 其レ。
彼女たる理由を考えてみると いたく独りよがりで 歪んだ其レへの筆者の憧憬でありました。
試行錯誤中であります こういうのはイマイチですか駄目だろか。 自信はまるっきり無いのです。
マジで。


しかしおかしいな、「ドン・ガバチョに食み食みされるべきだ」というテーマの東方ひょうたん島クロスオーバーを書くつもりだったのに何処で間違えたのか。
らららくらら
コメント



1.名無し妖怪削除
前二作の、楽しそうなまでに突き抜けている怖いくらいの狂気は、随分と薄まってますね。
そのおかげか、らららくららさんの文章の独特さが、よりはっきりしている様に思います。
内容自体は結構ありふれている、とも思えるのに、その書かれ方によってここまで特異な空気を醸し出すとは……。
あなたの書くお話を、もっと読んでみたいです。
2.紅狂削除
貴方のもっと尖った狂々とした物語を読みたいと思うのは読み手である私の
単なる我儘に過ぎないのでしょうがやはりそう思わずにはいられないのです。
3.名無し妖怪削除
狂おしいほど一途。一途なほど狂おしい。これぞメイドの真骨頂か。
4.らららくらら削除
感想ありがとうございます。嬉しい反面己の小物具合が申し訳なく。