Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

東方波動拳6~美鈴VS霊夢~

2009/08/05 19:00:14
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聞こえるのは風に揺れる竹の音だけ
それもそうだ。今は深夜なのだから
美鈴は無限に続く気さえする廊下を音を立てずに歩いていた
これ以上他人の世話になるわけにはいかない
いつまでも被害者ぶって甘えていては異変の解決などできるわけがない
永遠亭の皆さんには悪いけど、私はもう行かなければ
進むにつれ緊張が増してくる
ここまで何もなかったのが逆に不自然だからだ
電気のついている部屋はいくつかあった
でも物音は一切しないのだ

「お帰りになるのですか」

気配のないところから話しかけられ、大声を上げそうになってしまった

「れ、鈴仙さん・・・」

「師匠から伝言です」

どうやらこの行為は既にお見通しだったようだ

「優しさを持ちすぎるのはよくないといったけど、
 あなたならその優しさで戦えるかもしれない
 本当に異変を解決しようと思うなら、これを受け取りなさい・・・
 とのことです」

暗闇に光る赤い眼はしっかりと彼女を見据えていた
鈴仙は何かの小瓶を手渡した

「これは?」

「薬です。師匠の話では、紅美鈴さんの能力によって
 失われるものを補う効果があるそうです」

「失われるもの・・・?」

心当たりがない
私の能力、気を使う程度の能力は「気を使う」とは言うけれど、
消費するわけではない
しかし・・・

「波動を放つと消費される“気”ですか」

「私も詳しくは知りません
 でも、危ないと思ったら使ってください
 一滴で三十分の効果があるそうです。同時摂取は三滴まで。
 用法はしっかり守ってください」

美鈴はここまで忍び足で来た理由を思い出した
もう世話にはならない、そのはずだった

「どうも・・・ありがとうございました
 皆さんに伝えておいてください
 それと、あの子をよろしくお願いします」

「分かりました。任せてください」

もうお礼の言葉が見つからなかった
ここまで来たら異変は必ず私の手で解決してみせる・・・!
彼女は一礼すると、なるべく静かに廊下をかけていった

「・・・がんばってください」


***迷いの竹林***

周囲は真っ暗闇で、頼りになるのはわずかな月の光だけだった
何かがおかしい
今の時期多くいるはずの虫の声がしない
それだけではなく、なにか殺気のようなものを感じる

「見つけたわよ・・・門番」

聞き覚えのある声だった
そして、その声は彼女に劣等感を抱かせるものだった

「博麗の巫女・・・なぜここに・・・?」

「異変と聞いて動かないとでも思った?
 そして原因はあんた・・・もう分かるでしょ」

「でも私を倒してどうなるんです?」

確かに原因は私・・・しかし私を倒したところで異変が治まるとは思えない

「今までもそうだったのよ。結局は元凶を叩けば異変は治まる
 ずっとそうしてきたのよ」

「仕方・・・ないようですね」

美鈴はゆっくりと構えた
恐らく霊夢も何かしら異変の影響があるに違いない

「そうおびえることもないでしょう?」

博麗の巫女は札を片手に持っていた
しかし、その札は風に揺れることなく形を保っていた

「見せてあげるわ・・・博麗の真髄を!!」

敵が素早く走り寄ってくる
よけられるか・・・?いや、無理だ!
とっさにガードの体勢をとった

「フッフフフ・・・」

不適な笑い声がしたと思うと、目にも留まらぬ速さで巫女の腕が動いた
御札の白い残像が月光に照らされて光る
防御に使った腕に鋭い痛みが走った
見ると、両腕には一直線に切り傷ができていた

「ぐ・・・」

「この技を生身で防ぐことは不可能よ」

「あなたも・・・異変に巻き込まれた一人ですか・・・」

「私のは少し違うわ」


***数日前***

「札も減ってきたわね・・・節約しないと・・・いてっ
 あらら、手を切っちゃった」

紙も使いようでは凶器になりうる

「ん?これを使えば札を節約できるんじゃないかしら?
 よし!これだ!」

************

「あなたらしい理由ですね・・・」

「そう、そしてこの異変。弾幕を捨てた戦闘法の流行
 まさにうってつけだったわけよ」

「でも・・・その異変は私が解決します!」

一気に敵の懐にもぐりこむ

「華符!!「破山砲」!!!」

気を集中した拳を一気に振り上げる
スペルカードを使うのは久しぶりだった
確かな手ごたえと同時に周囲に風圧がかかる
風が静かになった
巫女の姿は消えていた
おかしい・・・手ごたえはあった、でも・・・

「ふふふ・・・」

背後に気配を感じて振り返ったとき、服を一部引き裂かれた
鋭い攻撃・・・直撃したら危ない!

「よく考えてみれば、異変の元凶が異変の解決なんておかしいわね
 あんた、どういうつもり?」

「私は好きで異変の元凶になったわけではありません!
 こうなってしまった以上、責任は私にあります!」

「・・・そういうこと・・・なら、なおさらね」

霊夢の物腰は緩やかだった
しかし、その中にも圧倒的な強さを感じる

「異変を解決したいなら、この私ぐらい倒せないとダメよ!」

博麗の巫女が右手でつかみかかってきた
まるで壁に叩きつけるかのように
この動きは・・・あのときのルーミアと同じ!
既に見た動きは簡単に読むことができた

「私は・・・私はあなたに勝って見せます!!」

彼女は高く飛び、真下を向いて会心の力を込めた

「真空!」

敵はようやくこちらを見上げた
わき腹に構えた両手が青白く光る
これが・・・今の私の力です!

「波動拳!!!」

前に放った波動拳の数倍はある気の塊が錐揉み回転しながら巫女に向かって飛ぶ
当たる瞬間、霊夢が微笑んだ気がした
爆音とともに粉塵が吹き上がり、周囲の竹が騒がしく鳴る
空中にいた自分自身も吹き飛ばされそうになった
やりすぎたか・・・?
ようやく地面に足が付くと、人影はまだ立っているのが見えた

「やるようになったわね、門番」

「あなたもなかなかですね・・・」

「いや、もう無理ね、降参よ
 この異変の解決はあんたが向いてるみたいね・・・」

今まで気力で立っていたのか、
人形の糸が切れたように彼女はその場に倒れた
美鈴は思わず駆け寄った

「大丈夫ですか!?」

「情けは無用よ・・・まったく、博麗の巫女ともあろうものが無様ね・・・」

「あまりしゃべらないでください、近くに永遠亭が・・・」

焦っている彼女の口を止めたのは、敗れた巫女の力強い腕だった

「今度から紅魔館に行くときは手加減してあげる
 だから、今は異変の解決に集中しなさい
 倒した相手に気を取られていてはこの勝利は無駄になってしまうわよ
 これは先輩からのアドバイスよ。聴いて損はないわ」

「でも・・・」

「あんた・・・優しすぎるって言われたことない?」

その言葉は彼女の胸を強く突いた

「図星みたいね。ハッキリ言うと、異変の解決に優しさはいらないわ
 むしろ邪魔なだけ。優しさは異変解決の動機にだけあればいい
 分かったら早く行きなさい」

徐々に力を失う彼女の声に引き止められながらも、
かつての敵の激励を胸に、美鈴はその場を立ち去った
必ず・・・必ずこの手で・・・!
深夜の竹林の闇は深く、月光は柔らかく射していた






Go To Next Stage...
非想天則・・・美鈴自機化と考えていいのだろうか
間が空いてしまって申し訳ない
タイトルは今回からしばらく ○○VS○○ になります
ちょっと投稿が途絶えるかもしれません
やること多すぎて・・・
でも応援してくれる人がいる限り失踪はしません、ゼッタイ


技元ネタ

美鈴:真空波動拳
   『ストリートファイター』より
   リュウの超必殺技

霊夢:博麗の真髄(カーネフェルの真髄)
   『キングオブファイターズ』より
   オズワルドの格闘(?)術、カーネフェル
OB-24800
コメント



1.アイス削除
カーネフェルの真髄じゃなくて
ジョーカーじゃなかったか?
2.名前が無い程度の能力削除
MUGENってニコ動にあったあれか?
あれだと黄昏ドット引用なので真っ黒だぞ
あとがきでも書くのはやめておいた方がいいぜ
3.名前が無い程度の能力削除
>>アイス様
この台詞は確かにジョーカーのときのものですが、
とりあえず代表の一言としてw

>>2様
すみません、自分がおろそかでした
お払い棒・・・消そうかな・・・?