Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ふとんどーる

2009/04/24 23:57:58
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 布団。
 主に畳など、和室で用いられる睡眠アイテムである。
 そして、和式の家が多い幻想郷では最も繁栄している寝具。
 一方、紅魔館では布団がほとんど使われない。
 西洋建築の紅魔館では、ベッドが一般的だ。
 露骨に天蓋が着いたベッドではないが、それなりの意匠が凝らされた一品である。
 異端としては、ハンモック。
 死神が昼寝使っているかもしれない。
 きっと、悔悟の棒がそこに突き立てられることでしょう。
 そして、隣の芝は青く見えるとはよく言ったもので。

「お姉さま、布団がほしいわ」
 
 ベッド派の一角を担う、紅魔館の妹君は布団を所望した。





ふとんどーる





 白玉楼にお茶をしばきに行った帰り。
 私は信じられない光景を見た。
 美鈴が、白い大きな筒状のものと緑色の板を担いでいる。
 いや、それはいい。
 ときどき、大荷物を買い込むときは力自慢の門番を里に行かせることがある。
 問題は、その連れである。
 フランドールが、一緒にいた。
 たい焼きを片手に、布を被って。
 違う、問題はそこではない。
 決して、たい焼きが羨ましいとかそういうことでは。
 こっちみんな。
 こそこそと、後をつけてみる。
 あの子が外に出るなんて、咲夜は何故許したのだろうか。
 下手をすれば、霊夢が出張ってくるぞ……!
 まぁ、来たからなんだって話だけど。
 それより、日傘はどうしたの。
 あんな、乞食みたいな格好をして……!
 ああもう、陽に焼かれたらどうするの!
 しかし、あの白い布は一体何なのか。
 まさか、白昼堂々食料を?
 ばれたら、色々と面倒くさいだろうに。
 そんな思惑もあって、声をかけた。

「あ、レ……お姉さま」
「今お帰りですか?」

 今、呼び捨てにしようとしたかこの妹は。
 怒りたい気持ちをぎっとこらえる。
 姉だから!
 で、門番は何をもっているのかしら?

「布団ですよ。敷き布団」

 布団?
 ベッドがあるじゃない。

「寝てみたいんだもの、いいじゃない」

 えー。
 固くて痛いだけよ。
 冬なんか冷たいし、地下室も同じじゃないの?
 良く見たら、被った布は布団だし。
 一桁の子どもじゃあるまいし、みっともないわ。

「いーの! お姉さまにはわからないわ!」

 寝たことがないからわからないのよ。






 てーんと、地下室に布団が敷かれた。
 ついでに、畳も。
 殺風景である。
 地下室が広すぎるだけだ。
 美鈴、咲夜と共にベッドを持って退場。
 流石、紅魔館の内と外をまとめる二人だ。
 やることが早くていい。
 本来、それを行うはずの妖精メイドは布団に興味津々だ。
 働けよ。
 言っても無駄だろうけど。
 横には、目を輝かせるフラン。
 何が楽しいのか。
 
「さぁ寝るわ!」
 
 早い。
 まだ日の入りだ。
 吸血鬼的には、今が目覚めだ。
 人間の子どもじゃあるまいし、こんな時間に寝る吸血鬼なんか聞いたこともない。
 
「てやぁー!」

 ドスン。
 微妙な音がした。
 フランは、ベッドに飛び乗るのが楽しみである。
 その要領なのだろう。
 紅魔館のベッド、特に私たち姉妹のベッドはかなりのふかふか具合である。
 天然毛玉ゼロパーセント配合。
 それが、畳と布団になったらどうなるか。
 答えは、目の前にある。
 
「お゛ね゛え゛ざま゛あぁぁぁ」

 強かに打ち付けた、顔と腹部と抑えて悶絶するフランドール。
 我が妹ながら、ところどころ頭が弱く見える。
 ちょっと考えればわかるだろうに
 悶絶するフランドール。
 芋虫みたい。
 その姿を見て、あることを思いつく。
 ごろん、と転がす。
 軽いなぁ。
 ごろんごろんごろん。

「やめぇえぇ」

 布団の端に寄せて、今度は敷き布団ごと転がす。
 こう、クレープを巻く感覚で。
 巻いたことないけど。
 くるくるごろんごろん。
 ふぅ。
 フランドール巻きの完成なり。
 羽ごと巻くと、さすがにかわいそうだから緩めに巻いた。
 
「うがー! 解けー!」

 だが断る。
 額に紅と書こうと思ったが、さすがに自重した。
 淑女として、それは行ってはならない。
 まぁ、いい仕事をした。
 いいことをすると、気分が爽やかになる。
 しかし、可愛いなフラン巻き。
 思わず、銅像を作って中庭に設置したくなる。
 これを模した菓子を作り、幻想郷中に売り出そう。
 夢が広がる。
 楽しくなってきた。
 ありがとう、フラン。
 貴女のおかげで、布団の有効利用法が見つかったわ。
 感謝の言葉を伝えようと、振り向いた。
 



 灼熱の色が見える。
 そこには、海苔巻きから抜け出したフランドールが!
 解放状態の、スペカではない炎の杖を構えて。
 ジーザス……。
 私は天を、天井を仰ぐ。
 ああ、妹よ。
 それでは、ただの布団とフランドールだ。
 ただの布団に寝具以上の価値があろうか?
 答えてみなさい。
 
「きゅっとする……きゅっとしてやる……」

 全く聞いてない。
 これは、お仕置きが必要ね。
 こちらも、槍を取り出した。
 もはや、言葉は要らない。
 布団の価値を知りなさい。

「しねええええええ!」

 うおおおおおお!
 紅魔館の地下室は、爆炎に包まれた。
 それに煽られ、地下室を舞う畳と布団。
 抉れる壁。
 飛ぶ布の切れ端。
 舞う羽毛。

 








 私たちの布団生活は、まだはじまったばかりだ!
   く|   ,..-──-ヘ/i |>
 <>ヽ、 ,'y,..-=== y__」/<>
  <>〈`'γ ノノハノノハノ<>  
  .<>ゝノルリ ゚ ヮ゚ノ!|ノ<>  <ふとんがふっとんどーる
       /'つ~⌒ヽ
       ''y(';; _, ...,,)
      ∪,)....´;;;,,,..(ヽ
       (::::::ノ⌒)_ヽ)
小宵
http://www.geocities.jp/snowtic_road/
コメント



1.GUNモドキ削除
妹様の『きゅっとする……きゅっとしてやる……』と言う台詞が気に入りました。
あと、フランドール巻きをお一つ下さい。
2.名前が無い程度の能力削除
紅魔館は今日も平和ですね。
3.名前が無い程度の能力削除
なぜかすごくまったりした気分に。
4.薬漬削除
萌えた。
5.名前が無い程度の能力削除
フランドール巻きに胸がきゅっとして、どっかーんした
6.名前が無い程度の能力削除
ひどいオチだwww
ところでフラン巻きの予約はどこで受け付けてるのでしょうか。
7.名前が無い程度の能力削除
なんじゃこりゃw
8.名前が無い程度の能力削除
紅魔館の日常が変わりませんように。
9.名前が無い程度の能力削除
もっと評価されるべき。
10.名前が無い程度の能力削除
もっともっと評価されますように。
11.奇声を発する程度の能力削除
もっともっともっと評価されますように