Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ビー玉

2009/07/24 06:49:22
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 朝のうちに干しておいた洗濯物を取り込んでいると、居間のちゃぶ台でうつ伏せになっている橙の姿が目に入った。
 寝ているのかと思いきや、よく見ると何かをちゃぶ台の上に広げて、それに魅入っているようだった。
 機嫌が良いのだろう。揺れる二又の尻尾が何とも可愛らしい。

 ついつい気になって、よく確認しようと両手で洗濯物を抱えたまま居間に上がる。

「あ、らんしゃま! 見てください、これ!」

 覗くまでも無く、居間に上がってきた私に気付いた橙が自ら見せてくれた。

「これは……ビー玉だね。」

 色取り取りのビー玉たちが丁寧にも包装紙の上に並べられている。

「はい! 綺麗ですよね……。」

 どこかうっとりした表情を見せる橙。『そんなものより今のお前の方が断然綺麗だ!』 と、全力で豪語してやりたかったが、止めておく。
 
 再びビー玉に夢中になる橙の横で、洗濯物を畳む事にした私だったが、ふとある事が気になってしまった。

「そういえば……そのビー玉たちはどうしたんだい?」

「人里の駄菓子屋で、みんなでラムネを飲んだんです。それで、」

「まさか……割ったのかい?」

 余り想像したくないことだが、確認しないわけにはいくまい。 

「はい。そうですけど……?」

「なんて事を……!」

 ああっ! なんでもっと早く気付かなかったんだ私は!

「で、でもちゃんと後片付けもしましたよ?」

「そんなことはいい! それよりも怪我はしてないか? ガラスの破片で手を切ったりはしてないだろうな!?」

 一人熱くなる私とは対象に、橙は苦笑いを浮かべている。
 何か言いたげなようだが、まずは橙の容体を診るのが先だ。
 私は洗濯物を放り出し、橙の両手を隈なく診た。

「よかった……。どうやら怪我は無い様だな。橙、良いかい? ラムネからビー玉を取り出すときは瓶の口を焼いて……
 はっ……! 駄目だ! 火傷してしまう恐れがある……! こうなったら紫様に頼んでスキマから……。」

「もう! らんしゃま! 大丈夫ですって! やっぱりらんしゃまは過保護すぎます。」

「そんな事はない。私ぐらいで丁度良いんだ。本当の過保護というのは、紫様の事を言うんだ。」

「紫様が、ですか?」

「そうだとも。例えば……そうだな。私が今のお前くらいの時だ。」

 そういって私は、ちゃぶ台の上にあったビー玉をひとつ手にとって見せる。

「これくらいのサイズの飴玉を食べるときでさえ、紫様は喉に詰らせぬ様にと、私に砕いて食べさせようとしたんだぞ?」

「それは……確かに……。」

 どこか乾いた笑みを浮かべる橙。どうやら如何に紫様が過保護だったかが伝わったようだ。
 今では良い思い出なんだが……。

「飴玉がどうかしたって?」

 狙ったかの様なタイミングで現れた紫様。
 突然の事に、私たちは暫し固まってしまった。

「え、ええ。ちょっと昔話を……。」

 ぎこちなくも答えた私だったが、紫様は特段気にされた様子もなく、直ぐに私が持っていたビー玉に気付かれた。

「ふ~ん。あっ、それって飴玉? 懐かしいわね。昔はよく藍と舐めたものだわ。どれ、私も一つ。」

「ゆ、紫様! それはっ!」

 静止の声も間に合わず、紫様はちゃぶ台に並べられたビー玉を一つ手にとり、口に運んだ。

「もごっ! なっ、何よこれ、ビー玉じゃない!?」

 当然食べられる筈も無く、慌てて口から吐き出す紫様。



「「ぷっ……!」」



「こ、こら橙。くくっ、笑うなんて、失礼だぞ?」

「ぷぷぷっ。さ、先に笑ったのは、らんしゃまの方ですよ。ぷぷっ。」

 必死に笑いを堪える私たちだったが、紫様の方が堪えきれず、顔を真っ赤にされてしまった。

「う……うわぁぁぁぁん! ゆゆこぉ~~!!」

 泣きながらスキマに消えていく主を見送ったとたん、私たちは腹を抱えて爆笑したのであった。


 紫様……すみません。正直、堪りません。












「幽々子様? それは……ビー玉ですか?」

「ええ、そうよ妖夢。貴女にはビー玉以外に見えるのかしら?」

「見えませんが……どうしたんですか、突然?」

「……紫に食べられて、私に食べられ無い物が有る筈ないじゃない?」

「一体何を言って……い、いけません! 幽々子様!!!」
相変わらずの短文ですが、一人でも多くの方に読んでいただけたら幸いです。

追記
三番にコメントをして下さった方、失礼しました。遅くなりましたが、訂正させて頂きました。
ご指摘、ありがとうございました!
ヘルツ
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
ゆゆ様自重ww
2.奇声を発する程度の能力削除
この紫様に激しく悶えた!!!

あと、幽々子様wwwwww
3.名前がない程度の能力削除
誤字です。
紫に食べられて…の所が
食べら無い物になってます。
4.名前が無い程度の能力削除
ゆかりんかわいいw
5.名前が無い程度の能力削除
幽々子さまなんというww
6.名前が無い程度の能力削除
何だこの八雲家周辺…最高だ
7.名前が無い程度の能力削除
泣き付くゆかりん。
変に対抗心を燃やすゆゆ様。
慌てるみょんな庭師。

いいねえこのテンポ。凄くいい。ああ、ゆゆ様が羨ましい。
8.名前が無い程度の能力削除
なんと素晴らしい八雲家&白玉楼コンビ!

特にゆかりんの可愛さが異常です!
9.ぺ・四潤削除
口に入れられそうなものはお子様の手の届かないところに置きましょうww
この紫様萌えるw