Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

契約

2009/05/17 15:50:56
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「こら、逃げないの!」
「やーでーすー!」

 図書館で走り回っているのはパチュリーと小悪魔。
 涙目で嫌がり、羽をパタパタさせながら逃げる小悪魔を、賢者の石を投げながら追いかけるパチュリー。

「なんでそんなことしなくちゃならないんですかぁ!」
「絶対似合うと思うから!」
「やーでーすーよー!」

 止まらないで加速する小悪魔だが、

「うっ……くぁ」
「パ、パチュリー様!?」

 パチュリーが突然胸をおさえこみ、膝から崩れ落ちた。
 小悪魔はすぐ駆け寄るが、顔が俯いているため、顔色すらうかがえない。

「パチュリー様! 喘息……ではないですね。違う症状に見えますし。大丈夫ですか! パチュリー様!」

 必死に小悪魔はパチュリーの肩を掴み、声を上げる。
 すると、俯いていたパチュリーが顔を上げて、

「パ、パチュリー様! 大丈夫で――」
「ぷっ」

 口に咥えていた賢者の石を勢いよく吹矢のように吹き出す。それが小悪魔の額にストンと決まり、小悪魔はその場に気絶した。

「甘いわ小悪魔。初孫を初めて見たおじいさんより甘いわ。戦いは常に騙し騙されるが普通よ」
「うゃぅ……」
「さて、目的達成しなきゃ……」

 倒れている小悪魔の足を引っ張って運ぶ。
 うふふと笑いながら小悪魔を運ぶその姿は、ある意味魔女だった。





◇◇◇





 小悪魔は川を泳ごうとしていた。
 何故か分からないが、小悪魔は目の前の川を泳ごうとしていた。

 そして、いざ飛び込もうとした瞬間、小悪魔の隣りに小町が現れた。

「おや、ここは自力じゃあ渡れないよ?」
「何故か泳ぎたくて仕方無いんですが、ここ何処ですか?」
「ん? あっちに渡りたいのか?」
「はい」
「そうか、そんなに死に急ぐことは無いだろうに」
「え?」
「お前さん、あっち側は閻魔様がいらっしゃるよ」





「ふわぁっ!? やっばぁぁぁ!? 超ヤバイですよ!? 私悪魔なのに! 一応悪魔なのに、何のこのこ閻魔様のとこ行こうとしてんですか!? 絶対アウトでしょう!?」
「あ、起きた小悪魔?」
「あ、あれ?」

 小悪魔が勢いよく起き上がった場所は、図書館内に設置してある簡易ベッドの上だった。
 どうやら先程まで見ていたのは夢だったようである。

「パチュリー様! 私あと少しで死にそうだったんですけど!」
「大丈夫、貴女は死なない。私が守るもの」
「既に死にかけたんですが。貴女のせいで」
「まぁ本当に手放す気は無いから安心なさい。私と貴女の契約は、貴女が死ねば私も死ぬ。私が死んでも貴女は生きる」
「ちょ! 何ですかその契約! 私がパチュリー様と交わしたのは、使い魔としての契約でしょう!」
「私がちょっと前に勝手に書き替えた。薄っぺらいのは御免だわ。だから死なないでね」

 なんてむちゃくちゃな人なんだろうと小悪魔は思った。レミリアと親友というのもなんとなく理解出来た。似てないようで、むちゃくちゃなとこが、どこか似ている。

「はぁ……ていうかパチュリー様が死んでも私は死なないってトコが尋常じゃないくらい腹立ちます。不愉快です。納得が出来ません」
「あら、私に命をかけるつもり? 貴女は小悪魔と言えど悪魔。私の命尽きる時、他の誰かと契約を結べば良いじゃない。悪魔との契約、リスクを背負うのは私だけで十分でしょう」
「な!? 冗談じゃあありません!」

 パチュリーの言葉に、小悪魔は怒りを表す。
 小悪魔がここまで感情を爆発させるのは見たことが無かったパチュリーは、目を大きく見開いて驚く。
 そんなパチュリーの肩を痛いくらいに掴み、小悪魔は言う。

「私は貴女に仕えたいと思ったんです! 私の全てを捧げて、微力だけど、力になりたいと……支えていきたいと思ったんです! それを何ですか? パチュリー様だけ一方的に不利な契約を勝手にして!」
「私がリスクを背負う。それを私自身が認めているのよ。何の問題がある」
「問題ありありです! 私が認めません。私がこの図書館に住み着いてた頃、追い出すという選択肢も、そのまま殺すという選択肢もあったのに、貴女は私を生かして、私に居場所を与えてくれたじゃないですか!」



 昔、パチュリーが初めてここへ来た頃、本棚の影でびくびくと震えながら隠れていたのは小悪魔。小悪魔は本来、悪戯をしたりしてからかったりするような、そんなタイプだったのだが、紅魔館でそんな命知らずなことは出来ず、ただただ隠れていたのだ。

 パチュリーがレミリアに報告したときに、レミリアは好きにすればいいと言った。
 パチュリーには片手で小悪魔を滅する力があった。睨み、ただ一言「出てけ」と言い、追い出すことも出来た。だけれど、パチュリーは、怯える小悪魔の頭に手を置いて言った。

「私だけではここを管理仕切れない」
「え?」
「貴女には悪いけど、ここで働いてもらうわ」
「え? え?」
「何よ? そんなに嫌?」
「い、いえ! やらせて下さい!」
「そう……頼りにしてるわ」

 軽く笑い、パチュリーはそう言った。



「私は……あの日、パチュリー様に救われているんですよ! だから、だから……この身がどうなろうとも、貴女を守りたいと、ずっと支えたいと……思ってるんです」
「小悪魔……」
「なのに、そんな……契約を書き替えるなんて、パチュリー様は勝手です!」
「貴女は……悪魔らしくないわね」

 怒っていた筈の小悪魔は、いつの間にか涙を浮かべた悲しげな顔になっていた。
 そんな小悪魔を、そっと抱き締める。

「そう、私は勝手なのよ。でもね、貴女も勝手だわ」
「何がですか……」
「私は貴女を失うなんて、考えられない。私の為に死ぬなんて、そんなことは許さない」
「……主を守るのは、従者の役目でもあります」
「従者を守れないものが、主になる資格は無いのよ」
「……なら」
「……そうね、互いに支えあって、初めて理想的な関係になるんでしょう」

 二人は、抱き合っていたのを止めて、少し離れる。

「なら、再契約ね」
「そうですね」

 パチュリーが、足元を蹴ると、魔方陣が出現する。
 小さな魔方陣に、密着し二人が入る。
 淡く紫に光る魔方陣の上、見つめあう二人。

「私は貴女を使い魔とし」
「私は貴女を主とし」

 凜とした声。魔女としての風格。

「主として従者を守り」
「従者として主を守り」

 どこまでもまっすぐで、真剣な瞳。悪魔らしくはないけれど、そこにあるのは確かな気持ち。

「互いに信頼し」
「互いに支えあうことを」

 声が、重なる。

「ここに、契約す」
「契約させて、いただきます」

 淡い紫の魔方陣が、より発光する。

 最後に、二人は、契約の儀式。
 本来ならば、厳密な書類などに血の契約を交わすこともあるのだが、今回は最も簡単な方法。

 唇を重ね合う。
 何秒、何分経ったかは分からない。
 発光を止めた魔方陣の中、二人は再び離れる。

「契約内容、変更完了ね」
「こんな何度も変更していいんですかね?」
「大丈夫、力の強大な悪魔ならともかく、弱っちい小悪魔だから負担もほとんど無いわ」
「な!? 酷くないですかぁ!?」
「それより小悪魔、貴女気付いて無いの?」
「はい?」
「貴女の服」
「ふぁ? ってえぇぇぇぇ!?」

 小悪魔の格好は、超ミニの淡い水色スカートが特徴的な、メイド服だった。
 最初に、小悪魔はこれを着せられるのが嫌で逃げていたのだ。

「気絶してる間に着替えさせましたね!?」
「うん」
「あっさり白状!? って私もしかしてこの格好で契約交わしてたんですか!?」
「そうよ。真剣な顔だったけれど、可愛かったわよ」
「最悪ですよ! どこの悪魔が超ミニスカートメイド服で真剣に契約交わしてるんですか! 世界捜しても私だけでしょう!?」
「良かったわね。歴史に残るかもよ。どこぞの寺小屋で習うかもね」
「最悪すぎる名前の残し方じゃないですか!」
「あはは」
「笑わないで下さい! もうパチュリー様の馬鹿!」

 涙目で怒る小悪魔を、笑いながら流すパチュリー。
 こんなやり取りが、これからもずっと続いていくのだろう。
どうも、喉飴です。
小悪魔とパチュリー、この組み合わせだけで書くのはほとんど今まで無かった気がします。
そして、これが100回目の投稿となりました。
創想話に14回、プチに86回といった感じです。100回投稿と言っても、シリーズ物などもありますから100作品というわけではないのですが。
去年の10月末から投稿させていただいて、まさかこんなに自分が長続きするとは想像もしていませんでした。5作品くらいで終わるかと想像してました。
そんなこんなではありますが、この作品、少しでも楽しんで下さったなら、幸いです。
喉飴
http://amedamadaisuki.blog20.fc2.com/
コメント



1.般若削除
小悪魔のパチュリーに対する思いと、パチュリーの小悪魔への待遇が良かったです。
こういう主従物は大好きです!
あと通算100回投稿、おめでとうございます!
2.Ren削除
林○ヴォイスのパチェさん……ぴったりだ。
投稿100回おめでとうございます。
3.地球人撲滅組合削除
パチュリーと小悪魔の契約と聞いて。
ミニとか、ついにやりやがったなパッチェさんww

ついに100突破達成、おめでとうございます。
喉飴カラーを心太のように押し出して、これからも頑張ってくださいね。
4.名前が無い程度の能力削除
100作品達成おめでとうございます!去年の10月から…って早っ!凄いです。
ちょっとこぁと簡易契約してくるんでMP下さいwww
5.奇声を発する程度の能力削除
すげー!!!
100回投稿おめでとうございます!!!

・・・あれ?
お泊りから始まるもの
の後編もう出しましたか?
6.謳魚削除
ふおおぉぉぉぉ!
パッチュこあっ!
パッチュこあっ!
小悪魔さんかぁいいです。
7.脇役削除
パチュこあと聞いて歩いてきました!
投稿百作品目おめでとうございます
…次は二百作品ですねわかります!
そして、何時の日か投稿作品数トップになるんですねわかります!

また次の作品を楽しみに待ってますね
8.名前が無い程度の能力削除
メイドこあ…ありそうでなかったけどアリだろJK

ところで、100回投稿おめでとうごさいます&お疲れ様でした&これからもお願いします!
喉飴さんのフランちゃんのおかげで紅魔館組が本格的に好きになりました。今では立派なロリコンです!
9.名前が無い程度の能力削除
契約って結婚じゃねーか!


もっとやりなさい
10.薬漬削除
>>8に同じく!
11.名前が無い程度の能力削除
投稿100回目おめでとうございます!これからも首を長くしてお待ちしております!
ケンカという名の惚気→契約という名の結婚の流れが神過ぎる…

そしてミニスカメイドこぁだと!?許せる!
12.名前が無い程度の能力削除
あめぇっ
パチュこあ喉飴甘ぇっ
初孫を抱くじいちゃんより甘ぇっ
13.ネコん削除
連載100回おめでとうございます!(違)
すごい。本当に凄い。これからも溢れる創作バイタリティでそそわを引っ張っていって下さい。

契約怖いよ契約。
14.名前が無い程度の能力削除
悪魔じゃなくて悪魔の狗だったら、近くに居るなw
15.名前が無い程度の能力削除
良い話ですねー…パチュリーは何処かフザケてるようで真剣ですな

100作品おめでとうございます。
これまで全ての作品読んできましたがどの作品も素晴らしいです。
これからも頑張って下さい。
16.喉飴削除
>>般若様
ありがとうございます。
主従ものっていいですよねぇ。

>>Ren様
凄く想像しやすい感じしますよねw
ありがとうございます。

>>地球人撲滅組合様
ミニはロマンだと噂で聞きましたw
はい! ありがとうございます!

>>4様
私の書くものは一つ一つが短いですから可能だった気がします。
では『エルフの飲み薬』と『不思議な木の実』をw

>>奇声を発する程度の能力様
次回、投稿予定です。これが書き上がるまでは何も投稿しません。

>>謳魚様
かぁいいは正義ですよね!

>>脇役様
私はさすがに200は無理かとwwそろそろ自分に限界を感じてきてますしw

>>8様
ふわわ!? フランちゃんのはっちゃけたお話から読んで下さってるとは。しかもなんと嬉しいお言葉です!

>>9様
ある意味結婚ですよねw

>>薬漬様
あなたもでぃすかwありがたい限り。

>>11様
ありがとうございます。地味にちまちま楽しく書いていきたいです。
小悪魔ミニスカメイド、ありそうで無かったですよね。

>>12様
甘さは70%くらいですかねw

>>ネコん様
ありがとうございます!
これからもちまちまっと、楽しく書いていきたいです。

>>14様
確かにw

>>15様
にゃんと!?
全て読んで下さってるのですか! う、嬉しい限りです!
地味にちまちま書いていきます。
17.名前が無い程度の能力削除
なんて素晴らしいパチュこあ…
もう結婚しちゃえば…ってもうしてるのかwww

メイドな小悪魔さんは全世界の答え
18.岩山更夜削除
100作品投稿おめでとうございます。
しかし……このこあは可愛いなぁ。なにこのにやにやはw
19.名前が無い程度の能力削除
だから賢者の石は用法と用量を守って正しく(ry
ともあれおめでとうございます。これからも読みにきます。
パチュこあかわいいよパチュこあ
20.喉飴削除
>>17様
契約という名の結婚ですねw

>>岩山更夜様
ありがとうございます。
甘さ70パーくらいですw

>>19様
ありがとうございますなのです!
地味に良い組み合わせですよねw
21.3D削除
100投稿おめでとうございます!
このパチュリーさんはとってもカリスマですね。
やっぱりレミリアと友人なのはこういった部分が似てるからなんでしょうか。
自分には強制しても相手には強制しないとことか。
22.名前が無い程度の能力削除
VIVA 喉飴!