Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

、貧乏くじを引くこと

2006/02/03 13:41:04
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「別に大豆自体が苦手なわけじゃない」

 山のように積まれた豆の箱。
 鷲掴みで口の中へ放り投げ、酒を浴びるように飲み。
 三人が物凄い勢いで消化していく有様を、兎達はただ見つめるしかない。雑用兎が苦労
して集めた対小鬼兵器は、事前に説明されていた性能を発揮していなかった。量が多すぎ
て、全部炒っている時間がなくなったのだ。

「つまらないわ。せっかくたくさん用意したのに」
 アテが外れた姫が溜息一つと共に。
「これではつまみを提供しただけになってしまいましたね」
 微笑みを崩さぬ黒幕が酒を注ぎつつ。
「ふん、悪巧みの末路はこんなものよ」
 酔いが深まってきた小鬼が杯を傾け。

 趣旨が変われども酒宴は続いていく。場に満ちるのは快調に豆を減らし続ける彼女達が
鳴らす音、音、音。




 そうして一体どれほどの時間が過ぎたのだろうか。兎が新しい豆の箱を運んでいった。
 物を受け取った黒幕と渡した兎の目が光り、即座に煌きが伝播する。……二名を除いて。

 兎が場を離れてしばしの後。
 鳴り始めて以降、途切れることがなかった、その連続音が……
(ポリッ)
 一音を最期に、ついに崩れた。


「ぶぶべぇヶああlgらがががッ!」
 言葉にならない叫びを上げてのた打ち回る萃香。
「あっはははははっ!」
 指差して哄笑する輝夜。
「……ぷっ、くくく」
 踏み止まれなかった永琳。
 館中が歓声に沸きかえり、笑いに満ちる。


「あ、熱っ! 口ん中が熱い!」
 今までどこにいたものか、部屋には数十匹の兎。笑いはどんどん大きくなり、思い出し
笑いで二次噴火し、……やがてはその笑いも終わりへ収束していく。
「ちょ、ちょっとあんた達ィッ!」
 そして笑いが収まる頃には……残されたのは激昂した小鬼と他三名。始まる破壊。屋根
が吹き飛び、弾が荒れ狂う。予定調和の馬鹿騒ぎに輝夜と永琳は楽しげに挑み、兎(一名)
は必死に逃げ惑う。


「……って、なんで皆いないのよーッ!?」
 引き際を誤った兎の叫びが、空しく夜空に響き渡る。そんな節分の日の夜。




(おしまい)
幻想郷は今日も平和でした。片付けも兎のお役目。

はじめまして、みどりのと申します。唐突に時節ネタを考えついてやって来ました。
読点の前には兎を入れる予定でしたが、色々思うところがあって文字無しに。
しまった夜が明ける。
みどりの
コメント



1.削除
とりあえずうどんげ南無。
まー、大豆そのものがダメなら「ビール+枝豆」の黄金コンボも不可ということに。そりゃ神主さん怒るよ。
と言うわけで、深○さん主催で萃香に優しい納豆撒きなんかを(百万鬼夜行