Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ひま、あそび、甘えよう

2009/05/27 23:18:09
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「ひーまー!」
「妹様、ライブラリーでは静かにして」
「だって、暇なんだもん」

 フランドールは木製の椅子に腰掛け、足をぷらぷらさせている。
 少し、頬を膨らませていたりなど、行動が幼いことがうかがえる。
 パチュリーは溜め息を吐く。

「ならレミィに遊んでもらえば良いじゃない。レミィがこの前、妹様と朝までジョグレス進化したいって言ってたわよ」
「多分私のしたいタイプの遊びじゃないから嫌」
「わがままねぇ。大体さっきまで読んでた文庫本はどうしたの?」
「んー? これ?」

 机の上に置かれた文庫本に手を伸ばす。座ったまま取ろうとするが、届きそうで中々届かない。バランスを崩し倒れそうになる。

「危ないわよ」
「あ、ありがとうパチュリー」

 斜めになり、倒れかけた椅子をパチュリーが支えてくれた。

「いえ、お礼を言われることはしてないわ」
「え?」

 フランドールがパチュリーを見ると、パチュリーはめっさ笑顔だった。
 嫌な汗が、背中を伝う。

「一度安心させておいて次の瞬間、それを裏切ってみるわ」
「う……わわっ!? うにゅ!」

 支えていた手を離す。
 それにより、フランドールは椅子ごと崩れ落ちた。
 衝撃でスカートが捲れ上がっていたりと、いろいろ危なかっしいポーズだ。

「パチュリー酷い!」
「妹様、まさか……そんな」
「え?」
「何も下に穿いてないなんて……」
「なっ!? ちゃんと穿いてるよ! ドロワーズ穿いてるよ! ほら、見て!」
「あら、自分から下着を見せつけるなんて、妹様意外にえっちね」
「あぁもう! なんなのよ!」

 わざとらしく恥ずかしそうに言うパチュリーを、壊してやりたくて仕方無いと思うフランドール。

「まぁこんなつまらない冗談は置いといて」
「どこからどこまでが冗談だったのか分からないよ」
「妹様、暇なら趣味を作るのはどうかしら?」
「え、趣味?」

 意外にもまともな意見に、少しキョトンとする。
 フランドールは考える。今まで確かに趣味らしきものは特に無かった、と。

「でも、どうすればいいのかなぁ」
「好きなものを趣味にすればいいのよ。例えば私なら読書、小悪魔なら日記、レミィなら暇潰し、咲夜なら日記、美鈴なら日記とか」
「日記率高いね!?」
「まぁ良いじゃない。妹様も日記つけてみる?」

 うみゅ、と悩むフランドール。
 館からあまり出られないフランドールにとって、日々を綴ることが楽しいか、いや、さほど楽しくは無いだろう。

「う~ん、日記は嫌」
「そう。なら他に……そうだ妹様、小説を書いてみたら?」
「うにゃ? 小説?」
「そ、案外楽しいかもしれないわよ」
「でもアイディアが浮かばないし……」
「適当で良いのよ。例えば『レミィの奇妙な冒険』とか『レミィの美味しいレストランンンッ!』とか『魔法先生魔理沙!』とか」
「ちなみにパチュリーは書いたりしてるの?」
「私? 秘密よ」

 本で顔を隠しながら、パチュリーはそう言った。
 小説、たった二文字の単語だが、非常に重苦しくフランドールは感じた。

「う~ん、私には似合いそうに無いよ」
「なら絵本は?」
「絵本かぁ……」
「いろいろあるじゃない。『傘血像』とか『桃色太郎』とか『妬まし太郎』とか『ミスティアの恩返し』とか」
「私には根本的に書くってこと自体が似合わない気がするよ」

 フランドールは自分が小説を書いていたり、絵本を作っている姿が想像出来なかった。
 ふむ、とパチュリーは顎に手をやり、考える。

「やっぱりレミィとジョグレスするのが妹様にとって一番楽し――」
「違うから!」
「まだ話してる途中だったのに……」

 むきゅう、となるパチュリー。

「まぁ無理に趣味を作る必要も無いけど」
「パチュリーが言ったんじゃん」
「あくまでも勧めただけで、強制的に作れとは言ってないわ。妹様、今凄く悩んでるじゃない? そんな悩んでまで作れとは言わないわ」
「でも、暇だし……」
「暇ならいつでも相手してあげる。レミィだって、美鈴だって、咲夜だって、小悪魔だって、みんな相手してくれるわ。それじゃあ駄目かしら?」

 滅多に見せない笑顔で、そう言うパチュリー。
 なんとなく、目を逸らし俯いてしまう。

「駄目じゃあないけど……それじゃあみんなに迷惑がかかるじゃん」
「あら、迷惑だと思ってたら少なくとも私は、図書館から追い出して結界を張るなりしてるわよ。レミィだって迷惑なら問答無用で地下に幽閉したりするでしょう」
「……うにゃ」

 ポンと頭に手を置かれる。

「むぅ~子ども扱いしないでよ。パチュリーより年上で大人なんだからぁ」
「そう、それは失礼したわね」

 軽くクスッと笑って、手をどける。
 フランドールは、ずれた帽子をギュッと押さえる。

「さぁ、行ってらっしゃい」
「え?」
「レミィのトコ。なんだかんだで、レミィは楽しく遊んでくれると思うわ」
「パチュリーは遊んでくれないの?」
「私よりレミィと遊んだ方が妹様は楽しくなれるというだけよ。せっかく今日はレミィが居るのだから、遊んでもらって来なさい」

 レミリアは最近外出していることが多い。咲夜を連れて、神社へ行っているのだろう。
 だから、パチュリーは今日は遊んでもらえば良いと言う。
 最近、あまりフランドールとレミリアが会話を交わすとこすらない。

「私、パチュリーと話してるのも楽しいよ?」
「ありがとう妹様。けどね、レミィはたった一人の姉でしょう。ちゃんと甘えられる人には甘えた方が良いわよ」
「ぅ……」
「お姉様大好き~ちゅっちゅはみはみ、とかいつも妹様が言ってるように言えばレミィ喜ぶわよ」
「そんなこと言ってないよ!?」
「それに、そろそろちょうどレミィが起きる頃」
「え?」
「ちゃんと捕まえておかないと、神社に行っちゃうかもしれないわね」
「ぅみゅ……」

 神社へ行ったなら、大体夜になる前くらいまで帰って来ない。
 しかも、帰って来たら来たで、すぐ眠ってしまったりする。

「さぁ、行ってらっしゃい。私なら比較的いつでもここに居るけど、レミィは自由人だから分からないわよ」
「う……うん!」

 フランドールは立ち上がる。

「ありがとうパチュリー!」

 そう言って、図書館から出て行った。
 ふぅ、と溜め息を吐くパチュリー。

「レミィも妹様も、世話がやけるわ」
「パチュリー様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「きゃっ!?」

 突然、背後から小悪魔に勢いよく抱き付かれ、思わず可愛らしい声を上げてしまう。

「な、何よ小悪魔!」
「いや、さっきパチュリー様がフランドール様に『甘えられる人には甘えた方が良い』って言ってましたから、私はパチュリー様に甘えようかなと」
「……ロイヤルフレアと賢者の石、どっちが良いかしら?」
「ちょ!? パチュリー様!?」
「……はぁ」

 溜め息を吐き、小悪魔の腕の中を移動して、正面を向く。
 そして、小悪魔の頭に手を置き、髪を指先で優しく梳く。

「え、ちょ、パチュリー様!?」
「たまには貴女を労ってあげよかな、なんて思った」

 小悪魔はくすぐったいのか、少し身をよじった。

「パチュリー様、嬉しいのですが理性がもちそうにありません」
「……あんまり調子に乗るようなら、葬り去ってあげようかしら」
「あー、でも今なら葬り去られても幸せのまま消え去れそうです」
「……バカ」
どうも喉飴です。
飴玉11個買いました。
少しでも楽しんで下さると幸いです。
喉飴
http://amedamadaisuki.blog20.fc2.com/
コメント



1.コメ10削除
キタ。これだ。この絶妙な変人加減。
喉飴さんのパチュリーはこうじゃないとね。
それでいて綺麗に締める所もニクイぜ
2.名前が無い程度の能力削除
なんてパチェさんなんだ
小悪魔じゃなくてもメロメロだぜ
3.ふぶき削除
図書館にある絵本は全てパチュリーさんの手によって製作されてるんですねw

もちろん次は「レミフラ」ですね?


喉飴さんは好きな飴玉は何ですか?

自分は甘露飴です!
4.名前が無い程度の能力削除
ジョグレスでいちいち吹くwww
5.名前が無い程度の能力削除
なぜパチュリー様はジョグレスにこだわるのだwww

しかし相変わらずナイスなパチュこあ
さぁもっと小悪魔さんを労ってあげて
そしてベッドに連れ込まれてしまへwww
6.奇声を発する程度の能力削除
うん。やっぱり甘い!!!
これしか言えない。
7.無在削除
>>レミィなら暇潰し
物凄く迷惑そうな趣味ですなw

二次創作である限り、書く人によってキャラクターには差が存在するものですが、喉飴さんのところのパチュリーも姉妹に挟まれて苦労しているようですねw
8.喉飴削除
>>コメ10様
ちょっと昔の作品を意識しつつ書きました。
楽しんでもらえて幸いでぃす!

>>2様
私もパチェさんにメロメロです。

>>ふぶき様
私はいろんな飴好きですよ~最近は10円のあわ玉キャンディーを買いました。

>>4様
ジョグレス進化したら凄いことになりそうですw

>>5様
ここには投稿出来ない内容になりますねww

>>奇声を発する程度の能力様
糖分30%ですぜ。

>>無在様
ちょちょっと運命操作されたりw
普段ふざけつつもなんだかんだで世話焼きなパチュリー、といった感じですかねw
9.名前が無い程度の能力削除
ジョグレス進化懐かしいww
というかフランの言動がいちいち可愛くて破壊力抜群すぎるwww
10.謳魚削除
ジョグレス進化と言いますと。
「エクスフラドル!」
「Stingレミィ!」
「「ジョグレス進化ぁぁぁっ!!」」
『パイルフラレミ!……ってレミフラじゃないの!?』
『お姉さま……これが、反逆よっ!』
こうですね、分かりません。
かつてのジューリーノ先生の片鱗がまだ消えていなくて良かったです。
面白かったのです。
ぺこり。
11.Romanov削除
絵本がミス恩以外ロクなのねぇなwwwww
12.名前が無い程度の能力削除
レミィの美味しいレストランンン!!
ぜひフランちゃんに執筆して頂きたい。
13.名前が無い程度の能力削除
タイトルを見て鷹と茄子を持ち富士を背負ったあまり名前で呼んでもらえない人が思い浮かんだのだが。
お話30点、テンポ31点、キャラクター42点
3つ合わせて103点