朝日が差し込む。
「ん……」
和室の中心で、少女が目を覚ます。
少女は、寝呆け眼のまま部屋を出る。
少女、博麗霊夢は違和感を感じていた。
昇りつつある朝日も、
空に出る雲も、
閑散とした境内も、
何もかもが、昨日と同じ様子であった。
毎日の朝の様子、などという程度ではない。
日の照らす高さも、
雲の大きさや形も、
境内の砂の凹凸も、
全てが昨日の朝と同じ配置であった。
(……気のせいよね)
妙な感覚に頭を押さえながら、霊夢は部屋に戻った。
日もやや傾き始めた頃。
縁側で茶を飲む霊夢の耳に、轟音が聞こえる。
ちなみに、茶は2杯目を飲み終わった所であった。
「また来たぜ、霊夢」
着陸した魔砲使い、霧雨魔理沙が縁側に姿を現した。
「ほんと、毎日よく飽きもせずに来るわね」
「まあな」
「……ところで魔理沙。
私達、昨日も全く同じ話してない?」
「確かにそうかもな。
……で、急にそんなことがどうかしたか?」
「……いえ、何でもないわ」
その後、魔理沙は夕飯を神社で食べていった後は、宵闇の空へと飛んでいった。
毎度毎度、いい加減にしてほしいと思う。
(……昨日も同じこと考えた気がするわね)
夕食の食器を片付けた後、霊夢は早々と布団に入った。
朝日が差し込む。
「ん……」
和室の中心で、少女が目を覚ます。
少女は、寝呆け眼のまま部屋を出る。
霊夢は、やはり違和感を感じていた。
太陽は山の少し上に昇っている。
遠くの空にすじ雲が浮かぶ。
境内は魔理沙の着地で若干抉れている。
全て、昨日の朝の状態と同じであった。
頭を抱えながら、霊夢は部屋へと戻った。
昼時を過ぎ、空が青の色を失い始めた頃。
2杯目の茶をすすり終えた霊夢は、轟音を聞いた。
「また来たぜ、霊夢」
今日も魔理沙が縁側に現れた。
「ほんと、毎日よく飽きもせずに来るわね」
「まあな」
「……ところで魔理沙。
私達、昨日も全く同じ話してない?」
「確かにそうかもな。
……で、急にそんなことがどうかしたか?」
「他の話ってないのかしら」
「実際ネタがないだろ」
「それもそうね」
夕飯を食べて帰っていった魔理沙に呆れつつも、霊夢は早々と布団に入った。
朝日が差し込む。
「ん……」
和室の中心で、霊夢は目を覚ます。
「…………」
霊夢は、若干の抵抗を試みた。
すぐには起きず、二度寝しようとした。
しかし完全に頭が起きてしまい、無駄に終わった。
結局、そのまま起きて部屋を出ることになった。
やはり、外の風景は変わらなかった。
相も変わらず太陽が雲や境内を照らしている。
ため息をつきながら、霊夢は部屋へと戻った。
昼過ぎの縁側。
「…………」
霊夢は、手に持った湯呑みを見つめている。
縁側で茶を飲まなければ魔理沙は現われないかもしれないと考えた。
しかし、掃除はやる気が起きず、他にやることもない。
ましてや外に出ることなどもっての外。
そんなこんなで、霊夢は仕方なく茶に口を付けた。
そして、やはり2杯目を飲み終えた時、霊夢の耳は轟音を捉えた。
「また来たぜ、霊夢」
「はぁ……」
「ほんと、毎日よく飽きもせずに来るわね」
「まあな」
「……ところで魔理沙。
私達、昨日も全く同じ話してない?」
「確かにそうかもな。
……で、急にそんなことがどうかしたか?」
「魔理沙、毎日の生活に既視感を覚えない?」
「は?」
「ここ数日、毎日が全く同じことの繰り返しに思えるのよ」
「そりゃあ、毎日茶飲んでるだけだからな」
「そんなものじゃない。
風景の細部や行動のひとつひとつまでが、何かが操っているように同じなのよ。
あなたがここに来る時間までも」
「……確かに私もそんな感じがするな。
毎日同じ時間にパチュリーんとこの小悪魔が来て、本の雪崩に埋もれてるぜ。
しかも同じ位置で」
「部屋くらい片付けなさいよ……
というか、いい加減に本返したら?」
「毎回ツケで買い物してるお前に言われたくはないぜ」
「それはあなたもでしょ」
結局、魔理沙はまた神社で夕食を食べていった。
ため息をつきながらも食器を片付け、霊夢はまた布団に入った。
朝日が差し込む。
「ん……」
和室の中心で、霊夢は目を覚ます。
昨日のように抵抗はせず、ふらふらと部屋を出る。
外の風景は、やはり同じだった。
気分を晴らす程度に朝日を浴び、霊夢は部屋に戻った。
昼前、霊夢は何となく掃除を行なった。
箒を持ちながら、霊夢は考えていた。
(毎日が同じことならば、違うことをすれば……)
掃除を終え昼食を食べた後、霊夢はお札を取りに行った。
昼から夕方へと移ろうとする頃。
霊夢は縁側で茶を飲んでいた。
そして、2杯目を飲み終えた時、
「また来たぜ霊おぶっ!?」
霊夢は魔理沙にお札を投げ付けた。
お札は魔理沙の顔にクリーンヒット。
「な、何すんだ霊夢!?」
「何って、毎日の生活に未知のことを加えてみたのよ」
「未知のことって、お札を人に当てるか普通」
「まあいいじゃない。
ところで、弾幕ごっこでもする?」
「久しぶりだな。今回は負けないぜ」
弾幕ごっこを終えた時、辺りは既に暗くなっていた。
魔理沙はボロボロになって、夕飯も食べていかずに帰っていった。
「これで明日は今日とは変わるはずよね」
霊夢も何も食べないまま布団に倒れこんだ。
霊夢が目を覚まし外に出ると、日は高く昇っていた。
大きな綿菓子のような雲が空を飛んでいた。
境内を見ると、弾幕ごっこの跡が凄まじい。
霊夢は、ほくそ笑んだ。
昼過ぎ、霊夢は縁側で茶を飲んでいた。
既に13杯目である。
その時、遠くからふよふよと黒い塊が飛んできた。
「……また来たぜ、霊夢」
「どうしたのよその格好」
白黒の魔砲使いは真っ黒になっていた。
「家が吹き飛んだ。実験に失敗して」
「あなたは家より頑丈ね」
「というわけでしばらく泊「却下」
幻想郷は、一部を除いて今日も変わらなかった。
〈終〉
「ん……」
和室の中心で、少女が目を覚ます。
少女は、寝呆け眼のまま部屋を出る。
少女、博麗霊夢は違和感を感じていた。
昇りつつある朝日も、
空に出る雲も、
閑散とした境内も、
何もかもが、昨日と同じ様子であった。
毎日の朝の様子、などという程度ではない。
日の照らす高さも、
雲の大きさや形も、
境内の砂の凹凸も、
全てが昨日の朝と同じ配置であった。
(……気のせいよね)
妙な感覚に頭を押さえながら、霊夢は部屋に戻った。
日もやや傾き始めた頃。
縁側で茶を飲む霊夢の耳に、轟音が聞こえる。
ちなみに、茶は2杯目を飲み終わった所であった。
「また来たぜ、霊夢」
着陸した魔砲使い、霧雨魔理沙が縁側に姿を現した。
「ほんと、毎日よく飽きもせずに来るわね」
「まあな」
「……ところで魔理沙。
私達、昨日も全く同じ話してない?」
「確かにそうかもな。
……で、急にそんなことがどうかしたか?」
「……いえ、何でもないわ」
その後、魔理沙は夕飯を神社で食べていった後は、宵闇の空へと飛んでいった。
毎度毎度、いい加減にしてほしいと思う。
(……昨日も同じこと考えた気がするわね)
夕食の食器を片付けた後、霊夢は早々と布団に入った。
朝日が差し込む。
「ん……」
和室の中心で、少女が目を覚ます。
少女は、寝呆け眼のまま部屋を出る。
霊夢は、やはり違和感を感じていた。
太陽は山の少し上に昇っている。
遠くの空にすじ雲が浮かぶ。
境内は魔理沙の着地で若干抉れている。
全て、昨日の朝の状態と同じであった。
頭を抱えながら、霊夢は部屋へと戻った。
昼時を過ぎ、空が青の色を失い始めた頃。
2杯目の茶をすすり終えた霊夢は、轟音を聞いた。
「また来たぜ、霊夢」
今日も魔理沙が縁側に現れた。
「ほんと、毎日よく飽きもせずに来るわね」
「まあな」
「……ところで魔理沙。
私達、昨日も全く同じ話してない?」
「確かにそうかもな。
……で、急にそんなことがどうかしたか?」
「他の話ってないのかしら」
「実際ネタがないだろ」
「それもそうね」
夕飯を食べて帰っていった魔理沙に呆れつつも、霊夢は早々と布団に入った。
朝日が差し込む。
「ん……」
和室の中心で、霊夢は目を覚ます。
「…………」
霊夢は、若干の抵抗を試みた。
すぐには起きず、二度寝しようとした。
しかし完全に頭が起きてしまい、無駄に終わった。
結局、そのまま起きて部屋を出ることになった。
やはり、外の風景は変わらなかった。
相も変わらず太陽が雲や境内を照らしている。
ため息をつきながら、霊夢は部屋へと戻った。
昼過ぎの縁側。
「…………」
霊夢は、手に持った湯呑みを見つめている。
縁側で茶を飲まなければ魔理沙は現われないかもしれないと考えた。
しかし、掃除はやる気が起きず、他にやることもない。
ましてや外に出ることなどもっての外。
そんなこんなで、霊夢は仕方なく茶に口を付けた。
そして、やはり2杯目を飲み終えた時、霊夢の耳は轟音を捉えた。
「また来たぜ、霊夢」
「はぁ……」
「ほんと、毎日よく飽きもせずに来るわね」
「まあな」
「……ところで魔理沙。
私達、昨日も全く同じ話してない?」
「確かにそうかもな。
……で、急にそんなことがどうかしたか?」
「魔理沙、毎日の生活に既視感を覚えない?」
「は?」
「ここ数日、毎日が全く同じことの繰り返しに思えるのよ」
「そりゃあ、毎日茶飲んでるだけだからな」
「そんなものじゃない。
風景の細部や行動のひとつひとつまでが、何かが操っているように同じなのよ。
あなたがここに来る時間までも」
「……確かに私もそんな感じがするな。
毎日同じ時間にパチュリーんとこの小悪魔が来て、本の雪崩に埋もれてるぜ。
しかも同じ位置で」
「部屋くらい片付けなさいよ……
というか、いい加減に本返したら?」
「毎回ツケで買い物してるお前に言われたくはないぜ」
「それはあなたもでしょ」
結局、魔理沙はまた神社で夕食を食べていった。
ため息をつきながらも食器を片付け、霊夢はまた布団に入った。
朝日が差し込む。
「ん……」
和室の中心で、霊夢は目を覚ます。
昨日のように抵抗はせず、ふらふらと部屋を出る。
外の風景は、やはり同じだった。
気分を晴らす程度に朝日を浴び、霊夢は部屋に戻った。
昼前、霊夢は何となく掃除を行なった。
箒を持ちながら、霊夢は考えていた。
(毎日が同じことならば、違うことをすれば……)
掃除を終え昼食を食べた後、霊夢はお札を取りに行った。
昼から夕方へと移ろうとする頃。
霊夢は縁側で茶を飲んでいた。
そして、2杯目を飲み終えた時、
「また来たぜ霊おぶっ!?」
霊夢は魔理沙にお札を投げ付けた。
お札は魔理沙の顔にクリーンヒット。
「な、何すんだ霊夢!?」
「何って、毎日の生活に未知のことを加えてみたのよ」
「未知のことって、お札を人に当てるか普通」
「まあいいじゃない。
ところで、弾幕ごっこでもする?」
「久しぶりだな。今回は負けないぜ」
弾幕ごっこを終えた時、辺りは既に暗くなっていた。
魔理沙はボロボロになって、夕飯も食べていかずに帰っていった。
「これで明日は今日とは変わるはずよね」
霊夢も何も食べないまま布団に倒れこんだ。
霊夢が目を覚まし外に出ると、日は高く昇っていた。
大きな綿菓子のような雲が空を飛んでいた。
境内を見ると、弾幕ごっこの跡が凄まじい。
霊夢は、ほくそ笑んだ。
昼過ぎ、霊夢は縁側で茶を飲んでいた。
既に13杯目である。
その時、遠くからふよふよと黒い塊が飛んできた。
「……また来たぜ、霊夢」
「どうしたのよその格好」
白黒の魔砲使いは真っ黒になっていた。
「家が吹き飛んだ。実験に失敗して」
「あなたは家より頑丈ね」
「というわけでしばらく泊「却下」
幻想郷は、一部を除いて今日も変わらなかった。
〈終〉