Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ぐだら

2009/08/05 18:01:13
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「やっほ! お姉ちゃん、元気?」
「こいしは元気そうですね。私はだるい」

 こいしが久し振りに地霊殿へ訪れると、机に顎を乗せてだらけているさとりが居た。見てる方まで脱力しそうな、そんな状態のさとり。

「お姉ちゃん、せっかく可愛い妹が帰って来たんだからシャキッとしてよ」
「シャキッ」
「口だけじゃない」
「シャキシャキッ!」
「それも口だけじゃない」

 顎を乗せた状態のまま、口でシャキッと言う。
 あまりのだらけっぷりに、こいしは額に手をあてて溜め息を吐いた。

「もう~だらけすぎ。そうだ、おくうは?」
「あまりにも暑いので、閉じ込めておいたわ」
「何してるの!?」
「いや、だって暑いのよ? 年中涼しい地底が、こんなにも暑いのだから」
「夏バテ?」
「さぁ?」

 さとりの言う通り、暑い。しかも中途半端な暑さ。雨が降っているときのような、じめじめとしたいやらしい暑さなのだ。
 こいしも暑いのか、服をぱたぱたとさせている。

「そうだ、お燐は?」
「閉じ込めました」
「だから何で!?」
「おくうだけ閉じ込めては、寂しいだろうと思ったので。一緒の部屋に閉じ込めてるわ。これで寂しく無いでしょう」
「うわぁ……」
「こいし、お願い」
「何?」

 さとりがお願いをするなんてことは珍しい。
 一体どんなお願いなんだろうかと、こいしは首を傾げる。

「麦茶を入れて」
「自分で入れなさい」

 即、突き放した。
 甘やかしてはいけないと思ったからだ。
 こいしは、このままでは姉が駄目になる。ぐーたら的な意味で。と思い、心を鬼にしてお願いを却下した。

「お願い、こいし」
「だぁーめっ!」
「お願い……お姉ちゃん、干からびちゃうわ」
「それくらいで干からびないよ」
「実はもう五日間、何も飲んで無いの」
「その横に置いてある水差しは何?」
「水差しよ」
「それは分かってるよ」

 全く動く気配の無いさとりに、また溜め息を吐くこいし。

「夏は、弱いのよ」
「うん、知ってる。お姉ちゃんのことだもの」
「夏に麦茶は欠かせないでしょう?」
「身体の芯まで染み渡るように感じるもんね」
「だから、麦茶を」
「だぁーめっ!」
「こいし、私が知らない間にいじわるになったわね」
「お姉ちゃんのためを思って言ってるの。ぐーたらしてたら太るよ?」
「痩せすぎな方ですから」
「身体が鈍るよ?」
「地霊殿から出る気無いです」
「むぅ~いい加減にして! ほら、立って!」
「やー」

 さとりの後ろに回り込んで、両脇に腕を入れ、無理矢理立たせる。
 こいしが思っていたよりも、ずっと小さな身体だった。幼い頃の記憶では、こいしよりも大きかった筈のさとりの身体を、こいしはいつの間にか抜かしていた。

「お姉ちゃん、小さいね」
「こいしが大きくなったのよ」
「胸も私より小さい」
「言わないで、ヘコむから」

 脱力していた身体が、ヘコんだことにより、さらに脱力した。
 それでもこいしは軽々と支える。

「ほら、麦茶まであと少しだから」
「こんな引っ張るくらいなら、こいしが持ってきてくれれば良いのに」
「そういうこと言わない」
「こいし」
「何?」
「力、強くなったわね」
「……うん」
「いつの間にか、私を超えちゃってて……お姉ちゃんはびっくりよ」
「……今の私と昔の私、どっちが好き?」
「両方。過去も現在も未来も関係無い。こいしという、たった一人の妹を大切に想うだけ」
「そっか……」

 それ以上、言葉を紡ぐことは無かった。
 ただずるずると、さとりを引きずるこいし。
 さとりの踵が床を伝う。
 相変わらず、さとりは脱力しきっていた。目を瞑って、ただ引きずられている。

「はい、麦茶の前に到着!」
「麦茶!」

 その瞬間、脱力していたさとりの身体に力が込められた。
 硝子のコップを二つ、用意してテーブルの上に並べる。
 それに、麦茶を入れる。なみなみと注いだ。

「お姉ちゃん、零れるよ?」
「はい、こいし。こいしには特別に氷も入れてあげます」
「わ!? だからこぼれるって!」
「あー美味しい。生き返るわ」
「もう、仕方無いなぁ」

 ギリギリまで注がれた表面張力状態の麦茶に、零さないよう唇だけを寄せて、ちょっとずつ吸って飲むこいし。ある程度減ったところで、普通に飲む。
 さとりは麦茶を飲んで元気が出たのか、目がさっきよりもしっかりと開いていた。

「こいし、生き返ったわ」
「それは良かったね」
「そして、今さらだけど一言良いかしら?」
「何?」
「おかえりなさい」
「うん、ただいま」

 なんとなく、さとりもこいしも笑った。
『ぐだぐだだらだら』略して『ぐだら』です。そんなお話。
私もぐだら中。
暑いですねぇ。麦茶は良いです。喉だけでなく、心も潤してくれます。麦茶に改名したいくらい。
少しでも楽しんで下さったなら、嬉しいです。
喉飴
http://amedamadaisuki.blog20.fc2.com/
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
やっぱりこの仲良し姉妹はいいなぁ。

ちなみに、自分もぐだら中です。
2.名前が無い程度の能力削除
毎日絶賛ぐだら中。

いい姉妹ですね。麦茶は美味い。でもうちはウーロン茶しかなかった。
あ、一つだけ疑問があるんですが。

……さとりとこいしが麦茶飲んでる間、お燐とお空は食事とか取ってるの……?
3.名前が無い程度の能力削除
蒸し暑いのはいやですねぇ

さとりんは虚弱体質!
4.名前が無い程度の能力削除
お燐とお空が同じ部屋に閉じ込められてると聞いてイケナイ想像したオレはもう駄目だ。
ぐだら、いい言葉です。
5.ちゃいな削除
こいしはきっと砂糖入りの麦茶が好きに違いない!
姉妹がとてもかわいかったです。さすがです。テンション上がりました
6.名前が無い程度の能力削除
ぐだらぐだらしてぇー!
7.名前が無い程度の能力削除
お空とお燐を閉じ込めておかないと、2人ともイチャイチャして暑いんですね!
8.喉飴削除
>>奇声を発する程度の能力様
私も絶賛ぐだら中ですw

>>2様
ウーロン茶も好きです。
多分互いの唾液を交換して喉を潤し(ry

>>3様
蒸し暑いのは苦手です。

>>4様
私も考えましたw
ぐだら、是非広めたい言葉です。

>>ちゃいな様
楽しんでもらえてなによりです!
こんなぐだらな感じも良いですよね。

>>6様
私は今もぐだらです。

>>7様
その発想はありませんでしたw
9.名前が無い程度の能力削除
夏こそ熱くなれよ!